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人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは

人格障害(パーソナリティ障害)


■人格(パーソナリティ)障害とは

人格障害とは、全般的な考え方や振る舞い方の特徴が、社会規範や周囲の一般常識からかけ離れており、しかも思春期頃から始まり生涯を通じて波や変化がなく一定である場合に人格障害と呼ぶ。

人格障害で見られる考え方や行動の偏りは、認知 (自分自身や他人、出来事に関する受け取り方)、感情表現(感情の幅や強さ、情緒不安定、感情表出)、対人関係の取り方、衝動性などである。


要するに、いろいろと感情や行動が逸脱しているわけです。

そして、逸脱してはいるものの、精神病と言える状態まではいっていないのです。

ですから逸脱した行動を取っても、意識はちゃんとしていて、心神喪失状態ではありません。

事件を起こしても、計画性があり、従って責任能力もあるとされるわけです。

そして、逸脱しているがゆえに集団の中では、トラブルメーカーとなりやすいわけです。

簡単に言えば、困ったちゃん、と言うことになります。


周囲の人からは人格に問題があると思われたり、あるいは人格が破綻していると思われたりしますが、実際問題として、その通りなのです。



人格障害がある人は、認知、反応、外界との関係のパターンに柔軟性がなく、社会にうまく適応できないという特徴があります。

人間や出来事に対する見方や関わり方には、誰もが特有のパターンをもっています(人格特性)。

つまり、人はそれぞれ自分なりの流儀でストレスなどに対処しますが、その方法には人によって一定の傾向がみられます。

精神的に健康な人は、最初に取った対応でうまくいかなければ、別のやり方を試してみようとするものです。

これに対し、人格障害の人は、融通が利かず、問題に対して適切に対処できない傾向があり、しばしば家族、友人、職場の同僚との関係の悪化を招きます。

要するに、様々な問題行動を起こします。


こういった不適応は多くの場合、青年期から成人期初期にかけて始まり、時を経ても変わることはありません。

人格障害の人は、自分の思考や行動のパターンに問題があることに気づいていません。

このため自分から治療や助力を求めることはあまりありませんが、その行動が他の人に迷惑をかけているなどの理由で、友人や家族、あるいは社会的機関によって医療機関に連れて来られることがあります。

自主的に来院するのは主につらい症状(不安、抑うつ、薬物乱用など)がある場合で、自分の問題は誰かのせいであるとか、自分の力ではどうしようもない状況が原因だと思いこんでいる傾向があります。




◆人格障害分類

3つのグループに分かれていて、全部で10種類の人格障害に分類されています。

【A群】 
遺伝的に分裂病気質を持っていることが多く、風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ。
     
→・妄想性人格障害
→・統合失調質人格障害(以前は分裂病質人格障害)
→・統合失調型人格障害(以前は分裂病型人格障害)


【B群】 
感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的。
ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む事が多い。
     
→・反社会性人格障害
→・境界性人格障害
→・演技性人格障害
→・自己愛性人格障害


【C群】 
不安や恐怖心が強い性質を持つ。
周りの評価が気になりそれがストレスとなる傾向がある。

→・回避性人格障害
→・依存性人格障害
→・強迫性人格障害


性格や知能は、遺伝的体質・気質とその後の環境、すなわち育ちによっても違ってくる。

特に性格は、幼児期の人間関係(コンプレックス)、母親・父親・同胞などとの関係によって形成される。

人格障害は3つのタイプ、奇妙で風変わりなタイプ(A群)、人を困らせるタイプ(B群)、自分が困るタイプ(C群)などに分けられる。

一人の個性豊かな人間が典型的な人格障害の1つだけに合致するのではなく、2つ以上の人格障害の特徴を併せ持つのは当然といえる。

典型的な1つの人格障害の場合もあるが、2つの人格障害を併せ持っていたり、1つの人格障害が優位だが、他にもいくつかの人格障害の特徴を持っているということが十分ありうる。


●人格障害の中で、境界性人格障害が、最も『患者数が多く』最近増加傾向が見られます。



◆人格障害による主な影響

人格障害の人は、アルコール依存や薬物依存など身体的な問題につながる行動、自己破壊行動、無謀な性行動、心気症、社会の価値観との衝突などを起こす危険が高くなります。

人格障害の人の子育てには、一貫性のなさ、無関心、感情過多、虐待、無責任などの特徴があり、子供の心身に問題を生じます。

人格障害の人には、ストレスが原因で精神崩壊(日常の頭脳活動すらできなくなる危機的な状態)に陥りやすい傾向がみられます。
どのような種類の精神障害を起こすかは(不安、うつ病、精神病など)、その人の人格障害の種類によって決まる部分もあります。

人格障害の人は、処方された治療計画にあまり従わない傾向にあります。
更に治療計画に従った場合でも、薬への反応が通常よりも鈍いことがよくあります。

人格障害の人は、自分の行動に対して責任を取ることを拒否したり、過剰に疑い深く、要求ばかりを突きつける印象があったりするため、医師と良好な関係が築けないこともよくあります。
医師側もその人を非難したり、疑うようになり、最終的には関係を拒否するようになってしまいがちです。



◆人格障害者 診断

人格障害は既往歴、特に繰り返し現れる不適応的な思考や行動のパターンに基づいて診断されます。

人格障害がある人は、行動の結果が思わしくない場合にもそのパターンを頑固に変えようとしないため、他者の目にも明らかになりがちです。

また、心理的な対処のメカニズム(防衛機制)の不適切な使い方もよく目につきます。

この対処メカニズムは誰もが無意識に用いるものですが、人格障害がある人の場合は、その使い方が未熟で不適応的であるために、日常生活にまで支障を来します。



◆人格障害の原因

人格障害の原因として考えれるのは、環境と遺伝です。

ただ、人格障害の原因についてはまだはっきりしたことは分かっていません。

遺伝の関係でいえば、人格障害を持つ人の一親等以内の有病率がそうではない一親等内と比べれると5倍高いといわれています。

脳波などの検査をすると異常がある場合があるので、何らかの脳の機能的なものが普通の人よりも少し違うのかもしれません。


①生まれもった要因

遺伝子や脳機能など身体的要因が発病の一因であると考えられています。
思春期にかけて人格に歪みが生じ、多くは傷つきやすさ、ストレスの強さ、好奇心の強さなどをきっかけにある程度定まっていると考えられています。


②環境・育て方

親の性格や接し方、生活環境、特に親が過保護の場合、境界性人格障害、自己愛性人格障害、回避性人格障害、依存性人格障害に発展しやすいという説もあります。


③脳の発達障害


生物学的にはホルモンや神経伝達物質などの関与、誕生前の脳の成熟異常
誕生後の脳や中枢神経の障害、神経伝達物質やホルモンの変化などの関わりが指摘されています。


④急激な変化


柔軟に対応出来ない為に『親しい人との別れ』や大きな失敗などが、パーソナリティ障害が表に出てくるきっかけになることがあります。




◆人格障害者 治療

精神療法に重きが置かれているが、治療法は確立されていない現状である。

治療おいては今の社会に適うようなものの受け止め方や行動の仕方ができるように努める。

しかし、人格を完全に変えることは難しく、元々の傾向は残るために、それに沿ったよりよい生き方を見出せるようにバックアップすることが重要である。

薬物療法としては、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬が用いられ、精神療法では認知行動療法、集団療法、支持療法、精神療法などが行われる。


個人の人格特性が形成されるまでには長い年月がかかるように、適応の妨げとなる特性を治療するにもかなりの年月が必要です。

治療法は、人格障害のタイプにより異なりますが、全ての治療に共通する原則がいくつかあります。

人格障害の人は、自分の行動に問題があるとは思っていないため、状況に適応していない思考や行動が引き起こす有害な結果に本人を直面させる必要があります。

それにはまず、本人の思考や行動パターンから生じる望ましくない結果を、心理療法士が繰り返し指摘する必要があります。

ときには行動に制限を加えることも必要となります。

家族の行動は、本人の問題行動や思考に良くも悪くも影響するため、家族の関与は治療に役立ち、多くの場合不可欠でもあります。

グループ療法や家族療法、専用施設での共同生活、治療を兼ねた社交サークルや自助グループなどが、社会的に望ましくない行動を変えていく上で役立ちます。


大半の治療の基本となるのは心理療法(対話療法)で、不適応行動や対人関係のパターンに何らかの変化がみられるまでには、通常は1年以上は続けなければなりません。

医師と患者の間に親密で協力的な信頼関係ができると、患者はそこから自分の悩みの根源を理解し、不適応行動を認識できるようになっていきます。

心理療法は、依存、不信、傲慢、人につけこむ、といった対人問題の原因となる態度や行動を、本人がより明確に認識するのに役立ちます。


人格障害の中でも、特に適応の妨げとなる態度や期待、信念などがある場合(自己愛性人格障害強迫性人格障害など)には精神分析を受けることが勧められ、通常は少なくとも3年間続けます。

行動療法は、落ち着きのなさ、社会的孤立、自己主張の欠如、かんしゃくなどの行動を変えるのに役立ちます。
境界性人格障害反社会性人格障害回避性人格障害の場合は行動の変化が最も重要です。

ただし、反社会性人格障害、または妄想性人格障害の場合は、どの治療法でも成功することは稀です。


うつ病、恐怖症、またはパニック障害がある人格障害には、薬物療法が適切な治療法となる場合があります。

ただし、薬には症状を緩和させるだけの限られた効果しかありません。

一方、人格障害から起こる不安や悲しみなどの感情は、薬で十分に軽減されることはまずありません。



◆人格障害者への対応(一般向け)

▽以下の記述には、人格障害者自身にとっても、重要な内容を含んでいます。


●恋人 or 配偶者(妻・夫)が、人格障害の場合


ただちに別れ、一切の関係を絶ちましょう。(あなたのためだけではなく、相手のためにも)

人格障害者は、あなたの手に負える相手ではありませんし、彼らの抱える問題は、あなたの手に負える事柄でもありません。

自分の力でどうにかできると思うのは、無思慮・無分別な甘い考え、身のほど知らずな思い上がりであり、大きな勘違い・間違いです。

自分の非力・無力を自覚し、あきらめて、潔く身を引くことです。

間違っても、相手をかばい、かまい、世話を焼く、果ては献身的に奉仕するなど、自身の救済者願望・幻想を刺激され、溺れてはなりません。

相手にとって、あなたの存在は、共依存/イネイブリング(助長)を基本型とする関係嗜癖の対象でしかありません。

そうした関係嗜癖の対象にしかなり得ない、あなたの存在は、(あなた自身の思惑や感情がどうであれ)相手の回復・成長を阻害し、なんら寄与しない(病の固定化・悪化をもたらすだけ)という事実を肝に銘じましょう。

また、万一、既に子どもがいる場合、そのままでは、子どもの心身に多大な悪影響・害悪を及ぼし、被害・危害を与えることは避けられません。
(様々な形での共依存や虐待の発生のみならず、歪んだ認知や規範・価値観、思考・行動パターンの刷り込みなど)
その結果もたらされる不幸な結末の一つは、機能不全家族の中での、子どもの人格障害者化という、悲惨な負の世代間連鎖です。

躊躇し、ずるずると関係を続けるような無思慮・無分別で無責任な愚行は、厳に慎み、一刻もはやく決断すべきです。

もし、あなたが人格障害者と別れられないとすれば、あなた自身も、共依存者/イネイブラー(助長者)にすぎず、問題を抱えている証左に他なりません。

他者に構うのをやめ、自分の問題と向き合いましょう。
(もし、両者がそれぞれに自助努力に励み、回復・成長の道をたどれば、双方の希望により、10年後、あるいは20年後に、再会できる可能性はあります)


●友人・知人が、人格障害の場合

必ずしも、一切の関係を絶つ必要はありませんが、必ず、相手と自分との間に、きちんと境界設定(境界線/バウンダリーを引くこと)を行い、一定以上の距離を保って付き合いましょう。

人格障害者の言動に、巻き込まれたり振り回されたりしないように、注意しなければなりません。

もし、それができないようであれば、その場合は、一切の関係を絶つ必要があります。



◆人格障害者の回復・成長に向けて

自分では問題があることに気づいていない、自分の未成熟な人格や歪んだ認知、思考・行動のパターンを、修正・矯正しなければなりません。

自分の抱える問題に気づき(自覚化)、向き合い(直面化)、そうした内省・省察の過程を通した自己対象化によって、人格的成長~自己変革を果たすことが必要です。

まずは、何よりも、自分の人格が未成熟で、認知や思考・行動のパターンが歪んでいるという事実を理解・受容し、自覚・認識する(=正しい病識を持つ)こと。
(大半の人が、ここでつまずき、回復・成長への道を、自ら閉ざしています)

現在の自分を、理性的・論理的・批評的に、厳しく徹底的に見つめ直し、自省・自己批判すること。

欲望・欲求や情動・衝動を自制・抑制し、自らを律する・御する能力~自己コントロールの思想と方法を身につけ、実践すること。

―――から、始めなければなりません。

そのためには、自助努力として、厳しい自己修練~学習と訓練が必要です。



人格障害者にとって、恋愛や結婚、出産、子育ては、百害あって一利なしであり、絶対禁止であることは、いくら強調しても、強調しすぎるということはありません。

そうした行為は、自らの回復・成長を妨げ、病の固定化・悪化をもたらすと共に、他者をも巻き込み、他者や社会にも悪影響を及ぼす禁忌であり、無思慮・無責任な愚行でしかありません。

人格障害者としての自覚がある人間は、自らの回復・成長のためにも、その理と事実を理解・受容し、疑問の余地なき当然の選択として、自らそうした行為を避ける意志と覚悟を持たなければなりません。











強迫性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■強迫性人格障害
(強迫性パーソナリティ障害)


強迫性人格障害は、完全主義・完璧主義・潔癖主義であり、規則や順序、予定表に異常なほどに固執し、細かいことに極度にこだわり、完璧を求めるあまり、頑固で柔軟性や融通性が全くなく、堅苦しく効率性がない人格障害です。

男性の方が女性よりも有意に発症率(男性は女性の約2倍)が高くなっています。

● 完全主義
● 綺麗好きできちんとしている
● 責任感が強い
● 細部にこだわる
● いい仕事をするが、働きすぎる
● リラックスができない
● かんしゃくもち、怒りっぽい
● こだわりが強い
● 思考の硬直
● 柔軟性がない
● 感情ではなく事実に興味がある
● 冷たい感じがする
● 外見は安定しているように見える
● ときには反権威主義
● いつも何かに憤りを感じている
● 自分や周囲の人々をコントロールするパワー願望がある
● 強烈な競争心
● 感情を他人に見せない
● 論理的
● 魔術的思考(自分は現実よりもパワーがあると考える)
● 喜びを後回しにする
● 性生活はマンネリ化
● 尊敬と安定性を必要とする
● 無力感をもっている
● 物事を決心できない
● 極端に意思が固い
● 自分の誤りを認めようとしない
● 極度の倹約家
● 質素で規律正しい
● 完璧であることを装う
● 間違いを指摘されるのが怖い
● 恋愛では相手の感情はコントロールできないため恋愛関係に注意深い
● 強烈な集中を要する作業が得意
● 子供のとき、条件付で受け入れられた
● 全ては白か黒かという画一的な思考方法をする
● 極端な反応をする傾向がある
● 儀式好き



◆強迫性人格障害の特徴

強迫とは心に強く迫ってくる観念、行為であり、そういう症状を引き起こす強迫性障害と強迫性人格障害は区別されているが、強迫性障害の心理的側面とは関連している。

強迫性人格障害は男性が多く、体質とも関係している。

厳しい規律を持った生活をしていることが多く、分析的にはトイレット・トレーニングの時期である肛門期の障害と関係している。

強迫性人格障害の人は、不自然で、形式ばった、堅い態度を呈する。

気分が研ぎ澄まされており、感情は余裕が無く、萎縮している。

質問に対する答えは詳細すぎて些細なことまで問題にする。

習慣性、規則性、順序、几帳面、詳細、完全性にこだわり、人間の精神の無限性に気付かずに、精神・性格に余裕がなく萎縮している。

形式張っていて真剣で、ユーモアの感覚に欠けている。

規則に厳密に従うことを主張し、不完全さを認められない。

柔軟さを欠き狭量である。

対人関係の技量は限定され、人を阻害し、妥協できない。

自分の要求を他人に従わせる。
しかし権威主義的で自分よりは強い人には従う。

失敗を恐れて決断の必要な時にあれこれ迷って優柔不断な一面がある。

活動の主題が見失われるほど細目、規則、順序、構成、予定表にこだわり、課題の達成が妨げられるぐらい完全主義的になり、娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事をしたり、道徳、倫理、価値観に誠実で、良心的だが、融通が効かない。

意味のないものを捨てることが出来ない。

自分のやり方通りでしか仕事を任せらない。

お金にも細かく、将来のために貯蓄するのが一番と考えるなど堅さ、頑固さなどが見られる。

丹念な込み入った仕事は上手くいく可能性があるが、臨機応変さが無く、仕事が上手くいかないことが多い。

うつ病も引き起こしやすい。



◆強迫性人格障害の性格行動面の特徴

強迫性人格障害は、『完全主義・頑固・倹約性・秩序志向』という特徴が見られる硬直的な性格構造です。

人生・状況に対するコントロール欲求が強い強迫性人格障害は、『仕事面での完全主義傾向』と『企業活動での秩序志向性』を顕著に持っており、融通性や柔軟性に乏しい『典型的なワーカホリック(仕事中毒)』の状態を示すことが多くなっています。

几帳面さ・没頭性・秩序性などの特徴を見せるワーカホリック(仕事中毒)の強迫性人格障害では、『情緒的・個人的な人間関係』を楽しめず、『社会的・序列的な人間関係』にしか上手く適応できないという問題が起こってくることがあります。

『社会的・序列的な人間関係』とは、企業内の職階(上下関係)や規則に従った人間関係のことであり、ワーカホリックな強迫性人格障害の人の中には、『上司に対しては従順で卑屈・部下に対しては傲慢で意地悪』という企業秩序にはまり込んだ典型的な会社人間のパターンを示すこともあります。

仕事には集中して熱心に取り組みますが、『重要ではない細部の項目(枝葉末節な事柄)』にこだわり過ぎる完全癖(完全主義)があるので、一般にプロジェクトを確実に達成するようなパフォーマンス(成果を出す仕事能力)はあまり高くありません。

ワーカホリックな強迫性人格障害の人には、重要度・緊急性に合わせた、『仕事の優先順位・作業の詳細度』を上手くつけるという能力が欠けており、全ての作業・項目を完璧に仕上げようとし過ぎて、『仕事の全体像(目的意識)』を見失ってしまうという短所があります。

完全主義欲求の過剰によって、少しでも仕事でミスや失敗をすることが許せず、些細なミスによって、『仕事全体に対する意欲(やる気)』を失ってしまうという問題もあります。

強迫性人格障害の問題点の一つが、『一切のミス(遺漏)無く、完全に物事をやり遂げられなければ無意味である』という完全主義欲求(完全癖)であり、人間が完全に物事をやり遂げることが困難である以上、完全主義欲求によって物事(仕事)を途中で投げ出してしまうことが多くなります。


『秩序志向性・感情抑制性』を持つ強迫性人格障害の人は、自由に自分の決断で物事を決めることが苦手であり、他人に優しさや思いやりといった支持的な感情を表現することがあまり得意ではありません。

強迫性人格障害に特徴的な葛藤として、『自己主張-集団主義・他者配慮-他者支配・寛容な態度(表情)-厳格な態度(表情)』などがあり、想像力や創造性に乏しい強迫性人格障害の人は、『他者・環境・規則(ルール)』に対してその場その場でどういった反応をすれば良いのかを決断できない優柔不断な側面を持っています。

その為、いつも不機嫌そうにフラストレーションを溜めて怒っていたり、規則(ルール)に従った画一的・機械的な行動しかできなかったり、無難な表情と反応でその場をやり過ごしたりといったことが多くなります。

表面的な性格としては、『良心的(道徳的)な態度・几帳面な誠実さ・硬直的な生真面目さ』などが目立ちますが、それは自分の怒り(攻撃性)や不平不満を隠蔽するための補償(防衛機制)の現れであり、本質的な性格特性としては、『自信の欠如・決断力(判断力)の不足・自己不確実感(アイデンティティ拡散)』などが浮かび上がってきます。


強迫性人格障害の人は、社会規範(集団秩序)や道徳規範に対して従順に従う傾向がありますが、彼らは、『一般的な規則』に従って、『大多数の行動』に調和することで自己決定に対する不安感を防衛しています。

つまり、自分の判断(決断)に対する自信の欠如からくる不安感を、『大多数の人が認める規範性・常識性』によって補償しているのであり、強迫性人格障害では必然的に、『内面的な判断基準』と、『社会的(組織的)な判断基準』が一致してきます。

内面的な判断基準と外部的な倫理道徳(規範性)が一致してくると、強迫性人格障害の人の性格に対する評価は、『道徳的・誠実(良心的)・まじめ・頑固・執着的』といった融通の効かないものになってくるわけです。


完全主義欲求は、『全ての物事を完全に仕上げなければ無意味である』という非適応的な価値観を導きやすく、その為に強迫性人格障害では、『(意志決定困難による)行動計画の延期・プロジェクトの途中放棄』といった問題が見られやすくなります。

強迫性人格障害の柔軟性のない頑固さと温かい感情表現の欠如は、『他人に対する批判的な態度・近寄りがたい厳格な雰囲気』を生み出し、金銭に対する執着性(吝嗇・倹約)は、『自己と対象を分離できない過度の所有欲』に繋がっていきます。

強迫性人格障害では、対人トラブルが起こりやすくなりますが、その理由は温かい感情表現や相手の心情の推測(想像)が苦手であり、他人と妥協してお互いの満足を追求するという柔軟な意志決定ができないからです。

秩序性と完全性を延々と追求する強迫性人格障害の人の問題の本質は、『リラックスして安心できない』ということであり、なぜリラックスできないかというと、『完全に物事を達成しなければ、自分は誰にも承認されない(愛されない)』という基本的認知があるからです。

強迫性人格障害の人の秩序志向の統制感覚と完全主義的な努力は、『完璧に物事をやり遂げれば、完全な愛情と承認(尊敬)を得ることができる』という理想的状況に向けられていますが、現実には完全に全ての物事をやり遂げることは不可能なので、強迫性人格障害の人の強迫的な葛藤と不安は長期的に継続することになります。

この強迫的な不安と葛藤を根本的に解決するためには、『特別な努力をしていないありのままの自分』を他者から無条件に受け容れてもらう体験が必要であり、『強迫的な完全主義欲求(成功すること)』と、『情緒的な愛情欲求(愛されること)』を認知的に切り離さなければいけません



病理的な強迫性障害では、『自分固有のルール(規範)』に強迫観念・強迫行為で束縛されることが多くなり、『馬鹿馬鹿しい不合理で無意味な思考・行動』を自分の意思でやめることが不可能になってきます。

代表的な強迫症状には、何度も手を洗っても手が細菌で汚れているように感じてしまう、『洗浄強迫』や何度戸締りを確認しても鍵をかけ忘れたように感じてしまう、『確認強迫』がありますが、これらの強迫症状は強迫性障害のものであり、完全主義・秩序志向を特徴とする強迫性人格障害では見られません。



◆強迫性人格障害の各種タイプ

セオドア・ミロンの強迫性人格障害についての仮説によると、
『良心的なタイプ・禁欲的なタイプ・官僚的なタイプ・ケチなタイプ・混乱させるタイプ』
の5つのタイプに分類することが出来ます。


● 良心的なタイプ

『一般的な社会規範・倫理観・権威性への従順さ』を特徴とする性格構造であり、自分の良識・常識や上品さなどを強調することで自分の存在意義を確認しています。

他者の意見や価値観、評価に対しても基本的に従属的であり、『他人からどのように評価されているか』によって自己評価が大きく変化するという自己アイデンティティの不安定性をもっています。

