Jリーグ09

2009年11月03日

ナビスコ決勝

FC東京対川崎フロンターレ、2−0



・東京のスタメン

平山、赤嶺
羽生、梶山、米本、鈴木
徳永、今野、ブルーノ、椋原
権田

控え:塩田、藤山、佐原、平松、長友、中村、近藤


・川崎のスタメン

チョン、ジュニーニョ
レナチーニョ、谷口、横山、憲剛
村上、伊藤、菊池、森
川島

控え:杉山、寺田、井川、山岸、田坂、登里、黒津


◆試合内容

 変な緊張感や手段を選ばない汚いプレーがなく、
カップ戦の決勝らしい集中力の高い良い試合だった。

 勝負の綾は、序盤の川崎の決定機をジュニーニョが外したところと、
その後の米本の無回転シュートを川島が止められなかったこと。
東京の控えを見てみると、石川の負傷とカボレの移籍で、
攻撃的な選手が近藤ぐらいしかいないため、
先制されると、川崎のカウンターもあって、相当苦しい。
一方で、守備的な駒は揃っていたため、
先制できれば容易な展開になるのは見えていた。

 事情は川崎も似たようなもので、
東京より大分マシとはいえ攻撃的な駒は不足していた。
ジュニオールや矢島がいれば、もう少しなんとかなったかもしれない。

 こうした状況にもかかわらず、
両者とも攻撃的な姿勢で試合を始めたのは驚きだった。
特に東京は序盤は川崎のFWにバイタルで楔を受けられていて、
ジュニーニョの決定機以外にも危ない場面が相当あった。
むしろ川崎の狙い通りの展開だったのかもしれないが、
今年に入ってレギュラーを掴んだ18歳のミドルだけは計算外だった。
8月の大分戦では、この一発で東京は勝利しているのだが・・・

 その後は東京が守備を固めて川崎が攻めあぐねる展開。
後半は狙い通りにカウンターから平山がヘッダーを決めて2点差。
東京の守備陣の駒の豊富さもあって、
川崎が逆転することは難しくなってしまった。

 東京は権田の安定感が目を引いた。
彼が何回パンチングでクロスを弾いたか。
一つでもミスがあれば川崎に畳み込まれていただろう。
平山はゴール以外でも守備意識の高さを見せた。
羽生は経験者らしくリード後にゲームのテンポを落としていた。
全体的に、東京に大きなミスがなかったのが勝因。
羽生の加入とともに、城福監督の指導によって
東京のインテリジェンスの上昇が感じられる試合だった。

◆城福=東京の二年目

 ナビスコでの東京の優勝というと5年前のことが思い出される。
前年にナビスコを制して強豪の仲間入りをはたしつつあった浦和に対し、
原=東京が狡猾に?守り抜いてPK戦で勝利した試合だった。
当時のスタメンは、土肥、加地・茂庭・ジャーン・金沢、
石川・今野・三浦文丈・ケリー、ルーカス・戸田光洋。
三浦がまだ現役だったことにも驚かされるし、
ケリーや戸田の引退は時代の流れも感じさせる。
(今回の試合後の表彰式は藤山の最後の花道として記憶されるのだろうか?)

 ナビスコ杯は、この後にオシム=ジェフの二連覇の後、
ガンバ、大分とその獲得者を変えている。
これもその時々に好調だったチームを示していて興味深い。

 川崎の立場からすると、3度目の決勝での敗退。
運が無いといってしまえばそれまでだが、
気持ちを切り替えてJリーグに集中するしかない。

 しかし、特に興味深いのは城福監督が二年目に結果を出したこと。
一年目は迷走しつつもリーグで6位に入る健闘を見せ、
二年目の今年もリーグでは去年と同じような展開ながらも、
チーム作りの中でナビスコ杯という成果をだした。
今年の道のりも決して平坦ではなく、負傷や移籍があったが、
去年からの底上げによる層の厚さでなんとかやりくりしている。
レベルが下がっているとはいえ、リーグで3位を狙えるところにいる。

 まだACLとJリーグの両方をこなせる力は無いが、
5億とも言われているカボレの移籍金で決定力のあるFWが買えれば、
来年はさらに飛躍の年になるかもしれない。
ACLに出場した場合はベスト4以上、
Jリーグ専念の場合は優勝争いをしてほしいところ。

 もちろん、日本代表での活躍で
石川や長友が来季の後半に移籍してなければ、だが。
特に石川については、個人的には欧州に羽ばたいてもらいたいが、
年齢のこともあるし、それが日本サッカーにとって良いことかどうかは分からない。


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2009年10月26日

カウンター狙いも不発

J30節、ガンバ大阪対横浜Fマリノス、0−0

 Jリーグも大詰めを迎えつつあります。
川崎・鹿島・ガンバの優勝争いは大方の予想通りでしょうが、
ここまでレベルが下がるのは私は予想できませんでした。
特に早々にACLに敗退したガンバの問題は深刻で、
この試合でもその一部が明らかになっています。


◆ガンバの戦略と構造的な問題

 この試合、ガンバの帰陣が非常に早かったと木村監督が語ったように
前半のガンバはある程度引いてスペースを消す守備戦術を採用していた。
特徴的だったのはFWの守備で、彼らはCBの前には立つものの、
横並びになっていて横浜のボランチへのチェックは行わない。
ガンバの中盤の4枚は守備時にはラインを形成するため、
結果として横浜のボランチにプレッシャーが掛からなかった。

 しかし、これこそがガンバのカウンター狙いだった。
横浜のボランチは松田と河合とCBタイプでパスは上手くないので、
ある程度フリーにして侵入されても怖くない。
ゾーンで守ってパスミスを誘い、
後は技術のあるMFとDFが素早く前線につないでいく。
守備に加わっていないFWは即カウンター要員になれるし、
特に逆サイドを攻められた際には二川も前に残っていることが多い。
そこに橋本・加地の運動量で人数を加えていくという算段。
二川の裏のスペースは空きやすいが、そこは守備力の高い高木がいる。

 前半は狙い通りカウンターで二川がスルーパスを出す場面が多かったが、
ペドロがなんどかあった決定機を決められずに無得点。
このあたりに、中東ファクターの深刻さも感じられる。

 また、このやり方にはリスクもある。
高木を加えて高さを強化しているものの、
中澤以外のガンバの選手には高さが無いため、セットプレーが怖い。
前半26分ごろに立て続けにCKのピンチを迎えるが、
中澤を抑えるのに中澤が相当苦労していた。

 後半はガンバもペースを上げて攻めに出たものの、
遠藤が不調で頼みの二川が交代してからは攻撃も機能しない。
結局、横浜の堅い守備陣を崩せず0−0で終わってしまった。

 相手のカウンター狙いにまんまとハマった横浜に対し、
ガンバは戦略とその遂行能力を見せ付けた。
しかし、FWの質が下がっていることと、
中盤が高齢化して持続力に問題が生じている。
現在の中盤の質が高いためにしょうがないことだが、
選手の年齢が30前後に集中していることは、
連戦への対応力と将来に不安を抱かせるに十分な要素だろう。

