「米作家レイ・ブラドベリの小説 ‟何かが道をやってくる” に、世にも不思議なメリーゴーラウンドが出てくる。そのメリーゴーラウンドは逆回転する。音楽の伴奏も逆回転。そほど不思議でもないか。けれども、それに乗った者は時間をさかのぼることができる。‟逆行パレードが進むにつれて中年の男が青年になり、青年はさらにあれよあれよと言う間に少年へと若返ってゆくのである。” おそらく、それが現実に起きたのだろう。そんな空想をする。おととい閉園した練馬区の遊園地 ‟ としまえん ” 94年の長い歴史に幕を閉じた。流れるプール。世界で最も古いメリーゴーラウンドの一つ、‟ カルーセルエルドラド ” 花火大会。 気取りがなく親しみやすい遊園地だった。別れを惜しみ、大勢の人がやってきたのはやはり時間をさかのぼるためかもしれない。遠い昔にここへ連れてきてくれた親や、一緒に遊んだ友の声を聞いた人もいただろう。 ‟ もう一度だけ 動き出せ メリーゴーラウンド 目を覚ませ ” 筆洗 」

コロナにより新たな日常が始まり、どこもかしこもマスクなしでは動けない。
手袋にフェイスシールド、消毒。10時までの外出、リモートワーク、ソーシャルディスタンス、要請、自粛という真綿が、じわじわと人の動きをコントロールしてゆく。
歴史あるものが一つ一つと終わってゆく・・・・・。
逆回転するメリーゴーラウンドに乗り、せめて8カ月時をさかのぼれば、また元通りの世界に戻れるのになあ。