明け方リアルな夢をみた。実家を離れる日、大きな赤黒い黒檀のテーブル上で、お茶会となった。実家の父は、満州引き上げのあと、明治大学を出て学徒出陣の航空隊に配属され、あと一歩というところで命拾いし、実業家になった。ぼたんやの重役を務めあげ、悠々自適の生活を送っていた。そこに三男が事業に失敗し、着の身着のまま嫁と孫と犬と鳥をつれて転がり込んだ。のが私たち家族だった。私も仕事を始め、そろそろ独立ということになってのご挨拶。ここまでは実話。そしてここからは明け方の夢。テーブルの上にずらりと並んだお茶の道具。お別れのお茶会の席で、私は手のひらに入るかわいい蓋つきのお椀と盆を見つけた。
‟ワァーすてき、これゆずって下さいませんか” ‟ほしいナあー”
と、母に相談した。
‟まあ、これはすっごく高価なものよ” ‟あなたに買えるかしら。これだけでも40万はするし・・・・”
と、そこへ父が現れて、きらびやかな茶器をたくさん、金、銀、と輝く器をテーブルの上にズラリと並べ、みんな持ってゆきなさい!!と、上機嫌で私に持たせてくれた。
私は、すっごくうれしくて、‟大切にします。そして娘の代、孫の代と引継ぎ、このことを、私の父や母のことを、語り継いでゆきます” と言った場面でハッと目が覚めた。
なにか、良いことが、起こるような予感の夢だった!!

「独自デザイン 糸から
米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した黒澤明監督‟乱”では、主役から足軽まで約千四百点にも及ぶ衣装を全て糸を染めるところから作り上げたという。資金難で自宅を売る覚悟もして挑んだ仕事だった。‟無名だった私に、思い通りにやらせてくれました。編集段階のフィルムを見ながら監督が言った。『素敵だね』という一言が今でも忘れられません” 1990年代後半からは、中国での映画の仕事が増えた。‟宋家の三姉妹” ‟HERO” など、鮮やかな色彩が強烈な印象を残す作品も多い。‟日本の映画会社は主役の衣装だけ作ってほしいと言うところが多い。中国は全てを任せてくれる。世界を見据えている感じがします” 最後にお目にかかったのは3年前。‟先のことは考えない。今、いい仕事をすれば、それが次の仕事につながっていく。そう思ってずっとやってきた” ワダさんの言葉が今も胸に残っている。  
  共同通信編集委員 立花珠樹 ワダエミさん死去 衣装デザイナー 84歳 ‟乱”で米アカデミー賞 独自デザイン糸から  」