・ガンバのスタメン

ルーカス、ペドロ
二川、明神、遠藤、橋本
高木、山口、中澤、加地
藤ヶ谷

・横浜のスタメン

渡邉、坂田
狩野、松田、河合、長谷川
小宮山、中澤、金、田中
榎本

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2009年10月09日

鹿島不調の原因


 鹿島が不調にあえいでいる。
3月22日の3節広島戦から7月25日の19節柏戦まで
Jリーグでは17試合連続で無敗だったが、
その後の9試合が2勝7敗、9得点16失点。

 鹿島は攻撃面においてSBへの依存度が高く
内田や新井場が欠場した際に成績が落ちることが指摘されていた。
しかし、この問題はパクの加入である程度解消したし、
この連敗中も内田と新井場が揃って出場している。
(内田はコンディションがあまりよくないようだが)

 それでは不調の原因がどこにあるかというと、
簡単に言えば特に中盤の高齢化によるコンディションの低下。
本山・小笠原は30歳で青木・野沢も20代後半になっている。
本山はずっと90分もたない状況が続いている。
彼だけの問題なら途中からダニーロを出せば済むのだが、
小笠原も不調で野沢の調子も上がってこない。
新潟戦でも中盤でパスミスを連発して自滅している。
また小笠原や野沢の不調はセットプレーの精度も落としている。
これが鹿島の得点パターンの1つだけに、この問題は大きい。

 もう1つの鹿島の得点パターンがカウンター。
もちろん俊足FWだけで攻め切るロングカウンターもあるが、
特にマルキのポゼスを生かしたコレクティブカウンターも得意だった。
しかし、選手の体調不良でコレクティブカウンターも機能しない。

 鹿島の問題として、先制された試合での勝率が非常に低い点がある。
これは堅い守備・カウンター・セットプレーのチームにありがちだが、
優勝を狙うチームとしては非常にマズい状態。
先制点を許すと相手は引いてスペースを消してくるため、
得意のカウンターを発動することができない。

 引いて守る相手にはロングボールやサイドからのクロスは定石。
しかし、高さのある田代はコンディションも悪くないのに、
Jリーグではたった183分の出場にとどまっている。
出場が11試合なので1試合15分強、
要するに最後のパワープレー要員にしかなっていない。

 これも中盤の体調不良と運動量不足が原因。
田代はロングボールで競り勝てるが、キープ力はそれほどない。
しかし、彼をフォローするとなると中盤の運動量が必要になる。
今の鹿島に田代の近くまで動いてボールを受ける選手はいない。
大迫が優遇されているのは、キープ力が高いことも大きい。

 今のままではベテランの体調が戻るのを待つしかない。
パクや増田を中盤で起用する手もあるが、特に増田は望み薄。
浦和もそうだが、歪な年齢構成の弊害は大きい。


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2009年06月04日

ディテイルの欠如

J10節、柏レイソル対浦和レッズ、2−3

連戦最後の試合。雨で滑りやすいピッチ。


◆追。戦術変化に対応できない集団的無責任体制?

 木崎伸也という人が、この試合にも言及しながら、
下位に低迷しているチームには相手の戦術変化に対する対応力に問題があるとしている。
もちろん、下位チームは大体のところ全体的に能力が劣るものなので、
相手の戦術変化に対する対応力も低いことが多いと思われる。
しかし、この試合に関しては彼の議論は当てはまらないと思う。

 まず、トゥーリオが中盤に上がる前から柏は自陣にベタ引きになっていて、
中盤がなくなってセカンドボールを拾えなくなっており、
浦和の中盤の選手にプレッシャーをかけられなくなっていた。
トゥーリオがあがった場合は鈴木がDFラインに入ってカバーしていたので、
中盤の人数だけを見れば特に増えていたわけではない。

 確かに鈴木よりもトゥーリオの方がパス能力が高いため、
トゥーリオが中盤に入った方が柏にとってはリスクが大きくなる。
だからトゥーリオにマークを着けるべきだった、と言うことも不可能ではないが、
対応力以前に柏は中盤の守備を構成する能力を失っていたわけで、
個々の選手が例え戦術眼に優れていて「MFトゥーリオ」のリスクを把握したとしても
対応不可能な状態だったと考えられる。

 そもそも、この文章は意味不明な点が多い。
下位チームは後半に失点が多いことから対応力に問題があると議論しているが、
単純に体力的に劣るのかもしれないわけだし、
前半に技術や戦術を体力で補っているから後半にガス欠になるのかもしれない。

 最後のブンデスとの比較でJリーグを批判する文章は最悪。

 ブンデスだと個人の責任がしっかりしているから守備が堅いが、
Jリーグだと「組織的守備」のお題目の元に責任がぼやけているそうだ。
しかし、マンマークで個人の責任をはっきりさせたがゆえに、
トゥーリオのような後方から上がってくる選手のマークがいないことはよくある。
それこそ自分のマークの責任を全うしがたゆえに、
トゥーリオがフリーになったと言う事も可能だったはずだ。

 そもそもブンデスだろうがJリーグだろうが地方のアマチュアのリーグだろうが、
「下位チーム」というのは得点よりも失点が多いから下位にいるわけだ。
ブンデスリーグを見ても、下位チームは得点が少なく失点が多い。
守備での甘さは絶対に許さない雰囲気があろうがなかろうが、
現に失点をしているわけで相対的には守備が堅くない。
ブンデスのデータをとっていないので分からないが、
ブンデスだって下位チームは後半の失点が多いのではないだろうか。
それともブンデスの下位チームは前半早々に失点して試合が終わってしまうのだろうか。

 無能な海外帰りが外国の話を得意気に話すことは日本でよく見る光景だが、
外国を特に精神面で持ち上げ日本を扱き下ろすのは典型的なパターンでもある。
「個人のドイツ」「組織の日本」という日本のステレオタイプに阿りながら、
下らない文章を書いているという自覚があるのだろうか?
後進的なドイツは「個人」の確立が弱かったがために、
「自由からの逃走」を招いてナチズムの台頭を許した、
という別のステレオタイプをぶつけたら筆者は何と答えるだろうか?
「追求するプレスの見る目と伝える力」を云々する筆者だが、
これがブラックユーモアにしかなっていないことに気づいているだろうか?


