2015年12月

スペインの赤い色

あっという間にスペイン最後の日だ。そうなると、左脳は東京に戻ってからの月末。仕事の段取りを考え出す。待ったあー。スペイン、もしかしたら もう2度と人生で訪れることがないかもしれない国。最後まで楽しもう。ラジオから くるみ割り人形の金平糖の踊りの場面が流れる。
セラーノ通り、スペイン広場は、日曜日たくさんの人が繰り出している。レストラン、宝石屋、みやげ物店・・・・、大道芸人達。 “ワァ”っと 人を驚かせて、目の前の缶にコインを入れてもらう。
アルパカ
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身体に泥を塗った人形もどき
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移民が溢れ、人種が混ざり・・・、日本と違いハローワークや求人誌、親の仕事を継ぐというような、守られた環境ではなく、自分の力で新大陸に土地を探し根付くためには、何とかして仕事を作り出し生きていくためにお金を稼がなくてはいけない。
“ここは一番スリが多い所です。” バッグをしっかりガードする。 
“この2階の隅の窓際にヘミングウェイはいつも座って食事をしていました。” 

へミングウェイが眺めた窓。
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ヘミングウェイは、カリブ海を渡り、この地で小説を書き、ワインを飲み、そして子豚の丸焼きも食べたのかな。”
世界最古のレストラン。びっしりのお客様。トイレに行くのにテーブルの下をくぐらないといけないくらい。椅子と机と白いテーブルクロス、グラス、皿、ナイフ、フォーク、プレイト。3人のウェイターもプロだ。蝶ネクタイに白のシャツで皿を3枚、5枚器用に重ねテキパキ動く。
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マニュアルでは到底教えることができない。
筋肉と、オーダーの記憶をリズミカルにこなす。
私は学生の頃、ウェイターの仕事はアルバイト、パートで、短期で就く職種と考えていた。いや一生かけて一流のウェイターになり、世界一のチップを稼ぐ人も。目の前に繰り広げられる彼らの動きを見ていると、プロとはこういうことだと目を見張る。そして、朦朧とした頭のとくと私たちは、夜のフラメンコもこぎつけた!! スペイン人、ティピカルな人にはアラブの血が息づいている。キリスト教がスペインで広がる前にイスラム教が、そして彼らの労働の歌と音楽と踊りがこの地にあった。
ジプシーの葡萄を踏む力強い足。手は背中まで上へ下へ動き指先は魔法使いのように動く。首は肩から一瞬にしてくるくると回り、ピタッと止まる。フラメンコ、赤と黒と光と闇に繰り広げられ、かき鳴らされるギターの音。
“マドリードのあちこちで普通に彼らは踊ってますよ。その踊りの意味や歌を知ると もっと楽しめるでしょう。スペイン人でも歌詞をしっかり理解できる人は少ないです。シンガー、ギタリスト、ダンサーというように、階級もあるんです。彼らって 意外と 踊ること以外できないですよ。飛行機に乗ってもバッグを預けるっていうことも分からない。” HISのスペイン支店長が話してくれた。
今回は特別に私達家族のために、いろいろとエスコートしてくださった。ありがとう!!
日本からメガブルーバードの社長がこられると、各ホテルにワインと赤いバラのプレゼント。
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そして、もと陸上選手で、この地で30年、寿司と免税店を経営している社長も挨拶に来られた。
“日本には戻られますか?”
“いや、スペインに僕は根付きました。この地で一旗上げると決めた以上、この地が僕の新天地です。”
いろんな思いといろんな血がスペインに見えた。楽しい旅だった。
そう、血の赤い色も、この地を踏み、人と語らい、見えてくる複雑な赤だ。

マドリードへ

バルセロナからマドリードまで列車で移動した。renfeという日本の新幹線を小型にした7両編成。所要時間3時間。車内販売で、フランスパンにベーコンとチーズをトーストしたもと赤ワインを買う。暖かくパリッと香ばしい!! 列車は丘をすべるように走り、なかなか快適だ!!
以前フランスのニースへ移動した時も、列車を使った記憶がある。ヨーロッパの列車は気をつけないと、知らない間に動き出して、到着のアナウンスもほとんど聞き取れない。いたれりつくせりの日本のサービスとはとはま逆だ。日本は、“列車到着します。黄色い線までお下がりください。” とか うるさいくらいアナウンスがはいる、安全システム。
まるで子供相手の商売か、お客様は神様で、おもてなしのサービスがあたり前の国で生まれ育った私は、外国という文化の違い、中でもヨーロッパの大人社会に初めは戸惑った。自分から発信しないと、もちろん相手は何もやってくれない。かゆいところに手が届くサービスなどは外国からすると不思議過ぎる。けど、いいなあ。自分の思いをしっかり発信することは、私は何が食べたいのか、そのサービスが本当に欲しいのか、自分をしっかり知ることになる。ワインを選ぶ一つにしても、渋み、苦味、甘み、色、酸味、香り、自分の好きなものはしっかり自分と向き合って、周りに流されずに、とことん突き詰めていくことは、本当にパワーがいる。
コンビニに、ここが一番売れてますとか、行列ができているからおいしいんだろうとか、日本の生活は食事一つにしても、よくよく考えてみると、狭い枠に企業から囲いこまれて、飼い慣らされている羊の群れのサービス。外国では、自分の足で自分の目で自分の舌で、しっかり味わい選びとっていく積極的な力がいる。食べることにも多大なエネルギーを使う。だから朝昼晩の食事はしっかり何を食べたか記憶に残り、そして生きる一日を感じる。
さあ、今日はどちらに? 世界最古のレストラン、ヘミングウェイも通っていたお店。どんぐりを食べて育った子豚の丸焼きか!? フラメンコダンスを見ながらの食事とするか、悩むところだ。

