May 05, 2004

エンジニアの藤井さん

が昨日、話していたのは、どうやら、次世代CCCDではなくて、SACDやDVD-AUDIOのニュー・ヴァージョンのことのようですね。だったら、簡単にリージョン・コード入りになるだろうな。

シンポジウムから一夜明けて、昼過ぎに電話でTBSラジオの番組に出演。さらに、夕方は六本木のJ-WAVEであしたの「JAM THE WORLD」の録音。どちらも台本の冒頭はスガシカオさんの台湾盤「須賀/微笑」ネタ。なんだか、台湾盤のプロモーションでもしているみたいだ。スガさんは気を悪くしないかな?(ちなみにスガさんの本名は「菅」のはず)と思ったら、あしたスガさんは「JAM THE WORLD」の次の時間帯にJ-WAVEでレギュラー番組を持っていた。還流盤についての感想が聞けたら面白いな。
そうそう、今日まで気がつかなかったのだが、「須賀/微笑」にはボーナス・トラックが入っていました。日本盤にはない11曲目に「彼方的夜空」を収録。ということは、台湾でマスタリングしなおしているのかな。日本のレコード会社が洋楽国内盤を出す時と同じことを台湾のレコード会社もやっているわけだ。でも、「輸入権」が設定されたら、貴重なボーナス・トラックが入っていても、こうした還流盤は買えなくなるわけです。

プロモーションといえば、僕もアルバム・リリース後にプロモーション稼働しているミュージシャンのようなものです。同じプロパガンダを何度も喋るだけだから。僕には向かない仕事だな。同じことばかりやっているのが耐えられない性分・・・なんてのじゃ、運動家にはなれないわけで。昨夜もネットがシンポジウムのレポートで賑わっている中、にわかに再販制度擁護発言なんて始めたり、訳ワカランと言われても仕方ない。
でも、グローバリゼーションと経済/文化障壁の問題とかを考え出すと、何が右で何が左なのか、僕自身、訳分からなくなる。頭悪いのかもしれない。スティーヴ・ジョブスくらい頭が良かったら、コピーライトの未来を見渡せるのかな。

ジョブスはハードウェア・ビジネスの側からコピーライト・ビジネスに風穴を空けたと言ってもいいのだろうが、両者の確執というのは、日本でもこれから激化するのだろう。でもって、その間を取り持つのが文化庁。もっと言うと、その著作権課課長、吉川晃氏であるようで。
昨年7月に著作権課課長に就任したばかりだというのに、文化審議会著作権文化会の報告書を無視して、「輸入権」創設の法案を提出するという荒技を繰り出した吉川課長ですから、きっと次もあるでしょう。例えば、今日、とある人のメールがきっかけで知った「私的録音補償金制度」の見直しであるとか。
現在は、音楽の私的コピーに使われるMDや音楽用CD-R、あるいは、そうしたメディアへの録音を可能とするハード機器には「私的録音補償金」が乗っています。日本ではこの制度はデジタル録音に限っていますので、私的"デジタル"録音保証金ということになるかもしれない。うちの会社は音楽出版社もやっているので、微小な額ではあるけれど、JASRACを通じてこれを受け取っています(もちろん、それは著作権者に分配されます)。
しかし、ハードウェア・メーカーはこの「私的録音補償金」の意義はもはや失われつつある、という主張を始めているらしい。その理由は、察しの良い方はもう分かったと思いますが、CCCDなわけです(正確にはSACDやDVD-AUDIOもですが)。

コピーガードによって、著作権者、著作隣接権者の権利は守られつつあるのだから、「私的録音補償金」を著作権者、著作隣接権者に支払う必要もなくなっていくだろう。なるほどねえ。ミュージシャンはどう思うでしょうねえ。CCCDみたいな粗悪なメディアでしか自分の作品を発表できなくなった上に、それであなた達の権利は守ったから、「私的録音補償金」はカットします、と言われたら。
「輸入権」の問題では、JASRACは棚からボタ餅と言ってもよく、ただ黙っていれば、輸入盤の減少=国内盤の増大によって、JASRACにも増収がもたらされる、と読んでいるでしょう。しかし、「私的録音補償金」がカットされたり、減額されたりするとしたら、ハードウェア・メーカーとJASRACは真っ向から対立するかもしれない。パソコンでの聴取の増大やipodみたいなものの存在を考えたら、「私的録音補償金」はもっと拡大されるべきという考え方もできるわけだから。文化庁は、あるいは吉川課長はどっちの利益を優先するのでしょう?

というようなことも含めて、あっちでもこっちでもコピーライト・ウォーズが始まっているのが、今なのかもしれない。そして、そのほとんどはリスナーもアーティストも不在のところで行われている。様々な利害が複雑に絡みあった暗がりがあって、「輸入権」の問題もそこから立ち現れてきた。そう考えると、少なくとも、僕は自分がどこに立つべきかは分かってきた気がする。
幸か不幸か分からないけれど、僕は音楽に関わる様々な仕事をしてきた。作詩、作曲も演奏もする。エンジニアになったり、プロデューサーになったり、マネージャーになったり、プロモーターになったりもする。レーベルもやっているし、音楽出版社もやっている。金になることなら何でもやるというか、どれをやっても微々たる金にしかならないというか、まあそんなことはいいや。そんなわけで僕は著作権印税も得るし、著作隣接権印税も得る。逆にそれらを支払いもする。
と同時に、僕はジャーナリスト/評論家でもあり、DJでもある。また、それ以前にヘヴィな音楽ファンであり、オーディオ・ファンでもある。1枚のCCCDからJASRACが得る協会手数料と、米MACROVISONが得るCDS(カクタス・デジタル・シールド)のライセンス料はほぼ同額、なんてことをサッと言えるのは、だからに他ならない。あっちからも、こっちからも見ていますからね、コピーライト・ビジネスを。少なくとも、そこにおいては僕は他の音楽評論家には見えない部分を見たり、言えないことが言えたり出来るようだ。その役目は果たしましょう。暗がりに手突っ込んで、ゴソゴソやってみるとか。あんまり頭良くないし、デジタルな新技術やネット・ビジネス方面には勉強が足りないから、間違ったこと言う可能性もあるだろうけれど。

さて、あしたはLimited Express(has gone?)のクアトロ。そういえば、リミエキ飯田くんの働くツタヤ西院店は輸入盤規制反対の署名を250名分集めたそうだ。京都のコアな音楽ファンを結集させたのかな。ネットや新聞の力を借りてロフトプラスワンに500名集めたよりも凄いことのように思う。
思えば、僕にとっても3月のテキサス以来のリミエキ・ライヴ。めっちゃ楽しみです。じゃあ、クアトロで会いましょう。

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