一般的な規範(ルール)や善悪に従って一生懸命に働くことで、『自己の不確実感・目的意識の不在・自分の能力への疑惑』を補償しています。

内面では、『完全を目指して働くこと・集団のルールを従順に守ること=他人から強い愛情や保護を与えられること』であり、基本的には依存性や従属性の強いパーソナリティであるといえます。

内面的な攻撃性や怒り・不満が、独自の従属的な性格構造の中に昇華されているので、他人とトラブルを起こすことが少なく社会適応性が高くなっています。

逆に言えば、『社会適応性の高さ・規律正しい善良な市民であること』を積極的にアピールする性格傾向であり、真面目にルールを守って働くことで他人から認められたい(愛されたい)と考えているわけですが、『真面目さ=愛される(認められる)の等式』が成り立たない時には強烈な見捨てられ不安や自己嫌悪・社会への敵意に襲われることになります。


● 禁欲的なタイプ

『服従(禁欲的昇華)』と、『反抗(衝動的欲求)』のアンビバレンツ(両価的)な葛藤を抱える強迫性人格障害の人が、怒り・攻撃性を昇華することに成功した性格構造のことです。

強迫性人格障害は、S.フロイトの肛門期性格と同じように、『内的な怒り・サディスティックな攻撃性』を抑圧していますが、この怒りの情動は、『昇華・抑圧・反動形成・置き換え』などの防衛機制によって処理されることになります。

強迫性人格障害では、不快な性的欲求や非道徳的な衝動、怒りの感情を日常的に抑圧しており、禁欲的なタイプでは、『白か黒か・善か悪かの二分法思考』が頻繁に見られます。

禁欲的なタイプは、非常に厳格な道徳主義者であることが多く、人間に対する評価でも正義(善)か不正(悪)かの二元論的な価値判断をして、臨機応変な融通を効かせることはほとんど出来ません。

禁欲的な強迫性人格障害者は、日常生活でサディスティックな攻撃衝動や怒りを抑圧していますが、『相手が道徳や法律に違反している』というような大義名分があれば、その攻撃性や怒りが解放されてサディスティックな性格行動パターンを示すようになります。


中世の聖職者階級や近代の労働者階級、現代の原理主義者(道徳主義者)などに禁欲的なタイプの強迫性人格障害が見られ、『社会規範(法規範)・労働道徳・宗教教義』などを絶対的な判断基準として、そこから逸脱した人物を徹底的に糾弾して処罰することに快楽を感じます。

世界と人間を善・悪に二分して自分が禁欲的な生活をすることで、『善の立場』を手に入れ、『悪の立場』にあると認定した人物を厳しく攻撃して罰則を加える、というのが禁欲的なタイプの典型的なパターンです。

その心理の本質は、『抑圧した怒り・攻撃性・不満の解放=ルサンチマン(弱者の強者に対する怨恨)の充足』にあり、これだけ禁欲的な我慢をしたのだからそれなりの満足や快感が欲しいという補償の防衛機制も関係しています。


● 官僚的なタイプ

自分の外部にある社会的・政治的システム(官僚主義的機構)に従属することによって、『自己の不安定性・両価的な葛藤』を補償しようとする性格構造です。

大企業・官庁など大組織の一員になることで、『自己の存在意義』を認識するような心理と関係しており、伝統的価値観や社会的権威性に忠実に服従することによって、『自己の行動の目的・人生の意義・社会的な役割』を受動的に手に入れることができます。

『外部的なシステム(官僚主義的機構)』に自己を組み入れて、『与えられた任務・仕事』を着実に遂行することで、内面的な問題(苦悩)から遠ざかることが出来るというメリットが官僚的な強迫性人格障害にはあります。

社会的(規則的)に規定される上下関係や階層秩序に安心感を感じる傾向があり、責任・権限、役割が曖昧な人間関係に不快感や戸惑いを感じやすくなっています。

システマティックな組織・集団に所属してその中での地位や役割が明確に決まっている状態を彼らは心地よく感じており、官庁・警察軍隊・大企業・大学機関などでの公的地位(上下関係)をそのまま人間的価値として認識する傾向があります。

官僚的なタイプの強迫性人格障害者は、自尊心と自己アイデンティティ、人生の目的意識の大部分を、『所属している組織・機関』に依存しており、自分自身の主体的な判断能力(意志決定)に自信が持てないという問題があります。

所属組織に対する、『勤勉さ・忠実さ・従属性』と引き換えに、『人生の大まかな保障・地位に応じた自尊心・仕事の目的意識』を得たいとする考えを持っており、彼らの中では帰属組織(権威性)と自己存在の価値は限りなく密接に結びついています。


● ケチなタイプ

肛門期性格にも典型的に見られるものであり、所有物や金銭に対する過剰なまでの執着心を持っています。

『自分のものは自分のもの、相手のものも自分のもの』というような強い金銭・物質の独占欲が見られ、『今、所有しているものを失うのではないか?』という妄想的なまでの喪失不安を抱えています。

金銭的な吝嗇(ケチ)に象徴される、『物質的な利益への執着』は、『情緒的な満足への執着』と表裏一体のものであり、幼少期から愛情や欲求を剥奪されてきた苦痛な経験が、『所有物・価値観への過度の執着』を生み出している部分があります。

経済的必要性を超えて異常なまでに吝嗇(ケチ)な態度を取るのは、『単純にお金が惜しいから』というよりも、『もっと他者の愛情・承認が欲しいから』という強烈な愛情飢餓(対人欲求)の心理に根ざしていると考えられます。


● 混乱させるタイプ

『欲求(衝動)』と『抑圧(禁欲)』の両価性を持つ強迫性人格障害に振り回されているタイプであり、本当の自分の欲求や怒り(攻撃性)を抑圧して、『理想的な正しい人物像』を演じていることに息苦しさや無価値感を感じています。

つまり、強迫性人格障害に特徴的な実際の感情(欲求)とは正反対の感情を表現するという、『反動形成』の防衛機制が機能しなくなっている性格構造であり、『自分の欲求と倫理規範』、『自己主張と他人の要求(希望)』の間でどのような行動を取ればいいのか分からなくなり混乱している状態にあります。

自分の目的意識や欲求内容が分からなくなり自己アイデンティティが拡散してしまうので、『判断能力の低下・意志決定の延期・生きがいの喪失』といった問題が発生しやすくなります。



◆強迫性人格障害の原因

強迫性人格障害は、『完全主義・頑固・倹約性・秩序志向』という特徴が見られる硬直的な性格構造で、S.フロイトのリビドー発達論(性的発達理論)における肛門期性格に類似した性格です。

S.フロイトのリビドー発達論では、トイレット・トレーニングを行う『肛門期(1歳半~3歳頃)』に行動の自律性を獲得すると考えましたが、肛門期に情緒的な問題が起きてリビドーが固着すると、『頑固・几帳面・吝嗇(ケチ)・完全主義』などの特徴を持つ独特の強迫的な肛門期性格が形成されるとしました。

『排泄・貯留』の快刺激を感じる肛門期に、順調にトイレット・トレーニングが進めば、『自律性(自尊心に根ざした行動力)』を獲得しますが、親がトイレの失敗を過度に批判したりすると、『恥・疑惑(自尊心の傷つき)』の心理特性を身につけてしまうことがあります。

肛門期におけるリビドー固着(発達停滞)によって、『攻撃性(怒り)・罪悪感・恥辱感』が内面に生成されますが、それらの不快な感情が抑圧されることによって強迫性人格障害に近似した肛門期性格が形成されます。

古典的な精神分析理論では、強迫性障害の症状形成メカニズムを、『攻撃性と怒りの過度の防衛・反動形成による怒りの取り消し』によって理解していましたが、厳密に言うと病的な、『強迫性障害』と性格的な問題の『強迫性人格障害』とは異なる特徴を持っています。











依存性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


依存性人格障害(依存性パーソナリティ障害)

不安や恐怖感が非常に強い人格障害です。

周りに対する評価や視線などが非常にストレスになる傾向があります。

大切なことも自分で決められず、他人の判断に任せてしまう。

非常に受身的、自己を管理してくれる人がいなければ、何も出来ない。

孤立を避けるために、自分の欲求でさえも、他人の欲求に合わせたり、自分の責任を他人に押し付けるので、いざ一人になると非常に不安や抑うつにかられる。

誰かに世話をされたいという過剰な欲求があり、そのために従属的でしがみつく行動をとり、分離に対する恐怖を感じる。



◆依存性人格障害の特徴

依存性人格障害は、従順で、服従的であり、自己主張がほとんどありません。

自分で責任を持つことを恐れるため、すぐ他人に責任を押し付けようとします。

責任を持たざるを得ないような状況になりそうだと察知すると、すぐに逃げます。

人にまとわりつくことが多く、時には金魚の糞のように、他人にくっついていきます。

他人の影響を受けやすく、被暗示性が高いと言えましょう。

自分というものが無くて、あまりにも何でも言うことを聞くので、時には不気味に感じることさえあります。

このタイプの人にとって、愛とは、一方的に依存することであったり、あるいは、お互いに依存し合うことであったりします。
そして、愛とは、精神的に自立しない状態を受け入れてもらうことなのです。
つまり、愛=依存なのです。


自立への欲求が根こそぎ奪われていないような場合は、そのわずかに残っている自立心ゆえに、自分の持っている強い依存心に悩んだりします。

例えば、相手に受け入れられやすいように、ついつい良い子を演じてしまうのですが、その後で自分の演技性に対して自己嫌悪に陥ったりします。
良い子を演じてしまう欺瞞性を自分でも分かっていながら、止めることができないのです。
今度こそ、本当の自分を出そうと決意しても、いざその場になると、またいつものように愛敬を振りまいたりして、ついつい良い子を演じてしまうのです。

あるいは、責任逃れをしている自分をなんとかしようと努力したりすることもあるのですが、いざその場になると逃てしまい、さらに自己嫌悪に陥ったりします。


あるいは、相手の人に、母親役を演じさせようとして、様々な手段を使ったりすることもあります。

病気になることで世話をしてもらおうとしたり、何かをわざと失敗して助けてもらおうとしたり、あるいは弱者を演じ、被害者を演じ、媚びを売ったりと、ありとあらゆる手段で相手を依存関係の中に引きずり込もうとします。

自分の心にわずかに残っている自立心が、そういう欺瞞に満ちた卑怯な自分を糾弾することもあるのですが、なかなかこの状態から抜け出せません。
いざその場になると、心は依存の傾斜を転がってゆくのです。

例えば、困難な出来事に直面したときに最初に思うことは何かというと、どうやってこの問題に対処したらいいのか、ということではなくて、最初から、「誰か助けてくれないかなぁ」ということなのです。
そして、次に考えることは、「誰かに助けてもらうためには、自分はどうしたらいいのだろうか」ということなのです。
これが依存性の強い人の思考パターンとなっています。


他には、自分を相手に合わせ、相手の要求を優先するというパターンなどがありますが、この背景には、自分では自分の面倒を見れないんだという誇張された無力感があります。

しかし、その一方で、自分のためになることはできないのに、他人のためになることは、いとも簡単にやってしまうのです。
自分自身が様々な問題を抱えているにもかかわらず、自分の問題を棚に上げて、他人の問題に関わろうとしたりします。
自分自身の世話をせずに、他人の世話ばかりするのです。
自分自身の世話をすることが恐いのです。
自分に役に立つこと、あるいは、自分自身にとって利益になることをするのが恐いのです。

これは、虐待場面でも良く見られるパターンです。
暴力を振るう夫に、必死になって耐えたりします。
殴られても蹴られても、見捨てられるのが恐かったり、あるいは自分さえ我慢すればという思いがあったりして、自分自身が虐待されて悲惨な状態にあるにもかかわらず、それでも自分をかえりみずに、必死になって夫のために尽くしたりします。



◆依存性人格障害の性格行動面の特徴

依存性人格障害は、他人から保護(世話)や是認(保証)を得ようとする依存的な性格構造であり、『自分の人生に対する主体的責任』から逃れようとするところに最大の特徴があります。

親密な他者に対する強い見捨てられ不安と持続的な依存性が見られ、常に受動的で無力な態度を取ることで、『他人の世話・是認・愛情』を引き出そうと試みますが、その根底にあるのは、『私一人ではこの現実社会を生き抜くことはできないだろう・私には絶えず私の人生の責任を全て引き受けてくれる保護者が必要である』という自己否定的な認知です。

『他人からの世話・保証・愛情』などを絶えず必要としているので、基本的に、『他人の意見・感情・判断』を否定することはなく、他人に合わせることで自分を安全な方向に導いて貰おうとします。

この人に全部任せていれば私の人生は大丈夫と思えるような、『リーダーシップや独立心のある人(面倒見が良く適応力の高い人)』を強く求めているので、他人に対しては協調的(迎合的)であり自分の意見や価値観を強く主張することなどはありません。


依存性人格障害の基本的な行動戦略は、他人を拒絶せずに自尊心を満たすことで、自分に対する好意と保護(世話)を継続的に引き出そうとすることであり、受動的(消極的)な態度によって面倒見の良い相手(無力な人を放っておけない相手)をコントロールします。

中核的信念は、『他人の世話と援助がなければ、私は一人では生きていけないだろう』というものであり、頼りになる強い相手から見捨てられることを極端に恐れ、その相手から嫌われないために従属的で消極的な態度を常に取ります。

彼らは、『他人と対等な立場』に立つために自分の能力や技術を高めることには関心がなく、『他人よりも格下の弱い立場』にあることを強調して、他人からできるだけ手厚い保護や支援を得たいと望んでいますので、自己主張と能力の発揮をできるだけ抑制しようとするのです。


依存性人格障害の人にとって、自己主張や能力(技能)のアピールは、『精神的・経済的自立の顕示』に当たり、自分が自立可能であることをアピールすると、『他人の世話や是認』を失ってしまうのではないかと強く恐れています。

彼らの、『自己の自立』に対する強固な不安とは、『もう、あなたは一人でも大丈夫だね』と頼りにしている相手から思われてしまうことであり、自立(自信)による、『自尊心の強化』よりも従属(調和)による、『他者からの保護』に高い価値を置いているのです。

そこには、『自分の本当の適応力・精神力』に対する根深い自信の欠如があり、中途半端に自立能力をアピールすることは、『他者からの見捨てられ』に繋がるという保身的な認知があります。

依存的・受動的な彼らは、『他者からの世話』を失えば、自分は厳しく過酷な現実世界の中で生きていくことが出来なくなると考えています。

自分の人生に対する主体責任を放棄したいという異常なまでの依存性・受動性によって、心理的・社会的デメリットが大きくなるという問題があります。

依存性人格障害の一部はひきこもりや無職者(ニート)などの非社会的問題行動群へと遷移しますが、回避性人格障害のように、『他人との関係』を避けようとするのではなく、『他人(母親・配偶者・恋人)との依存関係』にしがみつくという特徴があります。


依存性人格障害の人は、日常生活では不安を余り意識しない幼児的な楽観性が見られ、他人に対して従順で受容的な態度を取ることで、『自分の人生に対する責任・決断』を自分の代わりに誰かに取ってもらおうとします。

その為、依存性人格障害の特徴として、『頼りになる強い人・依存できる賢い人・責任を押し付けられる人』と好んで親密な関係を持とうとすることがあり、そういった人たちに調和して服従することで、『他人からの世話と愛情』を一時的に得ることに成功します。

しかし、そういった依存のための行動戦略が失敗すると、頼りにしていた強い相手から見捨てられるのではないかという不安感と絶望感が非常に強くなり、抑うつ的に塞ぎ込んで一切の行動力や活動性を失ってしまうことがあります。

こういった自分の人生に対する自信の喪失と重度の抑うつ感が長期化した場合には、非社会的なひきこもりや就業困難などの問題が長引いてしまうことも少なくありません。



◆依存性人格障害の各種タイプ

セオドア・ミロンの依存性人格障害についての仮説によると、
『不安を与えるタイプ・適合的なタイプ・未成熟なタイプ・自己無きタイプ・無能なタイプ』
の5つのタイプに分類することが出来ます。


● 不安を与えるタイプ

周囲の人たちに自分の無力さや不幸(悲惨)な末路を伝えて不安感情を与える依存性人格障害であり、回避性人格障害のように、『困難な社会的活動・自己責任を問われる状況』から出来るだけ遠ざかろうとする特徴を持ちます。

自分を世話(保護)してくれる有能な人物に全面的に従属して、自分の人生に対する責任とイニシアティブをその人物に預けようとしますが、その頼りになる人物がいなくなることを極度に恐れています。

不安を与えるタイプの人は、病院や福祉施設のような保護的環境を好んでおり、一般社会における責任が問われる人間関係を回避する傾向が見られます。

身体の疲労感や自信の喪失感が強く、社会的責任と人間関係の回避を行うので、孤独な状況に置かれやすいという問題もあります。

自分の能力の無さや社会的な弱さを強くアピールすることで周囲の人たちに不安感を与えますが、彼らに対するカウンセリングでは、『過度に悲観的な人生の見方・自分一人では何一つ満足にできないという自己否定感』を訂正していく必要があります。


● 適合的なタイプ

依存性人格障害の中でも最も服従性と協調性の強いタイプであり、他者からの世話と愛情を引き出すために自分の不快なことでも我慢して行うという特徴を持っています。

他人から見捨てられると自分には何もできないという不安感が強いので、他人の要求や感情に合わせて演技的に陽気に振る舞うことで周囲の人たちの支援・注目を集めようとします。

社交的で表面的な人間関係が得意なタイプであり、孤立する不安が強いため、自分の欲求や価値観を犠牲にしてでも他者との人間関係にできるだけ適応しようとします。

自己アイデンティティの大部分は、『他者からの保証・承認』に依拠しており、自分一人だけでは自己アイデンティティが空虚化して自己の存在意義を失う危険があるので、できるだけ誰かと一緒に共同活動をしようとするのです。

自己主張を抑制して自己犠牲的な行動傾向を示しますが、彼らは自分の内面的問題や情緒的葛藤からは目を背けています。

外向的な活動によって自我を内的不安から防衛しているので絶えず意識は、『外部の人間関係』に向かっており、どうすれば他人を喜ばせて自分に好意を向けさせられるかということを考えています。

他人の反応(好意)によって自己アイデンティティを確立しているので、周囲からの世話と支持を失ってしまうと途端に環境適応力が低下してしまい、それまでの社交性や友好性が消えて抑うつ的な雰囲気にはまり込んでしまうこともあります。


● 未成熟なタイプ

人格的成熟や精神的自立から遠ざかろうとする依存性人格障害であり、成熟しないことで、『自分の人生に対する責任』を免除して貰おうとする傾向を持っています。

つまり、『子どものような外見・態度・仕草・話し方・価値観』を大げさにアピールすることで、『まだ私は一人では現実社会の中では生きていけません』という暗黙のメッセージを相手に伝えるのです。

その自己否定的なメッセージによって、『他人の世話・支持・援助』を引き出そうとしており、未成熟さを絶えずアピールすることで、『自分は完全に無力である』ということを周囲に納得させようとします。

人生全般に対して受動的であり、社会的責任や職業的役割を引き受けることを嫌って、子どものように周囲(親・配偶者)から保護されて生きるという抑制的な生活を選ぶことが多くなります。

彼らは自分一人では生き抜く力がないと強く実感しているので、成熟に向かう支援をすることは困難であり、無理やりに社会的責任(職業的役割)を負わせようとすると心身の調子を完全に壊して社会生活から退却してしまう(ひきこもってしまう)ことも少なくない。


● 自己無きタイプ

自己アイデンティティを意図的に拡散させて、『自分の人生』と、『他人の人生』を依存的に融合しようとする依存性人格障害です。

『他人との愛着・親密さ』を維持することに自己無きタイプの依存性人格障害の人の目的があり、自己犠牲的に他人に奉仕することで、『他人の幸福』と、『自己の幸福』を密接不可分に一体化しようとします。

自分と他者の境界線が消えるほどの依存性と従属性を示すという意味で、依存性人格障害の中で最も深刻な精神退行(精神発達上の問題)が見られるタイプだと言えます。

彼らは、自分の独立したパーソナリティを放棄して、『他人の人生の成功と幸福』のために自分の人生の時間と労力を使おうとしますが、それは自分の人生固有の責任や挫折から逃れるためです。

基本的に、『逃避のための他者との融合』を望んでおり、他人の人生と自分の人生との間の距離感がなくなるほど自己無きタイプの人の精神状態は安定してきます。

自己アイデンティティを他者の人生と同一化させることにより、自分の人生に対する決断(選択)を回避できるというメリットがありますが、『良好な対人関係』に自己価値を全面的に依存しているので、対人関係が破綻すると、重篤なうつ病境界性人格障害を発症するリスクがあります。

従順な妻が夫の仕事を甲斐甲斐しく助けて自己犠牲的に生きようとする時にも、『自己無きタイプの問題』が生まれてくることがあり、『閉鎖的な家族関係・親密過ぎる友人関係』において自分独自の存在感を見失わないことが大切になってきます。

自己無きタイプとは、自分一人では自分の存在価値を全く感じられないタイプであり、彼らが自然に生きる喜びや活力を感じるためには、『全面的に同一化する対象(他者)』が必要になるのです。


● 無能なタイプ

自発的な行動力や精神的なエネルギーが決定的に不足している依存性人格障害であり、対人関係や職業活動へのモチベーションが低いので社会的孤立状況に追いやられることが少なくない。

喜びの感情や快楽の感覚が少なく、積極的に自分の幸福を追求するような行動力そのものが欠如しているので、クラスターAの統合失調質人格障害のように他人と関係を持ちたいという親和欲求がかなり低くなっています。

統合失調質人格障害とは違って、他人の欲求や感情に対する常識的な共感能力(推測能力)は存在しますが、人間関係や社会活動へのエネルギッシュな欲望が存在しないので、外的な現実世界とできるだけ距離を置こうとします。

自己責任を負わなくて良い依存的な環境を好みますが、他の依存性人格障害のように他者との親密な人間関係を維持しようとする欲求は強くなく、更に言えば、『自分の人生がどのようになろうとそれほど重要ではない』という自分に対する関心の低さが見られます。

自分の人生を主体的に選択していけないという問題を抱えており、自分の人生状況に対する欲求や将来の希望そのものが余り見られないので、無能な依存性人格障害の特徴を改善するのは相当に困難です。



◆依存性人格障害の原因

『過保護』な養育。
つまり、親が自分の寂しさや依存心から、子供に対して自分に依存するように仕向けるのです。

このような親は、子供が成長しているにもかかわらず、まるで赤ん坊のような無力な存在として扱い、身の回りの世話を焼こうとするのです。
そして、子供が自分の力で何かをすることを許さず、何をやるにも親の助けを借りてやるように仕向けるのです。
もし、社会的な場面で自立を要求されるようなときでも、親は子供が自立に失敗することを無意識的に望んだりします。
このような願望は直接現われるわけではなくて、間接的な形で現われます。

子供を自分の一部とみなす傾向があり、親からの自立が損なわれてしまいます。


もう一つの重要な要点は自己愛的で横暴な親の、『機嫌や顔色を伺いながら、子供時代を過ごした』という背景です。

親がアルコール依存症だったり、慢性疾患を抱えていたり、家庭内暴力が酷かったりしていた場合です。

子供は保護されるというより、『親の自己愛を支え、保護する役割』を担わされている事もあります。

親の都合に一喜一憂しながら、それに振り回されてきた人々アルコール依存症の親を持つ人や、機能不全家庭の出身者を意味する、『アダルトチルドレン』も依存症人格障害の特徴を示します。



◆依存性人格障害の併発病

依存性人格障害の人が併せ持つ障害としては、不安障害身体化障害などがあります。

区別の必要な人格障害としては、境界性人格障害演技性人格障害回避性人格障害などがあります。

境界性人格障害と依存性人格障害との違いは、依存性の場合は敵意や憎しみを表現することが非常に強く抑圧されているということと、比較的一人の人に対して長期間依存する傾向があるということ、人間関係の操作が境界性人格障害ほど派手ではないということ、などがあります。
しかし、原因から見てみれば、根は同じですので、無理に区別するよりは、両方を併せ持っているとしておいた方がいいと思います。











