アルハンブラ宮殿の歴史が、たまたまテレビをつけると流れていた。
‟あーあそこあだ” スペインへ行った時に実際に見たあの美しい、石でつくられた、幾何学模様の・・・と少しずつ記憶のカケラが蘇る。
たしか、水路に特別なインフラが組まれていた。40℃近くまで上がる夏の気候をアルハンブラ宮殿はうまく水路と風と空気の流れを利用して、快適な状態を常に美しく保っていた なあ。
こうやって思いもかけず、昔旅行した記憶のカケラが戻り、今日一日をぐっすりと眠れた。
ただ、夜中にハッと目が覚めた。
白雪姫のような、ほっぺがピンクのあの娘の顔が笑顔が浮かんだ。なにかがトリガーとなって彼女は会社を辞める決心をしたようだ。
私は彼女と仕事をして楽しかった。優秀で手ごたえがある能力を持つ人だった。
なんとか、心を強く持って、もう一度いっしょに仕事をしたい。

「たち止まって いいんだよ
たち止まっていいんだよ
ふり返っていいんだよ
そこに美しいものを見たのなら
すわりこんで
ずうっと見ていていいんだよ  星野富弘 」

ラ・トミオカのみんなに何て説明したらいいんだろう。
それでも、お客様は次々に店に訪れる。
お腹も減るし、疲れて、また考えは止まり、うとうとと眠りだす。洗濯機を回し、シャワーを浴び、化粧をし、何事もなかったように、仕事を始めなければならない。
私に立止まることは許されない。
それでも、心の傷口は開いたまま、歩きだす。
そうやって、40年仕事を続けてきた。
私は仕事をやめることはできない。それは死を意味する。25歳で仕事を始めた時、主人の会社は倒産し、着の身着のまま、主人の実家の応接間に間借りして、生活を始めた。
食べていくため、生きていくために、お金が必要だった。
そして今でも、それは変わらない。家族はもっともっと大きくなり、もっともっと稼がなくてはならなくなった。
私に仕事を辞めるという選択肢は40年間一度もありえなかった。多分ずーっと!!
だから、おかげで、‟七転び八起き” 転んでも転んでも立ち上がって止まらずに歩きだす。
少し立ち止まって、そして、起き上がってほしい!! またいっしょに歩きだそう。