March 28, 2004

死にかけました

今もまだゾ〜ッとするというか、胃のあたりからイヤ〜な感じが昇ってきて、物が食べられ なかったりする。本当に死んでいてもおかしくなかった、と右側の首に手をやりながら思います。

今日の午前中。時差のせいで、ゆうべは明け方に寝たにもかかわらず、早起きしてしま った僕は思いついたことを実行することにした。それは今、寝ている二階の部屋のカーペット をはがすこと。部屋の物(といってもベッド以外はほとんど段ボール)を外に出して、 カーペットをくるくると巻いて・・・しかし、6畳間大の厚手のカーペットというのはかなりの大 きさ&重量で、これを階段から下ろすのはひとりでは困難だということに思い当たった。 じゃあ、屋根に出して、転がして落してしまおう。そう考えて実行。カーペットは勝手口の脇 の物置の横にどさっと落ちた。
落ちたカーペットを拾いに外に出ると、母親が庭仕事をしていた。カーペットは物置の軒下に 入れておいて欲しい、ということだったので移動する。そこで、予定にないことを始めてし まったのが、事の始まりだった。物置の戸を開けてしまったのだ、僕は。

物置には祖父の書物と父のガラクタが詰まっている。未整理でめちゃめちゃな状態なので、 そのうち整理して、自分の物も保管できるスペースを作りたいと僕は考えていたのだが、 やり出したら大変だからまだやらないでくれ、と母親から釘をさされていた。が、どういう 状態なのか見たくて、何となく、戸を開けた。すると、母親が後ろからガラクタの一部を 不燃ゴミと一緒に捨てるから外に出してくれ、と言った。
じゃあ、やりましょうか、ということで何となく、手前のものから外に出す。が、こういう ことは始めるとすぐにキリがなくなる。これを出すには、これをどかして、だったら、いっそ のこと、ここを整理して、といつのまにか大仕事になってしまった。

祖父の書物は見てみると、価値のありそうなものだ。たぶん、大正時代のものだろう 世界美術全集がある。フランス語の本がある!と思ってみたら、どうやら、外遊した時に ルーブル美術館で買った美術書のようだった。「コレは売れるかもね」などと母親と話す。
一方、父親の残したものは正真正銘のガラクタだ。彼は物を拾ってくるのが好きだった。 この性癖は僕にも引き継がれているが、父親が拾ってくるのは、何に使うでもない巨大な ガラクタが多かった。物置で一番スペースを占有しているのは、どこかの商店からもらって きたと思われる円形の商品陳列棚だ。これを家族は何度も捨てようと試みた。十年くらい前 に僕が物置から出して、捨てることに成功しかけたのだが、帰ってきた父親に見つかって、 結局、物置に戻さねばならなかった。

その陳列棚を今日こそはと外に出す。「一体、何のためにこんなものを大事に持っていたんだろう?」と 悪態などもつきながら。他には巨大な大理石の板があったりもする。そのへんも全部、整理する。 整理したら、畳ニ畳分くらいのスペースができた。これでオレのボックスが置けるぞ。
そこで終りにしようと思ったら、後ろから母親が奥の壁に立てかけてあった、僕の背丈くらいある 金属の板も外に出せ、と言う。これは不燃 ゴミにも出せそうにないので、僕はそのままにしようと思って手を触れずにいたのだが、じゃあ、やります か。と、それに手を触れた瞬間にガツンとショック。何が起こったのが、すぐには分からなかった。 たいして痛くはなかったが、右側の首の頚動脈のあたりに、硬いものが当たったようだ。 何だか分かってから怖くなった。右側の壁に立てかけてあった、これまた僕の背丈くらいある ガラス板が途中で割れて、倒れてきたのだった。
「切れてないよね」。母親に見てもらう。幸い切れてはいなかった。 しかし、見る間にミミズ腫れにはなっていく。怖くて怖くて仕方なくなって、家に入った。 鏡を見ると、頚動脈の上に赤い筋がついている。僕の髪が伸びていて、首のあたり までかかっていたから、助かったのかもしれない。でも、当たったガラスがもうちょっとだけ 鋭利だったら、スパッと切れていただろう。
母親も動転していた。「こういう旧い場所を触る時は私はいつもは仏壇に行ってからやるのに、 今日はあなたとなんとなく始めちゃった」。その通りだと思った。

仏壇にお線香あげて、コーヒー飲んで、気分を変えるために買い物に。ホームセンターでインスタント・ モルタルを買って、昨日、見つけた壁の穴を自分で修復することにした。これが結構、大変かつ面白い 作業で、普段だったら、このネタだけで長い日誌が書けただろう。一仕事終えて、時差で眠くなってきた ので昼寝・・・しようかと思ったが、寝ようとすると、いや〜な感じが戻ってくる。首はずっとヒリヒリ しているし、「ドニー・ダーコ」じゃないけれど、違う結果だった方のストーリーが物凄くリアルに思い 浮かんだりする。本当はあそこでオレは死んでいて、その後、壁を埋める夢を見ていたんじゃないか、とか。
なことを思うと、怖くて眠れなくなって、もう一仕事。二階の部屋の壁の浮きをなおすことにした。 電動ドリルでがんがんなおす。本当は今日はこんな予定じゃなかったのだが、そんなことでも しないと気が紛れない感じだったので。
思ったけれども、墓荒しとかが祟られて事故死するというのは、こういう感じなのかもしれないですね。 なんで、あの瞬間にガラス板が途中で割れて(というか、そもそも割れ目があって、テープで留めてあったようだ)、 僕の首に落ちてきたのか、考えても賦に落ちないし。

皆様も先祖の霊は大事にしましょう。そして、旧い場所に入る時、先祖の物を処分したりする時はくれぐれも ご注意を。

memorylab at 21:41│