生まれてこのかた、いつも国産ワカメや鰹節をあたりまえに食べてた私は、
ワカメがどんなプロセスでできるのかなんて考えたこともなく、
震災で気仙沼の水産加工の社長さん、熊ちゃんに知り合うまで気にもかけなかった。

海に行くとゆらゆらしてるのをとって、これは天然ワカメ?食べれんのか?
などと思いながら拾ってきたもんだ。

時々熊ちゃんと電話で話すことがあり、ある時
「熊ちゃん、つかぬことを伺いますが、ワカメって どうやって作るの?」と
今更ながらの恥ずかしい質問をしてみた。

なんかローブみたいのにワカメの種を植え付けるらしい。

そして私の頭は一気に中学の理科の時間に戻ったんだな。

そーいえば海藻は胞子で増えるんじゃん!

熊ちゃんに、よくわかりましたねーと誉められ、
先生に当てられ、うまく答えられた生徒みたいな気分で更に質問。

なんで同じ三陸ワカメでも、今まで食べたことないくらいに、熊ちゃんとこのワカメや昆布はうまいの?
柔らかいし。
とくに生昆布なんて生まれて初めて食べたわ。

「えーとですね、海も外洋と内洋とありましてぇ・・・」

以下詳細は、お刺身ワカメの袋の裏にこんな風に書いてあるのです。

三陸海岸唐桑半島は宮城岩手の県境に位置し、
数々の連邦から湧き出づるミネラル豊富な水が広田湾に注ぎ込み、豊かな漁場を形成しています。
親潮と黒潮がぶつかりあう外洋の荒波で、育った肉厚で良質な若布と昆布になるわけです。

なぁるほど。人間もワカメも、甘やかされてぬくぬく育つより、荒波に揉まれたほうが、いいってことよね。
と勝手に哲学的に解釈し、どーりで旨いわけだわ。と感心。
ワカメの袋には、そういえば、「肉厚、外洋育ち、三月 早採り」と書いてあるわ。

震災がなければ、こんなふうにワカメの袋の文字を読むことなど、私の人生になかっただろう。

そして、津波で全て流されたワカメ作付けのための施設を、熊ちゃんたちは毎日頑張って作り、
いよいよ種付けをしたらしい。

そして太陽の光にあて(光合成ってやつよ、こんくらいは私でもわかる)、
出てきたワカメちゃんたちを、今度は、間引く作業に入るそうだ。

ほんとにお百姓さんが野菜や果樹を作るのと同じなんだね。

こうして、手間暇かけたワカメや昆布が来年三月に採れるまで、熊ちゃんたちは、
今年はいつもの何百倍も感慨深い思いで、その成長を待ち焦がれ見守るのだろう。

こんなドラマがワカメにもあると思うと、来年の初採りワカメ。
私涙なくしては食べられないと思うのだ。
塩抜きしたワカメにまた涙の塩味がついちゃう。

熊ちゃんは、今回長野に来られなかったけど、いつか私が唐桑町にいって、ワカメ見学させてもらおう。

こうして山の者と海の者がお互い繋がって解り合っていくなんて、素敵じゃない!

みんなも何か食べる時、袋に書いてある「生産者メーセージ」なるものを読んでみては如何だろう。
また違う味わいを楽しめるよ。

私もリンゴや梨を作ってる時には、一つの林檎が出来るまでの一年の歴史を
みんなに知って欲しかったから。

そうすると、食べる時に何だかわくわくするんだよ。
口に入る命に感謝できるから。

それを生業としてる私は幸せ者だと思う。

「 美味しい 」の一言は、食材を作る人と料理人と、食べる人のハーモニー だと思うから。

マルヤマ生わかめ
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