季節の切り抜き帳 〜 Clipping of Season 〜

移り変わる季節と日々の暮らしの記録

カテゴリ: 瀧羽 麻子

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4198640106失恋天国 (文芸書)
瀧羽 麻子
徳間書店 2015-09-08

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【内容情報】(出版社より)
結婚式目前に婚約者から振られ、放心状態の雛子のもとに手紙が届く。
それはなんと「失恋学校」の入学案内だった。
最初は訝しく思っていたが、入学を決意する雛子。
失恋学校は全寮制で、バスの中で泣きじゃくっていたエミリと、美人の貴和子と、雛子は同室になり……。
「今日の授業は、“思い出の品を捨てる”です」--など、奇想天外な授業やテストに明け暮れる雛子たちは、無事に「失恋」できるのか。『うさぎパン』の著者が贈る、大人の学園物語。

国から補助がある「失恋学校」なんて設定、垣谷美雨さんぽくて、瀧羽 さんらしくないんじゃない?と最初は感じたのですが、そこは恋愛の導師らしくいい感じに描かれていました。
垣谷さんだったら、どうして雛子のところにダイレクトメールが届いたか、実は結婚式場から情報を得ていた・・・とか、そんなノリになってたんじゃないかな?w
ルームシェアする3人の個性、恋愛観の違いの描き方も良かったし、学校に入学しているのが若い世代だけじゃなかったという点も良かった。
美人で仕事もできる貴和子が一番古い恋を引きずっていたのも何だか彼女らしい。
男性用の失恋学校もあり、男の方が引きずるから・・・と2年生だというのも面白い。
大先生が失恋学校を立ち上げた経緯など、小さなエピソードも好感が持てた。
ただ、運動会や文化祭は必要なのかなぁ?もう少し学校の授業の話も読んでみたかったな。
どんな授業をして1年かけてもう一度恋をしたい!って思えるようになっていくのか、そちらの方にも興味があったな。

3
4396634668ふたり姉妹
瀧羽麻子
祥伝社 2015-05-14

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
東京の製菓メーカーで企画職として働いていた29歳の聡美が久しぶりに故郷に帰ってきた。
実家を出たことがなくずっと田舎暮らしの三つ下の妹・愛美は、この機会に姉の家で都会の暮らしを楽しんでみたいと思い立つ。
部屋を貸すことを嫌がる姉や困惑する婚約者を説き伏せて、愛美は東京に発つが、聡美の家で姉の恋人と遭遇。
プライドが高く向上心の強い姉の突然の帰省を訝しんでいた愛美は彼に探りをいれてみることに。
聡美が実家に帰ってきた本当の理由とはー?
自分を見つめ直す二人の物語。

都会でバリバリ働く姉が仕事で躓き、故郷に戻ってくる。
妹は、結婚直前にして初めての東京暮らしを体験しに、姉の部屋へ。
姉妹の個性がとても良く出ていて、各々の視点で交互に描かれているのは非常に面白かった。
頭が良くて・・・と思われている姉は、その地位を得るために人には見えない努力を続けてきた、誰からも愛されキャラの妹は自由気ままに見えて、実は細やかな部分もあったり・・・とそれぞれの個性についての描きが巧い。
姉から見た妹の印象を語るエピソード、自然当日のバスの中の二人の様子の対比、そして妹から語られる整えられた姉の部屋のクローゼットの中の様子・・・といった女性ならではの視点が瀧羽さんらしさであり、二人の相手に対する思いを描きつつ、読者に二人の違いを伝える見事な語りの部分だったと思う。
デキルお姉ちゃんらしい選択である柏木さんだが、個人的には全く好きになれない。
後半、姉を想う彼の気持ちが語られ、少し見直しはするのですが、個人的意見を言わせて貰えば自分が大好きな人は結婚には向かないんじゃないかなぁ。
姉妹それぞれの未来、さてどうなるのか?
特にお姉ちゃんは、仕事とどう向き合っていくのか、転職するのか、敢えて踏みとどまり大きく成長するのか、そこが語られなかったのがちょっと残念。
ふたりシンデレラのその後、読みたい気持ちになりました。

