2007年02月05日

金利を上げる、ということの主な効果

 ■ 山崎元   :経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

 金利を上げる、ということの主な効果は、次のようなものです。簡単化のために、
「減る」とか「下がる」など、断定的な言い方をしていますが、その他の条件を一定
として、金利が上昇すると、理屈上はどうなるか、という原則の話です。

 先ず、いわゆる「景気」と「物価」に対する理屈上の影響で、マクロ経済の視点か
らは、こうだ、という点を挙げてみましょう。
(1)資金のコストが上昇するので設備投資が減る。
(2)消費よりも貯蓄が有利に変化するので消費が減る。
(3)上記の二効果の影響で経済全体の需要(総需要)が減り成長率は下がる。
(4)総需要が減るので失業は増える(又は失業の減りが鈍る)。
(5)総需要が減るので物価の上昇は抑えられる。

 次に、資産・金融市場への影響と波及効果を考えてみます。
(6)債券・株式・不動産など「資産」の理論価格は下がる。
(7)年金基金、長期の生命保険契約など長期の「負債」の側の現在価値は減少す
る。つまり、年金、保険の財政は、改善する。
(8)為替レートには円高方向に影響する可能性が大きい。ごく狭い理屈の上では、
スポットの為替に円高、フォワード(将来の受け渡し)に円安の圧力が掛かりやす
く、「円高要因」と言い切れないが、現実的には、他通貨との金利差が円資産有利に
動くので、円資産での運用がより有利になり、また、円借入(いわゆる「円キャリー
取引」など)が減るので、かなり強力な円高要因になる可能性がある。尚、総需要減
少の影響は、経常収支改善(輸入が減るから)が円高要因であるものの、日本への直
接投資の収益性を不利にする(外国から日本への投資が減る)円安要因と両方があっ
て、はっきりしない。現在の状況では、利上げは円高要因であろう。
(9)円高によって輸出が減り、景気にブレーキが掛かる。
(10)資産価格の下落は消費にマイナスに働くので景気に対してはブレーキ。

 以上は、ごく常識的な理解だと思います。一部の消費業界の経営者などに「金利が
上がると、貯蓄の利息が増えて、特に、貯蓄をたくさん持っている高齢者の消費が増
えて、景気が良くなる筈だ」という議論があるらしいのですが、さまざな条件を付け
ると、差し引きしてこのような効果が絶対に現れないとは限りませんが、貯蓄が消費
に対して有利になることと、その他の景気に対するブレーキ要因(投資の抑制、円高
による輸出減少など)を考えると、常識的には、利上げは、消費に対してマイナス効
果だと考えておいていいと思います。

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