 

回避性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■回避性人格障害
(回避性パーソナリティ障害)


「社会的な活動の抑制」

「『自分なんか相応しくない』という感覚」

「否定的な評価に対する過敏さ」

「社会的な交流の回避」

などのパターンによって特徴づけられる、人格障害の一種。


自分は社会的に不適格で魅力に欠けていると考え、笑われること、恥をかくこと、排除されること、嫌われることを怖がり、そのために、社会的な交流を避けようとする傾向をもつ。

自分は孤独者であるとし、社会から取り残されている感覚を訴えるのが典型。

不登校や出社拒否などの人の約半分にはこの「回避性人格障害」がいると言われています。

回避性人格障害と一言でいってもその症状は様々です。
社会的引きこもりをする一方で、他人に受け入れられたい気持や接触を求めます。
引きこもりの他には、不安、抑うつ、対人恐怖などがあります。



◆回避性人格障害の特徴

回避性人格の人は、他者から拒絶されることに過度に敏感で、人間関係を含めて新しいことを始めるのを怖がります。
愛情や受け入れられることに対して強い欲求を抱いているにも拘らず、失望や批判を恐れて、親密な人間関係や社会的状況を避ける傾向があります。
総合失調質人格障害とは異なり、孤独感や他者とうまく関われないことについて率直に悩みます。
また、境界性人格障害と違って、拒絶に対して怒りを向けるのではなく、引きこもり、内気で憶病な様子をみせます。

対人関係の能力はあっても回避することが多いです。
根底にあるのは「低い自己評価」「自身の欠乏」です。
社会的制止、不適切感、自己に対する否定的評価に対して過敏性の広範な様式であり、成人期の早期に始まり、種々の状況で明らかになります。

自分を全面的に認め、受け止めてくれる肯定的な雰囲気には溶け込め、自然に振舞えるのですが、嫌われたり馬鹿にされたり傷つくのを恐れて社会から身を引き、人との交わりを避け、責任の軽いことしかしなくなります。

現代では、マニュアル化、ソフト化された過保護な環境で育ち、辛い経験や挫折を繰り返すことが少なく、幼小時からの万能感を脱却できにくくなっています。
普通の人なら気にしないような、心ない言葉や態度に敏感でひどく傷つきます。



◆回避性人格障害の症状

失敗や傷つく事を恐れるあまり、行動や決断を避けてしまいます。

物事を始める前から、『もしも上手く行かなかったらどうしよう』という不安が強く、決断する事が出来なくなってしまうのです。

楽しさより、それに伴う、『煩わしさ・不安』ばかりを考えてしまいます。

失敗や恥をかくことを恐れ、対人関係を極力避けたり、社会へ出る事が億劫になりがちです。

就職や結婚といった、『新しい生活』に乗り出す事に躊躇いを感じ、先延ばししたりしてしまいます。

現実の中で自分を試し、可能性を開花させる事よりも、『現状維持』の方が気楽で安心だと考えています。

人の評価や反応に過敏で、少しでも否定的な反応が返ってくると、やっぱり、『自分はダメなんだ・嫌われても仕方のない人間』と思って落ち込み、行動が出来なくなってしまいます。

『身体的コンプレックス』が強い事が多く、自分を醜いと思い込んでいる場合もあり、自分が、『自分のコントロールを失う事』を極度に恐れる傾向があります。

またこのタイプの人は、『恥ずかしがり屋』だったり、対人関係で、『緊張や不安』を感じやすく内気な人に多いとされています。

『強い感情を避ける・親密になる事を避ける』様子が見られます。

『淡泊・中性的・感情の希薄なもの』を好みます。
これは、周囲の者の強い感情によって、『傷ついてきた事』を示しています。



◆回避性人格障害の性格行動面の特徴

回避性人格障害の人は、自分に対しては、『緊張感・自信の欠如・自己不確実感・無価値感』を感じ、他人に対しては、『危惧感・不信感・劣等感・過敏性』を感じやすい傾向があります。

対人場面(社会活動)において、『他人に馬鹿にされて恥をかかされるのではないか』という不安を感じ、『自分は他人に好かれることがないのではないか』という心配をしていることが多いのです。

その為、『他人に関わりたい・コミュニケーションを取りたいという欲求』を持ちながらも、自分が否定・拒絶されるかもしれないと思って不安になり、対人関係を避ける行動を取ってしまいます。

自分に対する自信の欠如と自己評価の低さが見られるので、『他人による批判・拒絶・攻撃』を過敏に受け止めすぎるところがあります。

些細な批判や反論によって非常に深い心の傷つきや自尊心の低下を感じてしまうことがあり、『自分に好意を持っていることが確信できる人』としか付き合おうとしないので、必然的に社会活動(社交関係)の幅が狭くなってしまいます。


回避性人格障害と依存性人格障害には、他人と親しい人間関係を持ちたいという能動的な関係欲求があります。

本当は他人と関係を持ちたいのに、『批判・拒絶・恥辱を恐れる心理』によって他人と効果的なコミュニケーションをすることが出来ないというのが回避性人格障害の本質です。

回避性人格障害の他人の言動に対する過敏性は、『自我防衛機制の過剰発動』を引き起こし、必要以上に他人と距離を取ってしまいます。
最終的には他人が自分を否定しようとしているという、『自意識の過剰』に陥ってしまい、対人欲求(親和欲求)を満たすことが難しくなってしまうのです。


『ひきこもり・不登校(登校拒否)・出社拒否・コミュニケーションに対する劣等コンプレックス』
などの原因になることが多く、一般的に対人恐怖症よりも重度の社会的回避行動を生起させます。



◆回避性人格障害の各種タイプ

セオドア・ミロンの回避性人格障害についての仮説によると、
『葛藤のあるタイプ・過敏なタイプ・恐怖感の強いタイプ・自己を見捨てるタイプ』
の4つのタイプに分類することが出来ます。


● 葛藤のあるタイプ

『他者と親密な関係を持ちたい欲求』と、『他者に傷つけられるかもしれないという不安』の激しい葛藤があり、かつて、『受動的‐攻撃性障害』と呼ばれた人格障害とオーバーラップする特徴を持ちます。

葛藤心理を反映して境界性人格障害に見られる、『両価性の対人関係』の特徴を示すことが多くあります。

即ち、友人・恋人・知人などに対して『理想化(賞賛)とこきおろし(罵倒)』の両極端な対人評価をしてしまうことがあり、自分の愛情欲求を満たさない他人との人間関係が非常に不安定なものとなります。

『自分の自立性(自尊心)・他人の優しさ』を重視しており、それらが満たされていれば人間関係は安定しますが、それらが脅かされていると感じると、『相手に対する攻撃・侮辱・軽視』などの問題行動が発生してきます。

自分を批判(否定)したり傷つけたりする危険のある相手からは遠ざかり、『対人的なひきこもり』の防衛行動を選択しますが、自分の受けた失望・悲哀・不満を相手に対して間接的な攻撃(嫌がらせ)としてぶつけることもあり、回避性人格障害の中では能動的な攻撃性が強いタイプだと言えます。

対人的なストレスや被害感に対する、『過敏性』が見られ、人間関係の中で小さな批判や反論を受けると感情が不安定になって対人関係を回避する傾向が見られます。

『相手に対する敵意・不満・攻撃性』を抑圧しているタイプであり、何らかのストレスがきっかけになってその敵意が相手に向けられることがあり、対人ストレスに対しては、『ひきこもり(社会的抑制)・間接的な攻撃(相手の妨害)』という反応を返します。


● 過敏なタイプ

他人の言動や感情表現に対して過敏に反応し過ぎるために、『円滑な対人関係』を維持することが出来ない回避性人格障害の類型です。

『傷つきやすい繊細な感受性』と、『(自分が傷つけられるという)妄想的な対人認知』の特徴を持っており、他人が自分を迫害(攻撃)しようとしているという妄想性人格障害の行動パターンとオーバーラップする部分があります。

しかし、『自分の情緒的な傷つきやすさ・対人スキルの低さ』を認識している過敏なタイプの人は、『自分の妄想的な信念体系』に確固たる自信を持っている妄想性人格障害とは、『自分に対する自信・確信の強さ』に大きな違いがあります。

妄想性人格障害の人は、『他人の謀略・迫害計画・拒絶』などを予測して強い不安を感じていますが、『自分の傷つきやすさ・自信の欠如』に対しては無自覚なところがあります。

反対に、過敏なタイプの人は、『自分の傷つきやすさ・自信の欠如』に対して自覚的であり、『他人からの批判・拒絶・侮辱』を過敏に恐れて対人的にひきこもってしまうのです。

『ひきこもり』という非適応的な防衛機制は、『絶対に安全な対人関係』を確保するという目的を持っていますが、過敏なタイプの人は、『感情的な安全距離』を確実に保つために他人から次第に遠ざかっていってしまうわけです。

他人の反応に対して、『妄想的な対人不安』を強く持っている過敏性の人は、他人から否定的な態度をとられると表面的には『罪悪感・自己嫌悪の感情』を抱くものの、その深層心理には、『自分を認めない(愛さない)他人への怒り・不満』の感情が抑圧されています。


● 恐怖感の強いタイプ

『自己の不適切感(対人能力の低さ)』と、『他人に対する不信感・緊張感』を特徴とするタイプであり、他人の信頼・愛情を信用する能力に欠けているために恐怖感・不安感が高まりやすくなります。

愛着欲求と見捨てられ不安が強い依存性人格障害とオーバーラップする部分がありますが、両者共に、『親密な関係にある他者から拒絶される恐怖(親しい相手から見捨てられる恐怖)』を過剰に強く持っています。

その為、恐怖感・不信感の強い回避性人格障害では、自分の恐怖感や怒りを軽減するために、『投影・否認・置き換え・隔離』といった防衛機制が用いられることになり、『自己対象(好きな相手)』と、『否定的な感情(悪意・拒絶)』を象徴的に切り離そうとします。

『他者からの批判・侮辱・拒絶』によって生じる恐怖感をできるだけ回避しようとして、自我防衛機制による、『象徴的な感情の切り離し』を行い、実際に他人との距離を遠くしようとします。

『他人との情緒的関係性(相手に拒絶されたくないと感じる関係)』に束縛されると強い恐怖感や不快感を感じやすいので、恐怖感の強いタイプは、他人と一定以上の距離を取ることを忘れず、『情緒的に安心できる場所』を確保しようとするのです。


● 自己を見捨てるタイプ

『自己評価の低さ(抑うつ的な自己否定)』と、『内向的な想像力』を特徴とするタイプで、他人と関わる不安感を防衛するために内面世界へと深く沈潜していきます。

内面世界の幻想的なイメージや想像的な物語によって、『現実的な対人関係』からできるだけ遠ざかろうとしますが、その想像的・逃避的な防衛機制には一定の限界があります。

空想世界による、『逃避的な自己充足の防衛』に限界を感じ始めると、『自己の無価値感・無力感』が強まってきて、一気に自己憐憫の虚しさや惨めさに襲われるようになります。

自己評価の低下(自信の欠如)に合わせて、過去の不快な思い出のフラッシュバックや意識状態の解離が起こることもあり、現実の苦痛や虚しさから逃れるために、『自分の自分に対する関心・注意』が低くなっていきます。

『自分自身であることを否定する心理』に根ざしており、空想的な自己満足で自己の苦痛を防衛できなくなると、妄想的な信念体系(奇異な思い込み)に捉われた統合失調型人格障害へと発展してしまうこともあります。


『自分の自分に対する注意・自己愛』が衰えることによって悪化する危険があります。

『身体面への注意・関心』が低下すると基本的な身だしなみや入浴・歯磨きなどの自己の衛生管理が出来なくなることもあり、『精神面(アイデンティティ面)への注意・関心』が低下すると自己愛と対象愛が無くなって感情が麻痺し、希死念慮が強化される恐れがあります。

他人(社会)と正常な関係を持てないという、『絶望的な苦悩・自尊心の低下』が極限まで高まった時に、自分で自分の人格や人生を見捨ててしまうという、『自己を見捨てるタイプ』の問題が深刻化することがあります。

自分の存在・人生に対する関心(自己愛)を完全に失ってしまう前に、周囲がその人に共感的・支持的に働きかけていくことが大切になってきますが、回避性人格障害の根本的な解決のためには、『自己評価の向上・対人不安の軽減・コミュニケーションの訓練』などによる『自発的な人間関係の構築』が求められるでしょう。



◆回避性人格障害の原因

発達心理学的な病因論では、『母子分離不安の克服の不全・分離-個体化プロセスの促進の遅滞・愛情欠損による基本的信頼感の形成不全』が考えられますが、回避性人格障害では、『自分への好意・肯定が保証されていない他人』に対する強い不安と不信が見られます。

これは、S.フロイトのリビドー発達論における、『エディプス・コンプレックス(4~6歳頃のエディプス葛藤』を解消していない人に見られる対人不安と類似しており、『内部的な家族関係』から『外部的な社会関係』への発達が上手く進んでいないことを示しています。

『内部的な家族関係』は、保護的な母子関係に象徴されるように、『自分を絶対に否定しない相手との信頼関係』であり、フロイトはここに権威的(社会的)な父子関係(あるいは第三者との関係)が入り込むことで密着的な母子関係の依存を断ち切ると考えました。

過保護・過干渉な母子関係を、第三者(父性的他者)が内面的に断ち切ることによって、子どもは母親(依存する他者)から自立して、『外部社会の多様な他人』と自信を持ってコミュニケーションができるようになります。


それとは反対に、『愛情不足・信頼欠如・虐待経験』によっても他者に対する基本的信頼感が破壊されるという形で回避性人格障害の性格構造が形成される可能性があります。

母親(家族的な自己対象)への甘え・依存が強すぎる人が回避性人格障害になりやすいという側面はありますが、それと同様に、母親・家族からの見捨てられ感や愛情の欠乏感が強すぎる人も『自分に好意(良い評価)を寄せてくれる他人などいるはずがない・自分には他人に愛されるべき長所や魅力が全くない』という形で回避性人格障害の対人的な不信(対人不安)を生じることがあります。

家族から愛情たっぷりに甘やかされて過保護に育てられると、『母親・家族のような自分を絶対に否定しない相手』としか安心して付き合えないという、『付き合う相手の選択性・制限』の問題が生まれてきます。

反対に、家族から愛情や保護(承認)を与えてもらえず虐待的な成育環境で淋しく育てられると、『誰も自分を愛してくれる人はいない・自分には他人に好意を寄せられる資格(魅力)がない』という自己評価の著しい低下による卑屈(悲観的)な自信喪失の問題が生まれてきます。

回避性人格障害には、『他者への依存性(自分を肯定してくれる保証の要請)』と、『他者への不信感(他人に自分が認められるはずなどないという自己否定)』という二つのベクトルがあると推測することができます。


回避性人格障害の人は、『自己に対する不適切感(対人能力の低さ)』と、『他人に対する脅威感(自分への攻撃性)』を認知しており他人(外部)の危険に対して過剰防衛しようとするので、他人との能動的な人間関係を上手く作りあげていくことが出来ないという問題が強まってきます。

自信の低下や他人への不信によって対人的な不安や困難に直面することができず、『回避・抑制・逃避』といった非適応的な防衛機制を繰り返し使うことで、他人と関係を構築するコミュニケーションスキルが更に低下していくという悪循環が形成されます。

回避性人格障害の人は、『他人と親密になりたいのに自分が否定されてしまうかもしれないという不安が強い』という意味で、『必要‐恐怖ジレンマ』の状態に置かれています。

あらゆる不安を事前に予防して、『絶対安全な人間関係』を作ろうとする非現実的な努力によって、回避性人格障害の人は、ますます他人と能動的な関係を持てなくなるので、傷つけられるリスクを受容した、『現実的な人間関係』に適応していく実際的経験が必要になってきます。










自己愛性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■自己愛性人格障害
(自己愛性パーソナリティ障害)


ありのままの自分を愛せず、自分は優越的で素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込む人格障害であるとされる。

自己愛性人格障害はどちらかと言うと男性に多いとされる。
50~70%は男性。


「俺様バンザーイ! 他人なんか糞喰らえ! 俺様バンザーイ!」


自己愛性人格障害の人は、見た目に華があり、注目を引く服装を格好よく着こなしています。
もったいぶった口調や自分の重要人物ぶりをほのめかすような言動もよく見られます。
ステータスや社会的地位の高い者に、自分から進んで接近しようとします。

自己愛性人格障害の人は、自分を賞賛してくれる取り巻きを求めます。
なぜなら、賞賛こそ彼の活力源だからです。
しかし、彼が他者の内面や存在の尊厳を省みることは、ほとんどありません。
他人が自分にとって利用価値がなくなったり、思いどおりに動いてくれなくなれば、その関係は終わりを告げます。
そして相手を「無価値でつまらないもの」として否定します。
他人の気持ちに無関心で、共感性が乏しいのです。

自己愛性人格障害の人は、気まぐれで、気分が良いと、ベラベラと調子のいい弁舌を振るいますが、機嫌が悪いと、些細なことでも、ヒステリックに怒鳴り声を上げ、耳を疑うような言葉で罵ったり、見当外れな説教をしたりします。

自己愛性人格障害の人が、権力や地位を得ると、周囲は散々な思いをします。
権限を笠に言うことを聞くように迫ったり、自分に媚へつらわない者を冷たく無視したり、虐めるように仕向けるなど、まるで子供のような真似を権力のもとに行います。

自己愛性人格障害の人は、共感性の乏しさや搾取的な態度から、しばしば虐待や攻撃に手を染めます。
「反撃されにくい弱者に対して行う」のが特徴で、強制猥褻セクハラストーキングDV(家庭内暴力)の加害者には、自己愛性人格障害の人がたくさんいます。

「支配的欲求の満足」は、醜く危険な病んだ自己愛を表しています。
他者を、同じ心を持った存在としてではなく、おもちゃのように扱うばかりか、服従させ、辱めを与え、思い通りに支配するということは、自己の優越性への欲求を、不正に満足させることに他なりません。


自己愛性人格障害の人は、自分の都合が何よりも優先されて当然だと思っています。
セクハラDVが多いのも、自分は偉く、自分のすることは、どんなことでも特別に許されるという思い込みがあるためです。

他者に対する共感性が乏しいと同時に、防衛による自己正当化が強力なため、自分を省みるということが非常に難しく、明らかに過ちを犯したときでも、謝罪は口先だけのもので、心の中では、自分が正しいと思っています。

ナルシストは、あまりにも自分を特別な存在だと思っているので、自分を教えることができる存在など、そもそも存在しないと思っています。
ましてや、他人に叱られることは、彼の尊大なプライドが許しません。
批判したり、欠点でも指摘しようものなら、あなたは、彼から全存在を否定されるでしょう。

自己愛性人格障害の人を動かすには、義務や道理を説くより、不安や嫉妬心、功名心を刺激することです。
自己愛性人格の人は、基本的に小心で、嫉妬深く、負けん気が強いので、正しく行動しなかった場合に生じる、不利益な事態について説明したり、競争心を突付くことが有効な動機づけとなります。

自己愛性人格障害の人は、非難されると、耳を貸さずに怒り出します。
なかなか自分の非を受け入れようとはしません。
しかし、それが逃れられないものだと悟った瞬間に、彼はすべてが台無しになったような思いに駆られ、ひどく落ち込みます。



◆自己愛性人格障害の特徴

自分を愛するという行為は、健全な心の発達のためには必要なものですが、それが病的に肥大化して自分に対する誇大感を持つようになると、それは自己愛人格障害と呼ばれるものになります。


自己愛性人格障害には、大きく二つのタイプが存在すると言われています。

一つは無自覚タイプです。

正に自己中心の塊です。
多くは、母親の過保護によって生じます。
愛情を注がれ過ぎたために起きます。
「特別な子供」扱いすることで、「私は特別な人間なんだ」と思い込んでるのです。
厚顔無恥、誇大、顕示欲の強さなどがこのタイプの特徴です。


もう一つは全く逆で、過剰警戒タイプです。

小さな頃から親の愛情を受けなかったため、褒められずに育ったために、「自分は本当はもっと凄いんだ」と空想して、傷付いた自尊心を取り戻そうとするタイプです。
傷付きやすさや、過敏性が強く密かな自己愛を持っているのが特徴です。


共通しているのは「自分は特別だ」と思っていることです。


● 御都合主義的な白昼夢に耽る
● 自分のことにしか関心がない
● 高慢で横柄な態度
● 特別な人間であると思っている
● 自分は特別な人間にしか理解されないと思っている
● 冷淡で、他人を利用しようとする
● 批判に対して過剰に反応する
● 虚栄心から、嘘をつきやすい
● 有名人の追っかけ
● 宗教の熱烈な信者


なんでも自分の思い通りになるという空想に耽ったりします。
内容的には、自分の万能感を満たすようなものになります。
全て自分にとって都合のいいように事が運んで、最後には自分が絶大な称賛を浴びるといったようなものです。
いろいろなパターンがあります。


聞かれもしないのに、やたらと自分のことをしゃべりたがる人がいます。
話が他へ移ろうとすると、強引に自分の話に戻そうとします。
話の内容は自慢話的なものばかりで、聞いている方はうんざりしてきます。
他人にはあまり関心がないので、相手がうんざりしていようとお構いなしです。


自分は特別な人間だ、一般人とは違うんだ、という意識から、小市民的な生き方を軽蔑し、そういう人達と一緒にされることを嫌います。
裏付けとなるものが何もないのに、一目置かれる存在であることに非常にこだわります。
あるいは、自分という人間は、特別な人しか理解することができないのだと思ったりします。


他人に対する共感に乏しく、他人を自分のために利用します。
他人の業績を横取りして自分のものにしたりします。
優越感に浸るために他人を利用します。
他人の存在とは、素晴らしい自分を映し出す鏡である、くらいにしか思っていません。
ですから、他人から批判されたりすると、すぐにカッとなって怒ります。
あくまでも自分は優れた存在なのです。


元々、裏付けのない優越感ですので、話の辻褄を合わせるために嘘をつくこともありますが、本人には嘘をついているという意識はあまりありません。
ときにはホラ話のように、話がどんどん大きくなっていって、どこまで本当なのか分からなくなります。


有名人に近付くことで自分を特別な存在だと思い込んだりします。
政治的な大物に近付いて自分の誇大感を膨らませることもあります。
自分も同じ世界の人間になったように錯覚して、裏付けのない空想的な野心にのめり込んだりすることもあります。


誇大感を持つ人には二つのタイプがあります。

自分は素晴らしいと言うタイプと、あなたは素晴らしいというタイプです。
あなたは素晴らしいというタイプの人は、その素晴らしい人に奉仕している私も素晴らしい特別な存在だと言うふうになります。
偉大な独裁者を崇拝する献身的な国民、偉大な神に身を捧げる熱狂的な信者、ワンマン経営者に心酔して滅私奉公する素晴らしい幹部社員、有名な歌手の応援をする熱狂的なファンなどです。


全てに言えることは、ありのままの自分が愛せないのです。
自分は優越的な存在でなければならず、素晴らしい特別な存在であり、偉大な輝きに満ちた存在でなければならないのです。
愛すべき自分とは、とにかく輝いていなければならないのです。
しかし、これはありのままの自分ではないので、現実的な裏付けを欠くことになります。

しかし、本人にしてみれば、高慢だと言われてもピンと来ないかもしれません。
それよりは、他人や周囲の出来事を過小評価していると言った方が理解されやすいかもしれません。
自分より優れたものを認めたがらず馬鹿にしているので、他人の能力や才能が見えず、他人の優秀さを無視します。
そして、他人を見下したり軽蔑したりすることに快感を覚えたりします。



◆自己愛性人格障害の臨床像

1.  内的には不安定であるにもかかわらず、外見はむしろ正常。
「頭がいい」「仕事ができる」「表現力がある」「人づきあいがうまい」「美人(ハンサム)である」などの長所がある。
そのため、彼らが不適応行動を起こしたとき、周囲の人は意外な感じを持つことが稀ではない。

