ドイツ対イタリア プレビューギリシャと化したフランス

2006年07月06日

気持ちか運か、采配か

準決勝、ドイツ対イタリア、0−2(延長)

イタリアがPK直前の決勝ゴール。
ドイツには運を呼び込む気持ち、
その気持ちを奮い立たせる采配がなかった。

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 予想通りの拮抗した試合だった。
このままPKかと思われた延長後半13分に、
イタリアがCKからの流れで決勝点を奪っての辛勝だった。

 ただ冷静に数字を見てみると、予想以上に差がついている。
シュート数こそ13対15だが、枠内シュートだと2対10。
CKも4対12で、支配率も43対57になっている。
どちらもポゼッションサッカーを志向していたわけではないし、
かといってカウンター一辺倒だったわけでもない。
だから支配率の差はかなりの部分この試合の流れを反映していると思う。
決定機が多かったのもイタリアで、彼らの勝利は順当だと言えるだろう。

◆ドイツ

 この試合、フリングスの代わりにケールを入れ、
シュバインシュタイガーを下げてボロウスキを入れてきた。
不調だったシュバインシュタイガーを下げた判断は正しかったし、
ケールも予想以上によく頑張っていたと思う。

 特に前半の問題は、ピルロを自由にしすぎたことだった。
ケールがトッティ対策に追われていたため、
中央ではバラックがピルロとガットゥーゾを相手にする事に。
トッティやピルロにDF裏を狙われるパターンが多かった。
FWの一方がもっとピルロをケアすべきだった。

 ピルロが潰される可能性が高いと予想していたのだが
今から思うとこの考えは間違えていたと思う。
トッティがやや下がり目にくるためCHの一方が対応することになるし、
そうなればもう一方のCHがピルロとガットゥーゾを相手にする事になる。
イタリアのSBが攻撃的なのでSHが中に絞ることも難しい。
本来なら運動量の多いポドルスキに対応させるべきだが、
クリンスマンがそういう指示をするとは考えにくい。

 ラインを高く保てていればトッティにもDFが対応できるため、
CHがピルロをしっかりチェックすることも出来た。
しかし、ドイツは前半こそラインを高めにしていたのだが、
中盤のプレスが甘いのかDF裏を狙われる場面が多かっため、
途中からラインを深めに設定せざるを得なくなっていた。
そのため、トッティにDFが対応することは難しかった。

 後半は大分押し返していたのだが、
そこから試合を決めることができなかった。
シュバインシュタイガーの交代は最悪だった。
悪くもなく疲れてもいないボロウスキを下げる理由がない。
ノイビルの投入も遅すぎた感が否めない。
後半途中からクローゼがバテバテだっただけに、
クリンスマンの判断の悪さが目に付いた。

 こうしてみると、やはり全体的に力不足だった。
期待されたポドルスキは最後まで活躍できなかった。
ラームとクローゼの活躍はあったものの、
「バラックひとり」から脱却することはできなかった。
そのバラックが負傷でコンディションが万全でなく、
試合を決めることの出来る選手がいなくなっていた。

 アルゼンチンとの激闘で選手に疲労もたまっていた。
ラームやクローゼのプレーにいいところが少なかった。
しょうがない部分もあるが、クリンスマンの采配に疑問も残る。

 選手の方にも勝ちに行こうとする姿勢が見えなかったし、
クリンスマンも交代でその姿勢を引き出すことができなかった。
アルゼンチン戦にPKで勝ったことがマイナスだったのかもしれない。
運で負けたのか、気持ちで負けたのか、実力で負けたのか。
なかなか難しいところではあるけれど。

◆イタリア

 なんとか勝ったイタリアだが、
延長後半の決勝点では計算通りとは言えないだろう。
あのままPKに入っていた可能性も高かったし、
そうなれば基本的には五分五分だったのだから。

 この試合、序盤から高い位置からもプレスにいけていたし、
特に前半はイタリアのペースだったと思う。
ただ、特にペロッタとSBはオーバーペースだったのか、
後半から彼らの運動量が落ちてドイツに押し返されてしまった。

 その他を見ても決して万全だったわけではない。
トーニはドイツのDF相手に苦戦していたし、
負傷上がりのカモラネージも本来のプレーをできなかった。
前半は好調だったトッティも徐々に調子を落としていった。
やはりまだ完調というわけではないようだ。

