鶴丸先生

2010年08月04日

食道癌の検査について

桑田佳祐氏の食道癌報道以来、当院にも検査に関するご質問や依頼が寄せられているので、少し説明いたします。

まず、食道の精密検査で最も有力なのは、現在のところ内視鏡検査つまり胃カメラです。バリウムを飲む食道・胃のレントゲン検査は、簡単に言えば粘膜の凹凸を見ているので、色の変化しか来さない早期の病変を見つけることは殆ど不可能です。
NHKのTV番組「ためしてガッテン」で、食道の早期癌を見つけるためには内視鏡検査の時に食道にヨード液を散布しなければ分からないと述べたために、その問い合わせもあるのですが、確かにヨード液は大変有効です。しかし、ヨード液を食道全部に散布されると胸に焼けるような痛みを感じて大変つらいものです。

私は順天堂大学の食道・胃外科出身で、ここは全国で1〜2番目に多くの食道癌を手術している施設です。前教授の鶴丸先生(現順天堂がん治療センター長)は手術の技術や医学的知識は本当に尊敬できる先生です。鶴丸先生は我々医局員に、一瞬たりとも内視鏡のモニター画面から眼を離さず(瞬きもせず)、全神経を集中して検査にあたれと厳しく(人格は穏やかな先生です)叩き込んで下さいました。一番大事なのは、このように早期の病変はどのように見えるかを熟知し、見逃さない眼力です。そして怪しいと思われる部位に、ヨード液をかけるなどのステップを踏めばいいのです。

「ためしてガッテン」では、某医師が「多くの検査に携わる医師が食道は胃への通過点だと考えている」と述べましたが、これ程鶴丸先生をがっかりさせる発言は無いでしょうね。



2010年03月10日

上手な手術・検査とは

あの先生は器用で手術が上手いとか、検査が上手いとか言いますね。天性の才能が無いと手術や検査は上手くなれないのでしょうか?
外科志望の医学生から「外科医は器用でないとなれませんか?」とよく質問を受けます。外科の教授達は「字が普通に書ければ大丈夫。後は努力。」と答えていました。
私の恩師で食道外科の大家である鶴丸昌彦先生は、器用に要領良く手術を行うというより、じっくりと一切の手抜きなく神経を張り巡らせた手術をなさいます。食道の手術は消化器外科の中でも特に難しく、長時間に及びます。8時間以上に及ぶ手術を最初から最後まで緊張感を持って行うのは、当然とはいえハードです。それがほぼ毎日ですから、超人的ともいえるでしょう。鶴丸先生が名外科医であるのは、生来の器用さよりもこの素晴らしい精神力が理由だと思います。その精神力の源は癌を治そうという情熱です。そして、優れた手術のためにいろいろ工夫をされ、技術を磨くべく大変な努力を怠りません。
先生の手術をはじめとする診療を見ていると、生まれついての天分ではなく、日々の努力が重要であるという当たり前の事実を強く認識します。
自分で手術や検査の上手さを誇る先生もTVでよくお見かけしますが、本当のスーパードクターは違います。
私は手術をすることはもうありませんが、鶴丸先生を見習って、毎日の内視鏡の検査は緊張感を持って、患者さんにやさしく楽にと心がけています。

当院について
渡辺医院
胃腸科/内科/皮膚科/消化器科
当院では風邪から高血圧、高脂血症(高コレステロール血症)、糖尿病までの一般内科診療はもちろんですが、特に消化器病(胃腸の病気)の診療に力を入れています
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