2009年11月

2009年11月26日

 小泉首相から知財立国が掲げられ、著作権もにわかに脚光を浴びてきました。

 先日キャラクターDBというキャラクタービジネスをされている方とお会いしました。その方のお話では、2008年のキャラクター小売市場規模は、昨年比96.4%の約1兆5,406億円。全体としては、5年連続で市場は減少しており、海外のライセンサーも撤退が多くなっているとのことでした。
日本の市場が縮小しているんですかね。さびしい限りです。

 一方でキッズ層や食品などで、キャラクターを使いたいというメーカー側の要望も強いとのこと。不況で物が売れないので、商品のパッケージにキャラクターをつけることで、売上を上げたいということです。

 具体的に商品パッケージなど例でいえば「キャラメルコーン」。
みなさん「キャラメルコーン」といえば、赤い色のパッケージで、甘いキャラメル味のスナック。
このパッケージデザインが変わっていたのは皆さんご存知でした?

 キャラメルコーンのパッケージのデザインですが、昔は赤い袋に、真ん中にキャラメルコーンの写真が入ったデザインだったのです。
 しかし、倒産を機に、心機一転パッケージのデザインに「キャラメル・コーン君」という「顔」をデザインしたんです。
(他にも、キャラメル・ロースとアーモンド君など一連のキャラクターがいます。)
 このようにパッケージを変えたら売上が上がったというのです。
 つまりみんな昔食べたことがあるので、パッケージがかわいくなると、「あっ、キャラメルコーンだ。かわいいパッケージ!何か変わったのかな。」ということで、もう一度手に取ってみるんですかね??

 日本の個人消費は、冷蔵庫も洗濯機もテレビもすでにみんな持っているので、ある意味飽和している、つまりもう欲しいものはないといえます。

 さらに消費をしたいと思うには、このような人達に「楽しさ」を与えることが一番はやいと思います。
キャラメルコーンの例でもありますが、今後商品のデザイン(意匠)やキャラクターなどがもっと注目されるのではないでしょうか。







mekiki888 at 00:00コメント(0)トラックバック(0)著作権 

2009年11月23日

 実用新案登録とは、簡単にいうと簡易な小発明を保護する制度です。

 特許との違いは、特許は審査を行ってOKが出て初めて登録になるのに対して、実用新案はとりあえず6か月程度で無審査で登録になります。

 そのため、特許であれば誰かが権利侵害をすれば直ちに訴えることができますが、実用新案登録は特許庁から評価書をもらったうえで権利行使をしなければなりません。つまり、特許が事前審査であるのに対して、実用新案登録は事後審査なのです。

 また、特許は有効期間が出願から20年なのに対して、実用新案登録は出願から10年と短くなっています。ただ、料金的には特許に比べると少し安くなっています。

 一方、実用新案登録は、製造方法などは保護できませんが(これらは特許のみです)、物の発明(例えば、装置や部品など)は同じように権利を取ることができ、有効と認められれば同じように相手の製品を差し止めたり、損害賠償ももらうことができます。

 前にも書きましたが、現状では特許を取ったからと言っても裁判ではなかなか勝つごとができないので、安心できません。

 しかし、まったく何もしないのでは、競争相手に特許を取られてしまい、あとで反論をしようとしても、まったく武器(特許や実用新案)がないのでは、相手の言うままになってしまいます。

 やはり中小企業は初期費用がかからない実用新案登録を活用してみるのも有効な知財戦略だと思います。実用新案登録後でも、出願から3年以内なら特許へ変更することもできますので、製品発売後の反応を見て変更することもできます。
 また、初期費用がかからない分、浮いたお金で実用新案登録をもとに、国際特許出願をしておくのも将来に向けた戦略だと思います。

 実用新案登録をする場合、内容が公開されるのが6ヶ月後(特許は1年6ヶ月後)で早かったり、また補正が事実上できないので、権利範囲の書き方などは空が要りますが、これらに注意すれば中小企業にとっては十分使えると思います。