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・柏のスタメン

北嶋(9)
栗澤(28)
菅沼(15)山根(18)杉山(34)李(20)
石川(4)近藤(3)古賀(5)小林(13)
菅野(33)

・浦和のスタメン

エジミウソン
原口、山田直、ポンテ
阿部、鈴木
細貝、トゥーリオ、坪井、山田
都築


◆セットプレーから3点

 得点経過からも分かるように、両者ともにセットプレーの守備に問題を抱えている。

 柏は高さのない小林(176cm、72kg)がエジミウソン(183cm、77kg)のマーク。
当然のことながらここが浦和の狙いどころとなり、実際に2得点を奪われている。
CK4本で2得点という効率の良さは驚く他ない。
柏は古賀(185cm79kg)近藤(180cm76kg)石川(180cm73kg)がいるが、
それぞれトゥーリオ(185cm82kg)阿部(177cm77kg)細貝(177cm64kg)のマーク。
後知恵になるが、細貝よりはエジミウソンの方を優先させるべきだったし、
李(182cm、74kg)をマークにつけてもよかったはずだ。

 浦和の方は坪井の個人的な問題が多い。
24分の1失点目では近藤のマークがずれ、
なんとかその前でボールをはじくものの、ゴール前にこぼしてしまい、
石川にダイレクトシュートを叩き込まれてしまった。
またその前の2分のセットプレーでも近藤をフリーにしてしまっている。
(77分にも近藤がセットプレーの流れからのクロスでフリーでヘッドをしているが、
 これはニアでフリーになった李への対応もあったので仕方ない)


◆柏の守備戦術の破綻

 この試合の前半、柏は浦和相手に上手く守っているように見えた。
李を右SH、栗澤をトップ下においての4−4−1−1で、
DFとMFの2ラインをしっかりと作ってゾーンで守る。
細かく動いてパスをつないでくる浦和相手には正しい作戦に思えた。

 サイドにボールが入るとSBとSHで挟みに行くし、
中央だとボランチが対応して栗澤が降りてきて挟んでしまう。
北嶋は坪井にボールを持たせてトゥーリオへの横パスを妨害。
トゥーリオがボールを持って上がってきた時の対応に不備も見られたが、
浦和はピッチコンディションや連戦の疲れもあって攻撃に苦労していた。

 しかし、後半に入ると守備戦術が機能しなくなる。
攻め込まれるとDFラインが押し上げられなくなり、
ボランチがDFラインに吸収されて中盤に人がいなくなり、
セカンドボールを拾われて波状攻撃を食らう典型的なマズいパターン。
11分に北嶋をスピードのある大津に変えてカウンターを狙うも、
スピードのある坪井と広い範囲をケアできる鈴木相手に不発。
サイドの深い位置からのクロスとMF前からの放り込みは甘受する体勢に。

 問題は、DFライン制御にもあるが、おそらくボランチとDFの受け渡し。
浦和の中盤の選手が前に出ると、ボランチがそのまま引きずられることが多い。
セットプレーのマーカーもそうだが、新人監督の粗が目立つ。


◆浦和の攻撃陣の力不足

 しかし、ベタ引きの柏相手に、浦和がセットプレーでしか、
しかも後半40分になるまで追いつけなかったのも事実。
左SBの細貝のクロスの精度低さといった問題もあるし、
そこをサントスと交代させない監督の問題もあるのだろうが、
やはり前線のパワー不足はいかんともし難いものがある。

 疲れからかミスが目立った原口を後半から高原に代えたのだが、
彼が何かプレーをしたという記憶がほとんどない。
これだったら早々にトゥーリオを上げた方がマシ。

 今季の浦和は13試合で17得点12失点と、守備は復活しているものの、
パスサッカーが機能していると言われる割には点が取れていない。
新人原口に多くを期待するのは酷なのだろうが、
エジミウソン以外に得点源がないのが辛いところ。
田中が帰ってくるまでは厳しい試合が続きそうだ。
もちろん彼が「新レッズ」で機能する保障もないが…

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2009年05月25日

戸田を採れ!!

J11節、ジュビロ磐田対大宮アルディージャ、3−1
第3節、大宮対神戸に引き続いての地味な試合のレポート。


・磐田のスタメン

前田、イ・グノ
ジウシーニョ、上田、山本康裕、西
犬塚、茶野、那須、駒野
川口

・大宮

石原、藤田
藤本
パク・ウォンジェ、金沢、内田
波戸、マト、片岡、土岐田
江角


◆全体的な流れ

 GW前後の連戦の最後の試合。
両者疲労の色は隠せないものの、
それなりのパフォーマンスを見せてくれた。

 序盤5戦を2分3敗、5得点13失点とどん底のスタートを切りながら、
イ・グノ加入後、彼自身の4得点という活躍もあり、
5試合を3勝1分1敗、10得点6失点と上り調子の磐田。
(ちなみにこの試合の後の磐田は川崎に0−2で完敗するものの、
名古屋相手に2−1と勝利して自力を見せている。)

 一方の大宮は、序盤5戦こそ2勝3分、9得点7失点と好調なスタートをしながら、
その後は5試合で1勝4敗、6得点10失点と大失速。
10節大分戦でどん底の大分に3−0と完勝した以外は全くいいところがない。
(但し、この試合の後は名古屋・浦和という強豪相手に
いずれも1−1とロースコアゲームに持ち込み勝ち点を稼いでいる。)

 この試合も、そんな両者の勢いをそのまま反映したものになってしまった。
支配率そのものは五分五分なのだが、シュート数は17−10、CKも3−1と
チャンスの数をそのまま反映しての3−1というスコアに終わっている。

 序盤早々に守備陣のミスからイ・グノにフリーで抜け出され失点を喫した大宮。
その後の磐田の攻勢をなんとか凌いで反撃に出るが決定機は作れず、
逆に前半の終了間際に左サイドを崩され、イ・グノがDF裏に左足で綺麗なスルーパス、
それに反応した西が倒れこみながら何とかシュートを逆サイドネットに流し込んだ。
シュート数も9−3となっており、チャンスの数がゴールに直結している。

 後半はどちらつかずの展開で進むが、
4分に内田と橋本を交代させた後から大宮がペースをつかみ始める。
攻め込まれた磐田はクリアが増え、攻められる時間が増える。
その対策に18分に犬塚と加賀を交代させ守備を固め、
29分にはミスが目立ってきた西と太田を交代させる。
攻め切れない大宮はパクとデニス・マルケスを交代させ勝負に出て、
その直後に藤田のポストプレーから藤本がゴール前に飛び込み、
体勢を崩しながら逆サイドにシュートを決める。
その後、大宮はマトも上げて最後の勝負に出るのだが、
終了間際にイ・グノにペナ内に侵入され、
金沢・江角がライン際を次々にかわされダメ押しゴール。

 結果的に、2G1Aのイ・グノを要する磐田と、
J2昇格コンビのFWしかいない大宮の差が結果になった試合だった。


◆大宮の守備戦術

・立ち上がりの4−3−1−2

 この試合の立ち上がり、大宮のシステムは4−3−1−2だった。
金沢がDF前でアンカーの位置に入り、両脇をパクと内田が固め、トップ下に藤本が入る。
これがこの試合に注目した最大の理由でもあるのだが、
磐田という4−4−2で両サイドの攻撃力があるチーム相手に、
3ボランチがどう対応するのかは非常に興味深いポイントだ。
結果から言うと、大宮の3ボランチは全く機能しなかった。

