2008年08月15日

反町ジャパン総括(2):The "Best" is not enough.

◆選手層に空いた大穴
◆右SHの皮肉
◆長期的な失敗

◆選手層に空いた大穴

 紆余曲折を経て、最終的に残った18人は下記のようなものだった。

GK:西川、山本
DF:吉田、水本、長友、森重、内田、安田
MF:細貝、本田圭祐、梶山、谷口、香川、本田拓也
FW:豊田、岡崎、森本、李

 まず良かったほうから振り返ってみよう。

 DFとボランチはそれなりに通用していた。
3試合で4失点してしまったが、
ナイジェリア戦のは2つとも前がかりになったところのカウンターだし、
オランダ戦のPKも不運なものだった。
森重・水本のCBが相手のFWに負ける場面はなかったし、SBはまんまA代表。
本田拓也や細貝もそれなりに守れていた。

 もう1つの驚きは谷口。
Jリーグでも得点を取っていて、その能力は衆知のものだったが、
トップ下というポジションでも機能していた。
高さと強さを備えているためハイボールを入れることができたし、
想像以上に運動量が多く攻守に貢献していた。

 本大会で明らかになった問題点は、SHが足りない、ということだった(*)
特に谷口をトップ下に使うのであれば1枠しかないはずのFWを4人も招集。
このため、実際上、本田圭祐は代えの効かない選手になってしまった。
ここが穴だということは事前に誰もが分かっていたこと
C・ロナウド、ロナウジーニョやメッシとまでは言わないまでも、
中村俊輔ぐらいの技術があれば穴を埋め合わせるメリットも大きいわけだが、
本田の場合はデメリットばかりでメリットがない、唯の穴になってしまった。

 香川に関しても、このタイプは好不調の波が大きく、
ピッチとの相性もあって、この大会ではハズレを引いてしまったようだ。

 FWが多かったのは、最後まで軸になる選手がいなかったからだろう。
本来なら平山のはずだったのだが、どうにも使い物にならなかった。
ここが弱いのは日本の宿命でこのチームに限ったことではない。
Jリーグでも結果を出しているFWの大半は外国人選手だ。

 こうしてみると、遠藤と大久保がいれば、とは誰しもが思うところ。
右SHに遠藤がいれば、もう少しパスワークもマシになったはずだし、
この大会で全く見られなかった大きなサイドチェンジも可能になったはず。
そうすれば、SBの攻撃参加では右ばかり目立つことになったが、
左ももう少し機能したのではないかと思う。
またFWに大久保がいれば前線でのオプションも増えただろう。
遠藤は病気だから仕方がないが、大久保の件は協会の怠慢が批判されるべきだろう。

(*)勘違いしていたが、梶山をSHに使う、というオプションはなかったようだ


◆右SHの皮肉

 FWはともかく、SH、あるいは攻撃的MFが足りない、というのは皮肉な話だ。
なぜなら、このポジションこそ日本が強みを持ってきた部分で、
中田・小野・中村・松井など海外に移籍した多くの選手も攻撃的MFだった。

 この点に関しても、選手選考の失敗という側面は確かにある。
特に今年に入って急速に台頭してきた香川に頼りきってしまったことは、
梅崎という有力な代替案があるだけに"事後的"には失敗だった。

 しかし、左SHの選考は単純に賭けに負けたというだけだ。
香川クジが当たればこの賭けのリスクは表面化しなかっただろうし、
ここで1枠削ったことはFWを増やせたというメリットもあった。
この1枠が使われたのが豊田か岡崎かは分からないが、
豊田だとしたら彼は1点とったわけで、メリットもあったことになる。

 一方、右SH、本田圭祐に関してはメリットは皆無だった。
しかし、このポジションに関しては、遠藤以外に、代替案がなかったのが実情だ。
梶山は本田と大差なく、柏木は今年になって負傷していて起用できず、
水野は戦術理解度が低すぎて話にならないし、試合に出れていない。
そういえば家長という人もいたが、彼も大怪我をしている。

 OA枠で遠藤以外を使うことはできなかった。
なぜなら、A代表にも名前を連ねる経験のあるビッグネームは、
ビッグネームだけに海外に移籍してしまっていたからだ。
Jリーガーすらまともに招集できない協会が、
海外組を五輪に出場させられるわけもない。