 ビジネスモデルをおさえるためには、ソフト的な面だけでなく、実用新案でハード的な面もしっかり押さえておくことが重要だと思います。

 さらに、デジタルタイムスタンプを活用して、先使用権・著作権等も確保しておけば、コストをかけずに、中小企業の知的財産を保護することができます。
このデジタルタイムスタンプのシステムは、近いうちに弊社でサービスを開始します。

 この仕組みが中小企業の知的財産保護に役立つと確信しています。

mekiki888 at 00:08コメント(0)トラックバック(0)特許 

2009年11月20日

先日、特許庁の審判官と電話でやり取りをして、なんとかビジネスモデルの特許が取れることになりました。

この件は、いまから7年前に出願した件で、審査から審判まで言っていたのですが、ようやく特許になりました。

うれしいですね。これだけ時間をかかってしまいましたが、なんとか取ることができて。

ビジネスモデル特許の特許率は、以前は8%程度とかなり低い数字でした。
つまり、10件審査を受けても1件通るかどうか。
(ちなみに、特許全体では、特許率は約50%ですので、10件審査を受ければ5件は通ることになります)

でも、最新の統計では15%と特許率は倍増しています。

この理由を特許庁の方に聞いたのですが、おそらく明細書を書く方が、どのようなポイントを抑えて書けばよいか分かってきたからでしょう、とおっしゃっていました。

うちの事務所ではなるべく特許庁の審査官や審判官のかたと面談して、その場で説明して理解していただくこと心がけています。

説明するのは、面倒なようですが、私たちにとっても、そして審査をする側にとっても発明のポイントが分かるので、無駄な手続がなくなり、結果として効率的だと思います。

うちの事務所のお客さんでも、昔は全く面談はしたことがなかったという会社様でも、いまでは可能であればほぼ全件面談を希望されるようになりました。

発明を言葉で表現するのは本当に難しいですね。でも、それだから、この特許の世界は奥が深くて面白いですね。

mekiki888 at 00:00コメント(0)トラックバック(0)特許 

2009年11月18日

 みなさんユニクロは行ったことがありますか?
 私の事務所の最寄り駅である渋谷には、駅の中のちょっとしたところにまでユニクロのお店が入っていて、「こんなところまでお店が。。」と非常に感心しました。

 この不景気なときに、ユニクロは非常によい業績をあげていますよね。
 以前は、フリースで一大ブームを巻き起こし、一次停滞した時期もありましたが、今回はヒートテックで大きな成功を収めています。

 またグッチ、エルメス、シャネルなどといった、いわゆる「ブランド」は、好況・不況に関わらず、愛されています。自分のお気に入りのブランドが出しているバックや靴などを買い揃える人も多いと思います。

 一方で、ヒートテックだから買うという人はひると思いますけど、「ユニクロ」が出しているからこの服を買う、という人はあまりいないのではないでしょうか?

 これらは何が違うのでしょうか?

 いわゆる「ブランド」には、グッチであれば「グッチョ・グッチ」、シャネルであれば「ココ・シャネル」、エルメスであれば「ティエリ・エルメス」三代目の「モーリス・エルメス」など、創業者たちの思想・精神が反映しています。創業者たち個性的な「美への追求」が服、宝飾、バッグなどに表れているのです。

 これらの精神は、時代を超え、地域を越えて不変なものであるといえます。
だからこそ、時代をこえて、また地域を越えて世界で愛されているのです。

 自分たちの製品・サービスも、「ブランド」にまでに高めることで、好不況に左右されないところまで高めることが必要なのではないかと思います。

mekiki888 at 00:29コメント(0)トラックバック(0)商標 

2009年11月13日

 日本国内での特許出願件数は年間40万件前後で、そのうち、だいたい半数の約20万件が審査請求され、そのうち審査の結果半数の約10万件が特許になっています。
 これは世界でもトップクラスの数字です。

