反町ジャパン総括(3):非現実的な期待の現実的な背景反町ジャパン総括(5):日本化のゆくえ

2008年08月20日

反町ジャパン総括(4):日本の守備

A代表の方は景気の悪そうな話になってますね(笑)
まあ、そこそこ本気のウルグアイにお試しメンバーの日本では勝てないのは当然でしょうが。
でもヨーロッパでプレーしてる選手が多いウルグアイにとって今の時期はオフ明けでも、
Jリーガー中心の日本代表はシーズン真っ盛りという有利さもあったはずですが…
まあ、きちんと試合見てみないことには何にも言えませんけど。

ちなみに、もう1つ反町ジャパン総括、という名の、いつものグダグダ話を書いた後、
ウルグアイ戦については週末・次週頭になる予定です。
もし書くことがあれば、ですが。


◆守備構築の成功

 反町ジャパンの攻撃がグダグダだったのは衆目の一致するところだが、
反面、構築に成功していた守備については言及されることが少ない。

 まずはアトさんがまとめてくれている北京五輪直前の9試合を見てみよう
この9試合はトゥーロンの5試合と五輪本選直前の真剣な強化試合が組まれたことで、
反町ジャパンでは従来ありえなかった強豪との試合が行われている。

 その結果は3勝4分2敗、8得点8失点(PK戦は引分換算)
これらの相手に勝ち越していることも凄いが、
9試合で8失点という守備力の高さにも驚かされる(*)
これだけ得失点が少なくロースコアゲームをやっていれば、
引き分けが増えてくるのは当然だろう。

 こうした前提があったため、五輪直前の文章で、
「反町ジャパンは守備力を生かして守りを固め神経性に持ち込むべき」と書いておいた。
しかし、反町監督は欲を出して米国相手に勝ちにいってしまったため、
裏を突かれて失点し破れてしまった。
米国に敗れたため、ナイジェリア戦は勝たなければいけない試合になり、
前に出て裏を取られるという失態を繰り返すことになった。

 対戦相手も若いということもあり、しっかり守りに入っていれば、
相手のミスから得点を奪って1−0で勝つこともありえたはずだ。
実際、米国戦ではPKになってもおかしくない豊田のプレーがあったし、
ナイジェリア戦ではGKのミスキックから得点を奪えている。

 本田圭祐という大穴が開いていたことは事実だ。
しかし、対戦相手に強力な左SBがいなかったこともあり、
本田というハンデを背負ってでも守りに入った方が成算があったはずだ。
もちろん、選手選考・起用の時点で本田を外せば全く問題はない。
反町監督は、自らのチームの最大の特徴を生かすことができなかった。

 この点が今大会の最も悔やまれるところだ。
もし、反町監督が(いろんな意味で)腹をくくって守りにいって、
それで3引き分けできたとしたら、例えGLを敗退しても収穫になったと思う。
今回の対戦相手の調子からすれば守りきれた可能性は高かったと思うが、
もし守りきれなかったら、それはそれで重要な情報になったはずだ。
しかし、現実には中途半端に攻めに行って失点したのだから
守備力が高かったと言っても負け犬の遠吠えだ。
方向性がはっきりしなかったことで、
今回も貴重な経験をし損ねてしまうことになった。


(*)その半面で8得点しか取れておらず、攻撃面での問題も明らかだが


◆日本の守備力

 反町ジャパンの守備は堅かった。
しかし、それがどれだけ反町監督の手腕によるのかは疑問もある。

 まず、守備陣の個々の能力が高い。
前期の反町ジャパンでは、平山・本田圭祐・家長・水野・梶山と
まともな守備を期待できない面子が揃って出場していた。
しかしアジア2次予選あたりのレベルとはいえ守備が破綻しなかったのは、
青山・水本・伊野波・本田拓也らがしっかり守っていたからだ。

 4バックに移行してからも、
SBでは長友・内田は運動量でサイドでの攻守を担っていたし、
田中・森重はCBもこなせる高い守備力を見せていた。
CBでは森重・吉田はJリーグでもスタメンを張っているし、
ボランチでは細貝がきっちりやれていた。

 もちろん、ここにFW・トップ下の守備力を加えたのは反町監督の采配だ。
李はその運動量と機動力で適切なプレスを行い、
谷口も運動量と当たりの強さを見せていた。
しかし、FWに守備力を求めるのは現代では常識で、
トルシエは鈴木を起用したし、オシムも巻を重用した。

 ここから分かることは、きちんとした守備力のある選手を揃えれば、
日本の守備は世界に通用するのではないか、ということだ。
特にボランチ・CHに2枚守備的な選手を並べ、
CBに高さのある選手を起用したときの守備力は高い。
トルシエ時代は稲本・戸田が鉄壁の守備を見せていたし、
オシム時代でも07年8月のカメルーン戦ではボランチを阿部・鈴木にして、
守る時間が長かったにもかかわらず完封している。

