2007年02月16日

おおきなお金

知りたくもないのに。


少女は昨夜、母に呼ばれた。

そのときだ。すべてを知ったのは。



祖母もそのいとこのおばさんも 一人っこのためにお互いが兄弟のような存在だったこと。

おばさんの借金返済のために祖母が500万貸していたこと。

おばさんはおじさんに借金のことをずっと隠していたこと。

祖母におばさんは一銭も返さないで貸してもらって当然のような態度でいること。

おばさんがヤミ金融からもお金を借りていること。




16歳の少女の胸には入りきらないほどの衝撃だった。

言い表すことのできない、悲しみや怒り、そしてそれが親族であるという繋がりが、少女の胸にどっとこみ上げて 涙となって溢れた。



複雑、という言葉が今は合う、と少女は思った。

ペンを動かすノートの上に、小さな雫が落ちる。

ポツリという音は小さかった。

隣でマンガを読む弟に、気づかれなくてよかった。


少女は服の袖で乱暴に涙をぬぐった。




携帯が 少女の右ポケットで振動した。

メール。


赤紫に光るイルミネーション。開かなくても、わかる相手。



『キッド……』


少女は涙声でその名を漏らした。

無意識に口にしたことにハッとし、ペンを放って、そのまま折り畳んである布団の上に どさっと身を投げた。



開封したら、確かにキッドからのメールだった。


遅れた返事だったが、内容は先ほどと変わらない 音楽の話題だった。




今は沈んでいても、彼からのメールで少女は少し心の安定を取り戻す。

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