潰瘍性大腸炎
2011年03月03日
下血したら
胃や腸から出血して、血液が肛門から出てくる状態を「下血」と言います。(厳密には粘血便などを分けて考えるのですが、ここでは肛門から血液が出る事を下血としましょう。)口から肛門までのどこから出血しても下血しますが、口から胃までの間からの出血では相当な量が出ないと下血(この場合はタール様の便)を自覚しません。また、大腸の肛門近く(S字状結腸、直腸)からは少量の出血でも鮮血が出ます。
多くの方が「下血」で来院され、ご自身は痔からの出血ではないかと思われています。確かに痔(いぼ痔=痔核)は下血の主な原因の一つですが、怖いのは痔核からの出血だと思っていたら、大腸の病気であったということです。最も怖いのは大腸癌ですが、それ以外にも潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患という病気もあります。まだがんの危険年齢ではない、20〜40代の比較的若い世代でもかかります。潰瘍性大腸炎やクローン病は難病に指定されており、長い経過をとりますが、きちんとした治療を受ければ、上手くコントロールできるようになりました。
下血で来院された患者さんを検査すると、思わぬ病気を発見することはままあります。下血を見たら、大腸検査は絶対必要と言えます。