 大宮側の話からするとプレスとショートカウンターを狙ったようだが、
連戦の疲労からか、なかなかプレスがかかっていなかった。

 大宮は駒野にボールが入るとパクが積極的に前に出て、
その裏の西を波戸が捕まえに良くのだが、
その裏のスペースにイ・グノに走りこまれるとマトではカバーリングが遅れてしまう。
いったんサイドに基点を作られてしまうと、
波戸、パクの他に金沢までがサイドのケアに追われ、
その結果バイタルに隙ができて西にミドルを打たれてしまう。
もちろん、それが失点に直結するわけではないのだが…

 逆に右サイドでは片岡が土岐田の裏のスペースをケアするのだが、
内田の運動量やポジショニングに問題があるため、
こちらもジウシーニョや犬塚、イ・グノにやられる場面が多い。

 この時間帯では藤本がボランチのマークで混乱して監督の指示を仰ぐなど、
大宮の守備戦術が機能していないのは明らかだった。
磐田のスタメンは左SBが山本脩斗から犬塚に、
ボランチがロドリゴから怪我上がりの上田に交代した以外はほとんど変更がないのだが、
張外龍監督の作戦は完全に失敗に終わったようだ。

 彼が何を狙ったのかははっきりしないが、
おそらく藤本と誰か(おそらくFWの一方)で磐田のボランチにプレスをかけ、
そこでボールを奪ってショート・カウンターに持ち込む手はずだったのだろう。
しかし、磐田のボランチは経験がない山本康と怪我上がりの上田で、
ロドリゴほどは組み立てに関与することはなかった。
逆に、シンプルにサイドから攻撃を組み立てたことで、
3ボランチの弱点を上手く突くことに成功していた。


・前半途中からの4−4−2

 張監督は前半のうちに戦術の変更を行う。
藤本を右SH、パクを左SHに置く4−4−2にシステムを変更。
こうすることでサイドのスペースを消し、簡単に突破されることは少なくなった。
藤本はあまり帰らないので右サイドには隙が多いが、
犬塚の攻撃参加はそれほど怖くはない。
それだったら藤本を残してカウンターの種にしようという算段。
一方の左サイドはパクが脅威の運動量で広範囲をカバーしていた。
中盤をフラットにすると相手のボランチにはプレスをかけにくい。
しかし、磐田のボランチはそれほど攻撃に関与しないので問題は少ない。
(ただ、中盤のバランスを崩した際に
山本にドリブルでバイタルに侵入されてしまう場面はあった。)

 しかし、大宮はそれでも前半40分に追加点を奪われてしまう。
磐田は右サイドの深い位置に基点を作ってから後ろに戻す。
この時間帯は左サイドに来ていた藤本が山本に当たりに行くが外される。
そこから後手後手になった大宮はイ・グノにバイタルに侵入され、
マークを捨てて金沢があたりにいくが、
そのマーク相手の西がDFライン上でフリーになってしまう。
そこに落ち着いてイ・グノが左足でスルーパスを出し、
マトのカバーリングも間に合わずペナ内右45度から
スライディングシュートを逆サイドネットに叩き込まれてしまった。

 この場面では以前から指摘されていたマトの守備範囲の狭さが露呈した。
3節神戸戦でもそうだったのだが、マトはスピードがないこともあるのか、
ゴール前に引きこもって周辺のスペースを空けマークにつかないことが多い。
この場面でも自陣左サイドで基点を作られ波戸が外に出ると、
そのスペースを金沢に埋めさせてはいたのだが、
その彼が前におびき出されるとそこにぽっかり大穴があいてしまう。
ゴール前には前田がいるのだが、片岡も備えていたわけで、
彼が西のマークにいかなかったのはやはり大失敗だろう。
この直後にも似たパターンで駒野に同じような位置からシュートをうたれている。



◆大宮の今後

 上記の守備以外にも大宮の問題は多い。

 まずFWのパワーと技術が不足している。
中断期間中にデニス・マルケスとラフリッチの調子がどれだけ戻るか。
現状の石原・藤田では裏抜け以外にFWの攻撃への関与がなく、
組み立てでは藤本とパクに大きな負担がかかってしまっている。
石原は時折ドリブルを見せるのだが、相手を抜く場面はないし、
藤田は得点シーン以外でポストプレーを機能させていない。
ラフリッチならロングボールを入れることができるし、
デニス・マルケスはスペースがあればドリブルで仕掛けることができる。

 藤本・パク・金沢に続く4人目のMFの人選も頭が痛い。
クラブ史上最年少でJデビューした新井はサテ落ち。
内田も面白いドリブルはあるのだが、運動量・フィジカル・守備能力が足りない。
この試合で途中出場した橋本が最有力だが、全体的に能力不足。
小林が帰ってくればなんとかなるのだろうが…
他のチームでもそうだが、なぜ戸田をとらないのかと疑問になる。
彼なら3ボランチでも2ボランチでも対応できるのだが…

 SBもあまり攻撃力が高くない。
波戸や土岐田が前にボールを入れてもつながる確率は低いし、
サイドをえぐってクロスという場面もほとんど見られない。

 しかし、デニス・マルケスとラフリッチが帰ってくれさえすれば、
後は藤本とパクの4人でなんとか攻撃は形になる。
結局のところ、FWの体調次第ではないだろうか。

 ちなみに、藤本の攻撃的センスは目を見張るものがあった。
もともといい選手だったが、今では大宮の王様といった感じ。
小林大悟がいなくなったのが良かったのか。
特に左足のキックがあそこまで上手かった記憶はないのだが…
得点シーン以外でもゴール前でクロスに飛び込んでみたり、
サイドからドリブルで侵入して行ったり、
かと思えばボランチの位置まで引いてFWへのロングボールを見せたり。
守備面でもサイドのかなり深い位置まで下がる場面もみられた。

 藤本が王様だとすれば、その側近といった感じがパク。
容姿が似ていることからパク・チソン2世と言われているそうだが、
噂どおりの運動量と、精確な左足のキックを見せた。
ある場面では自陣の深い位置からサイドの深い位置にロングボールを通し、
藤田と藤本がボールをキープする間に相手のバイタルまで上がってきて、
パスを受けてシュートをするという場面まであった。
あと、ミスした後にやたらと回りに謝っているのがかわいい。
韓国代表経験もあるわけで、チームの中心選手としてもっと堂々としてもいいのだが。


◆磐田の今後

 イ・グノが加入してから上り調子の磐田。
これで今まで「無駄クロッサー」と言われてきた、
攻撃面での選手の質のアンバランスさは解消されつつある。
右サイドは西が中途半端なポジションを取って、
イ・グノや駒野が入っていくスペースを作る。
左ではジウシーニョの外を山本脩斗が追い越し、
ジウシーニョが中に切れ込んでのミドルがある。
サイドからのパターンが増えたため、
前田やイ・グノへの楔も入れやすくなっている。