 ところで、この特許になったあと、いざ特許権を行使しようとすると、実際訴訟件数は、2006年から2008年までの3年間で、東京及び大阪で125件くらい判決がでています。

 しかし、そのうち特許権者が勝った割合(勝訴率)はわずか24%です。

 しかも、負けた76%のうち、裁判の中で特許が無効にされたケースが約67%にものぼるのです。

 つまり、特許をとっても権利行使を使用とすると80%近くが負け、さらに訴訟で負けるだけでなく特許までも無効になってしまうという、踏んだり蹴ったりの状況になってしまっているのです。

 なぜこのような結果になるのかというと、転機となったのは2000年のキルビー最高裁判決です。この判決で、今までは特許庁だけが特許を無効にできたのに、裁判所が特許侵害訴訟の中でも特許無効の判断できるようになったのです。

 これにより、特許侵害訴訟で、特許の無効が争われるケースが2000年には11%であったものが平成19年には63%に増加したといわれています。また、侵害訴訟の中だけでなく、無効審判が繰り返して請求されることで、特許権者は防御のため疲弊してしまいます。大企業からすれば「時間とお金を掛ければ潰すことができない特許はない」とまで言われています。
これは、実質上、中小・ベンチャー企業は特許とっても、それを活用することができなくなってしまいます。

 これでは、日本で特許を取っても全く意味がなくなり、いずれ日本全体でも特許を取ろうとす企業が減ってしまいます。また特許が取れず守られないのであれば、日本に対する海外からの投資も減ってしまい、日本の産業が衰退してしまうことは目に見えています。

 また、ソフトウェアの世界では、オープンソース、オープンAPIなどが進むことで、いっけんユーザはメリットがあります。
 しかし、特許がないと人的・資金的資本が勝る大企業が絶対的に有利とななってしまいます。つまり、例えば、せっかく中小・ベンチャーがよいソフトウェアを考えて提供していても、特許がなければgoogleなどの大企業が全てフリーで提供してまったら、たちどころに中小・ベンチャー企業は、収入の道が立たれ、ビジネスができなくなってしまうのです。
 特許が保護されないと、長い目で見ればよい技術を持った企業を育て、競争の中でさらに良いものを作り出していくことができないのです。

 では、中小・ベンチャー企業は、どうすればよいのでしょうか?

 私は、特許を活用するのであれば2つのやり方しか、本当に特許を活用できる道はないと思います。

戦略1.特許ポートフォリオを創る
 1つの技術について突き詰めて複数の特許を取得する。
これで、特許を1件1件無効にするのは相手は費用に費用と労力がかかります。特許束になってやることで、1件1件の特許がさらに強さを増してきます。

戦略2.海外特許を活用する
 海外特許、特に米国特許を取得する。
 これで、日本ではなく、米国で特許訴訟を通じて交渉できます。
 米国ではアメリカでは特許の有効性が推定され(米国特許法282条)ます。極端な例ですが、テキサス州東部地区では、いままで特許侵害訴訟で特許無効とされたことがない、というところさえあります。

 いずれも費用はかかりますが、現状ではこれしかないと思います。

 私も、日本の中でがんばっている中小・ベンチャー企業にもビジネスで成功するチャンスを、知的財産を通じて与えて、日本を元気にしていきたいと思っています。

mekiki888 at 16:14コメント(0)トラックバック(0)特許 

2009年11月10日

 最近、うちの事務所で扱っている中小企業の特許を、外国に出願することが多くなっています。特に米国や中国などが多くなっています。


 その中で米国での特許の取得ですが、最近はRCE(継続審査要求 Request for Continued Examination)に行くケースが非常に多いということを聞きました。コンピュータ関係では、半数くらいがRCEに行ってしまうということです。


