「国立新美術館で行われているカルティエの宝飾品の芸術側面を引きたてる新素材研究所。そこでは、古代や中世、近世に使われていた古い素材こそ最も新しいという理念のもと、旧素材や技法を現代に生かす挑戦を続けている。日本古来の自然と地球創生期に誕生した宝石とのコラボレーションは絶妙。持ち主ははかなく交代していくけれど、宝石は生き続けると思い知らされる。一方、カルティエのデザインの源泉が、世界各地にあることから、地球全体に創造力が及んでいく。エジプト、インド、中東、中国、日本など世界のあらゆる文明や文化、そして動植物にヒントを得たモチーフは、地球が豊饒(ほうじょう)で多様な美しさにあふれていることに気づかせてくれる。とりわけ、コブラ、キメラ、スカラベ、ワニ、といった不気味な生き物がモチーフになった宝飾品の、周囲をひれ伏させる迫力には鳥肌が立つ。畏怖をおぼえさせる強さがあるゆえに、時の権力者や世紀の美女がこうしたモチーフを身につけてきたのだ。二度と再現できることがない、かくもはかなく崇高な人間の偉業を見続けてきた宝石は、それゆえに一層価値があるのかもしれない。  展覧会 “時の結晶” 中野香織 」

ショウメからダミアーニに移った中山さんのお誘いに、時間の制約と雨の嵐で、ちょっと動けなかった。
まどかの誕生日祝いに、パリからオパールを取り寄せる段取りまで考えていただいたのに・・・・・。
私は年をとってから、宝石の輝きがますます大好きになった。石の持つ力と神秘のパワー。人間の好みは、三段階に変化すると聞いたことがある。一番目は動物、次が植物、そして最後が鉱物らしい。
ということは、初めは、男は女を女は男を求め、次は、花やら盆栽。そして最後に宝石または墓石に終わるっていう感じかなあ・・・・。
タイタニックのラストシーン。ブルーの大粒のダイヤを、船べりで青い青い海にかざしてみたおばあさんが、“あっ”と奇声を発した、と同時に、手からダイヤのネックレスは海にするりと落ちた。
そして深い深い海に吸い込まれていった。どんなにか、栄華を極めた人生であっても、宝石からすれば、あまりにもはかない、一瞬の輝きが、人の命。
それを、持ち主が変わり、次々とその終わりを見ていく永遠に生き続ける宝石。考えると、その輝きにも恐さがある。
ショウメが連れて行ってくれた、貸し切りでみたパリのモナ・リザの部屋。どこにいても、彼女のするどい視線が私をレーザービームのように追ってきた。
その目線に、捕まえられないように、一刻も早く抜け出したい気持だった。
そう考えれば、宝石や美しいものを手に入れるのも、ある戦いからの勝利。そして、もしそんなパワーに値する宝石を一人占めしようとすれば・・・・・。身近で語らうほど、自分の指に、首に、耳に、胸につければ、血は燃え上がり、沸騰し・・・・・。
鳥肌がたつ。新国立美術感、行かなくては!!