 但し、守備面で危なっかしい場面が多い。
まず、この試合でも川口が2度ほどやらかす場面がみられた。
相変わらず不安定なプレー振りで、いくら組み立てで頑張っても、
これでは日本代表に呼ばれないのは道理だろう。

 DFラインは那須と茶野がなんとか制御しているが、
左SBの山本脩斗が攻撃的な若手なので、何かと気を使う。
これは、この試合の犬塚でも同じことだ。
また控えのCBが酷いので、那須か茶野が負傷するとかなりマズい。

 右SHの人選も本当は問題が多い。
今は他との兼ね合いで西を使っているが、
決して決定的なプレーができるわけでもないし、
疲れてくると急にミスが増える課題もそのまま。
スタメンを西にして疲れてきたらスピードのある太田と交代させるパターンだが、
左SHのジウシーニョの攻撃力を考えたら、
右SHにはもう少しバランスがとれて守備ができる選手がほしい。

 守備能力が高い選手がいないボランチの問題もそのまま。
上田、山本康、ロドリゴ、松浦、成岡と攻撃的な選手ばかりで、
当たりが強くてバイタルで相手をつぶせるタイプや、
広範囲を運動量でカバーできるタイプがいない。
攻めているうちはいいのだが、一旦守備に回ると、
DFラインに吸収されて押し返せなくなってしまう。
この試合の後半では、マトにどんどんロングボールを放り込まれ、
跳ね返したセカンドボールを大宮に拾われていた。

 イ・グノ加入で降格の可能性はかなり低くなったが、
上位進出を目指すならば守備能力の高い選手が1人は欲しいところだ。
だから何で戸田をとらないんだろう…



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2009年05月08日

アルビとジェフの成功と失敗

J8節、アルビレックス新潟対ジェフ千葉、2−2


・新潟のスタメン

大島
ペドロ、松下、マルシオ、矢野
本間
ジウトン、永田、千代反田、内田
北野


・千葉のスタメン

谷沢、巻、深井
アレックス、工藤
下村
青木、ボスナー、坂本、和田
岡本


◆新潟の4−1−4−1

 新潟のスタメンと試合を眺めてみると、
そのシステムは4−1−4−1と呼ぶのが適切であることがわかる。
さほど高い位置からプレスを仕掛けず(仕掛けられず)
ある程度引いて守って、深い位置でボールを回収。
1トップへのロングボールや強さとスピードのあるSHがボールを運び、
運動量のあるCHが状況に応じて前に出てくる。


 選手の質からしても、新潟は4−1−4−1に適している。

・ロングボールを収めなくてはならない1トップに大島
・長い距離をボールを運ぶSHにペドロと矢野
・攻撃が単調にならないための技術と得点力が必要なCHにマルシオ
・裏への飛び出しが要求されるCHに松下
・引いて守っても守りきれる高さと強さを持つCBの永田と千代反田

 この他の強みとして以下のようなものがある。

・大柄な選手が多いことを生かしたセットプレーの強さ
・長い距離をドリブルでボールを運べる左SBのジウトン


 逆の観点から、新潟ができないことを考えてみよう。
まず、ペドロの守備意識が低く、大島もさほどスピードがないため、
エジミウソン・矢野が2トップだった時代のプレスは難しい。
また、ペドロ・矢野・ジウトンはスペースがあって生きるタイプだし、
CBのフィードが良いとはいえないため、
ポゼスをして細かい攻めを機能させることも得意ではない。

 実際、新潟のポゼッション率はかなり低い。
10節までで相手を上回ったのは5節京都戦・7節大宮戦・8節千葉戦のみ。
京都も千葉もポゼス率がかなり低い方なので、
どちらかというとポゼスを強いられたという雰囲気。
しかも、この2試合は1分1敗とやられている。

 チーム設計が非ポゼスだから悪くはないのだが、
問題を生じさせているのは選手層の薄さ。
スタメンはほぼ固定で、交代策としてまともに使えるのも弔里漾
そのため試合終盤にペースが落ちることが避けられず、
連戦中のここ3試合は同点・逆転となる失点を試合終盤に許している。

 4−1−4−1の本家チェルシーを見てみると、
この問題を解決するために「自己目的化したポゼッション」を行っていた。
控え選手がアテにならないなら、こうしたパターンも必要になってくる。



◆千葉の4−1−2−3

 新潟がプチ・チェルシーだというのはまだしも、
千葉がバルサと同じシステムだと言われたら違和感を持つ人は大いに違いない。
実際そのとおりで、だからこそ千葉が勝てないのだとも言える。

 ともかく千葉は、少なくとも守備に関してバルサと共通する点が多い。
3トップによる積極的な相手4バックへのプレス、
高いDFラインの設定、アンカーを置いてCHが相手ボランチへのプレス。
坂本をCBに置いたことでライン制御が改善され、守備は形になってきた。

 しかし、類似点はここまでしかない。
千葉にはエトーもメッシもイニエスタもシャビもマルケスもいない。
別に彼らと同じ能力を持った選手が必要ではないし、
そんな選手がJリーグにいるわけもないのだが、
それにしても攻撃面における選手の質の方向性が違いすぎる。

 まず、4−1−2−3だとショートカウンターが狙えることは前回書いた。
そこで必要になるのは一発で裏を取れる1トップの動きと後方のパスセンス。
しかし、巻は裏抜けの動き自体はあるもののタイミングもスピードも足りないし、
後方のパスセンスとなると壊滅的だ。

 もちろん、ショートカウンターといっても一発裏取り以外のパターンもある。
1トップが楔を受けてフォローして落としを受けて追い越してもいいし、
1トップの裏抜けを囮にしてバイタルをドリブルで進入してもいい。
素早く逆サイドに流してスペースのある状態でWGが1対1を仕掛ける手もある。
しかし、パターンはいくらでもあるのだが、千葉がこうした準備をしている形跡はない。

 次に、ポゼッションによる攻めだが、こちらも技術が不足している。
まず、メッシ役のアタッカーが存在しない。
谷澤はムラが多いし、深井は細かい技術が不足している。
狭いところでパスを受けてすり抜けていくイニエスタ役は工藤には荷が重いし、
ゲームコントロールと前への飛び出しのシャビ役もアレックスはこなせていない。
坂本は比較的フィードが良いが「組み立て皇帝」のマルケスとは比較にならない。
この他にもSBの組み立て能力は低いし(特に左は壊滅的)
アンカーは下村でも斎藤でも攻撃では多くは期待できない(*)

 結果として、ボールを持っても巻に放り込むしか手がない。
しかも、ミラー監督は巻のフォローをWGの深井と谷澤に求めている。
しかし、彼らは守備になったら相手SBへのプレス役もあるわけだし、
SBの攻撃力の低さを考えたら攻撃パターンが中央に偏り過ぎてしまう。
しかも1トップの巻の最大の得点パターンがサイドからのクロスというのでは、
これで得点が取れると思う方がどうかしている。


