大腸癌

2019年07月31日

便秘

 便秘とは便を十分に快適に出せない状態のことで、胃腸の病気では最も悩んでいる方が多いと言われています。しかし、便秘でお悩みの方の多くは市販の下剤を飲んで出していたり、あるいは便秘と自覚のないままに生活している方も多いと思われます。

市販の便秘薬の殆どは腸の蠕動運動を刺激して排便を促すので、飲むとお腹が痛くなることも多く、また段々効果が薄れていくために飲む量が増えていく傾向にあります。何十年も飲み続けると大腸が空気の抜けた風船のように弾力性を失い、腸内に大量の便が有りながら少しづつしか排便できないとても困った状態になります。
 
便秘は習慣性なので、悪いサイクルを断ち切ること、腸内の環境を良くすることが必要です。そのような生活習慣の改善で改善しない場合は、薬での治療を考えます。最近2〜3年間に新しい全く異なったメカニズムで効く薬剤が出てきました。長期に続けても副作用は少ないと考えられます。

便秘でお困りの方は一度ご相談ください。
 中年以降では便秘に大腸癌が隠れている場合もありますので、一度は大腸内視鏡検査を受けられることをお勧めします。新聞などで便秘について述べられている先生の中には全く大腸検査などしていない方も残念ながらいます。ちょっと困ったものですね。


2012年03月12日

増え続ける大腸癌

大腸癌が増え続けています。2015年には罹患数(大腸癌になる人数)は胃癌を抜いてトップになると予測されています。なぜ大腸癌が増えるのか?は、日本人の食生活の欧米化に関係があります。脂肪や動物性たんぱく質の多い食品を取り過ぎると、それらが分解される過程で発癌性のある物質ができます。また、食物繊維の少ない食品で便秘になれば、この発癌性物質が腸の粘膜に接触する時間が長くなり、大腸癌ができやすくなります。
では、食物繊維が豊富な食品を食べていれば大腸癌になり難いのか?残念ながら、理屈通りにはいかないようです。2005年「野菜や果物をたくさん食べても大腸癌になる危険性は変わらない」、2007年には「便通が2〜3日に1回の便秘がちな人も大腸癌になる危険性は高まらない」との研究結果を厚労省が発表しました。食物繊維の多い食品に大腸癌の予防効果を期待するのは無理なようです。一般的に何かを食べたり飲んだりすることによって癌を予防するのは不可能と考えた方が良いでしょう。それより、大腸癌で死なないためには便潜血反応による大腸癌検診を受ける方が余程効果的です。
我が国の5大癌といえば胃癌・大腸癌・肺癌・肝臓癌・乳癌ですが、胃癌はピロリ菌感染者の減少、肺癌は喫煙者の減少、肝臓癌はC型肝炎感染者の減少で将来的に減ると考えられていますが、大腸癌に関しては減少する要素がありません。大腸癌は早期発見可能な癌であり、早期発見すれば死亡に至る事は極めて稀です。是非、検診を受けて下さい。

順天堂大学下部消化管外科冨木裕一准教授の論文を基にしています。

2011年03月03日

下血したら

胃や腸から出血して、血液が肛門から出てくる状態を「下血」と言います。(厳密には粘血便などを分けて考えるのですが、ここでは肛門から血液が出る事を下血としましょう。)口から肛門までのどこから出血しても下血しますが、口から胃までの間からの出血では相当な量が出ないと下血(この場合はタール様の便)を自覚しません。また、大腸の肛門近く(S字状結腸、直腸)からは少量の出血でも鮮血が出ます。
多くの方が「下血」で来院され、ご自身は痔からの出血ではないかと思われています。確かに痔(いぼ痔=痔核)は下血の主な原因の一つですが、怖いのは痔核からの出血だと思っていたら、大腸の病気であったということです。最も怖いのは大腸癌ですが、それ以外にも潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患という病気もあります。まだがんの危険年齢ではない、20〜40代の比較的若い世代でもかかります。潰瘍性大腸炎やクローン病は難病に指定されており、長い経過をとりますが、きちんとした治療を受ければ、上手くコントロールできるようになりました。
下血で来院された患者さんを検査すると、思わぬ病気を発見することはままあります。下血を見たら、大腸検査は絶対必要と言えます。


当院について
渡辺医院
胃腸科/内科/皮膚科/消化器科
当院では風邪から高血圧、高脂血症(高コレステロール血症)、糖尿病までの一般内科診療はもちろんですが、特に消化器病(胃腸の病気)の診療に力を入れています
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