不動産の登記簿には、登記の原因が記載されています。
分かりやすく言い換えると、「登記の理由と目的」が記載されています。
身近なもので言えば、「何月何日に、AさんからBさんに相続された」場合、
登記の目的は「所有権移転」、登記の原因は「相続」という形になります。

一般的な登記の原因は「売買」や「相続」が多くありますが、
古くは「家督相続」もありました。
現在ではこの「家督相続」はなじみがなく、古い制度のためこの原因による
登記はないと思う方も多いと思いますが、全くなくなっているわけではありません。

理由は、
①相続登記は義務ではないこと。
②家督相続制度は昭和22年の民放改正で廃止されたが、
  廃止以前については遡って適用することができる。
③①の理由により、②の制度廃止以前に相続されていた不動産の登記が
  なされておらず、相続登記をする場合、家督相続を原因とした登記が
  可能であること。
となります。

家督相続と法定相続の大きな違いは、
家督相続 ・・・ 戸籍上の「戸主」の死亡,隠居などによって開始し,通常長男1人が戸主の地位および
          全遺産を相続すること。
法定相続 ・・・ 年齢や性別を問わず、長男以外の配偶者やほかの子供にも均等に相続すること。
となります。
(私は次男ですので、家督相続制度の下では相続できないことになります。)

過去に遡って相続登記を行う場合に、家督相続制度を利用することによって、遺産分割協議等を経ず
長男に相続登記を行うことが可能になるため、現在でもこの「家督相続」を原因とした相続登記が
行われることになります。

今の法定相続制度は、平等に相続することを前提としていますが、それでも遺産を巡る争いは
無くなりません。家督相続制度より平等だと感じますが、なおさら相続に関しては親族間で
良く話し合わないと、トラブルになりかねないと感じます。