 ついでに言うと、これと対照的なのがジーコ時代で、
CBに貧弱な宮本、ボランチに中田・福西という
今から思えば卒倒しそうな布陣でWCを戦い、
案の定、3試合で7失点と守備が崩壊している。
唯一無失点に抑えたクロアチア戦でも宮本がPKをとられている。


◆ぷち・かてなちお

 日本の守備力はどうして高いのだろうか。
もちろん運動量の多さや日本人の真面目さも大きな要素だろうが、
もう1つの大きな要因はJリーグの構造だと思う。

 近年、Jリーグで得点王争いをするのは外国人FW、
特にブラジル人ばかりという状況が続いている。
もちろん、彼らは欧州で活躍する超一流FWには至らない。
しかし本国ブラジルに比べれば給料が良いのは間違いないため、
Jリーグは南米・中東に匹敵するFWのレベルの高いリーグとなっている。

 こうした状況の中、Jリーグで勝つためには、
良い外国人・ブラジル人FWを連れくることが必須だが、
同時に対戦相手の強力FWを抑えることも必要になってくる。
外国人枠は主に攻撃的なところに使っているので、
必然的に日本人中心で守備力を上げなくてはならなくなる。
これが現状の日本の守備力強化につながっている。

 ちなみに、レベルの絶対値は違うが、この構造はセリエAに似ている。
卵が先か鶏が先か、はてまたかわいい雛さんが先かは分からないが、
セリエAではイタリア人による強固な守備陣と、
それを打ち破りうる超強力な個人能力を持った外国人FWが多い。
両者の競争の中で、イタリアはカテナチオに磨きをかけてきた。

 日本では、一時のイタリアのように、
7人で守って3人で攻めるといった極端な戦術は少ない。
しかし、結局試合を決めるのはブラジル人、という環境の中で、
日本の守備は、個人としても組織としても、
それに応じて鍛えられてきたのだった。

meitei2005 at 18:11│Comments(4)TrackBack(0) 北京五輪 

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この記事へのコメント

1. Posted by カイト   2008年08月20日 23:41
>>ボランチに中田・福西という
>>今から思えば卒倒しそうな布陣

ジーコ時代は小野・遠藤のダブルボランチとかもありました(笑)
2. Posted by 酩酊   2008年08月21日 01:02
うーん、そんな組み合わせもありましたか(笑)

そういう意味では最初期の"黄金の中盤"のダブルボランチ、
小野・稲本(当時の)というのは悪くはないんですよね。
いかんせん、DF起用があまりに回顧主義的で駄目でしたが…

アルゼンチン戦の大敗を受けて名良橋・秋田・森岡らが代表から下ろされましたが、
代わって起用されたのが宮本で…
あの頃は松田が情緒不安定だったり、坪井のポカ癖が直らなかったりと、
やっぱりCBの層も薄かったのは事実ですかね。
まあ、探せばそれなりのがいたとは思うんですが。

最終的には"現実的な"3バックになったりもしたんですが、
宮本だったり、運動量の少ないボランチってのがネックで。
やっぱり勤勉なボランチのプレス、というのは日本の生命線なんでしょうねぇ。






3. Posted by タカク   2008年08月21日 21:59
プッチ・カテナチオは同意なんですが、いかんせんビエリもトーニもトッティもいないというところが辛いところですな。笑

しかし、森重と水本が破綻なく普通にやれたってのは普通にすごい。まあ、その前の本田拓とか細貝もがんばってましたが。
4. Posted by 酩酊   2008年08月21日 22:50
いやいや「ぷち・かてなちお」です。
ひらがなとカタカナで全然違いますよ。

何が違うって?

そりゃ、ぷち・かてなちお、の方がかわいいじゃないですか!!(細貝)萌系ですよ!!


…以上は幻聴です…

前目のタレントが…というのは、その通りなんですが、
FWはともかく日本にも一応、海外に移籍できる攻撃的MFはいるんですよね。
問題があるとすれば、やっぱりその高い能力が
ぷち・かてなちおと整合的ではないってことでしょうね。
俊輔にしても小野にしても運動量や守備力が低いから肝心の守備に穴をあけるし、
「司令塔」だから周りがパスコースを作るために上がらないといけない。
その点、全盛期の中田はボール奪取能力も高かったですし、
自分で点を取ることもできたから使いやすかったわけですけど。
ドリブラー枠の松井などの整合性はどうでしょうか?

森重・水本・本田拓也・細貝あたりはJリーグでもやれてますからね。
五輪前に偶然、五輪予選の試合を見直す機会があったんですが、
水本はかなりこのチームに思い入れがあったようですね。
問題になった京都への移籍も、怪しいマネジメント会社の話を別にすると、
本人の五輪への思いの強さがさせたことなのかな、と。
水本ほどの選手がそこまで思い入れるほどのチームだったとは思えませんが…

なんか、アテネの時もそうでしたが、
行かなかった・選ばれなかった方が勝ち組、的なのは不健全ですよね。
W青山・柏木・伊野波あたりは内心どう思っているのやら。







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