3
4062193779サンティアゴの東 渋谷の西
瀧羽 麻子
講談社 2015-02-19

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
小さい頃、芽衣子は嘘ばかりついていた。大人になっても仕事も恋愛も上手くいかない。
チリに出張中、彼女は初恋の人と再会する(「サンティアゴの雪」)。
中学生の広海は、生まれ故郷が大嫌いだ。彼は島を出て本土に行った女性と出会うが、そいつはとんでもないやつだった(「瀬戸内海の魔女」)。
結婚して十五年。ずっと一緒にいるものと思っていたが、妻に別の男ができた。最後に夫婦はもう一度、思い出の店を訪れようとする(「渋谷で待つ」)。
静かな感動が降り積もる六編。『うさぎパン』の著者、初の短編集。
【目次】
サンティアゴの雪/津軽のリュウニー/上海の仏蘭西料理店/瀬戸内海の魔女/アントワープの迷子/渋谷で待つ

サンティアゴ、津軽、上海・・・と、物語の舞台が特定され、タイトルにも使われている短編6作品。
ちょっと意固地で生きるのが下手そうな主人公たち。
結論が描かれず、ちょっと中途半端な感じがするのが、やや気になる。
恋愛がテーマな作品は、そんなに意地にならなくても、そんなふうにしか生きられないと大変だよ、と感じてしまう部分が多かったので、母や父が登場する「上海の仏蘭西料理店」や、「アントワープの迷子」のほうが、作品としては好きでした。
津軽のリュウニー、かなりハラハラの展開、結果としては最悪の事態ではなかったものの、自分が悩んでいたとしても、黙っていたとしたらそんな男はダメなんじゃないかなぁ。
私は、ヒロインのように許すことなんて出来なかったと思う。
仮題「世界の片隅で君と出会った」のほうが、確かにしっくり来たと感じるが、セカチューとの被りNGだったのかしら?
今までの瀧羽さんとは少し違い、分岐点的な作品なのかしら?

4
4408536482ぱりぱり
瀧羽 麻子
実業之日本社 2014-07-10

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【内容紹介】
大切なひとは、誰ですか――
才気あふれ、17歳という若さでデビューした詩人・すみれ。
彼女の成長は少しだけゆっくりで、その後もまわりが少しハラハラするような、でもそのときどきに宝物を残してくれるようなものでした……
幼い娘の成長に不安を覚える母、生徒に詩人としての才能を見出した中年教師、姉の自由さに苛立ちながらその才能に憧れる妹、伸び悩む詩人に苦悩する編集者、クラスメートの名前が書かれた詩集に出会う販売員、アパートの隣人にときめく大学一年生男子。
すみれと係わったひとびとが、その季節のあとに見つけたものは……
本作は、アンソロジー『あのころの、』(実業之日本社文庫)に収録された短編
「ぱりぱり」を第1話に、詩人すみれと出会った人々それぞれの視点で描かれる全6話の連作短編集。
【収録話】
■ぱりぱり■うたう迷子■雨が降ったら■うぐいす■ふたりのルール■クローバー

瀧羽さんの作品は、京都を舞台にした恋愛もの・・・と思っていたのですが、本作は京都ではないし、恋愛物語でもない。
詩人の姉を持つ妹、自由に生きる姉に苛立ち、自分は反対に姉的立場でしっかりしなければ・・・と思って生きてきた妹の物語。
彼女の苛立ちがビンビンと伝わってきて、いつもの瀧羽さんの作品とは違うなぁ、と感じていました。
次に編集者の目から描かれた作品にも彼女の苛立ちが、菫のアパートの隣人、かつての国語教師、クラスメイト・・・と時と視点を変えながら菫に関わる人の物語が続いた。
才能ある菫のことは解るのだが、作品の中に登場する人々の戸惑いを読む度に、菫に対する違和感がありました。
しかし、最後の「クローバー」でそれが消えました。
何より一番つらかったであろう菫の母の目線の物語だったのですが、きちんと両親の愛に包まれて育ったこと、菫自身も自分勝手な人間ではないことが解るエピソードがほんとうに素晴らしかった。
タイトルの「ぱりぱり」というタイトルも表紙もとてもよい雰囲気で、素敵な作品でした。

