2008年08月14日
反町ジャパン総括(1):その背景
オランダ戦の話と総括的な話は別にしようかとも思ったのですが、
取り立ててこの試合について書くこともないので、
ここで長期的な観点からまとめてしまおうと思います。
取り立ててこの試合について書くこともないので、
ここで長期的な観点からまとめてしまおうと思います。
◆五輪に対する熱意の減退
まず今回の五輪代表は従来と異なり
協会・世論のフォローが薄かったことが大きな特徴だった(*)
ドイツWCの惨敗でA代表人気も低落したが、
日本代表の成長神話に陰りが見られる中で、
それに引きずられるように五輪代表への熱意も冷めてきたようだ。
まずOA枠を使わなかったことが論外。
この世代で最強といわれているオランダですら
バベル・マカーイという世界的ビッグネームを揃えてきたのに、
格下の日本が補強なしで勝てると思う方がどうかしている。
協会のやる気のなさはOA以外にも選手招集・マッチメークにも現れていて、
06年12月のアジア大会での1チーム1人召集、
07年8月のプレ五輪でのオールスター優先、
その他にも親善試合の相手が東アジアばかりで、
強豪とやれたのはトゥーロンと直前のアルゼンチンぐらい。
アジア相手に泥試合をしてもレベルアップが望めないのは自明だった。
アテネ世代がスイス、ドイツ、ロシア、トルコなど欧州各国の他、
地味なところでもA代表と試合をしていたのとは対照的だ。
(*)この点についてはケット・シーさんがまとめてくれている
◆ユース世代での失敗
五輪代表のベースになるはずだったのは05年ワールドユース(WY)組。
しかし、声だけ立派な迷将大熊監督に率いられたチームはボロボロだった。
アジア・ユースではカタール相手にPK戦でからくもWY出場権を得るも、
準決勝では韓国相手に平山の高さで追いつくが内容では完敗。
WYでは2分1敗ながら謎のレギュレーションでGLを突破したものの、
決勝トーナメント1回戦でモロッコにあっさり破れている。
初戦のオランダ戦でクィンシーにぶっちぎられたのは御記憶の方も多いだろう。
第2戦の相手はペナンと聞いたことのない名前だが、
こんな相手にも水野のFKでなんとか追いつくという展開だった。
当時は平山の高さだけがウリという終わったチームで、
あとは家長・水野のドリブルでなんとか、という状態だった。
このあたりは初期の反町ジャパンと印象が重なる部分も多い。
◆理想と現実の狭間で
こんなチームを引き継いだ反町ジャパンは06年8月に初戦の中国戦を迎えている。
その後は温い親善試合を挟みながら、
06年12月のアジア大会、
07年2月から6月までのアジア2次予選、
07年8月から11月までのアジア最終予選、
今年に入ってからの2月の米国遠征、
5月のトゥーロンと日程をこなしてきた。
この2年を振り返ってみると、その変化の激しさが印象的だ。
単純に選手を見てみると、初戦の中国戦で最後の18人に残ったのは
西川・梶山・本田圭祐・本田拓也・豊田の5人だけだし、
西川・豊田は負傷などで離脱している期間も長かった。
最後は中心メンバーとして活躍した谷口もしばらく使われなかったし、
最終予選までスタメンだった青山直晃・伊野波・水野も外れてしまった。
若い選手は好不調の波が激しいし、急激に成長する選手もいる。
だから選手が入れ替わったこと自体は問題ではない。
しかしサッカーの質やプレースタイルが不明確に見えたことは
反町監督への信頼感を失わせていくことになった。
この点についても、この世代特有の問題の他に、
オシム監督下で目指すべきサッカーの内容と
現実に結果を出さなければならないことの葛藤や、
そもそも時間の制約が大きいという問題もあった。
しかし、このことは選手起用に歪みを生じさせ、
それが最終的には反町ジャパンの致命傷となる。
続く
まず今回の五輪代表は従来と異なり
協会・世論のフォローが薄かったことが大きな特徴だった(*)
ドイツWCの惨敗でA代表人気も低落したが、
日本代表の成長神話に陰りが見られる中で、
それに引きずられるように五輪代表への熱意も冷めてきたようだ。
まずOA枠を使わなかったことが論外。
この世代で最強といわれているオランダですら
バベル・マカーイという世界的ビッグネームを揃えてきたのに、
格下の日本が補強なしで勝てると思う方がどうかしている。
協会のやる気のなさはOA以外にも選手招集・マッチメークにも現れていて、
06年12月のアジア大会での1チーム1人召集、
07年8月のプレ五輪でのオールスター優先、
その他にも親善試合の相手が東アジアばかりで、
強豪とやれたのはトゥーロンと直前のアルゼンチンぐらい。
アジア相手に泥試合をしてもレベルアップが望めないのは自明だった。
アテネ世代がスイス、ドイツ、ロシア、トルコなど欧州各国の他、
地味なところでもA代表と試合をしていたのとは対照的だ。
(*)この点についてはケット・シーさんがまとめてくれている
◆ユース世代での失敗
五輪代表のベースになるはずだったのは05年ワールドユース(WY)組。
しかし、声だけ立派な迷将大熊監督に率いられたチームはボロボロだった。
アジア・ユースではカタール相手にPK戦でからくもWY出場権を得るも、
準決勝では韓国相手に平山の高さで追いつくが内容では完敗。
WYでは2分1敗ながら謎のレギュレーションでGLを突破したものの、
決勝トーナメント1回戦でモロッコにあっさり破れている。
初戦のオランダ戦でクィンシーにぶっちぎられたのは御記憶の方も多いだろう。