ガウディの実証

12月25日、バルセロナの街は、見事なまでに店は閉まっている。アルマーニ、ザラ、ティファニー・・・、ブランド街。お金を使わずに、ウィンドゥショッピングができる!!
そして、ガウディのサグラダファミリア!!
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住宅や四角いビルの中に、不意に巨大な建物が現れる。クレーンも空にそびえ、今でも着々と建築が続いているのがうかがえる。
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スペインは国をあげてのお休みで観光名所以外は閉まっている。お蔭でゆったりと見学ができた。
誕生の門から入り、ステンドグラスに輝く教会の中、天井は空高く、見上げれば光を取り入れるための、まるい形と穴がまるで森の中の木洩れ日のように自然にやさしい明るさをかもし出す。
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万華鏡を覗いたような、色と光と形が刻々と映り換わる。陸のカメと海のカメが変化しないもの、そして誕生の門を支える。変化するものの象徴のカメレオンが横からいたずらに門を覗く。すごい。本当にすごかった。はるばるスペインを訪れ、サグラダファミリアの教会、ガウディに触れることができてよかった!! 教会の中では自然に感動の涙が流れた。
ガウディを知り、ガウディの壮大な建築を見て、あーその考えはそう言うことだった、と改めて理解できる。
人間にとって、素晴らしい右脳、右脳の中に、宇宙、銀河に繋がる魔法時間が隠されている。
いかに人工知能を駆使しようと、到達できない人間のパワー。 そこにアクセスする方法を知り得た人は、自分が生まれてきた意味を知ることができるだろう。
左脳は言語、理論の脳。自分を制御し周りとのバランスをとり、うまくやっていこうとするだろう。だけどそれだけでは人は幸せになれない。自分の右脳に刻まれた宝島のマップに船の羅針盤を合わせ、航海に出なければならない。
ガウディはそれに気付いた。天才だ!! 2026年、11年後、サグラダファミリアは完成する。生誕100年。18本の柱は完成し、重力と地球の引力を10年間かけて計算し、空間と外壁で支える、世界一巨大な教会は、その設計図がいかに正しかったかを、理論の証明を待たずに、実践で目の前に見せてくれるだろう。
左脳では、そんなことは絶対にあり得ないという考えを、現実に右脳、想像力が100年後の私たちの現代社会、未来に現れることになる。

25日朝 日本は?

飛行時間19時間。待ち合わせetc.を入れると25時間。ヨーロッパは遠い!! お昼の1時半、バルセロナ空港からホテル市内までは30分。12月24日クリスマスイブとあって、混雑はほとんどない。石造りの美しい街並みをバスは走り抜ける。トランジットのドーハ空港とバルセロナ空港はどちらも大きく美しく近代的だが、その活気と人の多さはまるで月と太陽だ。ドーハは黒い衣装に身を固めて、ご婦人達やアラビアのロレンス風のひげの男達、機内アナウンスはモハメド・・・とか頻繁に呼び出しがかかる。イスラムの人達とトランジェットの旅行者でごった返している。スペインはガラーンとして、初めて入国管理の審査はスルーだ!! 並ばなくてOK。ガラガラだ。よかった。経済は沈滞しているのか、妹が若者の失業率は50%、賃金も日本と比べて1/3〜2/3程度、仕事にもよるだろうが、月に150万もいかないとガイドの人と話していた。
ファストフード店も探しても遠い。太った人をほとんど見かけない。ホテルのテレビも英語放送は少ない。今はラジオからアベマリアの歌が流れている。教会チャンネル。早くも好きになり、はまってしまいそうな国だ。昼と夜は日本と逆転した。朝のブログタイム6時は、日本のお昼。動き出すお昼は、夜から夜中。隣りの部屋の長崎チームからプルルーと朝の連絡が、そして日本から深夜2時に、太田さんからの報告のメールが4本プルルンと私にも入る。
さあ、朝風呂でも入ろう。朝食まで1時間はある。夜明けは2時間後だ!!

付録

あー 刻々と夜が明けてくる。6時30分。インディゴブルーの街が広がっている。
“左脳がいない時の右脳は非常に前向きで望ましい精神状態にあります。”
“芸術への取り組みを妨害しようとする手ごわい邪魔者がいます。それが左脳です。あなたが描いている間、左脳は脇に押しやられ、仲間はずれにされます。その結果、左脳は描くべきではない理由を次から次へと持ち出してくるでしょう。スーパーへ行かなければ、金銭出納帳をまだつけてない、母に電話したっけ、そろそろ休暇の計画を立てる時期だ、オフィスから持ち帰ったあの仕事を片付けたほうがいい・・・・ と。
私たちの普段の生活はほとんどが左脳に支配されている。それって結構不幸なことだ。左脳は分析的で理論でき、まじめで、完ぺき主義で、心配性で、不安の種だ。 ワァー 息が詰まる。
左脳は言語脳、非常に頭がいい。現代の教育は左脳のトップクラスを優秀な人だと考えている。
そして右脳の時間と価値感を持つ人は幸せかも!?
ほっと我に返り自分自身と向きあい、我が身一つの幸せな感覚の時を持つことができる。
私が笑って健康で生きているのは、この右脳の時間があること。真っ暗な朝、一人素敵な音楽を聴き、鳥たちと語らいコーヒーを飲みブログを書く。
皆さんも右脳の時間を年末年始、ちょっと考えてみて下さい。
山に登って日の出を見る。ゆっくりお風呂につかってキュウリパックをする。黒豆をことこと煮ながら今年一年を振り返る。自分の大好きな時間をたくさん持って下さいネ。
すっかり夜が明けた。
今日も新しい一日が始まる。

行ってきまーす。
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