2
4344025709いろは匂へど
瀧羽 麻子
幻冬舎 2014-04-24

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
京都麩屋町で小さな和食器店を営む30代半ばの紫(ゆかり)に、草木染めの魅力を教えてくれたのは、50歳の草木染め職人・光山だ。
彼は、静かな独身生活を楽しんでいた紫に、恋する気持ちも思い出させてくれた。
しかし、無邪気で大胆な一方で、強引なことをしない彼に、紫は心を持て余す。
実は、光山には想像もつかない過去があった。
無邪気に口に出せない30代女子の恋。
寺町、西陣、大原、鴨川、麩屋町…京都の街を舞台に、ちょっぴりビターなラブストーリー。

京都を舞台にラブ・ストーリーを書かせたらピカイチの瀧羽さん。
今回も東京育ちの30代の紫が、京都で祖父母から古びた和食器の店を継いで・・・と、舞台設定はとても良い。
古びた店の雰囲気、自分の気に入ったものだけを並べ、気に入った人が手にとってくれたらそれでいい・・・というガツガツしない紫の人柄も良かった。
ただね〜、光山がね〜。
確かにちょいワルに惹かれる気持ちは解る。
でも、あまりにも自分勝手な光山にイライラさせられっぱなし。
藤代さんなんてホントにいい女なんだから、こんな男と縁を切ってしまえばいいのに。
やっと心を決めたかに見えた紫だったが、このラストは?
ブライアンは、傍から見るといい人なんだけどね〜、やっぱり男としての魅力には欠けちゃうのかな。
独占欲が強い私には、あまりにもありえへん話でした。
瀧羽さんにはハッピーエンドか、ほろ苦くらいのものを望んじゃいます、ちょっとビター過ぎちゃいましたね。

3
4022510137オキシペタルムの庭
瀧羽 麻子
朝日新聞出版 2012-10-05

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
ただ普通に、幸せになりたい。
つきあって2年、彼との結婚を夢見ていた莢子が知ってしまった、思いもかけない秘密ー。
揺れる32歳を描く恋愛小説。

「女子読み恋愛小説」1位の瀧羽さん。
確かに女性の揺れる心情の表現が巧いんだよね。
それも特別な感じではなく、誰もが感じている様な、うんうん、そうなんだよねーという感じ。
だから若い女性に支持されてるのでしょうね。
冒頭の朝のシーンもとても良い。
確か、以前の作品でブルーベリージャムのエピソードがあったと思うけど、今回のお取り寄せのハチミツから始まるエピソード、朝の慌ただしさと苛立ちの感じの冒頭は非常に魅力的。
契約社員の莢子、職場の望と志乃さんという三姉妹のような関係の描き方もとても良い。
各々のキャラクターがはっきりしていて、三人の恋愛に対する姿勢の違いや、お互いの関係性も良い。
占いやパワースポット、お取り寄せ・・・といったエピソードもとても良く効いている。
そろそろ結婚を・・・と感じている男性・篤志もとても良い人で好感が持てる。
そんな彼に女性の影が・・・
彼に似た人を見つけ、つい後を追ってしまったために見つけてしまった彼の秘密。
マッキーの「スパイ」みたいに、彼の浮気だったほうがずっと良かったのかもしれない。
彼が内緒にしていたこと、「宗教」
う〜〜〜ん、これはまた大きな問題提起ですね・・・
どう解決付けるんだろうと思ったのだけど、やっぱり・・・なのね。
これは難しすぎるテーマでしょ。
親が信者で生まれた時から当たり前のようにその中にいた彼、良い人だけに辛いよな〜
彼女がそれを乗り越えてしまったら嘘くさくなるし・・・
この結論しか無かったと思うのだけど、ラストはどうもモヤモヤっとしてしまい腑に落ちなかった。
ちょっと取り上げたテーマが難しすぎたかな、残念。
オキシペタルムってどんな花だか気になってググってみました。
ああ、あの花の名前がそうだったのですね。
写真でもいいじゃない、と思った表紙ですが、花を眺めてから再び見ると、実に、雰囲気がある良い表紙でした。

3
409386330X左京区恋月橋渡ル
瀧羽 麻子
小学館 2012-04-23

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
京都の理系男子が初めて恋した相手は姫!?
たいせつに育まれる初恋のときめきをいとおしく描いたとびきりキュートな純情恋愛長編。

『左京区七夕通東入ル』の続編・・・と思って読み始めたら、どうにも何だかピンとこない・・・
確か前作は、女の子が主人公だったような・・・と思いながら読んでいました。
花火が好きで京都が好きな理系男子が主人公で・・・う〜〜ん、何だか淡々としているな〜と思っていたら、寮のシーンになってやっと判明!
そうそう、居ましたむっさい男子が二人!w
ああ、あの山根くんのお話だったのですね。
生まれて初めて人を好きになった山根くんのなんとも純情な初恋物語。
切なく淡い初恋・・・、山根くんの想いを考えるとキュ〜〜ンときます。
きっと山根くんは、いい男になったよ!