第2戦の相手はペナンと聞いたことのない名前だが、
こんな相手にも水野のFKでなんとか追いつくという展開だった。
当時は平山の高さだけがウリという終わったチームで、
あとは家長・水野のドリブルでなんとか、という状態だった。
このあたりは初期の反町ジャパンと印象が重なる部分も多い。
◆理想と現実の狭間で
こんなチームを引き継いだ反町ジャパンは06年8月に初戦の中国戦を迎えている。
その後は温い親善試合を挟みながら、
06年12月のアジア大会、
07年2月から6月までのアジア2次予選、
07年8月から11月までのアジア最終予選、
今年に入ってからの2月の米国遠征、
5月のトゥーロンと日程をこなしてきた。
この2年を振り返ってみると、その変化の激しさが印象的だ。
単純に選手を見てみると、初戦の中国戦で最後の18人に残ったのは
西川・梶山・本田圭祐・本田拓也・豊田の5人だけだし、
西川・豊田は負傷などで離脱している期間も長かった。
最後は中心メンバーとして活躍した谷口もしばらく使われなかったし、
最終予選までスタメンだった青山直晃・伊野波・水野も外れてしまった。
若い選手は好不調の波が激しいし、急激に成長する選手もいる。
だから選手が入れ替わったこと自体は問題ではない。
しかしサッカーの質やプレースタイルが不明確に見えたことは
反町監督への信頼感を失わせていくことになった。
この点についても、この世代特有の問題の他に、
オシム監督下で目指すべきサッカーの内容と
現実に結果を出さなければならないことの葛藤や、
そもそも時間の制約が大きいという問題もあった。
しかし、このことは選手起用に歪みを生じさせ、
それが最終的には反町ジャパンの致命傷となる。
続く
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この記事へのコメント
1. Posted by てつ 2008年08月14日 15:17
確かに反町は前任者やA代表のこうせつよりはマシかもしれませんなぁ!
ただ自分的には『心』優先とか言い出したあたり、前任者の『人間力』と被る気がして嫌な予感がしてました…
ほんだけ〜は最後までほんだけ〜でしたなぁ(苦笑)ボールではなく脳細胞が無回転になってしまったやないでしょうか!?
まぁこの世代は最後まで皆に愛されなかった気の毒な面はあると思います。少なくとも彼らから数人はA代表に行くとなると…これからの日本のサッカー界に明るい未来は望めません。
ただ自分的には『心』優先とか言い出したあたり、前任者の『人間力』と被る気がして嫌な予感がしてました…
ほんだけ〜は最後までほんだけ〜でしたなぁ(苦笑)ボールではなく脳細胞が無回転になってしまったやないでしょうか!?
まぁこの世代は最後まで皆に愛されなかった気の毒な面はあると思います。少なくとも彼らから数人はA代表に行くとなると…これからの日本のサッカー界に明るい未来は望めません。
2. Posted by 酩酊 2008年08月15日 15:37
サッカーという競技において闘争心が重要なのは当然なので、
その部分も含めて選手を評価するということ自体は普通のことなんですが、
特に日本ではその他の部分の問題を隠すために
精神性を持ち出されることが多いのは事実ですよね。
人間力の場合がまさにそれで、チーム構成が破綻する中で
典型的な日本の駄目な指導者のパターンに陥っていました。
反町監督の場合は、「戦える選手をそろえた」とか言っておきながら、
梶山みたいな最も戦えなさそうな選手を起用したり、
ここでも一貫性がないように見えてしまったわけですが。
もちろん精神性も選手を評価する基準の一部でしかないわけで、
そこで劣る(と思われる)選手を起用するのも当然なんですが、
やっぱりマスコミ向けには分かりやすい言い方になるんですよね…
かと言ってオシムみたいな言い回しは誰にも許されているわけではないし…
「頭が無回転」それ頂きます(笑)
そんな酷くて鋭い悪口、よく思いつきますね(笑)
特にオランダ戦ではカラ回りしてましたね。
まあ、彼の場合は起用法の問題も大きかったと思います。
頭の悪い選手ならタスクを限定してやるべきなのに、
その選手があれこれ考えなければならない使い方をしてしまった。
足の遅い選手に速く走れ、と言う様なものだと思います。
その部分も含めて選手を評価するということ自体は普通のことなんですが、
特に日本ではその他の部分の問題を隠すために
精神性を持ち出されることが多いのは事実ですよね。
人間力の場合がまさにそれで、チーム構成が破綻する中で
典型的な日本の駄目な指導者のパターンに陥っていました。
反町監督の場合は、「戦える選手をそろえた」とか言っておきながら、
梶山みたいな最も戦えなさそうな選手を起用したり、
ここでも一貫性がないように見えてしまったわけですが。
もちろん精神性も選手を評価する基準の一部でしかないわけで、
そこで劣る(と思われる)選手を起用するのも当然なんですが、
やっぱりマスコミ向けには分かりやすい言い方になるんですよね…
かと言ってオシムみたいな言い回しは誰にも許されているわけではないし…
「頭が無回転」それ頂きます(笑)
そんな酷くて鋭い悪口、よく思いつきますね(笑)
特にオランダ戦ではカラ回りしてましたね。
まあ、彼の場合は起用法の問題も大きかったと思います。
頭の悪い選手ならタスクを限定してやるべきなのに、
その選手があれこれ考えなければならない使い方をしてしまった。
足の遅い選手に速く走れ、と言う様なものだと思います。