2.  自分について素晴らしい理想的な自己像(誇大的自己)を抱き、自分は他人より優れた能力を持っているとか、自分は特別だと思い込んでいる。
自惚れが強い。
そして、誇大的な自己像を現実化しようと絶えず努力している。
次から次へと際限なく成功・権力・名声・富・美を追い求める。

3.  その背後で、常に深刻な不安定感や頼りなさを経験し、本質的には他者依存的である。
自尊心を維持するために、絶えず周囲からの称賛・好意・特別扱いを得ようとする。
あるいは、自分が理想とするような権力や能力のある人に頼り、まるで自分がその人であるかのように考えたり振る舞ったりする。

4.  妬み・羨望がとても強く、自分が持ちたい、成し遂げたいと思っているものを他人が持っている、成し遂げていると感じ、内心あるいは外見上その人に怒りや憎しみを持ったり、自分の不運を嘆く。
他人の失敗を喜ぶ。

5.  自己肯定感や自尊心が高まっているという感覚を、一定の期間維持することができる。
この感覚が自分を支配しているとき、自分が弱い傷ついた弱い一面を持っているということにほとんど気付かない。
しかし、誇大的な自己像が傷つけられるような体験をすると、一転して自分はだめだ、価値がない、無能だと感じる。
自分についても、ある一つの体験についても、良い面もあれば悪い面もあるといった捉え方ができない。

6.  自分に向けられた非難や批判に対し、怒りや憎しみを持つか、屈辱感や落胆を経験する。
これらの感情は必ずしも表面に表れず、内心そのように感じているということがしばしば。
自分に言い聞かせて自分を慰めることができない。
誰か他の人に慰め、認めてもらわないと、自分を維持できない。
失敗について本当に反省したり、そのときの辛さや痛みを認識する能力に欠けている。
失敗(あるいは批判)から新しく何かを学ぶことができない。
しかし、能力のある自己愛者は、褒められ認めてもらうために、自分を駆り立て休むことなく努力し、誇大自己を満足させようとする。
これは、本人にとっては残酷な作業であるが、社会的には成功する。
能力がない自己愛者は、より退行した形で他者からの是認を求めようとする。

7.  他者についての評価が理想化と軽蔑との間を極端に揺れ動く。
他者についても自分同様、長所と欠点を同時に認識してより深い統合的な理解を持つことができない。
従って、対人関係は相手から見た自分が「理想的・搾取的・サディスティック」で、自分から見た相手が「無力・服従的・マゾヒスティック」というパターンをとる。

8.  誇大的な自己像を思い描き、その空想的な思い込みの世界に浸っている。
他者と関係を持つにしても、それは自分の自尊心を支えるために人を利用しているにすぎない。
本当の意味で他者に共感したり、思いやりを持ったり、感謝したりすることができない(もっとも言語的表現力がしばしばあるので、うわべだけの思いやりを示すことに長けている)。
表面的な適応はさておき、他者との現実的な信頼関係を持つことができない。



◆自己愛性人格障害の発生原因

自己愛性人格障害の発生原因は、いろんな要因が組合わさった複雑な歴史の結果と考えられるが、特に目立ったものについて。

(1)乳児期の母親の共感不全

● 乳児期間はほとんど、どんな欲求も無条件に満たされ、また賞賛・評価される。

● この時、母親が乳児の欲求に応じなかったり、応じてもイヤイヤながらであれば、乳児は深く傷つくことになる。

● この時の母の共感的対応は、赤ちゃんにとって「心理的ミルク」(栄養)であり、発達に不可欠なものである。
これにより、子どもは、発達の一時期に必要な「万能感」を得られるのである。

● また、子ども発達段階に相応する万能感・誇大感に共感を持って反応することは、それを映し出す「ミラーリング」機能と呼んでもよく、これによって 乳幼児は自分らしさの発揮を促進され、より成熟した現実的な向上心を持てることになる。

● 逆にいえば、これに失敗すれば、成長時に必要な万能感や誇大感が充足されず、思春期や成人になってからも万能感・誇大感を追い求め続けることになる。


(2)両親が子どもの理想化対象になれなかった場合

● 幼児は発達と同時に現実にぶち当たり、万能感は崩されかける。
その時、万能感を失いかけた幼児が、その万能感を委託できるような対象として、両親が「手本」となればいいのだが・・・。
(幼児の要求・話しかけに適切に応じ、また幼児を理解し慰め励まし慈しみ、自信を持たせねばならぬ。決して過度な重すぎる期待を表明してはいけない)

● 両親が自分たちのことしか考えなくて、子どもの気持ちを考えずに行動したり、逆に子どもの要求に 無関心だった場合、「健康な自己愛・自尊心」が育たない。

● その結果、反動的に脆い自尊心を隠すため、誇大性の追求にばかり執着したり、傷つくことを異常なまでに恐れるようになる。


(3)変容性内在化が不十分

● 子どもは発達と同時に、現実の禁止に出会い思い通りにならないことを知るし、また、両親や周囲が自分の思い通りにならないことも知らされ、非常に辛い状況の追い込まれる。

● そんな時、失望やフラストレーションが適度であると、本人の中に理想化されている親の機能が本人の中に取り入れられる。
これが「変容性内在化」といって、人間の成長にとっての根本のひとつとなる。

● しかし、これが無関心で冷たい・禁止・ 強制的な命令・拒絶・虐待といった仕打ちだと、度を越えた不満・失望にしかならないから、当然「変容性内在化」は起こらない。

● また、逆に子供を、不満や失望をほとんど与えないような育て方をすると、これも「変容性内在化」が起こらず、成長しない。

● また、もともと適切なミラーリングや理想化が行われていなければ、「変容性内在化」が起きにくいと言われている。

● この「変容性内在化」が起きないと、いつまでたっても自信がつかず、また対象からの取り入れに執着して、他者からの評価にばかりビクビクする人間に成長してしまう。


以上、自己愛性人格障害になるには、(というより、自己愛障害レベルで発達が停止しているともいえる)まだ多様な原因があるとは思うがこの3つをあえて取り上げた。


これらは治療においても大切なことで、

1) 自己対象転移・鏡転移(適切な共感、ミラーリング)
2) 理想化転移(医師は患者の理想化を適度に受け入れる)
3) 微小共感不全(完全・完璧な共感は無理だと悟る)

などによる、適度なフラストレーションからの変容性内在化を計ることが大切だと思う。



◆自己愛性人格障害の治療

【症状】

期待通りに評価してくれないと、うつ状態に陥ることがあります。
また、この自己愛性人格障害は現代人に増えてきた人格障害と言えます。


【診断】

自己愛性人格障害特有の症状から診断がされます。
統合失調症精神病性気分障害などと区別することが大切です。
しかし、どの人格障害かを判別することはなかなか困難なようで、複数の人格障害の診断がなされる場合が多いようです。










演技性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■演技性人格障害
(演技性パーソナリティ障害)


感情的な混乱の激しい人格障害です。

演劇的で、情緒的で、移り気に見えることが多いです。

ストレスには、かなり弱い傾向があります。

過度に情緒的で、度を越して人の注意を引こうとする行動の広範な様式で、成人期早期に始まり、様々な状況で明らかになる。

9割が女性。

演技性人格障害の人は、際立って人の注目を集めたがり、演技的で極端に感情的で、外見をひどく気にします。

表現力豊かで生き生きしているため、友人はすぐにできますが、大抵は表面的で一時的な関係に終わります。

感情表現には、しばしば大げささや子供っぽさ、わざとらしさが感じられ、人の同情や関心(しばしばエロチックな関心や性的な関心)を集めたいという意図がうかがわれます。

性的欲望を挑発するような行動を取ったり、性的ではない人間関係にまで性的な要素を持ちこもうとする傾向があります。
しかし、本当に求めているのは性的関係ではなく、誘惑的な行動の裏に、誰かに頼りたい、守ってほしいという願望が隠れていることもしばしばあります。

学歴詐称、美容整形等により、異性を魅了しようとすることもある。
心気症的な性質を帯びている場合もあり、注意を引くために体の不調などを大げさに訴えることがあります。

通常の日常生活の中において、あたかも役者が演技をしているような目立つ行動をします。
自分の行う行動が注目されないとしたら、それは大きな衝撃・ストレスとなるため、そうなることを恐れて、特別に目立つ行動、時には自己破壊的だったり、挑発的な性行動をとるような、派手な行動を演じてみせる精神疾患です。

演技性人格障害の患者の90%は女性で、自分自身が他人から美化され、注目されることを願望するが、他人に対しては無関心であり、他人を尊敬することもできません。

通常の人間なら、本物の自分の他に、職業人として自分、家庭の一員として自分、友達として自分、あるいは一度だけ会う人としての自分、などという風に一種の演技をし、人が他者と接するときに用いる表層的な人格「ペルソナ」として自分の立場を使い分けます。

しかし、演技性人格障害の人は、このようなペルソナの使い分けができず、ある特定のペルソナにこだわり過ぎることによって、社会生活に多くの支障をきたすようになるのです。



◆演技性人格障害の人に対する一般的な印象

● 目立ちたがり屋で感情表現(話し方)が大袈裟
● 外見的な魅力はあるが内面的な深みがない
● ロマンティックで情緒的な雰囲気を好む
● 芝居がかった演技的な振る舞いをする



◆演技性人格障害の特徴

他人をコントロールするために演技をする。
他人の注目や関心を集めることに生き甲斐を見出しているというのが最大の特徴。

● 芝居がかった態度、誇張された感情表現
● 他人や環境から暗示を受けやすい
● 浅はかで不安定な情緒
● 注目の的になるような行動を持続的に追い求める
● 異様に誘惑的な外見や行動をとる
● 身体的魅力に過度に関心を持つ
● 不安定ですぐに興奮する
● 見栄っ張りで自己中心的
● 依存心が強い
● 外交的で一緒にいて楽しいと言われる
● 自殺をほのめかす、薬の大量服用をするなど、しかも致死量ではない(演技の一環と思われる)
● 行動も誘惑的(自分では気づかない、わかりにくい方法で誘惑する)
● あまり物事を深く考えない(感情に頼りすぎる)
● 異性に対して相反する二面性を持つ、怒りと愛情など
● 異性の関心を何よりも求めるにも関わらず、無意識に異性への怒りをもっている
● 人から愛と関心を受けることを常に求めている
● 他人の関心を引く行為をする
● 拒否されることに対しての恐れが強い
● 他の素敵な女性に敵意や競争心をもっている
● 外見は魅力的でハキハキしている
● やたら大げさにものを言う
● とてもオープンで多くのことをすぐに人にしゃべる
● すぐに知り合いになり、長い付き合いのような気分になる
● しかし深い親密さは滅多に築かれない
● 優れた想像力をもっている
● 相手を自分の世界観に引き込むような話術をもっている
● 表現豊かで落ち着いた印象を与える
● 時間にルーズで詳細なプランニングが苦手
● とっさの閃き、カン、印象に頼り、信念を持たない
● ワクワクする、インスピレーションを与えるような仕事が好き
● 男よりパワーを持ちたいと願っている(力はないから法律と演技で)
● 自分は病気だと思うことで感情的問題に直面するのを避けることがある
● 母親は競争心が強く、冷たく、怒りっぽく、やきもち焼き
● 父親的存在を探し求めている
● 父親への深い、苦々しい思いを抱いている



◆演技性人格障害の性格的特徴

自己中心的で、虚栄心が強く、わがままで、子供っぽい性格が多いようです。
一つの物事を論理的に熟慮することや、具体的なデータ(証拠)に基づいて意見を述べることが苦手であり、その場の感情(気分)や印象に基づいて性急な判断をしてしまうことが多い。

1. 自己顕示性
自分を実際よりもよく見せたい。

2. 情緒不安定性
一見すると他人を振り回して行動しているように思われるが、その真実は実に小さく不完全なもので、危うさ、不安に満ちています。
支配的に振る舞うことでかろうじて安定化を図っているのです。

3. 被暗示性
情緒不安定と同じく、他人や環境に合わせることで、安定化を図るのです。

4. 魅惑性
わざとらしく表面的で挑発的な態度にでるのは、背後に深い罪悪感を抱えていることが多いようです。
このことは、魅惑的な行動に走らせる一因となっています。


● 注目の的になっていないと、面白くない。
● 他人との交流では、しばしば不適切なほど、性的に誘惑的、あるいは挑発的な行動をとる。
● 浅はかで、感情が急にガラリと変わる。
● 注目を得るためにボディーラインを利用する。
● 話しぶりは印象的だが、内容がない。
● ヒーローやヒロインになった気分で、芝居がかった態度や派手な感情の表し方をする。
● 人との関係を、実際以上に親密だと思い込む。

特にネット上は「演技性人格障害」者の格好の舞台です。
一見普通に見えるのに、何かおかしいものを感じるようなら、一歩引いて、理由を客観的に分析してみることをお勧めします。

演技性人格障害の人は、
『他者からの注目・承認・愛情』と、『自分の身体的魅力・外見的能力』
という「外部的な要素」を価値判断の基準として重視していますが、

『自分の真の感情・欲求・生き甲斐』
といった「内部的な要素」を上手く認識できなくなっています。

過度の外向性と社交性を示して多くの人と交流しているのに、精神的な孤独感や空虚感を感じていることがありますが、それは、『自分とは何か?何を目的にして生きているのか?自分は何をしたいと思っているのか?』という自己アイデンティティが拡散しているからです。

『自分が何をしたいのか』ではなく、『他人がそれをどのように考えるのか』という判断基準で自分の行動を選択しているので、『他者からの関心や承認』を失った時にどのように行動すれば良いのか分からなくなってしまうのです。

他人が自分をどう評価するのかという、『他者との関係性』のみによって自己アイデンティティを形成するので、他人に好かれて嫌われないようにするために、『真実の自己(本当の感情や欲求)』を無視するようになります。

自分の欲求を抑圧して、他人を喜ばせるための、『演技的な振る舞い』をしている内に、自己アイデンティティの拡散や自己の存在感の希薄化が起こってくることがあります。

他人からより多くの注目を集めるために、『演技的な言動』をしますが、ありのままの、『真の自己・現実の生活』に魅力がない場合には、自己欺瞞や虚言(嘘)・誇張(大袈裟)などの問題が起こってきます。

現実を誇張するのは、話をできるだけ面白くすれば他人が興味を持ってくれるからであり、嘘をついてしまうのは、『魅力的な自己(興味深い自分)』を演出し続けないと、他人から飽きられて愛情を失ってしまうのではないか、と恐れているからです。

不安定な演技性人格障害の本態『自分自身の内面・思考・目的意識への関心の薄さ』にあるとも言えます。

なぜ、演技性人格障害者は、生活の場でのスポットライトを求め、輝かしい自分を見てもらおうとするのか。
実は、心の底には、「自分は一度も愛されたことがない、いつも愛されていたい」という強い欲求があるのだ。

ところが諦めから、この願望を無意識のうちに押し殺して生きてきた。
切々たる思いは、やがて屈折した表現として言動の端々に出てくるようになる。
性的に誘惑して、愛を得ようとするのだ。
誰よりも愛が多くなければ、承知しない。
それが少しでも減ったと感じれば、癇癪をおこしてしまう。

根底にあるのは、「自分は必要とされている存在」と感じたい欲求のようです。



◆演技性人格障害の診断基準

以下の8つのうち5つ(またはそれ以上)で診断される。

1)自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
自分が参加できない話題が続くと、無理矢理話題を切り替えたり、ことさら自分に関心を向けさせようとする。
注目を集めるためなら、他人の模倣・自傷・自殺未遂等、どんなことでもする。
全体をまとめてグループを形成しようとする一方で、グループ内の個々が自分を飛ばして交流するのを嫌う。
実は見栄っ張り。

2)他人との交流は、しばしば不適切なほどに性的に誘惑的または挑発的な行動によって特徴づけられる
『異性として好意を持たれている』と相手に思わせかねない発言・行動を、不特定多数の相手に抵抗なく行う。

3)浅薄ですばやく変化する感情表出を示す
時に激情的。もしくは過度に弱さを表現する。

4)自分への関心を引くために絶えず身体的外見を用いる
実際の自分自身より、イメージを作り上げて関心を引こうとする。
資力・才能・人脈等を必要以上にひけらかす。
必要以上と思われるほど化粧・服装・アクセサリー等で身を飾る。

5)過度に印象的だが内容の詳細がない話し方をする
話す内容が万人受けに浅く、自分のことばかりなのに本人の現実像を特定できない話が多い。
たまに深いものや面白い内容のものがあっても、たいていは他人の影響か受け売りである。
時に意味もなく抽象的で思わせぶりな表現を多用する。
語彙が少なく、言葉以上には含みのない単語を使うことが多い。

6)自己演技化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現
自分に起きた些細なことを劇的に表現する。
話を自分に都合の良いように脚色する(もしくは本気でそう思いこんでいる)。
自分自身の情報をあえて誤認させ、相手に期待させるような話し方をする。

7)被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい
人の話に左右されやすい。
人のしていることを疑問なくそのまま真似る。
話題に上ったものは多少高額でもすぐ手に入れようとする。
しかし関心は一時的なものなので、趣味として長続きしない。

8)対人関係を実際以上に親密なものとみなす
実際はそれほどでもないのに、自分が相手にとって重要な存在であると思いこみ、そのように振る舞う。
望まれていないのに、お節介と称して他人の深いところに踏み込んでくる。



◆演技性人格障害の各種タイプ

セオドア・ミロンの演技性人格障害についての仮説によると、
『芝居がかったタイプ・幼児的なタイプ・陽気なタイプ・宥和的なタイプ・凶暴なタイプ・不誠実なタイプ』
の6つのタイプに分類することが出来ます。

● 芝居がかったタイプ

最も典型的なタイプであり、『誇張された演技的な行動』と、『派手でセクシーなファッション(外観)』で他人の注目・賞賛を集めようとします。

他人に好かれるようなパフォーマンスをいつも意識しており、他人に嫌われないような迎合性(調和性)を十分に備えていますが、『自分の内面的な感情・思考・知性』に関心が弱く自己アイデンティティは一般に不安定です。

身体的な魅力と外見的な評価に非常に敏感であり、絶えず、『自分が他人にどう見られているのか』を気にしていますが、『自分自身が何をしたいと思っているのか』という目的意識が拡散しやすいという特徴があります。

『他人の拒絶(無視)』によって精神的ショックを受けやすく、『他人と区別された自己イメージ』を持てないので安定した自己アイデンティティを確立できないのです。

● 幼児的なタイプ

境界性人格障害と類似した、『退行的な依存性(しがみつき)』と、『対人関係の不安定性(他者の理想化とこきおろしの両価性)』の特徴を示し、幼稚な感情表現と要求行動によって他人をコントロールしようとします。

『自己と他者の境界線』が曖昧であり、本能的な欲求を依存的に満たそうとするので、特定の他者に対する、『愛着』が強くなりやすくなります。

適応的な自我機能が低下しているので、自立した大人同士の人間関係を結べず、自分の行動に対する責任も適切に果たすことができませんが、『相手からの承認(評価)』を得るために、相手の機嫌を取る』ような部分があるので、『愛嬌のある親しみやすい人物』として認知されていることもあります。

社会的な規則や現実の人間関係に従って欲求を満たす、『現実原則』を守れず、快楽を直接的に追い求める、『快楽原則』によって行動します。

その結果、『他人から注目される快楽』を感じると、歓喜や愛情を感じ、『他人から認められない不快』を感じると、すぐに激しい怒りや強い抑うつ感を感じるという特徴があります。

最大の特徴は、境界性人格障害と同じ、『極端な対人評価の変化(理想化と他者否定の両価性)』であり、『他人が自分を認めるか認めないか』によって頻繁に気分や感情が変化します。

● 陽気なタイプ

双極Ⅱ型障害に近似する、『軽躁状態』の特徴を併せ持った演技性人格障害であり、一見してエネルギッシュな行動力と魅力的な外観、ハイテンションな態度を持つ人物だと分かります。

非常に活発なライフスタイルと一時的な興奮・刺激を求める衝動性(冒険心)を持っており、社交的に振る舞いながら、『多くの良好な人間関係』を維持しています。

派手なファッションと情熱的な語り口調、楽観主義のスタンスに特徴があり、いつも何か楽しい行動に他人を巻き込もうとしています。

他人を引き寄せる誘惑的な魅力と優雅な華やかさがあるので、大勢の仲間を集めて色々な仕事や企画に取り組むことがあるのですが、計画性・継続性・忍耐力に欠けるので、なかなか良い結果を出すことができません。

楽観主義の認識に基づいて次々と行動する陽気なタイプは、『計画の成功』よりも、『みんなと一緒に楽しむ』ことを優先し、『長期的な利益』よりも、『刹那的な快楽』を重視します。

ノリのいいお調子者でエネルギーに満ち溢れた人物という印象がありますが、最後まで物事をやり遂げる責任感と持続力がないので、『初めは勢いがあるが、結局、最後は失敗してしまうというパターン』を繰り返してしまいます。

最大の特徴は、『他人を巻き込むエネルギッシュな行動力』と、『ネガティブにならない楽天性』であり、良くも悪くも大勢の人間を自分の活動や興味に引き込んでいくことになります。

● 宥和的なタイプ

『他人に嫌われないこと・他人に好かれること』を最優先して自己犠牲的に行動する演技性人格障害であり、自分の意見や考えを過度に抑圧して他人の機嫌を取って喜ばせようとします。

宥和というのは、『他人と妥協して合わせる・他人の不満をなだめる』という意味であり、宥和的なタイプの人は、『対人関係におけるトラブルや疎外(孤立)』を非常に恐れています。

自分が相手に譲ったり妥協することで物事が丸く収まれば良いと考え、強迫的に、『他人の行動・発言』を高く評価します。

相手の行動が正しいのか間違っているのかを客観的に判断するのではなく、『相手からの評価・賞賛』を得るために相手のことを認めて肯定するというのが特徴です。

『自分は誰にも愛されない・自分の人格には中身がなく空虚である』という自己評価の低さを抱えた人が多く、他人にお世辞を言ったり賞賛したりすることで自己評価を高めようとします。

宥和的なタイプの人が採用する適応戦略は、とにかく相手に嫌われないようにして、ご機嫌取りをすることで、『自分の存在意義や居場所』を認めてもらおうとするものなのです。

その自己犠牲的(自己抑圧的)な適応戦略が通用しない相手に対しても、『怒りや不満』を感じることはなく、『自己否定的な罪悪感・無力感』を感じてしまいます。

強迫性人格障害に見られる、『強い罪悪感』を持ち、他人よりも自分は劣っているという、『強い劣等感』があるので主体的な行動をすることができないのです。

自分に対する自信と肯定感がないので、他人から拒絶的な態度を取られると、『自分に魅力や才能がないから嫌われるのだ』とネガティブに考え込んでしまい、抑うつ状態に陥ってしまうこともあります。

● 凶暴なタイプ

不安定な感情と攻撃的な衝動性を抱えている演技性人格障害で、反社会性人格障害の特徴とオーバーラップする部分を持っています。

しかし、表面的な社会適応性やコミュニケーション・スキルは高く、初対面の相手には、『社交的で活発に行動する印象・情熱的で積極的に他人と関わろうとする印象・エネルギッシュで意欲的に仕事に取り組む印象』を与えます。

他人に自分の趣味を勧めたりと、やや強引で押し付けがましい印象があるものの、情熱的で行動力があり、他人と楽しく会話できる社交性に富んだ人物に見えることが多いようです。

しかし、自分に対する批判や反論を許すことができず、自分の欲求が満たされないと、途端に機嫌が悪くなるような、『フラストレーション耐性の低さ』があり、全体的な人格構造に幼稚な未熟さやバランスの悪さが見られます。

周囲にいる他者が自分の考えや意見に注目して認めてくれている間は、非常に魅力的で有能な人物として評価されるのですが、周囲の人たちが自分の意見に反対したり他の人物が場の主導権を握ったりすると、突然、憤怒の感情を露わにしたり、意欲を喪失して抑うつ状態になったりします。

