韓国大手エンターテインメント関連企業CJ ENMが運営する音楽専門チャンネルMnetのオーディション番組『プロデュース101』シリーズの投票操作事件が芸能事務所全般に拡大する兆しを見せている。芸能事務所のうち、『プロデュース101』シリーズと関与していた6事務所が既に警察の家宅捜索を受けた。6事務所とも中堅・大手芸能事務所で、制作スタッフに対し酒席で接待した疑惑が持たれている。当初から「アイドル育成」を掲げている番組の特性上、マネジャーらとの癒着は避けられなかったという指摘もある。ある芸能事務所関係者は「Mnetはアイドルが多数出演する音楽番組を最も多く作っているので、絶対に嫌われてはいけない。『プロデュース101』シリーズに限らず、Mnetのプロデューサーの前では弱者でしかない」と語った。

■「『プロデュース101』シリーズは視聴率と収益の両方得る天才的フォーマット」

 警察は、芸能事務所によるプロデューサー接待だけでなく、CJ ENMというエンターテインメント企業と芸能事務所の癒着関係を視野に入れていると伝えられている。『プロデュース101』シリーズ投票操作疑惑は2002年、2008年に地上波テレビ局の音楽番組プロデューサーらが関与した「PRロビー事件」と似ているが、これらの事件がプロデューサー個人の不正事件だったのに対し、『プロデュース101』シリーズ問題はテレビ局と芸能事務所が「カネになるアイドル」を作り、収益を共有するため構造的に癒着した可能性が高いというのだ。

 放送業界関係者の間では、早くから『プロデュース101』シリーズについて「番組制作からアルバム発売まで全権を握っているテレビ局と芸能事務所が癒着するしかない構造だ」との指摘があった。『スーパースターK』や『K-POPスター』など、以前のオーディション番組は出演者のほとんどが一般人だったので芸能事務所が割り込む余地があまりなかったが、『プロデュース101』シリーズは芸能事務所に所属した練習生たちが出演してアイドルを10人ほど選ぶ最終選考段階まで競い合うフォーマットなので、各芸能事務所がカメラの裏で激しいロビー合戦を繰り広げなければならないシステムだということだ。放送業界関係者は「『プロデュース101』シリーズは『100%視聴者投票で選抜する』と公正さを掲げていたが、実際は投票に影響を与えるために『悪魔の編集』を積極的に利用した番組だった。投票結果に応じて、次の進出が決まるので、各芸能事務所としてはプロデューサーたちに縛られざるを得ない構造だった」と話す。ある芸能事務所関係者は「『プロデュース101』シリーズに所属タレントを出すこと自体、ロビー活動なしには不可能だった。脱落するにしても話題にはなるので、『プロデュース101』シーズン1が成功してからは(各芸能事務所では)先を争って出演させようとしていた」と語った。

■デビューしたグループの活動収益の50%持って行くCJ ENM

 『プロデュース101』シリーズは、テレビ局としては視聴率と制作費の両方を同時に解決してくれるフォーマットだった。視聴者を「国民プロデューサー」と呼んで参加するよう誘導し、選抜されたアイドルをデビューさせて1回の放送に数十億ウォン(数億円)かかる制作費に当てた。『プロデュース101』シリーズのフォーマットを作ったアン・ジュンヨン・プロデューサーは放送関係者の間で「天才」とまで言われていた。ある放送関係者は「プロデューサーの間では、100年経ってもこれ以上のフォーマットは出てこないだろうと言われるほど完ぺきな収益構造だった」と話す。


 事実、男性アイドルグループ「Wanna One」をデビューさせた『プロデュース101』シーズン2が大ヒットした後、Wanna OneとCJ ENMは年間純利益だけで440億ウォン(約42億円)を上げたという。当初、デビューしたグループの活動収益分配はCJ ENMが25%、グループの所属事務所が25%、歌手の個人事務所が50%という構造だった。このため、CJ ENMはWanna Oneの活動中盤から傘下の芸能事務所を作り、『プロデュース101』シリーズでデビューしたアイドルグループを直接管理してきた。シーズン3で誕生した韓日合同女性アイドルグループ「IZ*ONE」の所属事務所「Off the record」と、シーズン4で作られた男性アイドルグループ「X1」の所属事務所「SWINGエンターテインメント」は共にCJ ENM傘下の芸能事務所だ。このため、CJ ENMは『プロデュース101』シリーズ出身のアイドルグループ収益の50%を確保することになった。

 あるオーディション番組を作っている中堅プロデューサーは「プロデューサー1人が酒席で接待してもらったからと言って、複数の芸能事務所が後押ししてくれるとういのは話にならない。テレビ局が仕事をしやすい芸能事務所とビジネスパートナーになろうと、方便を使ってでも該当の芸能事務所に所属する練習生をデビューさせた可能性が高い」と言った。テレビ局と芸能事務所がパートナーとして仕事をする巨大なビジネスモデルになった『プロデュース101』シリーズは癒着の誘惑を内在させていたということだ。

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