(*)しかし、斎藤がチーム最多得点(といっても2点だが)なのは皮肉な話だ。
   考えてみれば、彼は残り少なくなったオシムの薫陶を受けた選手だが、
   新潟戦の同点ゴールに見られるように、
   思い切りの良さやインテリジェンスは受け継いでいるのかもしれない。

◆それでは千葉はどうすれば良いのか

 守備面に関してはともかく、攻撃面では千葉が4−1−2−3を使うのは不可能だ。
かといって4−1−4−1にしたとしても、SHの力量不足は隠せないし、
CHの得点力と技術も期待できないので、攻められ続ける可能性は高い。
実際、これがミラー監督がラインを上げてきた理由の1つだろう。

 最も可能性があるのは、シンプルな4−4−2ではないかと思う。
ラインの高さとプレスは現状を維持しつつ、
新居をFWに起用してショートカウンターの成功確率を上げる。
アンカーを置かない分だけリスクは増えるが、
現状のハイリスク・ローリターンよりはマシだろう。
SHは相手SBの攻撃力が高い方に工藤かアレックスを起用し、
逆サイドに深井か谷澤を使えばバランスも取れる。
また、これなら折角獲得した中後を使いやすくなる。

 但し、他のシステムよりはマシだとはいえ、
やはりFWやSHの力量不足は隠せないところだ。
考えてみれば、最近の千葉の補強は行き当たりばったりな印象しかない。
戸田を切って中後をとっても彼を使えず、力不足のFWとSHの補強はなし。
アジア枠を使いこなすこともできず、去年からの問題をそのまま引きずっている。
補強が上手くいかずに成功したチームというのは、ほとんど見たことがない。
去年のような失態を避けたければ、なるべく早く選手を買ってくることだ。

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2009年04月21日

好対照

J6節、アルビレックス新潟対サンフレッチェ広島、3−3


◆新潟の3つの構造的欠陥

 GKの負傷と交代したGKのミスからの失点という
逆境を跳ね除けアウェイで同点に追いついた広島。
その要因は新潟の3つの構造的欠陥を突いたからだった。

(1)ジウトンの守備
(2)DFの前のスペースを埋めるのが本間1人
(3)交代策が乏しく後半に息切れする

 1つ目に付いてはミキッチとマッチアップになったのが新潟にとっては不運。
逆に右から攻められたおかげで助かったのが横浜戦
2つ目が露骨に表れたのが2失点目の柏木のゴールで、
佐藤をケアしてDFが下がると、その前のスペースがぽっかりと空いた。
3つ目だが、新潟はまともな交代要員が弔靴いない。
特にリードをした後は守備に難のあるジウトンを下げたいし、
負担の大きい中盤も変えたいところだが、替えが効かない。

 ただ、あまり有効な交代策がないという点では広島も同じで、
同点に追いついてから20分はあったのに、勝ち越すことはできなかった。



◆身長体重

 この試合を見ていて気になったのが、選手の体格の違い。
新潟と広島を比べてみると、新潟の選手がやたらとデカく見える。
まあオレンジという膨張色のユニを着ているからかもしれないので、
一応選手の身長と体重をオフィシャル・サイトの数字から確認してみた。

 結果、フィールド・プレーヤーの平均で、
新潟は広島より4cm弱大きく、3kg弱重いことが分かった。
このあたりは両チームのスタイルの印象と非常にマッチしている。
セットプレーの強さと前線のパワーが特徴の新潟、
ほぼ全員がテクニックがあり細かい動きとパスワークで試合を支配する広島。
特に広島の前線の佐藤・柏木・高柳と新潟のCBの永田・千代反田を比べると、
身長で10cm、体重で10kg以上の差があり、特に違いが目立つ。

 また広島は選手の体格の均質性(分散の小ささ)も目立つ。
ほとんどの選手が身長175cm、体重70kg前後に集中していて、
敢えて違いを探すと佐藤がやや小さく、ストヤノフがやや大きく、槙野が大きくて重い程度。
このあたりも「全員MF」的なイメージと整合的。
(ただミキッチははっきりと「サイドアタッカー」)
一方の新潟はCBとFWがゴツクてMFとSBが普通。
但しジウトンは大きくセットプレーで得点も取っている。

 確認はしていないが、おそらく新潟がJ最大・最重量級で広島が最小・最軽量級だろう。
(ひょっとしたらCBの高さがない神戸が最小かもしれないが)
体格の面で対照的な2チームは、
それぞれJリーグにおける編成の極端な例を示していて(*)、
その強さと弱さがはっきり出たこの試合は非常に興味深いものだった。

(*)もう1つのパターンとして、少し前(テセがいない時期)の川崎のような、
   前にスピードがあって後ろが大きいものもある。


・新潟

ペドロ:182cm、74kg
大島:184cm、78kg
矢野:185cm、76kg
松下:174cm、70kg
本間:172cm、65kg
マルシオ:173cm、67kg
ジウトン:184cm、74kg
永田:184cm、80kg
千代反田:183cm、80kg
内田:175cm、68kg
北野:186cm、80kg

フィールド・プレーヤーの平均:179.6cm、73.2kg


・広島

佐藤:170cm、68kg
柏木:175cm、68kg
高柳:174cm、67kg
服部:175cm、67kg
青山:173cm、72kg
森崎和:177cm、72kg
ミキッチ:177cm、66kg
槙野:182cm、77kg
ストヤノフ:182cm、74kg
森脇:177cm、74kg
佐藤:183cm、73kg

フィールド・プレーヤーの平均:175.9cm、70.5kg

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2009年04月06日

どうして横浜は勝てないのか

J4節、アルビレックス新潟対横浜F・マリノス、2−1


・新潟のスタメン

ペドロ、大島、矢野
マルシオ、松下
本間
ジウトン、永田、千代反田、松尾
北野


・横浜のスタメン

坂田、渡邉
狩野
田中、小椋、兵藤、丁
中澤、松田、栗原
榎本


◆機能しない横浜の遅攻

 今シーズン、ナビスコ含め3分3敗と全く勝てない横浜。
08年では43得点32失点で9位、
07年では53得点35失点で7位、
06年では49得点43失点で9位と
例年の傾向では守備は堅いものの点が取れないことが中位に燻る原因となっている。
今季はここまで6試合で6得点と相変わらずの数字となっている。

 得点の中身を細かく見ると、より分かりやすい。
栗原2得点、中澤1得点、その全てが狩野のアシストとセットプレー頼み。
課題のFWの補強が行われなかったことで、容易に想像できた結果だ。

 攻撃面では特に遅攻のビルドアップに問題を抱えている。
最近、小椋が大分マシになったとはいえ、ボランチの組み立てが良くない。
狩野が元気なうちは下がってきてパスを配ってくれるが、
彼が疲れた途端にDFからパスを入れるところがほとんどなくなってしまう。
こうなると、中澤と松田が回しながら、タイミングを見て左WBの田中にいれるしかない。