『周囲の人の反対や拒絶』によって、急に仕事のやる気を無くして投げやりな態度を取ったり、周りの人に八つ当たりして粗暴な振る舞いをしたりします。

凶暴なタイプの中核的特徴は、『衝動性の制御困難・フラストレーション耐性の低さ・情緒面の発達の未熟性・幼児的な他者への依存性』にあると言えるでしょう。

自分の激しい感情に翻弄されて不適応な逸脱行動(嗜癖行動)を取ったり、他人の承認が得られないと自分の存在が希薄になって自己アイデンティティが拡散したりするので、境界性人格障害と共通する特徴も多く持っています。

● 不誠実なタイプ

凶暴なタイプよりも狡猾かつ計画的に他人を利用しようとする演技性人格障害のタイプであり、反社会性人格障害により近い特徴を併せ持っています。

凶暴なタイプ以上に、『表面的な社会適応性・一時的な対人スキル・第一印象による対人魅力』が極めて高く、初対面の人が不誠実なタイプの人と会話をすると、『信頼できる温和な人物・社交的で一緒にいると楽しくなる人物・会話スキルが高くとても魅力的な人物』といった評価をしてしまいます。

しかし、知り合ったばかりの相手に、『自分を深く信用させるための演技的な努力』を惜しまず、『自分と相手との情緒的な人間関係』が十分に確立してから相手を不誠実に裏切り自己中心的に利用し始めるという特徴を持っています。

そのため、相手は、『誠実で優しかったあの人』が急に、『不誠実で自分勝手な人』に変貌したという感想を抱くことになりますが、不誠実なタイプの人は、『自分を信頼してくれる相手』を理不尽に裏切って利用することに罪悪感を感じません。

反対に、計算高い、『不誠実なタイプ』の演技性人格障害では、『どうすれば相手が自分の思い通りに行動してくれるのか・どのように謝れば相手は自分を再び許してくれるのか』を十分に考えて行動しています。

そのため、『相手の善意・良心・反省』に期待して自己犠牲的に尽くす人ほど、不誠実なタイプの人に騙されて利用されやすくなりますが、社会経済的能力が低いことが多い不誠実なタイプは、『相手からの別離・絶縁・無視』に弱いので、反対に不誠実なタイプの人のほうが『(絶縁を匂わせる)相手の反応』によってコントロールされてしまうこともあります。



◆演技性人格障害の治療

演技性人格障害者が自ら悩み、病院を訪れることはない。
本人は悩んでいないからだ。

この障害は本人に「治そう」という気がない限り難しい病気です。
多くの患者さんは、アルコール依存症であったりうつ病で病院を訪れることが多いようです。

ただ、この人格障害は転換性障害解離性障害を合併しやすい。
これらの病気にこの障害が隠れていることが分かり、治療が始まる。


症状

演技性人格障害は劇的な感情や行動が特徴です。
自分が中心で泣ければ気がすまず、関心を引くためにかんしゃくを起こしたり、涙を流したり、他人を非難したりもします。
また、人を騒がせて、法律を犯したりする場合もあるようです。


診断

演技性人格障害特有の症状から診断がされます。
統合失調症精神病性気分障害などと区別することが大切です。
しかし、どの人格障害かを判別することはなかなか困難なようで、複数の人格障害の診断がされる場合が多いようです。










境界性人格障害<続き>

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは



◆発生要因

なぜこのような境界性人格障害が発生するのか、その要因については、あまり解明されていません。
これは、境界性人格障害がまだ新しい概念であることにもよります。
遺伝的要因を示す説もあれば、脳の器質的な異常が要因だとする説もあります。


最近の傾向としては、境界性人格障害は素質的な要因をベースにして、乳幼児期の母子関係に問題があって発症するという考え方が受け入れられるようになってきました。

母親自身に子どもと離れることへの不安があったり、あるいは家庭内の問題により、子どもと離れられない状況にあったりすると、1歳を過ぎても母子密着の状態が続くことになります。

あるいは2~3歳の第1次反抗期において、母親が子どもの意思を認めず、子どもが少しでも逆らうと拒否し、母親のいうとおりにするときだけ可愛がるということを繰り返したりしたとします。
こういった状況においても、母親の支配の下での子育てが続くことになり、子どもは自分の意思を持つことが困難になってきます。

つまり、極端な母子密着あるいは母親の支配的態度により、子ども自身が精神的に自立することが困難になってきます。

こうした状況が継続されると、子どもは母親に対して、
「自分を可愛がる良い母親」「自分を拒否する悪い母親」
といった2分割(スプリッティング)が生じてきます。

こうした評価は成長するにつれて、自分や母親以外の他人に対しても生じてきます。
「良い自分」「悪い自分」
とか
「愛するAさん」「殺したいAさん」
といった具合に、同じ対象に対して極端な評価が生じてきます。

概ね思春期ころまではいわゆる「おとなしい良い子」で育ってくることが多いようです。
学業成績も優秀なケースが多く、いわゆる親の期待通りに育っていくことが多いのですが、これは仮の姿であって、後に問題が表面化してきます。

思春期頃までは人間関係も限定されており、周りから保護的に扱われることも多いので、問題になるようなことは少ないのですが、思春期を過ぎて青年期に入ったころから、多くの人は社会の荒波に揉まれ始めるようになります。

この時期になってくると、様々な個性や性格を持った海千山千の人間関係にさらされることになり、このことが境界性人格障害を発症させることになります。

境界性人格障害が発症したきっかけを確認すると、他の人から見れば些細なことが原因になっていることが多いのですが、本人にしてみれば、まるでこの世の終わりかのような、経験をさせられたことに感じられ、後は坂を転げ落ちるように、境界性人格障害の特徴が噴出していくことになります。

それまで「良い子」だった子どもが突然、切れたり、引きこもってしまったり、自殺未遂を起こしたり、非行などの反社会的行動・非社会的行動を繰り返すようになるのです。




◆見捨てられ感の誘発

見捨てられていないのに見捨てられたと感じてしまうことがよくあります。

例えば幸せそうな他人を見たときに、ついつい自分と比較してしまい、自分は不幸な見捨てられた人間なんだと思ってしまいます。
他人は他人、自分は自分、人生は人それぞれなのですが、そのような考え方ができません。
ときには羨ましさから、幸せな人の足を引っ張ったりします。

また、何かの選考に自分が漏れたような場合にも、まるで自分の存在そのものが見捨てられたように感じることもあります。
まだ他にチャンスがある時でも、見捨てられたんだという絶望感が支配してしまい、希望を持とうとしなくなってしまいます。

他人からちょっと批判されたりすると、すぐに見捨てられること結びついて絶望したり、あるいは逆に怒り出したり、復讐行動に出たりします。
別に人格を否定されたわけでもないのですが、状況を冷静に判断できずに、過剰な反応をしてしまいます。

現実への対処能力が低いために、いろいろと失敗をしやすいのですが、その失敗がさらに見捨てられ感を強化します。
まだ希望が残っているのに、どうせダメなんだと思い込んで人生のチャンスを自らつぶしてしまいます。

見捨てられる恐怖によって、親からの精神的な分離独立が阻害されたままですので、自分が何者なのかわかりません。
また、何者かになることもできません。
私は誰なのか、どうしてここにいるのか、と問い続けますが、答えが出ません。

回復のためには、まず最初にこう言った日常生活の中に潜んでいる過剰な見捨てられ感をチェックすることが必要になります。

親に見捨てられたからと言っても、なにも自分で自分を見捨てることはないのです。
そんな馬鹿げたことをやる必要はないのです。
親から言われたからと言って、なにもわざわざ自分の不利になるようなことをする必要はまったくないのです。

とは言っても、長年にわたって刷り込まれてきた間違った考え方を修正することは容易ではありません。
精神科医でさえ苦労しているのに、そんなに簡単に解決できるはずがありません。

しかし、少なくともこのメカニズムを知ることで、少しは人生が良い方向に向かうようになるでしょう。




◆境界人格障害は治るのか


境界人格障害の中でも症状の軽い人や、境界人格障害の素質は持っているものの、診断基準を満たすほどではないような人、あるいはそれほど重症ではない人は、年齢を重ねるに従って症状が落ち着いてきたりします。
人生経験を積むことが一種の自己分析的な治療となって、自分が抱えている問題点が修正されていったり、あるいは周囲の人とかの関わり合いの中で見捨てられ感が緩和されたりして、それなりに社会に適応できるようになったりします。

しかし、ある程度重症の症状を持った人は、様々な不適応症状を示し、どうしようもなくなって病院に来たりします。
例えば、摂食障害、リストカット、うつ状態、薬物依存、家庭内暴力などの、はっきりと心の病が原因と分かるような症状を持っている人たちは、親などに付き添われたりして治療を受けに来ます。

そして、その時点で境界人格障害と診断されたりするのです。

しかし、明確に病的な症状ではない人は、境界人格障害という診断名がまだ一般的に知られていませんので、自分の抱えている問題が何なのかを知らないまま悩み続けたりすることが多いようです。

例えば一見社会的な適応を示してはいるのですが、分離不安や見捨てられ感を刺激されるような場面に出くわしたりすると突然キレたり、不安感からパニックになったり、泣き叫んだり、周囲の人に悪態をついたりするような人、あるいは職を転々としたり、破滅願望的な行動を取る人などがそうです。

こういう人はトラブルメーカーと呼ばれていたり困ったちゃんと呼ばれたりします。

周囲の人からは人格に問題があると思われたり、あるいは人格が破綻していると思われたりしますが、実際問題として、その通りなのです。

若いうちはやり直せることも多いのですが、自分の人生を不利にするような破滅的な行動を繰り返しているうちに、段々と人生が追い詰められたような状況になっていったりします。
そして、やがては経済的にも人間関係的にも貧しい状況へと追い詰められていったりするのです。
しかし、様々な症状を持っている人でも、状況がよければ、中年くらいになると、自然と症状が収まって来ることもあります。


では、治療を受けた場合はどうなるかと言いますと、境界人格障害という概念そのものがまだ新しいものですので、追跡調査などの研究はまだほとんど行なわれていません。

そんな中でいくつかのデーターはあるのですが、これは境界人格障害の治療の難しさと併せて考えてみますと、こういった数字をそのまま受けとっていいのか、という問題があります。

どういう治療を受けていたのかとか、セラピストの能力の問題とかにかかわってくる部分が大きいからです。

境界人格障害の治療をすると、セラピストは必ずと言っていいほど精神状態が悪化すると言われるほどに、治療者の人間性に関わってくる部分が大きいのです。

患者は悪態をついたり挑発的な行動を取ったり、治療時間などの約束事を破ろうとしたり、あるいは治療者を性的に誘惑したりして、治療関係を破壊するような行動を次々と仕掛けてきます。

これは、境界人格障害のひとつの特徴なのですが、自分に救いの手を差し伸べてくれるその人に対して敵意を剥き出しにしたりするのです。

一見おとなしそうな患者でも、治療が進んでいって症状が開花したりしますと、突然治療者に向かって罵詈雑言を浴びせたりすることもあります。

未熟な治療者ですと、患者の変化についてゆけず、患者と一緒になってケンカしたり、治療者としては失格とも言えるような状況が発生することもあります。

境界性人格障害の治療には、重症の人はなるべく精神療法を行なっている医師か、医師と臨床心理士などが連携して治療を行なっているところで治療を受けた方がいいと思います。
そして、なるべくなら、境界性人格障害を治療した経験のあるところ、あるいは、境界性人格障害特有の厄介な問題に、病院のスタッフが対処できる態勢が整っているところがいいでしょう。


治療期間については、症状によって様々ですが、大体3年から5年くらいがひとつの目安になるのではないかと言われています。

境界性人格障害は、乳幼児期から始まって、長い年月をかけて刷り込まれてきた心の障害ですので、それを修復するにもそれなりの時間を要するということです。




■境界例の重症のケース■

両親の目の前で死ぬんだと言い、窓から飛び降りようとした。
母は頭を叩いて「いいかげんにしなさい」とB子を抱きしめた。
しかし、引っかく、噛む、蹴るなどの暴力行為は両親から治療者にまで及び、
「なんで生きなきゃならないのか教えろ」
と大声で怒鳴り続け、言語レベルではどうにもならないため、仕方なく Haloperidol 10mg を静注し、鎮静させた。

―「境界例の精神療法」 金剛出版 福島章編より



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境界性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■境界性人格障害
(境界性パーソナリティ障害)


境界性人格障害の人の多くが、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えています。

人間は誰でも多かれ少なかれ、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を抱いていますが、境界性人格障害の人の場合は、見捨てられ不安の感情が非常に強く、周囲の人には理解できないほどです。

この見捨てられ不安は、寂しさ(孤独感)や、不安感、怒りの感情のように、心の奥深くから湧き上がってくるものであるといいます。

常にある寂しさや、怒り。
空しさや絶望感からくる落ち込んだ気持ち。

一人という孤立感やどうでもいいという自暴自棄の感情などは、この見捨てられ不安が原因です。

この見捨てられ不安が、常に付きまとっているので、繰り返し繰り返し、寂しさや、怒り、 空しさ、絶望感、孤立感、自暴自棄の感情が襲います。

このような状態では、安定した人間関係を結ぶことなどできません。

いったん相手を信頼できると思いこむと、今度は見捨てられないようにしがみつこうとします。

相手が困り果て境界性人格障害の人を避けようとすると、今度は一転して、激しい怒りをぶつけたり、引き止めるために自殺しようとさえします。

このように境界性人格障害の人の周囲にいる人たちは、不安定で衝動的な人間関係の渦の中に引き込まれていくのです。



◆境界性人格障害の特徴

境界性人格障害は若い女性に多く、人口の約2%に見られる心の病気です。

人格障害の中で、境界性人格障害が、最も患者数が多く最近増加傾向が見られます。

● 自分が何者なのかよくわからない
● 自分の生き方がわからない
● 現実を理解する能力が貧弱
● いつも場違いな所にいるように感ずる
● 一見、周囲にうまく適応して見えることもある
● 自分のすべてを受け入れてもらいたいと望んでいる
● 愛し方が不十分であるという理由で相手を責めたてる
● 見捨てられる不安が強い
● 自分と他人との境界があいまい
● 自己像が良い自分と悪い自分の二つに分裂する
● 他者を過大に評価し理想視していたかと思うと、急にこきおろしたり激しい攻撃性を向けたりする
● 自分の思うままに操ろうとして、他者と安定した関係が保てない
● 感情の移り変わりが早く、人間関係が不安定
● 人生の価値観や目標が突然変わったりする
● 他人の欺瞞を鋭く見抜いて非難する
● 二者関係にしがみつく
● 虚言が多い
● キレやすい
● 仕事に不満を持ちやすく転職を繰り返す
● 自殺未遂を繰り返す
● アル中、浪費癖、過食、淫乱、ギャンブル狂、暴走行為、薬物中毒
● 行きずりのSE○を繰り返す



◆境界性人格障害の症状


境界性人格障害では、感情のコントロールに問題が生じるため、感情面が極端に不安定になるとともに、以下のような症状がみられます。

● 気分が物事に簡単に左右されてしまう
● 感情を爆発させやすい
● 慢性的な空虚感を感じる
● 一人きりになることに耐えられない
● 衝動的に飲酒、大食、買い物などをしやすい
● 自己イメージが混乱する
● 他者を良い・悪いの両極端で評価し、評価自体も簡単に反転してしまう
● 現実認識が低下する
● リストカットなどの自傷行為をする
● 自殺をほのめかす

上記のような症状が出ると、人間関係にトラブルが絶えなくなり、家庭や仕事面でも深刻な問題が生じてしまいます。

境界性人格障害になると、感情や意志のコントロ-ル力に問題が生じてしまうため、簡単に怒りを爆発させたり、衝動的に何かをしてしまいやすくなります。

精神科(神経科)で、できるだけ早期に治療を開始することが望ましいです。


● 良い自分と悪い自分

境界性人格障害の人は、良い自分と悪い自分を分けています。

良い自分は、多くの人達に愛される人間であり、
悪い自分は、 多くの人たちに見捨てられる人間

というように、本人の中では完全に分裂しているのです。


自分には、良い面と悪い面があるというようには受け取ることができず、 良い自分だけで生きようとします。

両親や周囲の人間の期待を裏切らないためにも、おとなしい良い子でいようと必死に努力します。
悪いところを持った自分を周囲の人が、愛してくれるとは決して考えません。

「良い子でなくては、愛されない。良い子でなくては、見捨てられる。」
との思いから、良い自分であり続けようとします。

しかし、良い子であり続けることはできません。
人間は、誰でも、悪い部分を持っているのですから。

人間関係が複雑になる思春期頃になると、良い子であり続けることがだんだんと困難になってきます。
それでも良い子であり続けようとする境界性人格障害の人は、自分の悪い部分を切り離し、不都合な点は他人に押し付けることによって、問題を乗り切ろうとします。

悪い部分を完全に切り離している境界性人格障害の人は、その部分を他人に指摘されても理解することはできません。
なぜなら、悪い部分を持った自分など存在しないのですから・・・。

境界性人格障害の人に悪い部分の指摘を続けることは、結局のところ激しい言い争いを招くことになり、
「悪いのは、自分ではなく、あの人のせいだ」
というように、自分自身の悪い部分を他人に転換し、この意見を相手が受け入れるまで爆発的な感情は収まりません。

境界性人格障害の人にとって悪い人は、自分自身の悪い部分を持った人間である訳ですから、到底受け入れることなどできません。

その結果、悪い自分から逃げる(悪い自分を切り離す)ためにも、その人に対する攻撃が始まります。

不安定な感情を持つ境界性人格障害の人にとって、悪い人がいつの間にか良い人になっている場合も多々あり、その逆の場合もあります。

1日に態度が何度も移り変わるので、家族や周りの人間にとっては、戸惑いとなすすべの無さだけが残ることになります。

大好きな人が半日後には大嫌いな人になるという、不安定な状態が続くうちに、心の中は不安や孤独感・空しさで 覆い尽くされ、
この苦しみから逃れるかのように家庭内暴力や自殺未遂、 万引きや性的な逸脱行為を繰り返す人もいます。


● 人を操る(対人操作)

境界性人格障害の人は、相談の名人です。
いつも悩みを抱え、寂しげで、頼りがない境界性人格障害の人は、 信頼できると判断した人に必死に相談します。

相談を受けた人は、
「この人を助けることができるのは、 自分だけだ。」
との感情に支配されます。

また、この悩みを打ち明けるのはあなただけだと言いながら他人を激しく批判します。

悩みを聞く者は、いつの間にか境界性人格障害の人に否定的な人を批判的な目で見ることになります。
このため、境界性人格障害の人に否定的な人との間にいつの間にか争いが起こります。

境界性人格障害の人には、人を操っているというような自覚はありません。

自分自身が分からないことで苦しんでいる境界性人格障害の人にとって、自分と同じ意見を持ってくれる人の存在は、それだけで安心を覚えることになります。

逆に、自分の意見を否定する人は不安を増大させる存在なのです。

このように、境界性人格障害の人の人間関係のあり方が必然的に争いを引き起こさせるのです。


● 自分で自分が分からない

境界性人格障害の人は、自分で自分が分からない状態にいます。
自分が何を求め、何をしたいのか分からないと言う人が多くいます。

「なぜ、万引きしたのか、なぜ、あのような激しい性的逸脱行為に没頭していたのか分からない」
と言いながらも、自分が望んでいるものが あやふやで理解できないため、そのような行為から抜け出すことができない状態にいる人が多々います。

自分で自分が理解できない、分からない。
何を望んでいるのか、何がしたいのか分からない。

境界性人格障害の人は、このような苦しみの中で日々の生活を過ごしています。


● 家族や友人としての関わり方

境界性人格障害の人と関わる事は、大変なエネルギーを要します。

専門家である精神科医や臨床心理士ですら、「転移」や「逆転移」といったお互いの気持ちに振り回される問題により、治療に失敗してしまうケースが多く見られます。

ましてや家族や友人など、専門家以外の人が、境界性人格障害の人と関わるとき、いとも簡単に振り回されてしまい大変な思いをすることが多いことでしょう。

【関わり方のポイント】

● 相手の考えや行動について冷静に考え、感情的にならないようにする

境界性人格障害の人は様々な問題行動を起こします。
それらの多くは、ひとつの自己表現であり、あなたに対する「試し」であることが多いのです。
なぜそのような考えや行動を取ったのかを冷静になって考えてみる必要があります。
そして、境界性人格障害の人を変えようとするのではなく、障害を理解することが大切です。
そこから解決の糸口が見つかってくる可能性があります。

● 一人で悩まず、専門家などから情報を得る

振り回されて疲れきっている家族や親しい友人もサポートが必要だと思います。
自分のことを大切にしてください。
自分を犠牲にしてまで無理を重ねてしまっては両者共倒れになってしまいます。
専門家のサポートを受けることが大切でしょう。

● 相手の話をじっくりと聴く

相手の話をじっくりと聴きます。
その際、相手に対して価値観を押し付けず、たとえ間違ったことを言ったとしても、否定的に伝えるのではなく、肯定的な言い方をしてみるとよいでしょう。

● 支えすぎず、距離を置いた接し方をする

信頼できる相手を見つけると、二者関係を求め排他的になり、べったりと依存してくることがあります。
あなたに対する要求や行動がエスカレートしてきてそれに応じられなくなると、とたんに爆発することになります。
サポートをする場合は、ある程度条件を提示して必要以上に支えないようにすること(親密な他人という表現があります)が大切です。

● 怒りが爆発したときは、避難する

時として怒りが爆発することがあります。
生命の安全すら脅かされることもあるかもしれません。
このような時はいわゆる「切れた」状態なので、話し合いによる解決はかえって火に油を注ぐことになりがちです。

対処としては、相手に対して冷静でない状態であることを告げます。
そして、相手の気持ちを理解しているがこのような状況では自分も困惑しているので、とりあえず話し合いを中断することを告げます。
しかし、相手が冷静になったら何時でも話し合いを再開することも告げておきます。
こうしてしばらく物理的に距離を取るとともに冷却期間を置くことが大切です。



◆苦痛回避の行動パターン

● 自暴自棄型

親が自分を必要としないのなら望み通りに必要とされない人間になってやる、という心理です。

万引きなどの犯罪行為に走ったり、命を危険にさらすような暴走行為をしたり、自殺未遂を繰り返したりします。
こういう行為の背後には、自分を見捨てようとする親への激しい怒りと絶望が潜んでいます。

あるいは、こういう危険な行為を通して自分は世間から(親から)本当に見捨てられているのだろうかと「試し」ているような面があります。


● 依存強化型

分離不安を回避するために、無差別に相手にしがみついたり、依存したりします。
医学的に言えば「依存性人格障害」ということになります。
また、アダルト・チルドレンの世界で言われている「共依存」というのがこれです。

このタイプには完全に他人の言いなりになる「お人形」タイプと、
逆に他人の世話をするという形で他人にしがみついてゆく「世話焼き女房」タイプのの二つがあります。

「お人形タイプ」

相手の言いなりになっていれば見捨てられる心配がないのですが、社会に出るとそうはいきません。

相手の言うことをそのまま真に受けていると、ときにはひどい目に遭うことがあります。

このタイプは、自分で自分を見捨てて相手の言いなりになることで見捨てられる不安を回避しようとします。

このタイプの人でも、一見自分の主義主張を持っているように見える人もいますが、それはすべて他人からの借り物で、自分の本当の考えというものを持っていません。

「世話焼き女房タイプ」

博愛主義の仮面を被っていることがあります。

困っている人や弱者を必要として、そういう人をどこからか捜し出してきます。
そして、彼らの面倒を看たり相談にのることで自分の見捨てられ感を解決しようとします。

なぜなら、問題を抱えて困っている人は助けてくれそうな人を頼ろうとしますので、依存されることはあっても見捨てられる心配が無いように見えるからです。

そして、こういう人たちの抱えている問題に非常な関心を持つのですが、自分で自分を捨てているため自分自身のことにはほとんど無頓着だったりします。

自分の利益になるようなことをするのは罪なことだと考え、ひたすら他人のために尽くします。
企業戦士のように、会社に忠誠を誓い人生を捧げます。

常に組織のため、社会のため、全体のためを考えて行動し、他の人にも同じような行動を求めるため、自分勝手な行動をする人を憎みます。

自分自身に「自分」というものがないために、「自分」を持とうとする他人に対しては「見捨てられる」ような不快感を抱きます。


このような人は、例えばアル中のような問題を抱えた人とペアになることがあります。

「私が手を差し伸べてやらなければ、この人はダメになってしまう」
という思いから回復の手助けをするのですが、相手が回復してしまえば自分が必要とされなくなるという悩ましい問題にぶつかってしまいます。

