まず、映画の出来栄えとしてとしては私は色々とこうであって欲しかったとか、ここの人物の表現の仕方がちょっと甘いんじゃないかとか色々と異論や注文はあるのですが、一つの愛の形を取り上げた映画として、やはりちょっと触れておかなければと思っています。

この先、ネタバレ有りです。
これからこの映画をご覧になろうと思っている方はお読みにならないようにお願いいたします。

小池栄子さん演じるヒロインは、幼い頃から家族とも馴染みが薄く周囲の人からいわれのない蔑みの視線を感じながら、運の悪さって何だろうと思いながら生きてきた特異な孤独感をもった女性。

豊川悦司さん演じる一家惨殺凶悪殺人犯の彼もまた、家族が幼い時に離散していて父親の愛情や一家団欒という雰囲気を味わうことなく、人間関係の築き方をあまり学ぶ機会を与えられずに大きくなってしまった男性。

彼の逮捕の瞬間をテレビの報道番組で見て、その際に彼が浮かべた不敵な笑みで「 彼女は彼を理解した 」と感じてしまった。

そして彼のことが報じられている新聞、雑誌の類いを全て買い彼に関する情報をスクラップしていく。

彼の国選弁護人を演じるのは、仲村トオルさん。

彼に差し入れをしたいという不思議ちゃんの小池栄子さんを、最初はいぶかしんでいたのだけれども、彼女の彼に対する理解に自分がもち得ない洞察力と謎を感じ次第に彼女の言動に惹き付けられ倒錯していく。

やがて、獄中結婚。

以前関西で実際にあったある不幸な事件で死刑になったある男性と、今でも未解決のままの東京23区内で起きた一家惨殺事件を思い起こさせるので、ある種の不快感はある映画なのですが、、、

この女性の盲目的、狂信的な愛の形。
そして、それを受け入れることで情緒というものに初めて触れていく男性。

こういう結びつきをしていく男女は確かに多いのかもしれません。
そして、周囲からかけ離れている分、自分たちの世界を全うし易くまた絆も強固で一度結びついたら相手の存在と自分の存在を混同してしまって境界線を引くことができなくなってしまって、衝撃のラストシーンへと暴走していしまうというのは容易に想像はできるのですが、、、

こういう独りよがりの被害妄想の強い女の人、確かにいますよね。
自分は謂れのない蔑みを受けてきたって自分は思っているかもしれないけれど、実は謂れはある、それに気がつかないだけ鈍感で自己中心的で高慢なんだと私は思います。

弁護士が彼女の対して、「 どうして、そんなに攻撃的なんだ。まるで自分から孤独になろうとしているようじゃないか 」的な発言があるのですがまさにその通りだと思います。
相手・周囲を受け入れる能力が実は自分が低くいんだけど、そこに気がついていなくて周囲に対して「 私のことを分かってくれない 」って思っているタイプ。

見終わったあとの心地は非常に悪い映画です。
でも、人間っていうものの内面を探求してみたいと思える人にはおススメします。

小池栄子さんの演技はとても素晴らしいものでした。