Ando - Undo. blog

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地中海ではアフロディーテが泡から産まれ、下関では平家一門は泡に還った。きみどり荘へ来てすぐのとき、熱海のかりんとうを持ち部屋の人に挨拶にまわった。警戒心を解くため、また妙な期待(色気)をかけてはいくないからと、スッピン眼鏡ジャージスタイルは徹底すべきである。生まれたままに近い状態ではあるが。

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数年前熱海でのデートをおもいださせもした。始めてのデートに熱海にいくと相手とは疎遠になるというジンクスに納得した夏だったわけだ。相手の顔や詳細はうまくおもいだせないが、あの時見た海岸沿いのしぶきや渦やゴォという音やワンピースが身体に巻きついてくる感じは鮮明におもいだせた。きみどり荘は台風の風に応えてガタガタとおとをたてていた。

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海の塊からの海水ごとまるのみによって海にまつわる気分がふくらんだ。うっかり沖にながされて必死で泳ぎ着いたり、素潜りで得る命がけの収穫行為など水の中の実務的なこと、干からびたワカメや海牛の様子など焼き付いた映像のようなものではあった。また台風が近づいていることも無花果の回想に拍車をかける。ワインに氷をいれた。

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岩牡蠣には檸檬、オリーブ油、薬味などいらない。牡蠣の白いとろみのまとまりはそれだけで香しく、海から揚げらた時からそれとともにしていた海水の塩分で完成されている、と確信していた。牡蠣の身の端っこを口にしてひっぱりだしかみきれるわけもなく海水ごと丸のみすることになる。
ふと、お正月に見かける飲む餅の際限のなさをおもいだしたがそういう丸のみ感とはちがった。

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無花果は品定めをするように表面をながめ、ナイフを貝の隙間に埋め込み上辺に沿わせ手前に動かし開く。パンクな漬け物石のような貝の表面は海のサバイバルの中で海藻や石やら貝殻やらジャリジャリと固まっている。
海水浴で岩場で擦りむいて傷口をよく洗わずにした男が数日高熱にうなされやがて傷口はパンパンにはれあがり切開すると骨にびっしり貝のが生育していたと、「怖い話」をおぼえていた。
無花果は、油断はできなかった。

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部屋にはいり日没前の部屋の匂いを確認した。ニカワと絵の具と昨日焼いたタルトが混ざっているが四方に窓があるため、こもることがなかった。白ワインをあけてしまう。岩牡蠣の香りを嗅いだ。海の塊が部屋の空気をかえた。

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近所には流行りのものがそろう店から、職人気質の店までありなんでも手に入りそうな立地でもある。
夕方まえに買い物にでかけ、隣町の駅前の魚屋の岩牡蠣や、かどの酒屋で選んだ白ワインを抱えて部屋のドアをあける。ドアをあけるとき粘着テープをはがすような音がする。

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ふじが丘の街路樹を通り抜け、無添加食堂を通り過ぎ琵琶教室の脇を左に折れたら、きみどり荘にでる。無花果は、年数の経ったひっそりとした漆喰に岩肌のタイルが埋めこまれた外壁と、シンプルな内装を気に入って物件を決めた。また土手つきのベランダには度々猫がくることも彼女を高揚させた。

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オレンジをたくさんいただいたのでつくりたくなりました。
残留農薬をとるために皮を水に一晩浸け、茹でこぼして、塩でもんで塩でゆでるという過程をへて砂糖水で煮ることができます。
というレシピで作りました。
乾かしている間にカビがはえてしまったので、梅雨時期をさけてお作り下さい。というか乾燥にはおきをつけください。

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いこじになって損してるのかっこわるいよ、とおやじに唄う。ストロベリータイム。

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