赤川安正・昭和大学客員教授(座長)
認知度という点で言えば、ちょうど今週の週刊ダイヤモンドに「20年後も医学部・医者で食えるのか?医歯薬看の新序列」という特集が組まれていて、その中に医療職が全部書いてあるのですが、なぜか歯科技工士が書かれていないのです。看護師や臨床検査技師、もちろん歯科衛生士も書かれてあるのに、歯科技工士は書かれていない。こういうことからしても、認知度がまだ十分ではないのかなと、読んでいて思いました。
(第1回歯科技工士の養成・確保に関する検討会、2018年5月15日、厚労省)


歯科技工士は、はたして医療職か?
認知度の問題ではなく、行政でも医療職として扱っていないことは多々ある。

高橋勝美・株式会社オムニコ代表取締役社長(構成員)
歯科技工士というのは、学校を出て最大限3年辛抱したら非常に良い職業だと感じると思うのです。その人の性格がもともと向いていなければそれはどうしようもないですけれども。例えば、それは経済的な形を見ても、3年たった後に同世代の通常の仕事に就いた人と比べたらはるかにそれから上には上がると思うのです。今の技工士の給与というか、所得という形でいけばです。ある程度になった人は、言葉は変なのですけれども、ラボの社長と飲んだときに、「いやーBMもベンツも飽きたから、次は何を買おうか」という話が出ました。半分冗談で半分本気なのです。
そのように、あるところまで行ってしまえば経済的には非常に良いのです。その辺がもう少し理解できればと言っても、それは確かに20代の学生では難しいとは思うのです。その辺を学校なりで、大変だけれども「こういう良い面もあるよ」ということを少しアピールしたらどうかと。


「歯科技工士というのは、学校を出て最大限3年辛抱したら非常に良い職業だと感じる」の根拠をぜひ示して欲しい。
あとBMもベンツも飽きるぐらいの「ラボの社長」の割合。

赤川座長
それは、何かデータみたいなものはあるのですか。例えば、大規模な歯科技工所に勤める歯科技工士の。 給与所得とかの。

高橋構成員
例えば、水準的なものは出せます。給与でこのぐらいの所得があると。

赤川座長 
そういうデータがあったら、高橋構成員の言われていることが見えますよね。一方で、お話の中からは、 3年の間に辞める人がいる、あるいは多い、ということですか。

高橋構成員 
そうだと思います。

赤川座長 
もし辞めたら、もう歯科技工士はやらないのですか。

高橋構成員 
そうです。先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、親が技工士でも、息子は絶対に継がないと。悪いところだけを見てしまうのです。親がやっていて、更に継いだ人というのは伸びていくと思うのです。

「親がやっていて、更に継いだ人」を複数知っているが、経済的には親以上に苦労している。
全員。
「伸びていく」って、ナニがだろう。