不動産コンサルタントのつぶやき

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カテゴリ: オリンピック

昨夜(3月24日夜)、安部首相とIOCのバッハ会長は、東京五輪・パラリンピック
(以下「東京五輪等」といいます。)を1年程度延期することで合意し、事実上延期が決定しました。
そこで、色々な意見が出る前に、不動産という視点で、東京五輪等延期の影響を少し考えてみました。

以前から、東京五輪等終了後の不動産価格下落が懸念されていたからか、
それとも営業トークなのか、根拠は不明ですが“不動産価格のピークが継続する”と
前向きに捉えている人がいましたが、私は、むしろ悲観的です。
東京五輪等の特需を最も見込んでいたのは、インバウンド消費で潤っていた業種と推測され、
その多くは、既に新型コロナウィルスの影響により大きな打撃を受けており、
東京五輪等の延期が致命傷となる恐れがあると考えています。
例えば、東京都内のホテルの場合、東京五輪等開催期間の宿泊料金は、通常より高めに設定されているにも
関わらず、既に予約で多くの客室が埋まっている状態であり、東京五輪等を機に、何とか業績を回復させたい
と考えていたと思います。
しかし、本日以降、キャンセルが相次ぎ、そのほとんどは、キャンセル料が発生しないと推測しています。
ホテルとしては、キャンセルとなった客室を新たな予約で埋める必要がありますが、
現状下において、新たな予約を取ることは困難であり、上手く予約が取れたとしても、
その宿泊料金は、キャンセル前の料金を大きく下回る恐れがあります。
つまり、新型コロナウィルスの感染が終息し、客室稼働率が回復するまでは、体力勝負となるため、
体力(財務力)が劣り、1年が待てないホテルが現れてくると考えております。
これは、東京都内のホテルに限ったことではなく、また、ホテルに限ったことでもないと思います。
前記の通り、近年の不動産価格上昇を牽引してきたインバウンド消費関連業種の業績が悪化した場合、
その程度は分かりませんが、かなり高い確率で不動産価格は、下落すると考えています。
(事業用賃貸物件の賃料も下落すると考えています。)

なお、東京五輪等の現時点での延期決定については、賢明な判断であると考えています。

開催前は、ジカ熱や治安等が懸念されたリオオリンピックですが、
いざ始まってみると、連日の熱戦であっという間に終わってしまったような印象です。
もしかしたら“リオオリンピックロス”に苦しんでいる人もいるかもしれません。

何かとお騒がせなオリンピックでしたが、リオから学ぶ点もありました。

“負の遺産(レガシー)”と表現されることがあるように、
オリンピックは開催都市に厄介な建物を残すと言われています。
1998年の長野冬季オリンピックでは、スピードスケート会場の「エムウェーブ」、
アイスホッケー会場の「ビックハット」、フィギュアスケート会場の「ホワイトリング」など、
オリンピック開催を機に、多くの競技施設が新設されましたが、その後利用の状況は、
当初計画を下回り、多額の施設維持費の負担が重く圧し掛かっているようです。

オリンピックを開催したほぼ全ての都市が、長野のような問題を抱えている原因は、
オリンピックのために建設した施設の規模にあると言われています。
つまり、平時の利用には規模が大き過ぎるため、下記の様な悪循環を招いているのです。
多額の施設維持費 → 高額な施設利用料 → 低い利用頻度

2012年のロンドンでは、容易に解体できる建造物がいくつか建設されましたが、
リオでは更に進化し、移転や改造、異なる目的への利用可能な建造物が建設され、
リオデジャネイロの市長は“遊牧民のような建築”と呼んだそうです。

上記を可能にさせるのはプレハブ工法であり、ハンドボール会場が解体後、
500人規模の小学校4校の材料になったり、国際放送センターが高校の寮に
なったりする予定のようです。

計画の実現には、技術に加え費用的な問題も影響するものと思われ、
建築の専門知識がない私には、その実現の可能性を予測することは困難ですが、
リオの柔軟な発想は、評価に値するものであると考えております。

4年後の開催地である東京では、リオ以上に進化し、その後のオリンピックの手本となるような
建造物が建設されることを期待しています。

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