March 12, 2005

そろそろ見回ってみましょう

新著作権法のもとで、還流盤CDの輸入差止が可能になって二ヶ月あまり。レコード協会および税関のウェブサイトの対応も出来てきたので、ここらで見回ってみましょう。いろいろ書くべきことも溜まってきたしね。

先月、とある雑誌に原稿を書くためにチェックした時には、レコード協会のウェブサイトにある「輸入差止申立に係る対象レコードリスト」 (1月末付け)には17点がリストアップされていました。
それが一カ月後の2月末にはどうなっていたかというと、24点に増えています。
・・・ん? というより、7点しか増えていないというべきか。
http://www.riaj.or.jp/all_info/return/pdf/r_list.pdf

しかも、このリストは「輸入差止申立予定」のCDタイトルのリストです。2月末にはそのうちの三点が「受理済み」になっています。エーベックスのEXILEが二点、同じくエーベックスのDo As Infinityが一点。それ以外は「申立予定」のままです。
ということは、1月末に「申立予定」になっていた残り14点は、1カ月後にも受理されていないということですね。
そこで、税関のウェブサイトで検索してみると、結果はこんなことに。
http://www1.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/ipstsrc.htm
エーベックスのEXILE二点しか出てきません。Do As Infinityが出てこないのは、税関が情報のアップデートを怠っているから? あるいは、レコード協会の勇み足?
あと、この税関のウェブサイトでは、検索結果が「受理された輸入差止申立」なのか、それとも「申請中の輸入差止申立」なのかが分かりません。たぶん、受理された申立だとは思われますが、このあたりは分かりやすく明記して欲しいものです。

さて、そこで疑問が湧くのは、なぜ、エーベックスの三点(二点?)は受理されて、残りの数社の14点は受理されていないのか、ということですが、んー、ひょっとすると、「輸入差止申立予定」というのは、レコード会社の「予定」でしかないからかもしれません。
二月中にリストは17点から24点に増えましたが、この増えた7点のうち6点はエーベックスのタイトルです。つまり、エーベックスは新著作権法による還流防止を積極的に利用しようとしている。しかし、その他のレコード協会加盟社は2月の一ヶ月間に1枚しか「申立予定」をリストアップしなかった(それまでリストに名前のなかったビクターのSMAPだけが増えています)。そして、1月に「申立予定」にリストアップされていた14点も、その後に動きがないことからすると、実際には税関に申請していないのではないか?という憶測も湧いてしまいます。

というのも、その14点のタイトルはすべて2月までにアジア諸国でのリリースが予定されていました。つまり。現地での発売日はもう過ぎてしまっています(ビクターのSMAPも過ぎていますね)。しかし、現状は「申立予定」に過ぎず、税関のウェブサイトでも輸入禁止品目とはされていませんから、輸入は可能です。
が、実際に輸入されているかどうかは分かりません。たぶん、されていないでしょう。輸入業者がまだ「申立予定」だからといって、オーダーをするとは思えない。明日には「受理済み」にフラッグが変わるかもしれないのですから。

と考えると、エーベックス以外の各社の14タイトルが「申立予定」のまま日にちが過ぎていることは、望ましいことではないですね。税関に対して、きちんと書類を揃えて申請しなくても、ウェブサイトで「申立予定」のフラッグを立てておけば、輸入業者に対して威嚇的に働き、実質的に輸入規制できてしまう。それはズルというものです。法律があるのですから、ちゃんと法律を使ってやるのが筋。が、現在のところ、そういう姿勢を見せているのはエーベックスだけに見えます。

2月中に「申立予定」のリストを増やさなかったレコード会社が、3月以後にアジア諸国で邦楽CDの発売がないわけではないでしょう。1、2月には十数点あったわけですから。
にもかかわらず、「申立予定」すらも増えなくなっている? あれほど望んだ法律が出来たというのに使わないとしたら、とんだ税金の無駄遣いというものです。反対した僕ですら結構なお金を使いましたから、推進した人達は途方も無いお金を使っているはずです。そして、その施行には日々、税金が使われているのです。

ともあれ、1カ月以上、「申立予定」から動きがない14点については、このまま放置されるのは困ります。申立が受理されなかったのなら、そうフラッグを変えてもらいたいですし、申請自体が行われないまま、現地での発売日を越えて、日数が過ぎてしまったのなら、「申立予定」を取り下げてもらわないと、トラブルの種にもなります。これらのCDは現状はすべて輸入可能なわけですから。
早くに情報を流すという意味では、「予定」というフラッグにも意味があるとは思いますが、リストには「予定」「受理」だけではなくて、「申請中」というフラッグが欲しいですね。「予定」だけで威嚇を続けるのはフェアではない。

もうひとつ、この「輸入差止申立に係る対象レコードリスト」を見ていて気づくのは、韓国以外のアジア諸国では、多くの場合、邦楽還流盤のレコード番号が共通だということです。たぶん、台湾やシンガポールで各国盤を一括生産しているのでしょう。そこで考え及ぶことがあるのですが、今日は時間が尽きたので、それはまた次の機会に。

memorylab at 02:43│Comments(0)TrackBack(7)

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