そこで、境界性人格障害特有の乳幼児期の母子関係が再現されることとなるのです。

自分が相手にしがみついていたいので、相手にも自分にしがみつくように無意識的に誘導してしまうのです。

自立を助ける振りをしながら、逆に自立が失敗する方向へと誘導するのです。

こうして、助ける人と助けられる人の、波乱万丈の甘い依存関係が続いていきます。

また、二人の間に第三者が入ってくると、パートナーを横取りされるではないかという疑いから排他的になってしまい、二人だけの閉鎖的な関係に執着することもあります。


● 自己愛型

見捨てられる惨めさを回避するために、惨めな自分とは正反対の自分を空想してみるのも悪くはありません。

みんなから愛され、みんなの注目を集め、たくさんの人から惜しみない賞賛を浴びるという、そんな白昼夢に耽ることは見捨てられた惨めさを解消してくれるだけではなく、栄光に満ちた輝かしい自分という空想に浸る快感を与えてくれます。

しかし、この空想が現実との区別がつかなくなっていったとき、さまざまな問題を引き起こします。
これが自己愛人格障害です。

境界性人格障害と根が同じと言うか非常に親密な関係にあるため、境界性人格障害と自己愛人格障害はセットで扱われたりします。


● 攻撃型

自分を見捨てようとする親や自分の不安感をもてあそぶ親への憤りが、場合によっては見捨てられる恐怖を上回ることがあります。

いい子の仮面を剥いで、突然暴れ出したりします。

それまで、見捨てられる恐怖感に抑圧されていた分だけ怒りは激しいものとなり、自分でもコントロールができないくらい激烈なものになったりします。

例えば、家庭内暴力などや親を責めたて、親に無限の謝罪を要求したりします。
しかし、子どもは何に対して謝罪を要求しているのか自分では本質を理解していません。
こうなると家庭は戦場のように荒れ果てたものになってしまいます。

これほど激しい怒りではなくても、例えば社会的な不正や不条理に対する怒りといった形で現れたりもします。

他人の心に潜む欺瞞を見抜くことに優れていたりするのですが、攻撃的な面が出てきますと相手に対する配慮がなくズケズケとものを言ったりします。

挑発的であることが多く、治療場面では、医師が患者から感情を逆撫でするようなことを言われたり、医師の治療行為の矛盾を指摘して抗議したりと、実に扱い難いことこの上ないような行動に出ることもあります。

ちょっとしたことが見捨てられることに結びついて、侮辱されたような感じになり、激しい怒りの感情を呼び覚ますからです。

健全な攻撃性というのは、自分の利益を守るためになされるものですが、境界性人格障害の人の攻撃は、自分で自分を見捨てているために攻撃によって自分がどんなに不利になろうとも、そういうことには全く無頓着だったりします。

例えば恋愛関係などで自分を見捨てようとする恋人に怒りをぶつけたりしますと、それがストーカーのようになる場合もあります。

見捨てられたくなくてまとわりついてゆく一方で、見捨てようとする人への激しい怒りを露わにしたりするのは、乳幼児期の母子関係がそのまま投影されているからでしょう。


● 快楽型

見捨てられるときの恐怖感や屈辱感から逃れる、一番手っ取り早い方法は憂さ晴らしをすることです。

バイクで暴走したり、酒を飲んだり、オナ○ーやSE○に耽ったりして気を紛らわせます。

普段からブルーな気分でいることも多く、些細なことで気が滅入ったり、むしゃくしゃしたりします。
しかも、そういう不快感を我慢できません。

見捨てられる不安と恐怖が強いために、いつも短絡的に解決を求める傾向があります。

健全な人の快楽と違う点は、自分で自分を見捨てている点です。

度を越した飲酒は健康を損ないます。
行きずりのSE○を繰り返すと性病の危険が伴いますし、暴走行為は事故につながります。
ギャンブルにのめり込みすぎると財産を失います。

でも、そんな危険性はどうでもいいのです。
自分を紙切れのように軽く考えているので、自分の安全を守ったり大切にしたりすることがありません。
一見大胆で勇敢な行動のように見えることもありますが、自分に降りかかる危険性が見えていないだけなのです。
そして、彼らは安全圏にいる人たちを馬鹿にします。

快楽型の重症な人は、やがて身を切るような快楽によってしか自分の存在が確認できなくなっていきます。
世話焼き女房タイプの人と出会えればいいのですが、孤独のままでいますと、廃人への入り口が、扉を開けて待っています。


● 引きこもり型

もし、一人きりになったとしたら、もうそれ以上誰からも見捨てられることはありません。
人間関係の中にいて見捨てられたり、裏切られたりする苦痛を味わうよりは、いっそのこと孤独でいた方がいいと考えるタイプです。

人間関係の中で、見捨てられたり裏切られたりする場面に直面しそうになると、そうなる前に自ら身を引いてしまうケースがあります。

そうすれば相手から見捨てられるという苦痛に直面せずにすみますが、人間関係を次々に失っていったり、転職を繰り返したりといった不利益が発生します。

そして、全ての関係から身を引いて、再び新しい理想的な関係を求めます。

自分にとって都合の悪いことがあると、その度に人生のリセットボタンを押すのですが、年齢を重ねるにつれてやり直しのきかないことが多くなってゆきます。


● 理想化型から分裂型

見捨てられる不安のない世界、とことん甘えることのできる世界、自分の全てをありのままに受け入れてくれる世界を夢見ています。

しかし、この世にそんな世界はないのですが、現実を正しく認識できないので、肥大した「一体感への夢」を追い続けることになります。

誰からも愛される人という、ありもしない架空の人物像に憧れたり、理想的な恋人との巡り合わせを願ったりします。

現実をありのままに見ることができないため、例えば、たちの悪いヒモに貢ぐ女のように、相手の男を理想的な男に仕立ててしまいます。
周囲の人が「利用されて捨てられるだけだよ」と注意しても耳を貸しません。

見捨てられる不安の反動として、理想的な関係を求めても、それが現実とずれたものであれば非常に不安定で崩れやすいものとなります。

例えば、理想の恋人だったはずの人が、ある日突然大嫌いな人に変わったりします。

無限に自分を受け入れてくれる人か、あるいは自分を見捨てようとする邪悪な人か、どちらかしかなくなります。
中間がありません。

愛し合っていたのに、突然恋人を罵ったり罵倒したりします。
かと思えば、急に自分の非を詫びて甘い関係を取り戻そうとしたりします。

感情が激しく変動するので、恋人は散々振り回されることになります。
こうなると、恋愛は波乱万丈のドラマになってきます。

このドラマのエネルギー源は、見捨てる親と受け入れてくれる親の、その両極端がダイナミックに分裂したままで統合されていない点にあります。

理想と苦痛に満ちた現実との分離が極端にひどくなりますと、一時的に精神が分裂したようになります。

堪え難い苦痛に満ちた自分を否定し、これは私ではないと自分自身から切り離してしまうのですが、いろいろと無理があるために、心の中で神と悪魔の妄想が飛び交いはじめます。

誰もいないはずの隣りの部屋から、自分を馬鹿にする声が聞こえてきたりします。



続き




反社会性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは



■反社会性人格障害
(反社会性パーソナリティ障害)


反社会性人格障害とは、他者の権利や感情を無神経に軽視する人格障害である。

人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動をする(嘘をつく)傾向がある。

欲しいものを手に入れたり、自分が単に楽しむために人を騙します。
自己愛性人格障害の人が、自分は優れているのだから当然だと考えて人を利用するのとは異なった考え方)


反社会性人格障害の人は、アルコール依存症、薬物依存、性的逸脱行動、犯罪といった問題を起こしやすい傾向があるとされる。
だが、危険なことをする割には、精神的な弱さが見受けられる場合も多い。

また、虚言癖があることが多く、女性に多いとされる演技性人格障害との関連が考察されている。


10代半ばから20代前半くらいの年齢に多く見られます。

この人格障害は男性に多いとされる。(9割が男性)

反社会性人格障害の女性は、太っていることが多い。


以前は精神病質人格社会病質人格(いわゆるサイコパスソシオパス)と呼ばれていた。


反社会性人格障害は、精神医学的というよりは、社会的価値基準に基づく診断であるため、これに関する議論は非常に多い。




◆反社会性人格障害の特徴


● 良心の異常な欠如
● 他者に対する冷淡さや共感のなさ
● 慢性的に平然と嘘をつく
● 行動に対する責任が全く取れない
● 罪悪感が全く無い
● 過大な自尊心で自己中心的
● 口達者で浅薄な魅力


反社会性人格障害の人は、衝動的かつ無責任に、自分の葛藤を行動で表現し、「他人の権利を無視し、それを侵害する」という行動が特徴的です。

不満があると我慢ができず、敵意を示したり暴力的になったりすることがあります。

自分の反社会的な行動の結果を考えないことが多く、他者に迷惑をかけたり危害を加えたりしても、後悔や罪の意識を感じません。

むしろ、言葉巧みに自分の行動を正当化したり、他の人のせいにします。

仕事に失敗しがちで、住居を転々と変えるケースもよくみられます。


良心とか他人に対する思いやりが全く欠如していて、共感性がない=他人の感情などお構いなしで、社会規範など通用せずに、身勝手に好きなように振舞う。

他人の事情を考慮する間もなく、自分の好き勝手をし、外見は愛想が良いが、実はその心の奥には敵意・焦燥感・怒りが潜んでいる。

そして、異常にごまかしが上手く、真実を捻じ曲げて、嘘を繕おうとする。

脳の前頭葉に問題がある可能性が指摘され、ホルモン異常と考えられる上に、通常左脳で行われる言語処理が右脳で行われているのが80%以上のサイコパスの特徴である。

反社会性人格障害者の脳は、脳波などが普通の人間のそれとは違い、爬虫類に近いという。



反社会性人格障害者は一見すると普通の隣人に見える。

貴方は時々振り回される時があるが、そんなに深く関わらずに暮らしているので、普段は、「ああいう人もいるのね」という感じで見ているだけである。

そこが反社会性人格障害者の一番恐ろしいところだ。

反社会性人格障害者はある日突然、貴方に大きな理由もなく襲いかかることもある。




すぐバレるウソを重ね、思い通りにならないとすぐにキレ、要求は多いが、返すものは少ない。
冷淡でぞっそするような目つきをすることがあるなど、本能的に嫌悪感を感じる場合は、危険信号です。





◆反社会性人格障害の原因説

● 事故などによる脳の損傷
● 虐待
● 家族の内部での反社会的な行動
● 薬物などの乱用
● 両親の離婚


家族の内部で過去に反社会的な行動、薬物などの乱用、両親の不仲による離婚、虐待などがあったことが認められることもあり、危険な行動はそれを隠すためであるとも考えられる。

また、反社会性人格障害の人は一般の人に比べて寿命が短い傾向があるといわれる。

また、事故等で脳に損傷を受け反社会性人格障害を発症する場合があるが、これは事故による前頭前皮質の機能不全で起こるものと推測される。




◆反社会性人格障害の各種タイプ


セオドア・ミロンの反社会性人格障害についての仮説によると、
『貪欲なタイプ・評判を守るタイプ・危険への覚悟をしているタイプ・放浪的なタイプ・悪意あるタイプ』
の5つのタイプに分類することが出来ます。


● 貪欲なタイプ

自己愛と嫉妬心が極端に強くなっている反社会性人格障害であり、『自分の不幸な人生に対する復讐』を目的にして貪欲に他人から財産・権利を搾取し社会にダメージを与えようとします。

自分に不幸な境遇を与えた社会への復讐心と自分よりも幸福な生活を送っている他者への嫉妬心によって、貪欲なタイプの人は、『支配欲・所有欲』を高めていきますが、決してその欲望が満たされることはありません。

社会の秩序(安全)を揺らがして他人の財物を所有することで、『人生への復讐』を達成しようとしますが、貪欲なタイプの人が本当に求めているのは、『他者からの尊敬と愛情・社会的に高い地位と権力』なので、不当な犯罪や攻撃、嫌がらせなどの手段によっては彼らの欲求を十分に満たすことは出来ないのです。

際限のない物欲や支配欲を満たそうとして必死に努力し他人を蹴落としながらある程度の社会的成功を手にすることがありますが、『人生の無意味さ・自己アイデンティティの空虚・他人への憎悪』を抱えているのでなかなか純粋な幸福を感じることができないという問題があります。

社会への復讐心や他者への不信感から生まれた貪欲さが弱まってきた時に、社会的成功に見合うだけの幸福感・満足感を感じられる可能性があります。しかし、他人を信頼して社会の常識的な価値観に合わせるということは、『他者を支配して奪い取ること』を生き甲斐にしてきた反社会性人格障害の人にはとても難しい課題なのです。


● 評判を守るタイプ

物質的な所有欲や他者への支配欲よりも、『マイノリティ集団における名誉と敬意』を重んじる反社会性人格障害であり、何ものをも恐れない自分の勇敢さと強靭さ、恐ろしさを同類の仲間に認められることに全てを賭けています。

所有欲や支配欲を満たすために衝動的な行動をするのではなく、『自分がいかに勇敢で強いのか』を仲間に対して証明するために衝動的で危険な行動をする傾向があります。

法律を破って犯罪を実行するのは、自分が法の制裁や国家権力を何ら恐れていないことを証明するためであり、対立する敵対グループに先陣を切って突入していくのは、自分が敵対グループの暴力に負けない勇気と根性を持っていることを明らかにするためなのです。

そのため、彼らは違法行為の結果手に入れる利益や商品などに殆ど関心はなく、仲間たちが自分の行動をどのように評価しているのかという評判・名声を非常に気にしています。

彼らは、『自分が誰からも承認されないという孤独感』を抱えており、自分を尊敬して評価してくれる仲間のためであれば、法的に処罰されようが生命を失おうが関係ないというほどの覚悟を決めていることもあります。

評判を守るタイプの最大の特徴は、『自分を評価しない一般社会』ではなく、『自分を評価してくれるマイノリティ集団』のためにどんなことでもやってしまうという盲目的な勇敢さ(無謀さ)にあります。


● 危険への覚悟をしているタイプ

誰もが恐怖して逃げ出してしまうようなリスクに対し敢えて挑んでいくような反社会性人格障害であり、『死を恐れない態度・破滅を恐れない覚悟』に自己アイデンティティの全てを賭けているという特徴があります。

『評判を守るタイプ』と、『危険への覚悟をしているタイプ』には、誰もが恐怖する危険な行動を敢えて実行するという共通性がありますが、評判を守るタイプは、『自分を評価してくれる仲間』のために危険な行動をするが、危険への覚悟をしているタイプは、『無意味な人生に意味をもたらす刺激』のために大きなリスクを冒します。

しかし、両者ともに、『リスクに対する報酬』にはほとんど無関心であり、『自分がどれだけ勇気と力に満ち溢れた存在であるか』を実感するために敢えて深刻なリスクを取って行動するのです。

危険への覚悟をしているタイプの反社会性人格障害は、自分の生命にも人生にも殆ど関心がなく、『本質的に無意味な自分の人生』がいつ終わっても構わないという虚無感を絶えず抱えているので、誰もがしり込みするようなリスクに対して決してひるむことがないという特徴を持っています。

状況や課題がよりリスキーであればあるほど、危険への覚悟をしているタイプはやる気をそそられるようになり、大きなリスクを乗り越えた自分に周囲の人たちが目を丸くして驚き呆れる様子を見て、この上ない満足感を得ていると考えられます。


● 放浪的なタイプ

既存の社会的・職業的制度や文化的価値観に適応することのできない反社会性人格障害で、『社会的な制度・仕事・義務』の全てからできるだけ遠くに逃走しようとする特徴を持ちます。

社会の平均的なライフスタイルを嫌悪していて、就職(職業)や結婚(家庭)に対する関心も低く、その時その時を場当たり的に生きていこうとしますが、経済的困窮や社会的差別の問題に突き当たることが多くなります。

放浪的なタイプの人は他のタイプの反社会性人格障害と比較すると、『社会への憎悪・他者への不信』はそれほど強くありませんが、『社会制度的な枠組み・規則正しい生活習慣』の中に適応させられることを非常に嫌います。

社会における平均的生活(安定した生活)からのドロップアウト組であり、社会の周縁的環境を流浪する人たちですが、『自分の人生(将来)に対する関心の低さ・安定した生活への適応能力の不足』などの問題があるので経済的に貧窮してホームレス化するリスクを孕んでいます。

所有欲や支配欲といった反社会性人格障害の特徴をあまり持っておらず、基本的には、『社会や他人に束縛されない自由・自分の好きなように行動できる自由』に最大の価値を置いています。


● 悪意あるタイプ

反社会性人格障害に見られる、『社会への復讐心・他人への憎悪・衝動的な破壊願望・貪欲な所有欲』が最も強いタイプであり、社会常識や規範意識への飽くなき抵抗と他人からの不当な搾取に生き甲斐を見出しています。

幼少期に受けたトラウマ的な体験などの影響で、『他者への根深い不信感と嫉妬心』を抱いており、他人の行動に、『妄想的な悪意』を見出しても、『ありのままの善意』を見出すことはありません。

妄想性人格障害のように、『他人が自分を罠にはめて痛めつけようとしている・他人は自分から搾取することはあっても何かを与えてくれることはない・他人の優しさや同情は偽善的な計略に過ぎない』という被害妄想を持っているので、他人の親切や善意を素直に信じることができなくなっているのです。

悪質な嘘をついて他人を騙そうとし好戦的に他人と戦って利権を奪い取ろうとしていますが、他人に不当な危害や損失を与えても罪悪感や後悔の念を抱くことはなく残酷な復讐に快感を感じています。

それは、他人への悪意や攻撃(加害)を、『過去の自分の不幸や屈辱』に対する当然の補償(報酬)だと認識しているからであり、社会への復讐心と他者への嫉妬心によって彼らの不安定な自己アイデンティティが支えられているからです。

『自己と他者の相互信頼的な関係性』をリアルなものとして深く体験できない限り、『他者に対する残忍な行動・衝動的な加害行為(搾取と支配)・他者の苦痛に対する共感性の欠如』が改善されることはないと言えます。




◆自己愛性人格障害との違い

自己愛性人格障害の場合は、心理的な問題(多くの場合母親との関係の問題)で発症していますが、反社会性人格障害の場合、脳の扁桃体に遺伝的異常があると考えられています。


反社会性人格障害の場合、罰を記憶していることができません。
そのため、罰をいくら与えても同じ問題を何度でも起こします。

自己愛性人格障害の場合は、罰を受けるとそれを理解し、その後、同じ問題を繰り返すことは、反社会性人格障害よりも少なくなります(ここでの罰というのは刑事罰も含みますし、親が子どもを叩くということも含まれます)。


反社会性人格障害の場合、報酬を目的とした場合、手段を選びません。
もっとも簡単で単純で直線的に手に入れることだけを考えます。

自己愛性人格障害の場合には、報酬を諦めるということも視野に入れることができます。
反社会性人格障害は、そういうことを考えることはありません。


反社会性人格障害は、反省・罪悪感を感じることができませんが、自己愛性人格障害の場合には、反省・罪悪感を感じ取ることができるので、対人関係や仕事などを検討して、先に進めることが可能です。


反社会性人格障害は、情動が薄いため、感動したりうれしい感情やワクワク感を記憶に留め、思い出すということもできないため、ワクワク感を得るために危険な行為(暴走運転や放火したり)などの危険行為を何度も行います。

反社会性人格障害は、すぐに飽きます。
何をしていてもすぐに飽きてしまいます。
これは楽しい気分を記憶しておくこともできないため、何のためにしているのかが判らなくなってしまうためだと考えられています。
したがって、趣味を継続するということができません。




【診断名サイコパス】より


サイコパスは社会の捕食者であり、生涯を通じて他人を魅惑し、操り、情け容赦なく我が道だけを行き、心を引き裂かれた人や期待を打ち砕かれた人や、空になった財布を後に残していく。

良心とか他人に対する思いやりに全く欠けている彼等は、罪悪感も後悔の念もなく社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振舞う。

彼等から被害を受けた人達は、驚きとまどい絶望的な思いで自問する。

「あの人達はいったい何者なのだ?」 
「どうしてあんなことができるのだろうか?」 
「私達は一体どうやって自分を守ればいいのか?」

そう、サイコパス(精神病質者)は社会の捕食者なのである。


<サイコパスは口達者である>

ウィットに富み、明快な発言をする。
愉快で、人を楽しませる会話もでき、機転の効いた賢い受け答えを用意していて、更には説得力のある話で自分を素晴しい人間に見せることができる。


<サイコパスは自己中心的で傲慢である>

ナルシスティックで、自分の価値や重要性に関してひどく慢心したものの見方をする。
まったく驚くべき自己中心性と権利感覚の持ち主だ。
彼らは自分が宇宙の中心にいると思っていて、己のルールに従って生きることが許されている優秀な人間だと思っている。


<サイコパスは良心の呵責や罪悪感が欠如している>

自分の行動が他人に大変な迷惑をかけているという認識を驚くほど欠いている。
自分には罪悪感などなく、苦痛や破壊を引き起こしたことを「すまない」という気持ちを持てず、そういう気持ちを持つ理由も何ひとつないと冷静に言う。


<サイコパスは共感能力が欠如している>

特に彼らの自己中心性、良心の呵責の欠如、浅い感情、ごまかすことの上手さは、根深い共感能力の欠如と密接な関係がある。
彼らには、皮相的な言葉の次元を越えて“人の身になって考える”ことができないように思える。
他人の感情など全く関心の外なのだ。


<サイコパスはずるく、ごまかしが上手い>

嘘つきで、ずるく、ごまかしの上手いのは、サイコパスの生まれもった才能だと言える。
嘘を見破られたり、真実を疑われたりしても、滅多にまごついたり気後れしたりしない。
あっさり話題を変えたり、真実を作り変えて嘘の上塗りをする。


<サイコパスは浅い感情である>

ときに冷たくて無感情のように見える一方、芝居がかっていて、浅薄で、感情はほんのたまにしか表さないようにも見える。
注意深い観察者は、彼らが演技をしていて、実際にはほとんど何も感じていないような印象を受けるにちがいない。











 

統合失調型人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■統合失調型人格障害
(統合失調型パーソナリティ障害)


統合失調型人格障害とは、親密な関係で急に気楽でなくなることと、そうした関係を持つ能力の減少、および認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さの目立つ社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期に始まり、様々な状況で明らかになる。

他人からは非常に風変わりで奇妙にとられます。

千里眼やテレパシーといった神秘的思考や、魔術的思考、錯覚などに囚われやすい傾向にあるようです。

また、信頼できる人をあまり作らず、自殺を企てることも多いようです。

親しい間柄の間でも些細なことを曲解する。
親しい関係を続けることが困難で、対人場面で過剰な不安を示す。

自閉的で孤立しがちです。

ストレスによって分裂病や、うつ病不安障害身体表現性障害解離性障害になることもあります。

疫学的研究によると統合失調型人格障害は、人口の1~3%程度に発症すると考えられています。

2002年までは、分裂病型人格障害と呼ばれていた。




◆統合失調型人格障害の特徴


統合失調型人格障害があると、しばしば円滑な対人関係を築くことができず、協調性をもった行動ができません。

支離滅裂な言動が目立つようになり、「関係念慮」と呼ばれる傾向が見受けられます。

少し離れたところでボソボソと話している人たちがいると、自分の悪口を言っているのではないかなどと思うようになります。

超能力などへの関心、不適切な思考の出没などの病的障害が認められますが、幻覚や幻聴などの徴候はありません。


● 話の内容が曖昧、抽象的、突飛で奇妙な言動、服装をする。
● 他人が話していると、自分の事を話している、馬鹿にしていると思い込む。
● 迷信深さ、霊感、千里眼、テレパシー、第六感、超能力を異常に信じ込む。
● 疑い深く、人を信用しない。
● 一親等の親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
● 社会に対して過剰で妄想的な不安感を示し、慣れでも軽減できず、妄想的恐怖を伴う。