◆長期的な失敗

 つまり、右SHは遠藤を選べなかった時点でどうしようもなかったわけだ(*)
だから反町監督の選手選考は、"あの時点ではベストに近い"と評価していた
しかし"短期的なベスト"では日本は世界と戦うことができない。
この点こそ反町監督の最大の失敗だった。

 彼は"長期的に"SH・攻撃的MFの選考に失敗し続けていた。
当ブログでは何度も本田圭祐・水野・家長らの不要論を書いてきた
彼らは一見派手な技術を備えているためマスコミ露出度が高いが、
チームへの貢献度が低いし、強い相手には彼らの技術は通用しない。

 このことはアジア最終予選のレベルで既に明らかになっていて、
セットプレーでしか得点が取れなくなっていた。
アジア相手には日本の高さも通用するが、
世界ではそれが通らないのもドイツWCの苦い教訓の1つである。

 一発がある選手というのは、監督にとって麻薬のようなものである。
きちんとしたチームを作らなくても、それなりの結果が出てしまうことがある。
しかし、それは対戦相手のレベルが上がるほど確率が下がる一方、
デメリットは確実に大きくなっていく。
だが、反町監督はなかなかその悪習から抜け出すことができなかった。

 この結果、本来出番を与えられるべき選手が割を食ったことになる。
今から考えると、それが誰だったのかは分からない。
しかし、このことでSHの選手層は確実に薄くなってしまい、
そこに遠藤や柏木の不運が重なると修正不能な事態に陥ってしまった。

 同様の事はFWについても言える。
反町監督は米国遠征まで平山を引っ張ってしまった。
確かにアジア2次予選までは平山の高さというゴリ押しも通用したが、
最後には使えないという判断をするしかなかった。

 平山の場合は本人のモチベーションの問題も大きく、
各世代代表に招集されることが彼の甘えにつながっていた。
五輪代表に呼ばれなくなった後、城福監督がFC東京に就任したこともあり、
平山のパフォーマンスが向上したことを考えると、
早目に彼に厳しい姿勢を見せることが必要だった。

 対照的なのがその他のポジションで、
そこでは比較的まともな選手選考が行われていた。
そのため、多少の問題をクリアできる体制が整っていた。
CBは青山や伊野波が控えているし、SBは森重や田中もいる。
ボランチでは攻撃的な選手では青山や上田、
守備的な方でも谷口を使うことも可能だった。

(*)遠藤が駄目な時点で小笠原や中村憲剛に切り替える手もあった。
   しかし、あの協会がそういう準備をしていたとは思えない。

meitei2005 at 15:52│Comments(2)TrackBack(0)北京五輪 

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この記事へのコメント

1. Posted by ペン太郎   2008年08月15日 21:02
 結局非オランに賭けたんでしょうけど、思いっきり外れた挙句、造反までされて踏んだり蹴ったりと言ったところでしょうかね。私は本田だったらまだ動けるしセットプレーの確実性から言って水野だったと思いますがね。あくまで本田だったらですけど。
 それにしても結果的にいろんな影響があって本格的なチーム作りの時間が足りなかったから、攻撃の部分まで手が回らなかった感じです。その辺が中間管理職の限界なんですかね。
2. Posted by 酩酊   2008年08月15日 21:24
非オランに賭けたというより、嫌々という感じでしょうかね。
だから遠藤をあそこに欲しがったんだと思いますが。
造反の件もそうですが、非オランの増長・勘違いは目に余りますな。
次の契約先も決まってないようですが、
是非とも見返してもらいたいものです(棒読み)

まだ水野の方が、というのは分かりますが、
彼の場合は絶望的に内田との相性が悪かったので…
確かにセットプレーのキッカーがいないのも問題でしたね。
まあ、そもそもFKそんなにとれませんでしたけど…
人数が多ければ切り札的に、内田がバテた後半の後半限定とかもありえましたが。

「中間管理職」というのは、まさに言い得て妙で。
ケット・シーさんも書いてましたが、
「日本人監督」というのは、そういう点でも微妙ですね。
OA問題が致命傷だっただけに。
ただ時間があってもこのメンバーだと、
攻撃面はどのみち厳しかったかもしれませんが…







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