 横浜のビルドアップのもう1つの特徴は、栗原がほとんど参加しないこと。
これは08年の天皇杯準決勝の大阪戦でも書いたことだが
横浜の攻撃は左偏重になってしまう傾向がある。
田中隼磨が名古屋に移籍した後には丁や清水を起用していて、
もちろん彼ら自身の問題もあるのかもしれないが、
やはりその背後の栗原の問題が大きい。
その栗原はビルドアップへの参加を諦めたのかサイドに開いていることが多いが、
中澤や松田から見事なサイドチェンジが来るのは期待薄だ。

 これは、新潟サイドからすると僥倖以外の何者でもない。
新潟の守備の最大の弱点はジウトン・ペドロの左サイドで、
こちらサイドからほとんど攻められなかったのは本当にラッキーだった。
また、そうでなくても攻撃サイドが偏ると守る方からすると予想しやすくなる。


◆守備も崩壊

 しかし、中位止まりとはいえ、少なくとも横浜の守備は堅かったはずだ。
ところが今季は6試合で10失点、J4試合で9失点と散々な結果に。
もちろん攻撃力のある広島・柏、好調の新潟とやったことも大きいのだが、
それにしてもこの失点数はいただけない。

 メンバーの面子を見ると、なぜこんなに失点が増えるのか不思議だろう。
3バックは中澤、松田、栗原と守備能力だけなら日本代表クラスの3人が並ぶし、
ボランチの兵藤と小椋はよく走るし、左WBの田中も能力が高い。
右WBが穴といえば穴だが、そこから崩された場面が特別多いわけでもない。

 1つの原因は遅攻が機能しないことで相手が攻める時間が増え、疲労が蓄積すること。
あるいは運動量を上げることでしか試合のペースを握れないから。
柏戦でも清水戦でも新潟戦でも、前半までは押し気味に試合をやれていても、
後半からペースが落ちてしまっている。

 またチームの方針が定まっていない部分もある。
選手の能力からしたら守ってカウンター、セットプレー頼みしかないが、
その割にはFWの守備戦術がイマイチだし、
ビルドアップの際の栗原のポジショニングもリスクが大きい。
そこを割り切ってできるかどうかが復調の鍵になるだろう。

 その点、新潟は「割り切り」の部分が上手くいっている。
能力の高いFWが3人いるのだから、彼らの能力を最大限生かす。
大島が強いのだからロングボールをどんどん入れ、
矢野はとにかく右サイドで頑張って、ペドロは一発狙い。
ジウトンの守備には目をつぶってその攻撃力に賭け、
穴は永田と本間と松下でカバー。
初戦のFC東京戦やこの試合でも試合内容では必ずしも勝てていないが、
セットプレーやFW、マルシオ、ジウトンの個人能力を当てにして、
上手くいかないときでもきちんと我慢ができている。


meitei2005 at 19:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月03日

大宮アルディージャ対ヴィッセル神戸

J3節、1−1



・大宮のスタメン

藤田、市川
橋本、新井、金沢、藤本
波戸、マト、富田、塚本
江角

・神戸のスタメン

須藤、吉田
ボッティ
田中、松岡、金
大屋、北本、宮本、石櫃
榎本


◆興味深い一戦

 万年中位のイメージが強い神戸と大宮の対戦。
しかも神戸はマルセル、アラン・バイーアが出場できず、ガナハも怪我上がり。
一方の大宮もデニス・マルケスもラフリッチも不出場。
これだけ国産割合が高く地味な面子はJ1では珍しい。

 しかし、そんな地味な面子だからこそ逆に興味深いという面もある。
前線に力のある外国人選手がいないメンバーで、どう攻撃を組み立てるか。
そこに監督の戦術や志向、腕の良し悪しに関する情報が現れるかもしれない。
そもそも両チームは今年に新監督を迎えていて、その興味もある。


◆3ボランチ

 もう1つのポイントとして神戸の新布陣がある。
神戸は新監督のカイオ・ジュニオールになってから3ボランチを採用している。
松岡を底にして金とバイーア(この試合では田中)をその前に置く布陣だ。

 4バックを採用するチームが増えてきたことで、
4−1−2−x系のシステムを採用するチームも見られるようになってきた。
今年に限っても以下のようなチームが存在する。

(1)新潟:本間が底、マルシオと松下が前
(2)京都:安藤(シジクレイ)底、佐藤と角田が前
(3)湘南:田村が底、寺川と坂本が前

 この他にも谷口・菊池・中村を併用する際の川崎や、
千葉がスポット的に近い陣形になることもある。
昨年までだと2トップの下にディエゴを置いたときの東京Vや、
林が底、倉貫・石原を前に置いた甲府あたりだろうか。
FC東京も4−4−2と表記されることが多いが、
去年の後半戦においてカボレを左WGに近いプレーをさせ、
石川(または鈴木)を右に置くパターンは4−1−2−3に近い構成だった。

 3ボランチを採用するとサイドの守備が脆弱になると言われていて、
この点は蹴球計画さんが繰り返し書いている
このシステムがJリーグという舞台でどういう機能性を見せるかに注目したい。


◆得点経過

 大宮と神戸の地味な顔ぶれを見ても、なかなかゴールの予感はしてこない。
セットプレーかカウンターぐらいかな、と思っていたら、
案の定、カウンターとセットプレーから1点ずつゴールを奪った。

 まず後半15分の神戸のゴール。
自陣左サイドの深いところで田中が藤本からボールをカット。
ドリブルで新井を引き付け、中でフリーになった鈴木(後半からボッティと交代)へ。
そのまま左サイドのスペースを駆け上がり、中央の吉田へ横パス。
ペナのすぐ外で波戸と1対1をし、中に切り替えして左足でシュート。
これはきれいにカーブをかけてゴール左サイドへ流し込んだ。
吉田の左足を完全に空けていた波戸もだが、
ペナのすぐ外で仕掛ける吉田を無視してゴール前を固めたマトの判断も疑問。
日本人選手のシュート力を甘く見すぎたか。

 後半39分の大宮のゴールは右CKを石原がダイビングヘッド。
マークについていた金が完全に振り切られていた。
この日の金はミスもあり、やや精彩を欠いていたようだ。

 大宮は後半30分あたりからリスクをかけて前に出て神戸を押し込んでいた。
もちろん神戸の運動量が落ちたこともあったのだが、
失点するまでが消極的だったことも否めない。
もちろんリスクを恐れてのことだろうが、
リスクを避けるあまりリスクをとる能力も磨かれずに終わっている。
この問題をクリアしたオシム時代の千葉が
スター選手不在でも強かった要因はここにある。