『過度の内向性』の性格行動パターンを持つ統合失調型人格障害の人は、自分の内面的な空想や価値観、世界観に対して強いこだわりを持っていて自閉的な外観を呈しますが、自己の外部にある現実世界(社会生活)や他者に対しては徹底して無関心です。

感情表現の硬直化や鈍磨が見られるので、他人とコミュニケーションしていても微笑んだりすることがなく、無表情で冷淡な印象を周囲に与えます。

元々、他者と積極的に話しかけようとか相互理解を深めようというモチベーション自体がないので、いつも他人に対して無関心であり対人場面を避けて社会的に孤立しています。


『臆病な統合失調型人格障害』の人の至上命題は、自尊心・自己愛を傷つけずに他者と程よくコミュニケーションできることであり、神秘的な幻想やテレパシーのような超能力の妄想、魔術的な思考というのは、『極めて特殊な自己の世界観』を開示することにより他者を遠ざけながらも、自分と感受性の合う他者(自分を傷つけない他者)を選別しようとする試みでもあります。

しかし、その選別のための防衛機制が上手く機能する可能性はほとんどありません。

一般社会の常識や通念に反する奇妙な空想や風変わりな価値観を持っているために、他者と上手くコミュニケーションできず社会環境から疎外されやすくなります。

その結果、『被害妄想的な異質性を嫌う他者』から侮辱や否定を受けるリスクが高くなり、統合失調型人格障害の人は自尊心や自我意識を傷つけられて、ますます現実社会の人間関係から逃避(内向的な自閉)していくことになります。




◆統合失調型人格障害性格行動面の特徴


統合失調型人格障害は、統合失調症の病理研究や臨床活動の中から発見された性格上の問題で、対人関係や社会活動に強い不安や恐怖を抱いていて、奇妙な信念や風変わりな空想を持ちやすい人格構造の偏りです。

統合失調症の病前性格という見方をされることもあり、『統合失調型』という用語には統合失調症のスペクトラム(連続体)という意味合いも込められています。

他者との人間関係に対する動機づけ(モチベーション)が乏しいだけでなく、一般的な論理(ロジック)や規範(ルール)を正しく理解できない、『認知機能の障害』もあるので、現実社会への適応はかなり悪くなっています。


統合失調型人格障害は、統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)と関連が深い人格障害と見られており、特に、本来自分と無関係なものを自分と深い関係があると思い込む、『関連妄想(関係念慮)』が出てくることがあります。

陽性症状に類似した特徴だけでなく、『無為・自閉・意欲減退・感情の硬直』といった陰性症状に似た特徴も持っているので、統合失調型人格障害の人は、親密な対人関係を回避して他人を信用しないという側面が強くあります。

統合失調質人格障害と同じように、『社会生活・対人関係・職業活動などからの孤立』が問題となり、『奇異な信念・奇妙な空想・風変わりな態度』によって他人を寄せ付けないため通常の対人関係を取り結ぶことが殆ど不可能になります。


奇異な信念とは、『自分と他人とは理解し合うことが原理的に出来ない』とか、『夢に出てきたイメージは必ず現実のものとなる』とか本人だけにしか通用しない非現実的な思い込みのことで、奇異な信念体型によって、『自己と他者との間の厚い隔壁』を築いて自分を他者の否定的言動から防衛する意味があります。

奇異な信念や風変わりな態度は統合失調症ほどに病的な症状ではないので、『他者への過度の不安・恐怖』の現れであると見なすこともできます。

不安や恐怖の源泉である他者から遠ざかる為に、『私とあなたとは根本的に違うというメッセージ』を出しているケースもあります。

標準的な価値観や社会通念の側から見て、奇妙で風変わりに見える統合失調型人格障害の人ですが、実際には、統合失調型人格障害の人の方も社会で生活する他者を、『奇妙で恐ろしいもの』と認知しています。

奇妙な空想や独自の世界観は、彼らが自分を、『周囲の異質な他者(自己存在を脅かそうとする他者)』から自己防衛するために生み出された妄想様観念であると理解することが出来ます。


『奇異な思い込みの世界』に自閉する傾向がある、『統合失調型人格障害』は、『統合失調質人格障害』よりも、更に社会適応性が悪く、他人と打ち解けたコミュニケーションをすることが難しい人格障害です。

統合失調型人格障害の中核的信念には、『他人は信用できず、油断をすれば自分が傷つけられる』という被害妄想じみた信念があり、その為に、学校や企業での集団生活に上手く適応できず、初めから社会集団に所属することを強く拒絶します。

統合失調型人格障害の人にとって、『社会的な集団組織の一員』になって社会的アイデンティティを持つことは、『本来の自己』を喪失することであり他人(社会集団)から思い通りに自分の人生(時間・判断)をコントロールされることなので、学校や企業の一員として自分を認識することに強烈な恐怖と不安を持っています。

これは、C.G.ユングの普遍的無意識(集合無意識)でいうグレート・マザーに、『呑み込まれる不安』と一緒であり、統合失調型の人にとって、『自分より大きな影響力を持った存在(社会的責任・ヒエラルキーのある社会集団)』の一部になることは、大きな組織から保護されるのではなく大きな組織に支配されるといった被害的認知に繋がることが多いのです。


統合失調型人格障害の人にとって一番重要な課題は、『自己の正当性と影響力が保障された空想的な世界の枠組み』に留まり続けることであり、奇異な信念や風変わりな行動は、そういった自分独自の内的世界に他人を一切寄せ付けないための自我防衛機制としての役割を意図せずして果たすことになります。

『前進的な変化・社会常識への適応』を厳しく拒否するかのような強固な妄想的人格構造は、『自分に幾ら干渉しても、自分は他人の意見によって決して変わる事はない(自分に幾ら働きかけても無駄だから放っておいて欲しい)』という逃避的な防衛機制であり、その『他者との共感・協力』を拒絶する防衛機制によって統合失調型人格障害の人は必然的に社会的な対人状況から孤立していきます。

感情の硬直化や過度の内向性という特徴を持っているので、対人関係がなくなって社会的に孤立しても統合失調型人格障害の人は深刻な孤独感や寂しさによって悩むことは余り無いのです。



統合失調型人格障害と統合失調質人格障害の類似点としては、『積極性・自発性・能動性の欠如』が見られ、基本的に、社会的活動に対して受動的・依存的な行動パターンを示すということがあります。

統合失調型人格障害の場合には、防衛的態度と自己正当化の欲求が過剰に強まっているので、自分の悪口や批判に対しては非常に敏感に反応し、自分を攻撃しようとする相手には神経質に念入りな反論をする傾向があります。

双方とも、自分から進んでやりたい事柄や自分が楽しいと思える趣味、他者と一緒に楽しめる時間などが殆どないことも共通しています。

奇妙な考え方や風変わりな行動を特徴とするクラスターA(A群)の人格障害の中心症状は、『喜ぶ能力や楽しいと思う感受性の喪失=アンヘドニア(失快楽症)』であるとする見方もあり、彼らは、『人生には何一つ楽しい遊びやエキサイティングな体験などない』という強固な思い込みに囚われています。




◆統合失調型人格障害の各種タイプ


現象学的な症状と対人関係に対する防衛機制(空想・妄想・信念)に着目すると、統合失調型人格障害は、
『面白みのないタイプ・臆病なタイプ』
の2つのタイプに分類することが出来ます。


● 面白みのない分裂病型人格障害

感情の硬直化と他者への無関心によって、自分自身が何が楽しいのか何を面白く感じるのかが分からなくなっている状態であり、頭の中を奇妙な空想や風変わりな世界観が占領していることで他者と喜びや感動を共有することが不可能になっています。

周囲の人たちからは、感情表現や話題の内容が乏しく面白みのない人と認知されていますが、本人も、自分自身の、『人生の喜びや楽しみ』への関心が薄く毎日の生活を楽しむ情緒的・対人的能力を欠いています。


● 臆病な分裂病型人格障害

対人関係に対する強烈な不安と緊張を抱いており、他者を、『自分を迫害する存在』として被害妄想的に認知する傾向があります。

いつも他人からの批判や攻撃に対して万全な自己防衛をしていないと安心できない、『臆病さ・小心さ』が特徴であり、他者との対人関係を防衛的に拒否しながらも心のどこかで誰かと少しは繋がりたいという欲求を持っています。

神秘的な宗教や風変わりな世界観に異常なこだわりを見せることも多いですが、それは、『自分を理解できない他者』を振るい落とすためのスクリーニング(選別)の防衛機制であり、無意識領域では、『本当に深い次元で自分を理解してくれる他者』を求めていることがあるのです。




◆統合失調型人格障害の原因


訂正が難しい『奇異な信念・奇妙な考え方』を持つ統合失調型人格障害は、統合失調症のスペクトラム(病理的な連続体)に分類されることもあり、遺伝的要因を指摘する意見もあります。

(統合失調型)という病理概念を提唱したS.ラドーは、統合失調症に発展する可能性がある遺伝子要因に言及していますが、実際の統合失調型人格障害には両親との関係性や幼児期のトラウマ的体験など環境要因も大きく関係していると考えられます。

統合失調型人格障害が、統合失調症の激しい幻覚妄想や錯乱を伴う急性症状に発展する可能性や、E.クレペリンが定義した早発性痴呆のような予後不良(人格荒廃・意識の解体)に至るリスクは、一般にそれほど高くありません。











 

統合失調質人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


■統合失調質人格障害
(統合失調質パーソナリティ障害)

統合失調質人格障害は、社会的関係への関心のなさ、孤独を選ぶ傾向、そして感情的な平板さ持つことが特徴の人格障害です。

統合失調症といかにも関係がありそうな名前であるが、統合失調質人格障害は、「社会的に孤立していて対人接触を好まず、感情の表出が乏しく、何事にも興味関心がないように見える」という性格特徴を表す言葉であって、統合失調症とは違うものであり、統計学的にも統合失調症質人格障害の人が統合失調症になりやすいという証拠は出なかった。

また、本症は身の回りへの興味・関心がないだけで、対人恐怖症や、社会問題になっているニートやひきこもりとも違うものである。

2002年までは、分裂病質人格障害と呼ばれていた。


この人格障害は、他のものに比べて、かなり稀な型だと言える。

一般人の間での罹患率は、1%に満たないと見積もられている。




◆統合失調質人格障害の特徴

『過度の内向性・外界への興味喪失・感情表現の平板化・情緒性の欠如』

統合失調質人格障害は、統合失調症の陰性症状(無為・自閉・対人関係への欲求喪失・興味や喜びの消失・感情の平板化)と関連が深い人格障害と見られており、その最大の特徴は、『社会生活・対人関係・職業活動などからの孤立』であり、『ほとんどの事柄に興味がなくなるという無関心(感情鈍磨)』です。

統合失調質人格障害の人は、孤独を築く事によって自分の世界を守っています。

心は繊細で壊れやすい為外界の人との普通の接触さえ、下手をすると、『破壊的な作用』を及ぼしてしまいます。
傷つきやすく脆い部分を抱えています。

自分を守る方法は唯一人との接触を、『最小限』にする事なのです
『自閉』がこのタイプの人の基本的な対人関係のスタイルです。
自閉は必ずしも、引きこもりを意味しません。
無理をして親しい付き合いを始めると、バランスを崩したり、日々の生活に疲れを感じてしまいます。
適度な自閉は、繊細な心を守る上で必要なものなのです。

会話にも滑らかさを欠き、沈黙気味です。

定常的な環境では非常に強みを発揮し、僧侶や修行僧のように、禁欲的に黙々と自らの日課を続ける事が出来ます。

破壊的攻撃性はコントロールされているので、暴力的になることはないが、様々な嗜癖に陥ることが多く、性倒錯的な関心も強い。

極端に自己評価が低く、それを防衛するために、人前では軽躁状態(躁的防衛)になることもあり、不自然な笑いをして、軽蔑的な態度を示すことも多い。




◆統合失調質人格障害の性格行動面の特徴


統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)に類似した性格特徴を示すものに統合失調型人格障害がありますが、統合失調質人格障害の場合には認知機能の障害である幻覚妄想は見られず、『親しい対人関係の拒絶・社会環境からの孤立・感情の鈍磨』などの非社会性が際立っています。

人格障害は、『平均的な性格特性からの極端な偏り』であり病気としての精神障害ではないので、非社会的状況にあるひきこもりの中には、元々対人関係や社会活動に関心(欲求)がない精神病質人格障害に該当する人がいるかもしれません。

しかし、成育歴の途中までは学校生活や友人関係を楽しんでいたのに、何かの挫折や失敗を引き金にしてひきこもりが始まったようなケースでは、人格障害というよりも心因反応(もしくは急性の精神疾患)としての側面が強いと思われます。


他人と接触(交流)する社会的場面を回避しようとする回避性人格障害とも、『現象学的な特徴(外部観察的な特徴)』では似ていますが、回避性人格障害では、『本当は人と親しい関係を持ちたいのに、不安や恐れが強くて積極的になれない』という両価的な葛藤が見られます。

統合失調質人格障害は、『感覚鈍感型』で対人関係の不安は強くないが、他人と関わることへの興味や意欲が著しく欠如しているという特徴を持ちます。

回避性人格障害の場合には、『感覚過敏型』であり、対人関係への欲求や関心はある程度あるものの、自分が傷ついたり軽蔑されることを恐れて対人関係の不安が強まっています。

統合失調質人格障害は、基本的に統合失調症のスペクトラム(病理学的な連続性)の中に位置づけられますが、現実吟味能力がしっかりとしていて他人の話の内容や質問の意図などについては正確に認知することが出来ます。

社会経済的な問題が深刻化しない限りは、『人嫌いな人・非社交的な人・孤独が好きな人・打ち解け難い人・よそよそしい人・冷静で慌てない人・いつもぼんやりした人』といった印象を周囲に持たれていることが多く、友人関係を自分から求めることが殆どないので人間関係の幅が狭くなりがちです。

統合失調質人格障害の特徴を持つ人にも、内面的な葛藤や対人関係における不安(恐れ)が見られることがあるので、クラスターCの回避性人格障害強迫性人格障害の問題と重複しているケースも少なくない。

統合失調質人格障害には、対人関係に対する無関心や社会活動に対する意欲の減退という、『現象面の特徴』と他者や社会に対して積極的な興味・欲望を抱けない自己に対する違和感(アイデンティティの混乱)という、『心理面の葛藤』が並存していると考えられます。

異性に向かう性的欲求も一般にほとんど感じないため、恋愛関係や結婚関係でもトラブルが多くなってくるという特徴があります。

特定の異性が好きや嫌いという判断を理性的に下すことができても、その理性的判断に情熱や感情をリアルに感じることが苦手なので、好きな相手に対するコミュニケーションや感情表現に不自然な感じが現れやすくなるのです。




◆統合失調質人格障害の各種タイプ


統合失調質人格障害は、
『抑うつ的なタイプ・対人関係の乏しいタイプ・離人症的なタイプ・感情鈍磨のタイプ』
の4つのタイプに分類することが出来るといいます。


● 抑うつ的なタイプ

意欲の減退や自発性の欠如を特徴とする、『うつ病(気分障害)』との関連性が深い統合失調質人格障害です。

自分から進んで何かを積極的にするという自発性が見られず、他人とコミュニケーションすることにも余り関心を示しません。

慢性的な疲労感や無気力が強く見られるので非活動的であり、行動面のエネルギーが激しく低下していますが、『自分の快楽・喜びを追求する行為』にも興味がないので、意欲・気力がない状態を心地良く感じていて、『現状からの変化』を拒絶する傾向が見られます。

物事全般に関心が乏しく他人と関わりを持ちたいという欲求もないので、『抑うつ的な統合失調質人格障害』は一般的に自我親和的(自分はそのままで良いと思える状態)です。

しかし、その、『無気力・不活発に繰り返される日常』を変えたいと思った時には、自我異和的な刺激(自分はこのままではいけないという認知)が生じて強烈な不安感や焦りを感じることもあります。


● 対人関係の乏しいタイプ

情緒的な他者との関係性を拒絶して孤立しやすいという意味で、『社会不安障害(対人恐怖症)』や回避性人格障害との関連性が深い統合失調質人格障害です。

他人と表面的な会話をしたり社交辞令的な挨拶をしたりすることには問題がない場合も多いのですが、他人と個人的な付き合いをしたり他人から自分のプライベートな心理領域に踏み込まれることをひどく嫌っていて、『対人関係上のデメリット(攻撃・被害・嫉妬・裏切り・いじめ・負担)』にいつも意識を向けています。

他人を深く信用し過ぎて裏切られた場合の苦痛や屈辱などをいつも予測しているため、『他人との感情的関係』に強い不安や恐れを抱いています。

他人よりも優位に立ちたいという『自尊心の強さ』と、自分は傷つきやすいという『自我の脆弱性』によって、他人と円滑なコミュニケーションをすることができず、社会環境から孤立してしまうという問題が生まれます。

対人的な不安感の強さや社会的スキルの未熟を抱えるひきこもりの問題には、この、『対人関係の乏しい分裂病質人格障害』の関与が疑われるケースもあります。

このタイプの人格障害には、『幼少期の対人接触機会の不足』や、『トラウマティックな親子間関係』が発症に関係しているとも言われます。


● 離人症的なタイプ

自己の人生や日常生活に対する関心が弱まっている状態であり、意識の覚醒水準が低下してぼんやりと夢見心地になっているような統合失調質人格障害のことです。

解離性障害の離人症と同じように、自分の身体や自己アイデンティティのリアリティ(現実性)が減弱しており、『自分が自分ではないような曖昧な感覚』を持って毎日を生活しています。

自分や周囲の人々、外部の世界のリアリティ(現実性)が薄らいでいる離人症のような状態にいつもあるので、『具体的な人生の課題』や、『現実的な経済状況』などに関する興味関心は殆ど見られず、周囲の人からは、『浮世離れした脱俗的な人・現実問題に興味のない人・夢想的で想像が好きな人・自分の人生に対する責任感のない人』というような印象を持たれています。

離人症的な統合失調質人格障害の最大の特徴は、『自己と世界のリアリティの喪失』であり、『現実社会への不適応の深刻化』ですが、本人は自分の人生や問題そのものに関心を持てない状態にあるので、苦悩や不安はそれほど強くないことも多いのです。


● 感情鈍磨のタイプ

自己の感情を認識できずその感情を適切に表現できないという、『アレキシシミア』に近似した症状を見せる統合失調質人格障害です。

一般的に、情緒的コミュニケーションがぎくしゃくとしており、他者に対する温かい共感性や優しい気配りなどが出来ないという問題を抱えています。

喜怒哀楽の感情が平板化(鈍磨)していて、他者に自分の気持ちを円滑に伝達することが出来ないので、良好な対人関係を築く事が出来ず、社会的な孤立状況に置かれることが多くなります。

他人との親密な関係やコミュニケーションに居心地の悪さを感じますが、臨機応変な返答をしなくても良い儀礼的なやり取り、ビジネス的な利害関係のみの交渉であればある程度適応能力を発揮することもあります。

対人場面における緊張感や強迫性が強く、『決まりきった対応』さえしていれば良い機械的(慣例的)なコミュニケーションを好むので、情緒的な発言・態度を楽しむような友人関係や恋愛関係が苦手なのです。

喜びや興奮、怒りや悲しみといった人間らしい感情を持てない自分に対して劣等感や抑うつ感を感じてしまうこともあります。




◆統合失調質人格障害への対応

統合失調質人格障害が抱える問題をまとめると、『対人関係(対人コミュニケーション)への無関心』とそれに付随する、『社会生活(職業活動)への不適応』になりますが、対人関係や社会生活への適応が上手くいかないことで社会的・経済的不利益も多くなっていきます。

統合失調質人格障害は、共感的な対人コミュニケーションや生産的な社会活動(職業生活)に関心・意欲を示さないことによって、非社会的な問題行動である、『ひきこもり』のリスク・ファクター(危険因子)となりますが、最終的には周囲にいる家族への経済的・生活的な依存が問題になってくることが多いようです。


統合失調質人格障害への対応としては、『社会的なあらゆる事柄への無関心』という状況をまずは改善することが重要であり、本人の、『好きなもの・関心があるもの・空想しているもの・過去に興味を持っていたもの』を特定して日常会話のとっかかりを作って上げることがスタートになります。

統合失調質人格障害の性格傾向には、自分の内面的なイメージや思考内容を価値基準とする、『内向性』が強く見られるので、自己の精神世界の外部にももっと興味を持てることや面白いものがあるということに気づかせることから実際的な心理療法が始まります。


『対人関係を拒絶する傾向』に関しては、『私は一人だけで十分に満足できる・どうでもいい事にこだわって意見する他人は厄介な存在である・他人とは一定の距離感を取っていないと危険だ』という中核的信念が関係していることが多いので、心理臨床家(カウンセラー)や周囲にいる人々(家族・友人)が、『他人と関係すると、一人でいるよりも楽しいことがある』という経験を積み重ねさせなければなりません。

統合失調質人格障害では、過去に他人と深く関わって裏切られたり自分の考えを否定されたりしたトラウマティックな記憶を持つことも少なくないので、自由に自分の意見や感情を表現しても否定されないという安心感を与えてやることが大切なのです。

本格的な統合失調質人格障害者の対応としては、ロールプレイング(模擬的な対人コミュニケーション)を実施する行動療法や集団精神療法(エンカウンター)、SST(社会技能訓練)に大きな効果があります。


実際に、様々な個性を持つ他者がいる社会的場面に参加してみること、あるいは、社会生活への適応を高めるために職業教育訓練や資格取得のための学校教育を受けてみることにも治療的な意義があります。

何か本人が興味や意欲を持てる事柄を一緒に探して上げることがまず大事ですが、そういった興味の対象が見つかったら、『安心できる環境(自分を否定する人がいない準備された治療的環境)』で他人と試しにロールプレイングで会話をしてみることが次の課題になってきます。

『他人とコミュニケーションする楽しさ』を少しでも実感できるようになったら、実際の社会環境の中でいろいろな活動や対話を行動療法的に経験していくことが回復に役立ちます。


しかし、他人から反対されたり拒絶されたりといった、『対人関係の悩み』が起こると、『自分は他人から好かれないので、人間関係に上手く適応できない』という自己否定的な認知が強まりやすいので、その都度、適切な心理的ケア(支持・肯定・解釈)を行っていく必要もあります。

対人関係や社会生活に対する劣等感・不適応感を弱めていくことが心理療法の中心であり、日常会話を練習できるロールプレイングを通して他人とのコミュニケーション(社会的場面)に慣れ、自己と他人に対する感情的な共感性を高めていきます。

共感能力や興味関心を回復することで、『楽しさを実感できる親密な対人関係』を拡大していき、社会生活や対人場面への不安を和らげることで、『経済的な職業活動』に参加できるようになっていくのです。












 

妄想性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは



■妄想性人格障害
(妄想性パーソナリティ障害)


● 周囲の人に対して、自分を出し抜こうとする、騙そうとする、陥れようとするなどと常に警戒して疑っている。

● 他人の親切に疑いを持ち、親しくうち解けにくく、拘束を恐れ、集団に属するのを嫌がる。

● 他人からは、気難しく、秘密主義で、尊大な人間だと思われたり、ユーモアや楽しむといった能力に欠けているように思われがちである。

● 異常なほどの猜疑心から、ちょっとしたことで相手が自分を利用していると感じる。

● 病的な嫉妬深さで恋人が浮気していると信じ、その証拠を探し続けようとする。(病的嫉妬)