 また、セットプレーにも工夫がなかった。
最後にはCKから得点をモノにしたのだが、
ほとんどをレーマンにやすやすとキャッチされてしまった。
ショートコーナーやニアを狙うこともほとんどなかった。

 システムを見ると、予想通り4−4−2を採用してきた
ドイツ対策としてはこれが有効だと思われたが、
その問題がこの試合で露呈していたと思う。
問題とは、そもそもこのシステムを準備してこなかったことだ。
メンバーを見てもらえれば分かるが、
デ・ロッシの出場停止もあってMFの数が足りていない。

 だから負傷上がりのカモラネージを使わざるを得なかったし、
SHの交代はFW登録のイアキンタとデルピエロになった。
ドイツのSBが疲れていたことが幸いしたのだが、
ここを突かれてサイドから攻撃される恐れもあった。
やはり、リッピはこの試合の采配はともかく、
長期的なチーム作りに成功したとは言えないだろう。

・ドイツのスタメン

クローゼ11、ポドルスキ20
ボロウスキ18、(C)バラック13、ケール5、シュナイダー19
ラーム16、メツェルダー21、メルテザッカー17、フリードリヒ3
レーマン1

控え
GK カーン12、ヒルデブラント23
DF フート4、ノボトニー6
MF シュバインシュタイガー7、フリンクス8、ヒツルシュペルガー15、オドンコル22
FW ハンケ9、ノイビル10、アサモア14
監督 クリンスマン

 フリングスは出場停止。

・イタリアのスタメン

トーニ9
トッティ10
ペロッタ20、ガットゥーゾ8、ピルロ21、カモラネージ16
グロッソ3、マテラッツィ23、(C)カンナバーロ5、ザンブロッタ19
ブッフォン1

控え
GK ペルッツィ12、アメリア14
DF ザッカルド2、バルツァッリ6、ネスタ13、オッド22
MF デ・ロッシ4、バローネ17
FW デルピエロ7、ジラルディーノ11、イアキンタ15、インザーギ18
監督 リッピ

 デ・ロッシは出場停止。

◆試合展開

 予想通り中盤のプレスの激しい試合。
お互いにチャンスも作っていて互角の展開。
ドイツはやはりクロスからチャンスを作り、
イタリアはドイツのDF裏を狙っているし、
右サイドから仕掛けてFKをもらっている。

 20分頃からイタリアペースになってくる。
ピルロへのチェックが甘いし、ガットゥーゾにも配給されている。
いい形でサイドで持たれるので、ファウルやCKが増えている。

 30分頃からドイツが盛り返してきた。
特にお互いにプレーを変えたわけではないのだが、
イタリアがややペースを落としてきたようだ。
ドイツのDFラインも安定し裏をとられなくなってきた。

 後半の立ち上がり、お互いに決定的なチャンスを迎える。
試合は徐々にドイツペースになってきた。
クローゼがドリブルで仕掛ける場面が増えてきたし、
全体的に押し込む場面も多くなってきている。
イタリアはトッティがケールにマークに付かれて働けないし、
SBの上がりやペロッタの動きがなくなってきた。
ただ、ドイツも最後のプレーの精度が低くて決定的な場面はない。

 ドイツは27分にシュバインシュタイガー、
37分にオドンコルを投入してサイドを狙ってくる。
しかし、シュバインシュタイガーは相変わらず不調。
オドンコルもいい形でボールを持てず、
試合は均衡したまま0−0で後半終了。

 延長戦の立ち上がり、イタリアは立て続けに決定機を迎える。
イアキンタを投入した右サイドからの攻撃が活性化。
しかし、全体的な運動量で優るドイツに押し戻される。
イタリアは13分にペロッタとデルピエロを交代。

 延長後半に入ると、さすがに中盤が空いてくる。
お互いに決定機を迎えるが決められない。
ドイツは残り10分でとうとうノイビルを投入。
しかし、イタリアが13分にグロッソがゴール。
その直後にはカウンターからデルピエロがゴール。
0−2でイタリアが勝利した。

meitei2005 at 00:54│Comments(0)TrackBack(0) ドイツ・ワールドカップ 

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