反町ジャパン総括(2):The "Best" is not enough.反町ジャパン総括(4):日本の守備

2008年08月16日

反町ジャパン総括(3):非現実的な期待の現実的な背景

◆監督への過剰な期待
◆非現実的な期待の現実的な背景

◆監督への過剰な期待

 五輪代表に関するネットの議論を見て最も印象的なのは、
反町監督に対する批判が非常に大きいということだ。

 しかし反町監督はそんなに酷かったのだろうか? 私はそうは思わない。

 上でも書いたように、攻撃的なポジションについて彼は失敗したと思う。
しかし、これは多くの監督が陥りがちなことだし、
派手な選手を好む世論を全く無視することもできない。
水野に関しては、オシムもA代表に呼んでいたことからも分かるように、
彼の「再教育」は日本全体の課題でもあった。

 その他のポジションについての選考は上出来だった。
長友や本田拓也を発掘したし(既に本田は大学のスターだったが)
今年に入ってから森重・吉田をCBで起用できた。
U20世代の組み込みもスムーズだったし、
谷口をトップ下で使うというアイディアも見せた。

 得点力に難があると思えば、セットプレーを工夫してきた。
アメリカ戦で森重が失敗したプレーは完成度が高く、
あれが決まっていれば大会の流れも大分違っただろう。

 確かに彼は完璧とは言い難かったし欠点もあった。
アメリカ戦でのゲームプランは、もう少し慎重であるべきだった。
本田という穴があったとはいえ、日本の強味が守備力にあったのは自明で、
だったらしっかり守って神経戦に持ち込むべきだった。
またピッチコンディションへの想定も甘かったと言わざるを得ず、
特にこれで香川の機能性が落ちてしまったことは致命的だった。

 しかし、客観的に考えれば協会の協力体制やこの世代特有の問題、
またオシム時代にはA代表との連携など難しい問題も抱えていた。
そもそも五輪代表監督は若手・中堅の登竜門的性格が強く、
そこに完璧な監督を期待する方が、どだい間違っている。

 五輪代表監督に著名な外国人監督を招聘するわけにもいかないし、
協会にそういった意思はないだろう。
トルシエのような例を別にすれば日本人を起用するしかないわけで、
日本人の範囲の中で考えれば反町監督は決して悪い部類ではない。
大体、世界的に見ても優秀な監督というのはかなり限られている。

 そうした状況の中で、反町監督をはっきり上回る人物を期待できるのだろうか?
世界的な名将であるオシムですら文句を言う人がいるくらいなのだが、
これは単なる無いものねだりでしかないように思える。
C・ロナウドやメッシがいれば日本は強くなる、という人もいるが、
そんな非現実的な話をしても始まらないのと同様、
モリーニョやヒディングを期待するのも間違っている。


◆非現実的な期待の現実的な背景

 しかし、こうした監督への過剰な期待には理由がある。
それは日本人の特徴である組織力を生かすには
監督への依存度が高くなる、という点である。

 欧州のクラブや世界の強豪国を見てみれば、
もちろん一部には理論家と呼ばれる優れた監督がいるが、
そうではない人も多いし、むしろ理論派が少数派であることが分かる。
結果を残している監督でも、ベンゲルのような"目利き"や
サー・アレックスのような"カリスマ"の方が多い。
これは戦術のフォーマットがある程度用意されていて、
それに合わせた選手育成が行われていることもあり、
戦術よりも選手のモチベーションを保つ方が重要なことが多い。

 だが、これは選手の役割分担が比較的明確で、
それに応じた選手を用意できていることが前提になる。
もちろん何も考えなくても良いというわけではなく、
細かな微調整は常に繰り返さなくてはならないが、
そこに大仰な理論や戦術の枠組は不必要だ。

 しかし、日本では事情が全く異なる。
"日本化"が課題だということから分かるように、
日本はまだそのプレースタイルを模索している段階だ。
また、組織力を生かすためにも選手の特性は無視できない。
選手特性に応じた組織作りをしないと組織力が生かせないし、
逆に言えばカスタマイズする余地が大きい。
このため、理論家監督というオタク向けと言えるだろう。

 だから、日本で成功を収めたチームというのは概してマニアックだ。
N・ボックスの磐田、フラット3のトルシエ・ジャパン、
そしてオシムが率いた千葉と日本代表もそうだろう。
理論派監督に率いられてこそ、始めて日本の組織力というのは陽の目を見る。

 結局、日本の課題は優秀な監督をどれだけ育成できるか、
あるいは連れてくることができるか、という点にかかっている。
しかし、Jリーグでは外国人FWに依存する部分が大きいだけに、
監督育成の環境としては望ましいとは言えないのが現状だ。
この矛盾を解決するにはどうすれば良いのだろうか。

meitei2005 at 23:09│Comments(6)TrackBack(0) 北京五輪 

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この記事へのコメント

1. Posted by J   2008年08月17日 15:48
4 確かに外国から監督を呼ぶべきだと思う
でも今回の五輪は今後の日本代表に果たしてプラスになったのだろうか
新しい代表候補の発掘、有望な若手の成長
今回選ばれた選手の中で何人代表に定着できるのだろうか
果たして人材の人選に問題はなかったのだろうか
サッカーの場合五輪は結果を求めるものではなく、アジアでの勝ち方を学び、世界との距離を確認する大会ではないのか
納得のいかない反町ジャパンだった
2. Posted by 酩酊   2008年08月17日 18:48
現実問題として五輪代表に著名な外国人監督を呼ぶことは難しい。
ただ、本文でも書いたように、若手監督の登竜門としてはありなので、
将来の日本代表監督まで継続的な契約という形ならば、
若手の野心的な人がやってくれるかもしれません。
そういう意味ではシャムスカあたりが狙い目かな、と。

A代表への人材共有という面では、今回の五輪も悪くはなかったかと。
内田・長友あたりは既にA代表でスタメンをとりつつありますし、
西川・森重・水本・本田拓也・谷口・香川あたりは次代の担い手でしょう。

五輪の位置づけは国や時代によって異なります。
日本にとっての意義は難しいところですね。
そこが中途半端になったのが最大の問題だ、
というのは大体の人が認めるところではないでしょうか。






3. Posted by メッシよりテベス   2008年08月18日 01:28
5 激しく同意です。

4. Posted by 酩酊   2008年08月18日 04:50
ありがとうございます。







5. Posted by カイト   2008年08月18日 09:12
5 一発勝負には負けましたけど、10試合やればアメリカには勝ち越せると思うんですけどね。
森重と谷口はもっと評価されるべき。
6. Posted by 酩酊   2008年08月18日 18:53
勝ち越すとは思うんですが、
3勝5分2敗とか引き分けがかなり多くなりそう(笑)

森重と谷口のことはごもっともで。
それを短い期間で組み込んだ反町監督の手腕も悪くないかな、と。
まあ、谷口はもともと評判が良かったわけですが。









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