 その原因はいくつかあるのですが、最初から明細書が形式的な問題を含んでいたり、代理人・審査官と上手くコミュニケーションができていないなどの理由があるようです。


 また、米国の審査官はポイント制度を採っており、1件審査するごとにポイントがもらえ、年間で何ポイント稼ぐかノルマが課されています。
担当した出願がRCEに進むと、担当審査官はポイントを獲得でき、それが審査官のノルマ達成に寄与するので、審査官としてRCEに進ませたいという思惑もあるようです。


 出願人側としては、RCEに進んでしまうと、時間もお金も余分にかかってしまうので大きな問題です。


 このようなケースにならないため、うちの事務所では以下のことをお客様にお勧めしています。

(1)出願当初の翻訳文の内容を現地代理人にチェックしてもらう。  単なる日本語の直訳で出願するのではなく、アメリカの形式的なミスや誤訳などをなくします。形式的なミスなどをしていると、それだけで特許庁の審査官はそのクレームを審査してくれず、こちらの言っていることと審査官が指摘していることがすれ違ってしまします。
また、PCTの場合、Preliminary Amendmentを使ってこれらの米国にあったクレームとしています。

(2)ファーストアクションでの対応 
 ファーストアクションの内容やこちらの発明のポイントについて現地代理人に十分説明をする。
 結果的にファイナルアクションがくるケースも考えて、この時点でクレーム数をなるべく多くしておきます。
 また、現地代理人が十分に理解していないために、適切なインタビューができずファイナルアクション、RCEに進んでしまったケースもあります。
 うちの事務所では、ライセンスなどを控えた案件では、ファーストアクションの段階で、直接米国に行って、現地代理人に説明し、特許庁の審査官に一緒にインタービューに行ったこともあります。おかげで、この案件は早期にこちらの思ったように特許化することができました。

 最初の段階での費用が多くなってしまうので翻訳文のチェックや現地代理人との対応について、尻込みする方も多いのですが、ファーストアクションだけで特許になれば、途中経過の対応した内容を元に後で権利解釈を狭められるリスクが減りますし、RCEに進んでしまった場合のトータルなコスト、特許化までの時間などを考えると初期段階での対応がお勧めです。








mekiki888 at 10:19コメント(0)トラックバック(0)特許 

2009年11月06日

 みなさんはどんなときにひらめきますか?

 頭がスキッとしたときには、ひらめきやすくなりますよね。
 FRISKのCMはご覧になったことがありますか?FRISKのCMでは、トイレや、風呂など色々な場面でアイデアがひらめきますね。でも会議ではなかなかひらめかない。。。と皮肉っていて、とっても面白いですね。

 わたしは散歩をしているとよくひらめきますね。
 この前も、赤坂からオフィスのある渋谷まで歩きましたが、その間いろんなアイデアがひらめきます。

 アイデアの発想法は人それぞれだと思います。

 以前、二人でアメリカに出張したときも、この機内で1件発明を創ろう!と決めて行きました。時間が限られ、また飛行機というもう逃げられない環境におかれると、最終的には発明が完成しました。
 そして、それを帰ってきてからまとめて特許出願しました。

 このように、時間や場所を決めてしまうというのも一つのやり方だと思います。

 また、浮かんだアイデアはかなならず書き留めておくことが重要です。
後で思う出そうとしても、すっかり忘れしまいします。

 アメリカでは、ちゃんとそれを「ラボノート」という形で書きとめている人が多いのです。なぜかというと、それが将来凄い価値を生むかも知れないからなのです。

 実際、フェイスブックの創業者のマークザッカーバーグは、ハーバード大学次代のクラスメイトから、SNSのサイトのアイデアを盗用されたとして訴えられ、なんと6500万ドルの和解金を支払っているんです。

http://www.usfl.com/Daily/News/09/02/0212_032.asp?id=67538

さすがアメリカですね。


mekiki888 at 17:26コメント(0)トラックバック(0)特許 
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弁理士  粕川敏夫

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