3
4408535818はれのち、ブーケ
瀧羽 麻子
実業之日本社 2010-11-19

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
30歳─仕事、恋愛、結婚…別々の人生を歩み、それぞれの悩みを抱え、自分の進む道を模索するかつてのゼミ仲間たち。
ひと組のカップルの結婚式を通して、六人の男女が見つける幸せの形、等身大の生き方を、健やかかつ繊細な筆致で描く。
期待の新鋭が贈る傑作長編。

内容紹介
こたえを探している、すべてのひとに。

神戸・北野のチャペル。学生時代から10年の交際を経て、ひと組のカップルが結婚する。
当日集まったのは、かつてのゼミ仲間たちだった。
30歳――仕事、恋愛、結婚、出産……それぞれの人生を選び、歩んできた彼らが、それでも悩み、焦り、迷いながらも見つける幸せの形、等身大の生き方とは。
結婚式の一日を舞台に、六人の男女それぞれの事情を健やかかつ繊細な筆致で描く。
結婚を夢見る人にも、仕事を頑張っている人にも、子育て中のお父さん、お母さんにも!
この小説の中に、あなたのこたえがきっと見つかるはず。
期待の新鋭が贈る傑作長編です。

結婚式の朝、ホテルで目を覚ますふたり…
今時って結婚式前夜、両親と過ごす最後の夜、娘から両親への旅立ちの挨拶…なんてものは無いのかしら?
結婚式に出席してくれる友人・知人に贈るメッセージカードを徹夜で書き上げる新婦・理香子。
すごくしっかり者で自分の意見をしっかり持っているタイプなんだけど、私はちょっと苦手なタイプ。
自分を綺麗な持ち物として連れ歩く男達よりも、さりげなく親切にできる裕人との結婚を選んだ彼女。
ま、最初からど〜みてもかかあ天下になることは間違い無し。
優しいんだか自己主張が出来ないんだか優柔不断な裕人も私なら選ばないタイプだな〜。
理香子は結局、仕切り屋さんだから自分が操縦しやすい裕人みたいなタイプのほうがいいのかしら。
私ならイライラしちゃうけど…
実家の旅館業を継ぐかどうか、理香子にそれをなかなか言い出せなかった裕人…
フードコーディネーターの仕事を捨てて若女将になることを選んだ理香子。
ま、これは正解かも…理香子みたいなタイプだと裕人は将来的にはポイされちゃいそうだけど、若女将って役目を貰えれば頑張っちゃいそうだからね。
女優タイプの理香子さんだよね。
料理教室の講師を引き受けた理香子が、その教室が「花嫁修業用」であることを知り、講師をやめるエピソードは非常に面白かった。
理香子の性格とアラサーの結婚への不安がよく表現されていたと思います。
てっきり朝から夜まで…結婚式の一日で二人の心情を綴る…というおはなしかと思ったら、二人以外にも大学のゼミ仲間6人の男女の物語でした。

結婚前の者は結婚に憧れたり、結婚と仕事の選択に悩んだり…。
既に結婚している先輩・章太郎の存在が面白かった。
理香子と裕人の良きアドバイザーで、他のメンバーからも頼りにされている章太郎は子供にも恵まれ、夫婦円満…と思っていたら…
最終章の章太郎の妻・ゆかりの話もとても面白かった。
仲良しゼミメンバーに夫が慕われているのは嬉しいことがだ、なんだかずっと自分だけは違う…という疎外感を感じ続けていた…というのなんとなく解ります。
章太郎夫婦の間にあったなんとなくギクシャクした感じが解消できたラストはいい感じ。
昭和世代の私にはどうしても結婚式ってまだまだ親が絡むイメージが強くて、理香子と父の絡みが少なかったのはちょっと残念。
理香子らしい、今時のお嬢さんらしい、理香子らしい洗練されたお洒落な結婚式をプロデュースしている感じは伝わるのですが、やっぱりお父さんは寂しかったと思うよ。