◆狙われたSB裏のスペース

 それでは神戸の3ボランチはどうだったのだろうか。
メンバーが揃わないという問題はあるにせよ、
神戸の新システムはあまり機能しそうな気配はない。

 この試合の特に前半では、SBの裏のスペースを狙われることが多かった。
神戸の守備は3ボランチのためサイドのゾーンを埋めることが難しく、
必然的にマークの意識の強い守備戦術になっている。
そして4−4−2の大宮のSHに対してはSBが対応している。
このためSBがDFラインから前に出ることが多くなり、
その裏のスペースに大宮のFWに走りこまれ、そこにパスが通ることが多くなった。

 今のやり方を続ける限り、この問題は続く可能性が高い。
SBの裏にパスを通されるパターンとしては下の3つが最も多かった。

(1)ボランチから
(2)マトからのロングキック
(3)藤本からの縦パス

相手のボランチは本来プレッシャーをかけやすいはずのところなので、
この点は戦術を突き詰めることによって解決可能だ。
しかし、フィード力のあるCBからのロングパスや、
俊敏なSHがプレスを外して入れてくる縦パスは防ぎづらい。
この他にも相手のSBのキックが正確だと、
そこから神戸SBの裏へのパスは脅威になる。

 また神戸のCBの能力が高くないことも問題を深刻にしている。
この試合の大宮はFWの能力が低かったため問題が顕在化していないが、
もしサイドのスペースで宮本が強力FWと1対1をするとなれば悪夢でしかない。
また大宮のSHやCHがゴール前に入っていくことが少なかったため、
サイドを多少崩されても大ピンチになる場面は少なかったが、
こうしたパターンがある相手でも苦戦する可能性は高い。

 一方、通常のサイドチェンジに対しては神戸の守備は強固だった。
これは田中・金というSHの機動力・運動量が多く守備範囲が広いことが大きい。
もちろん、大宮のSBの攻撃力が低いこともある。

 こうした3ボランチのサイド崩しについてスペインとの比較で書くと、
SHやSBの攻撃力を生かすパターンよりもFWとの連携が多いのがJリーグの特徴だと思う。
Jリーグは4バックへの移行の日が浅く、また身体的特徴の問題もあって、
あまりサイドの強力なアタッカーというのは多くはないかもしれない。


◆機能しない攻撃

 多少サイドを崩されたとしても、
その分攻撃が機能すれば元が取れるというもの。
しかし、この点でも神戸は失敗している。

 それは単純にトップ下に起用されたボッティの不調・力不足。
サイドに流れてパスを受けたり、バイタルでパスを受けようとするが、
本来ボランチで後ろから組み立てることが秀でた選手なので、
こういったプレーはあまり得意にしていないようだ。
本来ならば若手の馬場を使う予定のようだが、どれだけ機能するかは未知数。
少なくともサイドの突破とクロスのある鈴木を入れた後半はマシになっていたが、
それなら最初から4−4−2にした方が問題が少ない。

 神戸はこの他にも古賀や朴などサイドアタッカーが多い。
現状のシステムでは彼らを生かすことは難しいだろう。

 身長187、体重85とイメージとしてはワシントンに近いマルセウが復帰すれば、
彼を1トップにしてその下に朴、バイーア、古賀、吉田、鈴木、馬場ら
アタッカー陣を2人おく4−3−2−1を採用できる。
初戦の京都戦の選手起用からしてもこれが本命だろうが、
マルセルの代役が須藤では厳しいのは間違いない。
もしこのシステムを続けるのだとしたら、
ガナハがどれだけやれるのかによって、
チームの攻撃の安定度が変わってくるのではないかと思う。


◆その他

 神戸の榎本(面長の方)のキックの上手さが目を引いた。
一方の大宮の江角はキャッチミスやキックミスから大ピンチを作っていた。

 神戸は右SBの石櫃からの攻撃が機能していない。
一時は代表に呼ばれるほどの選手なのだが、
この試合ではクロス・フィードがことごとく失敗していた。

 Jリーグ初スタメンの田中は運動量が多く活躍。
出場停止があけたのだが、バイーアが帰ってきたらどうするのだろうか。

 宮本の身体能力の低さも目立っていた。
ヘディングを空振りしたり、簡単に裏を取られたり。
空中戦はさほど高くもない北本にほとんど任せきりだが、
これでは北本の負担が増えるばかりだ。
しかも得意なはずのフィードもあまり上手くいっていない
(これは神戸のFWの問題もある)
カバーリングとライン制御だけではつらいものがある。

 大分では若手の新井がいい動きを見せていた。
特にヨミがいいのかボール奪取の場面が多い。
もう1つ芸があればチームの中心選手になれるので精進してほしい。

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2009年04月01日

鹿島アントラーズ対浦和レッズ

J1節、鹿島アントラーズ対浦和レッズ、2−0


・鹿島のスタメン

マルキーニョス、興梠
ダニーロ、本山、青木、野沢
新井場、伊野波、岩政、内田
曽ケ端

・浦和のスタメン

田中、高原
原口、鈴木、阿部、ポンテ
平川、トゥーリオ、坪井、細貝
都築


◆さて問題です

マルキーニョス v.s. 高原

ダニーロ v.s. 原口

本山 v.s. 阿部

新井場 v.s. 平川

内田 v.s. 細貝


 どちらがポゼッションに向いていて、どちらがカウンターが得意でしょうか。


◆答え

 ポゼッションでは明らかに鹿島。
全てのv.s.においてパス・ドリブルなどの攻撃スキルで上回っている。

 カウンターについては難しいところ。
マルキーニョスとSBについては鹿島が上だが、
スピードに劣るダニーロのところは微妙。
本山対阿部は、阿部のボール奪取能力を考えると互角か。


◆カウンター2発で終了

 もちろん上の話は若干単純化し過ぎている部分もある。
CBのフィード能力ではトゥーリオと伊野波のどちらが上か、とか、
ポンテ対野沢だったら、ポンテの方がスキルがある、など。
あと同じ4−4−2でもSBの役割の違いなど相違点もある。

 しかし、鹿島の方が技術水準で上なのは間違いない。
しかもその鹿島の方がカウンター狙いで、
浦和がポゼッションすれば、どうなるかは火を見るより明らかだ。
この試合の2ゴールはどちらも浦和のセットプレーからのカウンターだったが、
鹿島は浦和のボランチにプレスをかけてショートカウンターを狙う場面も多かった。

 鹿島のアタッカー陣はスピードに能力が偏っているので、
引かれて守られてしまうと案外苦戦することが多い(3節広島戦など)
しかし、これだけスペースを与えてもらえれば好き勝手にやれてしまう。

 浦和はシュート・CKの数で上回ったが、決定的なチャンスは少なかった。
この試合の構成だと原口に得点能力が求められるが、
若手に試合を決めるプレーを要求するのは厳しいところ。

 浦和はチームの構築中なので、敢えてチャレンジしたのだと思う。
ただ、あれだけ客を集めていて金のあるチームが、
選手補強が不活発で10代の選手を使わなければいけない状況なのはなんとも。
去年の選手補強が大失敗だったのは間違いないが、
細貝を右SBに使わなければいけない現状は厳しいものがある。


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