まだ暖かい初秋の頃
山手通りを歩け歩けに参加する方々が
地図か何かを片手に歩いてゆく。

主な参加者は50~60代ぐらいの方だろうか。
若い方もちらほら見える。
ひとりで歩く者、2,3人で並んで歩く者
それぞれが、この気持ちいい日を楽しんでいる。

前にいるのは3人のお母さんたち。
小ぶりのリュックにウォーキングシューズ
帽子もかかせない。
リュックサイドのぽっけにはミネラルウォーター
正面のファスナーには鈴。

私の母も鈴が好きだ。
バッグからお財布にまで鈴がついている。
何のために???と、いつも疑問に思っていた。

お財布に鈴がついていれば
カバンの中から探す時
誰かに持っていかれぬようの用心となる。

今年の夏にも
「鈴いらない?」と聞かれた。
「うるさいし、いらないよ」
寂しそうな母の顔をみることになる。
鈴をつけているお母さんたちを見ると
何だか他人のような気がしない。

でも、お母さん
弟の彼女が泊まりにきた時に
のれんに鈴をつけたのはマズかったよ。
監視されてるみたいだって。
母なりの気づかいなんだけどね。

猫に鈴。
狭いところや物陰が好きな飼い猫には
確かに必要、居どころがわかる。
親とは、私たち子どもにも鈴をつけることによって

離れていても安心を得るのだろうか。

とすると、つけるつけないに関わらず
鈴はもらっておくべきだったと反省しかり。

通勤電車で目の前に座る上品そうなおばさま
そろそろ降りるのだろう
ハンドバッグの中を探っている。
ご多分にもれず〝チリンチリン〟と鈴の音がして
遠くの母を想い起こす。