2
4093862524左京区七夕通東入ル
小学館 2009-07-23

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【内容情報】(出版社情報より)
七月七日にわたしたちは出会った??。 
京都での学生生活も4年目。
主人公の花は思いがけないことをきっかけに、友人のアリサから合コンに誘われる。
三条木屋町の店にひとり遅れて現れた男子は、その場にそぐわない一風変わった雰囲気の持ち主だった。
名前は龍彦だという。
「たっくんて呼んでいい?」「いいよ」。
文学部で数学嫌いの花にとって、理学部数学科のたっくんは謎に満ちていて、また彼の暮らす学生寮の友人たちもどこかキテレツな理系男子で、花はこれまで経験しなかった不可思議でにぎやかなキャンパスライフを送ることになるのだが……。
いま注目の若手女性作家・瀧羽麻子が、京都を舞台にのびやかに描いた青春キャンパス・ラブストーリー。


京都が舞台の大学生の物語とくればモリミーを思い出してしまう。
さあ、女性作家がどう描くのかと楽しみに読み始める。
慌ただしい朝、真っ白なシャツに転がったブルーベリーのシミ。
女性なら解るな〜という物語の掴みはOK。
しかし、花にも数学科のたっくんにも同調できず、手が止まる。
花のバイト先のソレイユでの陽子さんとの会話シーンや、寮生たちとの飲み会、そして卒業旅行など面白く読める。
連載小説らしい山場がいくつも散りばめられている。
でも、華やかな彼女ともっさりの寮生たちに、彼女の友達だけでなく、私もしっくりいかない感じをもってしまう。
美園さんから知らされるたっくんの数学キチのレベルと花の過去の恋愛からは考えられないようなプラトニックな二人の感情も、大学4年生とは思えない。

読み終えてからふと気付く。
これは『ハチクロ』のような純な恋愛として読むべきだったのかも。
乙女の気持ちで読むピュアな恋ものがたりだったのか…。
美味しそうなスイーツ、おしゃれなバイト先、キャンパスライフ、剛からの思いがけない告白、アリサの恋。
若い女性層への連載小説としては、ほんわり優しい仕上がりだったのかな。

2
4048739557白雪堂
瀧羽 麻子
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
基礎化粧品ライン「シラツユ」が看板ブランドの中堅化粧品会社“白雪堂”。
技術力が高くてアットホームなこの会社に就職した峰村幸子。
しかし、不況の影響で売れ行きは先細る一方。
ブランドの若返りを図るプロジェクトに抜擢された彼女が提案した方策が情報漏洩!? 
しかし、企業スパイ疑惑やM&Aなど、峰村の行く手は前途多難で…!?
史上初!乙女系経済小説。

瀧羽さん初読み。
シラツユに出会ったことが転機となり、その後、ずっとシラツユを愛用し、白雪堂を愛した幸子が入社試験を突破し、マーケティング部に配属される、幸子自身はダメな新人と言うが、なかなかのエリートですよね。
自分の望んだ会社に入社でき、そこでやりたかった仕事を任されるなんて、ほんの一握りの人たち。
まあ、そういってしまうとお話はスタートできないのですが、彼氏と仲直りで観に行った映画のヒロインが探し求めていた新製品のイメージガールにぴったりとか、やや都合の良い展開もありますが、お仕事小説としては面白い。
仕事と恋の両立に悩む幸子の私生活部分は、ややありがちながらも、マーケティングという仕事そのものや、記念事業としての新製品に取り組む部分はサクサクと軽快に読み進む。
マダムが大切に育ててきた会社を窮屈と感じ卒業してい槇や成宮と幸子の対比も面白い。
白雪堂は、ついにM&Aという大波にのみこまれる。
槇も成宮も去った白雪堂に残った幸子のこれからが楽しみに思えるラストでした。
サクサクと軽く読めるが、やや物足りなさもあり。

瀧羽さんの『株式会社ネバーラ北関東支社』『うさぎパン』を読んでみたいと思う。

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