よく患者さんからも聞かれるのだが、ジェイゾロフトの副作用で太るから飲むのが嫌だ、というのをよく耳にする。

 現在、うつ病の第一選択薬と言ってよいほど頻用されるSSRIだが、一応紹介しておくと5種類の銘柄の薬が存在する。


 ・パキシル®(成分名:パロキセチン)

 ・ジェイゾロフト®(成分名:セルトラリン)

 ・デプロメール®、ルボックス®(フルボキサミン)

 ・レクサプロ®(エスシタロプラム)





 で、よくある質問については予めここで答えておく。


 ①「デプロメール」と「ルボックス」は同じ薬なのか?

  ⇒同じ薬です。売ってる会社が明治製菓ファルマ(株)か、アボット(株)か、が違うだけです。



 ②「レクサプロ」ってあんまり聞いたことがない

  ⇒2011年7月に出たばかりの薬です。抗うつ薬に定番だった、薬の量の調節が必要なく、また断薬症状や再燃が少ないと言われている新薬です。

   要するに、深く考えずに気軽に飲めて、早く効いてよく治る、というやつです。




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   すこしマニアックな話をすると、レクサプロ®は、日本では出回っていないシタロプラムというSSRIの薬の光学異性体のS体のみを取り出した薬です。

   ジルテック®のS体だけを取り出したザイザル®や、オメプラール®のS体だけを取り出したネキシウム®とかと同じです。

   ちなみにR体はダメなのかというと、ニューキノロン系抗菌薬のクラビット®はR体です。

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 そもそも、副作用として「体重増加」が添付文書に記載されているのは「パキシル」のみで、しかも発生頻度は国内臨床試験で0.2%です。  引用)GSK社:パキシル錠®インタビューフォーム

 更に、SSRIの作用と体重増加との因果関係をはっきりと報告している研究結果はなく、むしろ


 「うつ症状が快方に向かい、元気になってくると、よく食べるようになって、体重が元に戻ってくる」


 という、別に何の不思議もない単純な理由を報告している論文があるほどです。  引用)Maina G et al:J Clin Psychiatry 2004;65(10):1365-1371






 さて、本題のジェイゾロフトですが、添付文書を参照すると、副作用の項目に、確かに「体重増加」という記載はあります。

 が、同時に「体重減少」という記載も並んで記載してあります。

 どちらも発生頻度は1%未満です。


 要するに、体重は1%くらいの人で変動する、というだけの話です。

 むしろ薬理学的に言えば、ジェイゾロフトはラット等の動物実験時に、胎生期の体重増加を抑制するという研究結果があるほどなので、ジェイゾロフトが原因で体重が増えるということは、まずあり得ないでしょう。  引用)ファイザー社:ジェイゾロフト錠®インタビューフォーム

 他の原因を考える方が妥当です。




 他の原因というのは、さっきも出てきた


 
  「うつ症状が快方に向かい、元気になってくると、よく食べるようになって、体重が元に戻ってくる」




 というやつです。


 至極、当然の理屈だと思います。























 ただし、たまに見落としがちなものに、SSRIを服用中の患者さんというのは、他にも色んな薬を飲んでいる可能性が高い、という点です。

 特に、スルピリドという成分の薬・・・ドグマチール®や、ミラドール®、ベタマック®等の薬は、食欲を増加させる作用があるので、SSRIと一緒に服用していると、食欲が増えて体重も増えることはあり得る話です。

 が、それはあくまでSSRIではなく、スルピリドの作用なので別問題です。













 ベタマックとジェイゾロフトを3月から2ヶ月服用し続けた自分は、体重が一時13kg近く落ちました。

 うつ症状がひどくて、ほとんど食べ物が喉を通らなかったからです。

 ストレスで過食になるタイプではなかったのも原因の一つですが、ジェイゾロフト飲んだ → だから太る、ということはほとんどありません。 



 最近、リフレックスに切り替わって(リフレックスには体重増加の副作用あり)、更に快方に向かいつつあることもあり、体重が既に3kgほどリバウンドして増えてますけども・・・。