● 頑固で非友好的で、すぐ口げんかをしやすい。

● 人の弱みや欠点を指摘するのは得意。しかし、自分のことを言われると激烈に腹を立てる。

● 自分の権利や存在価値を過剰に意識し、権威に対しては異常な恨みを抱くことがある。

● 新しいものに対しても非常に警戒をし、なかなか受け入れない。(好争者)

● 強い自負心がある。

● 内心では自分には非凡な才能があり、偉大な業績を残せると固く信じている。

● この自負心によって、自分が才能を発揮できていないのは他人が邪魔をしているためだ、と妄想的な確信を抱いている。

● この自負心には、敏感性もあり、ちょっとしたことで、「裏切られた」とか、「騙された」とかと叫ぶ。(敏感者)



妄想性人格障害に対する一般的なイメージとしては、

『猜疑心の強い人・嫉妬心の強い人・他人の意見を聞かない人・自分の意見に固執する人・自分の世界に内閉している人』

といったものがあり、他人を信頼できず、すぐに理不尽な疑いの眼差しや攻撃的な態度を向けるので、殆どの対人関係は破滅に向かうことになります。




◆妄想性人格障害の特徴

懐疑的で、怒りっぽい性質を特徴とします。

他人の言動を常に悪い方へと解釈したり、誰かが自分を陥れようとしていると思いこんだりします。

極端に疑い深く、パートナーが浮気していると決めつけ、病的な嫉妬心を抱いたりします。

日頃から、「騙される」「悪く思われる」という思いが強いため、他人を信頼することができず、秘密主義になるなど、社会になかなか溶け込めません。

一方で、自尊心がとても強く、「自分の主張は正しい」「自分は人からこうしてもらえるべき」といった考えを強固に貫き、それが受け入れられないと怒りを爆発させることが多いのも特徴です。

他人の欠点は徹底的に批判しながら、自分のことを言われるとカッとなり、頑固に自分の考えを押し通そうとします。

基本特徴は、「猜疑心」「敏感性」、これは表裏と思えます。

ついで、「不信」「論争好き」「頑固」「自負心」「嫉妬」

ちょっとしたことで怒りを爆発させる。

いつも緊張している。

他人を疑う、特に浮気を疑う、執念深い、恨む、被害的になる、裁判に訴える、冷酷。


妄想性人格の人は、他者を信用せず懐疑的です。

特に証拠はないのに、人は自分に悪意を抱いていると疑い、絶えず報復の機会をうかがっています。

このような行動は、人から嫌がられることが多いため、結局は、最初に抱いた感情は正しかったと本人が思いこむ結果になります。

一般に性格は冷淡で、人にはよそよそしい態度を示します。

妄想性人格の人は、他者とのトラブルで憤慨して自分が正しいと思うと、しばしば法的手段に訴えます。
対立が生じたとき、その一部は自分のせいでもあることには思い至りません。

職場では概して比較的孤立した状態にありますが、非常に有能でまじめです。

構造を抽出すると、「猜疑の傾向と敏感性」これが表裏一体である。
そして、「冷酷」の軸だけは別のような印象である。


※ 浮気を疑ったとき、最近多いのは、携帯の履歴やメールを見てしまうというものです。
妄想性人格障害は、あくまで、「自分だけは正しい」と信じきっています。
携帯の中を確かめるのは当然の権利だ、配偶者の行動が間違っている、と心の有り様が間違っているのだから、正してやる、更生させるのが私の任務だ、といった程度のことは平気で言うようです。
本気でそう信じているようです。
訂正不可能ですから、妄想と言います。




◆妄想性人格障害の性格

まず、「疑い深さ」、「他人を信じられない」が根底だろう。

妄想性人格障害の人は、世間を敵に回して見ているのでいつも警戒している。
自分の疑いを深めるような事実を少しでも掴んで、自分の悪い予想を補強し、自分の予想に反するような事実を無視したり、誤って解釈してしまう。

このようにして結局、自分の人間不信をいつも補強している。
訂正する機会はあるのに、無視したり、解釈し直したりしてしまう。
しかし、抑うつ的になるわけではない。
びくびくして、かつ、怒り易い。

彼らは非常に用心深く、いつも何か異常なことはないかと、様子を伺っている。


人間関係や夫婦関係において、この疑い深さは病的で非現実的な嫉妬という形で現れる。

いつも不貞を疑い、言い立てているうちに嫌われてしまい、ますます不貞を確信する。
散々言われている内に、相手は、その人の異常さに嫌気がさして、本当に浮気をしてしまうことがあり、そうすると、やはり本当に浮気をしていたとなるわけだ。

しかし考えてみると順番が逆で、浮気をしたから疑ったのではなく、疑いが過ぎてうんざりさせてしまい、一種、配偶者を浮気に誘導したとも言えないこともないのだ。

盗聴器を使ったり、パソコンの内容を盗み取ることは、この人たちの得意技である。
なぜかどの人も、スパイウェアの話とか、クッキーの扱いとか、一回ずつキャッシャも消去するとか、詳しい。

そうした第一段階の方法で欲しい情報が得られない場合には、さらにエスカレートする場合があり、配偶者周囲の人間に、あれこれと理由をつけて付きまとい、思う通りに動かそうとする。

この辺りで明らかな社会生活の破綻が生じるのであるが、本人は気付かない。

夫婦生活は、一応プライベートな領域で、何があったかなかったか、立証は難しいことが多い。
しかしこの人たちの場合、密かに写真を撮影していたりなど、後の訴訟に備えるかのような行動が見られる。


こうした人々に特徴的なのは、結局の目的は何かという点で、誤ってしまうことだ。

「浮気をして欲しくない、私を愛して欲しい」という願いは素朴なものである。

しかしこの人たちは方法として、盗聴し、コンピュータの内容を盗み、追跡し、写真を撮り、郵便物をチェックし、電話記録をとるなど、この内のどれかでも発覚すれば、「婚姻関係は破綻し、決定的に嫌われる」ようなことをしてしまう。

なぜしてしまうのか、頭の中の天秤が狂っているとしか言いようがないのであるが、してしまうのである。



次に、「敏感性」が指標になる。
「人間不信」と「敏感性」は表裏である。

彼らは常に防衛的・敵対的となる。

自分に落ち度があっても、責任を取ろうとせず、軽い助言さえも聞こうとしない。

一方、他人に対してはたいへん批判的である。

プライドが高く、しかし現在はそのプライドに見合った扱いを世間から受けていない。
それがなぜなのか反省せず、世間と他人を批判してばかりいる。

実りのない人生になるが、努力しないので、いずれにしても実りはない。
それよりも、世間を非難していたほうが自分の立場を正当化できる。
他人と世間一般を批判することで、虚構のプライドを守る。
そのようにして人生は終わる。



更に、感情は「冷淡無情」と形容できる。

妄想性人格障害の人は、論争好きで譲歩する事を好まず、他人との情動的な関係を嫌う。
彼らは冷淡で、人と親しく交際しようとしない。
彼らは自分の合理性と客観性にプライドを持っている。

妄想性人格障害の傾向のある人生観を持った人が、専門医を受診することはほとんどない。
彼らは助けを求めることを嫌う。

多くの人は、一見、社会的には十分うまくやっている。
道徳的で刑罰的な生活スタイルが承認される様な居場所を社会の中に見い出している。
固くて狭くて融通がきかない。
そのような堅苦しさが、彼らにすれば安心感である。
融通無碍や自由自在は、却下される。


自分は、正義で無垢で高潔である。
拒絶、憤慨、不信、に対して過剰に敏感である。

経験した物事を歪曲して受け止める傾向がある。
(この部分では、精神病性の、現実の歪曲がある。現実把握の歪みが見られる。このことは周囲の人をひどく苦しめる。)


妄想性人格障害の人は、不都合な現実を直視することができない。
受け入れられない現実を、自己の中で都合よく書き換えてしまう。
だから妄想性となる。

それでも、どうしようもなく押し寄せてくる現実に対して、『幼児的な全能感』をもって防衛しようと努め、『誇大的な妄想観念』を築くこともある。

こうした認知のひずみは、いかなる場合にも起きるわけではない。
自己愛が傷つく可能性を感じさせる場合において、それは顕著である。

責任を問われかねない場面においては、すばやく現実を歪曲し、「潔白なのに責められている被害者」に徹する。

このような理由から、妄想の大半は被害妄想となる。
その苦しさからの防衛として、誇大妄想が生じることがあるが、それは二次的であろう。




◆妄想性人格障害の症状

この障害は、統合失調症と似ている傾向があります。
思い込みが激しく対人関係を避け、引きこもる事も少なくありません。

他人の評価に敏感で、自分を認めてくれる人がいれば力を発揮出来ますが、『否定』されたり、『非難』を受けると迫害された気持ちになりやすく、より孤立を強めてしまいます。


【些細な出来事】
例えば相手がすぐに携帯に出ないと他の人といるんじゃないかと考える。

【些細な言葉】
悪意に解釈して、『侮辱』や『辱め』と受け取り、執念深くその事を覚えています。
辱めに対する復讐が人生のテーマになる事もあります。


大抵疑うだけでは済まず、疑惑に基づいて行動(相手に細かく質問したり、白状させようとする)を起こすのが、この人格障害の特徴です。

こうした行動の裏側には、裏切られる事や自分が脅かされる事に対する、『過剰防衛』があります。


基本的な対人認識は、『他者は油断すると自分に危害を与えるもの』という事です。
些細な素振りを、『馬鹿にしている』と受け取ったり、『無視された』と受け取ったりしやすい。
裏切られる、という思い込みの為に、親密な関係が危険となります。
『信じたい』という願望、『裏切られるに違いない』という確信が、強い葛藤を引き起こします。

妄想性人格障害の人は、強迫性人格障害の人などと同様に、強い『秩序愛』を持っています。
秩序愛ゆえに、強い支配欲求を持ちます。

他の人格障害と同様に、愛と憎しみは容易に反転し、愛情を求める気持ちが、『激しい憎しみ』『復讐心』へと変わります。

急増している『家庭内暴力』『ストーカー事件』では、自己愛性人格障害境界性人格障害と共に、この妄想性人格障害の関与が少なくありません。




◆妄想性人格障害の各種タイプ

精神医学的に妄想性人格障害を分類すると、
『回避的なタイプ・強迫的なタイプ・狂信的なタイプ・悪意のあるタイプ・不平の多いタイプ』
の5つのタイプに分類することが出来ます。


● 回避的なタイプ

現実社会や対人関係から激しく孤立しているタイプであり、妄想念慮のある妄想性人格障害とひきこもりの状態にある回避性人格障害が重複しているようなケースも多く見られます。

自分の言動に自信を持てないので、他者を信用できないだけでなく、他者から騙されたり脅かされたりするのではないかという、『他者に対する根源的な不安』を強く持っています。

回避的なタイプでは、現実社会からの脅威や圧迫を緩和するために、『自己が妄想的に作り上げた内面世界』に逃避する防衛機制が見られ、他者との直接的な接触を回避するために、学問活動や薬物摂取などに耽溺しまうことがあります。

他人と深く関係を持つことで、恥をかかせられたり馬鹿にされるのではないか、という不安をいつも持っており、他人から、『理不尽なコントロール』を受けない為に、人間関係から出来るだけ遠ざかって孤独な生活状況を維持しようとします。


● 強迫的なタイプ

『馬鹿馬鹿しい妄想内容』や『具体的根拠のまったくない思い込み』に強く囚われて、そこから離れることが出来ないので、強迫性人格障害に類似した妄想性人格障害です。

『厳格性・几帳面・完全主義欲求・融通の効かない頑固さ・吝嗇(ケチ)・ユーモアや冗談がない・秩序志向性』といった性格特性を示します。

非常に硬直的で融通の効かない人格構造であり、他人から干渉されたり影響されないことが、『自己アイデンティティの確立』に深く関係していると信じ込んでいます。

自分の行動や感情を完全に儀式的にコントロールしようとする完全主義欲求が強いので、日常生活が形式的なルールや、馬鹿馬鹿しい決まりごとに支配されてしまうこともあります。

強迫的な妄想性人格障害の人は、他人の言動に支配されない代わりに、自分で妄想的に想像した、『無根拠な形式・規則・儀式』に従属してしまうのです。


● 狂信的なタイプ

自分の能力や信念の影響力を実際以上のものと錯覚して、傲慢不遜な態度を取り他者の価値の引き下げをしようとするタイプです。

発達早期の段階で、自尊心や自己愛に深刻なダメージを受けていることが多く、その損傷や傷つきを想像的に保障しようとする過程で、誇大自己的な妄想念慮が肥大していきます。

中身のない虚栄心や表面的な自尊心が強く、他者を利己的に利用して価値を引き下げようとする部分で、自分を特別な人間、と思い込む、自己愛性人格障害とオーバーラップ(重複)しています。

狂信的な妄想性人格障害は、現実状況を否定する、『妄想的な全能感』や『誇大的な自己主張』によって、拡散している自己アイデンティティを強化しており、肥大した自己愛の欲求を満たしています。

自分に特殊な超能力があると信じ込む宗教指導者や、他者に理解することが困難な哲学を開示する孤高の思想家などに、このタイプの妄想性人格障害が見られることがありますが、行動力や実践の意志に欠けるので、なかなか妄想を現実のものにすることは出来ません。


● 悪意のあるタイプ

『他人の内面心理』に恣意的に悪意や加害性を読み取るタイプであり、『他人が自分を脅かそうと企んでいる』と誤解することによって攻撃性や復讐心を露わにしてきます。

基本的に、サディスティック(嗜虐的)な人格障害と結合していて冷淡であり、他者の痛みや言説に対して無関心なところがあります。

『自分が抱いている悪意や攻撃性』を他人の内面に投影することで、『他人が悪意や攻撃性を抱いている』という風に間違った認知をして、他人を挑発して攻撃しようとします。

挑発行為を好む好戦的な性格傾向があり、『信用できない他者・自分を脅かす他者』を先制攻撃で叩き潰そうというような目的志向を持っています。

自己と他人の人間関係を、『支配‐服従の二元論的な関係』としか見ることが出来ないので、『妄想的な不安や悪意』を他人に投影して対人関係の緊張や敵対を強めていく傾向があります。


● 不平の多いタイプ

自分の人生・能力に対する、『劣等性コンプレックス』を抱え続けているタイプであり、根強い不満感と病的な嫉妬心によって、そのパーソナリティは特色付けられています。

普段から、気難しくて打ち解けない人物、という印象を持たれており、『他人の魅力・価値を否定する言動』によって自己の優越感や自尊心を辛うじて保っている、という自我の脆弱性があります。

自分自身の能力や対人スキルに対する自信が徹底的に欠如しているので、『他人への猜疑心』が非常に強く、具体的な根拠もないのに、『相手の嘘や裏切り』に対して激しい怒りの感情を妄想的に抱いています。

『他人の幸福や成功』に対する嫉妬感情が異常に強いので、拗ねたりいじけたりする否定的な態度を取ることが多く、自分の将来に対しても悲観的なので、他人と良好な人間関係を取り結ぶモチベーションも低くなっています。




◆妄想性人格障害の原因

父親に愛されなかった、あるいは恐れていた。
傷つきやすさや、世間に対する過敏さは、幼い頃の侮辱的な体験や迫害体験が、大きく影響していることが多いです。

発達的見地では、乳幼児期の精神発達過程で何らかの愛情剥奪(母親剥奪)があったと推測されますが、実際の妄想性人格障害には、早期母子関係よりも体質的・気質的な遺伝要因が大きく影響しているのではないかという意見もあります。

対象を、「完全に良いもの」と「完全に悪いもの」に二元論的に分割する『分裂』の防衛機制を発動する場合には、「人間には良い側面と悪い側面の両方が存在する」という当たり前の両価性を認めることが出来なくなります。

即ち、『人間の曖昧さやいい加減さ(善と悪が同時に内面にあること)』を容認できず、『相手の気分や状況の変化』を想像して現実的な人間関係に適応することが出来なくなるわけです。

現実状況を否認する『妄想』であっても、その『妄想』が発生した心理的背景には、その人の、『承認欲求が満たされなかった成育歴』や、『トラウマティックな人間関係の記憶』が関係していることがあります。




◆妄想性人格障害の対応

妄想性人格障害の人に、『こうしたほうがいい』と自分の意見を押し付ける事を言うのは禁句です。
『何故そう思うのか?』などと心に踏み込むように関係を築こうとするのはよくありません。

個人的な事に関する極度の、『秘密主義』な為に、プライベートな情報を訊ねられると警戒感を剥き出しにします。

曖昧な返事をしたり、『大して重要でない事を聞く』のはやめてください。

『個人情報を書き直したり、改名したがる傾向』も見られます。


この人格障害の人と接する場合の重要な点は、『深い感情移入を避ける事』です。

親身になって接すると、『他人など信じれない』という心が、その確信を証明しようとして、無理な要求を持ち出してくるのです。
それを拒否すると、『裏切り』と受け止められ、少しでも心を許した事を、あたかも欺かれたのように感じ、激しい怒りと復讐心を募らせます。

相手も自分もほどほどに、『適切な距離を保つ事』が大切です。

心を打ち明けるような関係になったら最後、こじれた時が怖いのが、この人格障害です。

妄想性人格障害の人の、『言葉を打ち消す』ような言い回しは使わないようにしましょう。
黙って放っておくうちに流れが変わる事があります。

間違っても、『正面から否定したり・戦う意志を示す』のはやめてください。
慌てたり、弱さを見せたりせず、堂々とした態度で、『威厳を失わない接し方をする事』が大切です。

謝罪をする時も、堂々と誠実に謝ると良いでしょう。
『逃げ腰になって背中を見せる事』は危険です。

当人を失望させるような振舞いは、逆にこの人格障害の人を逆上させかねません。




◆妄想性人格障害の克服

この人格障害の人の不幸は、『人を信じる事が出来ない』ところから生まれています。
その為、力や脅迫によって相手を支配しようとします。
けれど、『相手の心は支配出来ない』
支配しようとすればするほど、心は反対に背いていくのです。

人の心を支配しようとは思わないようにしましょう。

『相手の気持ちを尊重する・大切にする事』が出来るようになれば、求めなくても、『周囲から大切にされる』ようになるでしょう。
相手の気持ちに耳を傾け、それを尊重する、『勇気』を持つ事が大切です。

この妄想性人格障害の人は、愛という不確かなものの代わりに、『秩序・階級・法』などに関心を示したり、そうした分野で活躍する事が多いのです。

妄想性人格障害の人は、『人に負ける事が許せない』のです。
自分の、『プライドを傷つけられて、引き下がる事が出来ない』為に、どんな手を使っても戦いに勝とうとします。

戦う人生は不幸で、人を信じない人生は、『孤独で不毛』です。
戦いに勝つ事よりも、『許す事が本当の勇気』なのかもしれません。











 

人格障害(パーソナリティ障害)

人格障害(パーソナリティ障害)とは


■人格とは

普段使う性格と同じような意味です。

人格には「気質」と「性格」が含まれています。

「気質」は遺伝的な要素が強く、「性格」は周りの環境や、社会、文化などに強い影響を受けるものです。



■人格障害とは


その人の持っている「人格」が常道から外れてしまって、社会生活に障害を来たすものを言います。

青年期や成人期早期に始まることが多く、長期に渡ってその人格が安定していて苦痛を伴います。

他の精神疾患や薬物的または生理学的な作用によって引き起こされた症状ではないのであれば、その状態は人格障害であると診断される。



■人格障害の種類


10種類の人格障害を3つのカテゴリに分け規定している。

▼クラスターA

遺伝的に分裂病気質を持っていることが多く、風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ。

→・妄想性人格障害
→・統合失調質人格障害(以前は分裂病質人格障害)
→・統合失調型人格障害(以前は分裂病型人格障害)



▼クラスターB

感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的。
ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む事が多い。

→・反社会性人格障害
→・境界性人格障害
→・演技性人格障害
→・自己愛性人格障害


▼クラスターC

不安や恐怖心が強い性質を持つ。
周りの評価が気になりそれがストレスとなる傾向がある。

→・回避性人格障害
→・依存性人格障害
→・強迫性人格障害



◆妄想性人格障害

基本的な特徴は「猜疑心」と「敏感性」の二本柱です。
そして、これに伴うものとして「不信」「論争好き」「頑固」「自負心」が挙げられます。
つまり、猜疑心が強く、嫉妬深いタイプがこの人格障害の特徴です。
さらに、すぐに人を妬んだり、疑ったりするので社会に中々溶け込めません。
また、ちょっとしたことで怒りを爆発させることもあります。

▽次の7つのうち4つ以上当てはまると、妄想性人格障害が疑われます。

1. 十分な根拠がないのに、他人が自分を利用したり、危害を加えたり、騙しているなどと疑いを持つ。
2. 友達の誠実さ、親切を不当に疑い、そのことに心を奪われてしまう。
3. 何か情報を漏らすと自分に不利に利用されると恐れ、他人に秘密を打ち明けることができない。
4. 悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなしたり、脅かすようなことがあると深読みする。
5. 侮辱されたり、傷つけられたり、軽蔑されたことを恨み続ける。
6. 自分の性格や評判に対し過敏に反応し、勝手に人から不当に攻撃されていると感じたり、怒ったり、逆襲したりする。
7. 根拠がないのに恋人や配偶者が「浮気しているのではないか」と詮索する。



◆統合失調質人格障害(以前は分裂病質人格障害)

自閉的で孤独で、はたからみると感情があるのかないのかちょっとわからないタイプです。
異性を含めた「人」に興味がなく、そのため社会から孤立し、対人接触を好みません。
感情を表に出したりするようなことはなく、何事に対しても興味関心がないように見えます。

▽次の7つのうち4つ以上当てはまると、分裂病質人格障害が疑われます。

1. 自分が家族の一員であったり、誰かと親密な関係になりたいと思わないし、楽しく感じない。
2. ほとんどいつも孤立した行動を選ぶ。
3. 他人と性体験を持つことに興味があったとしても、少ししかない。
4. 喜びを感じられるような活動があったとしても、少ししかない。
5. 親兄弟以外に親しい友人、信頼できる友人がいない。
6. 他人が褒めることや、批判に無関心です。
7. 情緒的な冷たさ、よそよそしさ、感情の起伏がない。



◆統合失調型人格障害(以前は分裂病型人格障害)

分裂病と遺伝的な関係があるとされています。
つまり、境界性人格障害より分裂病に近い親戚みたいな障害のことです。

▽次の9つのうち5つ以上当てはまると、分裂病型人格障害を疑われます。

1. 関係念慮。(関係のない他人の言動を勝手に自分と関係づけ、一方的に反応してしまうこと)
2. 迷信深かったり、テレパシー、第六感を信じている。
3. 実際には存在しないはずの力や人物の存在を信じる。
4. 考えや会話が奇妙である。(会話の内容が乏しかったり、ずれてたり、細かいことにこだわったり)
5. 疑い深く、妄想じみた考えを持っている。
6. 感情が不適切で乏しい。身振りそぶりが滅多にない。
7. 外観や行動が奇妙で、風変わりである。
8. 親しい友人がいない。家族以外に信じられる人がいない。
9. 社会に対して過剰な不安をいつも持っている。それは妄想的な不安でもある。



◆反社会性人格障害

この人格の特徴は、良心の呵責を感じることなく、冷静に凶悪犯罪を行えることです。
不安やうつ気分に襲われることもありません。
人を愛する能力を欠いていたり、人の気持ちが分かる優しさが足りません。
しかし、人の顔色を伺いながら、戦略を立て、嘘をついたり、騙したりする能力は抜群です。
つまり、人を操作する能力はあります。
その為、表面的には魅力的に見えたりします。
9割が男性。

▽次の7つのうち3つ以上当てはまり、18歳以上であり、行為障害が15歳以前に見られれば、反社会性人格障害が疑われます。

1. 法を守ると言うことが出来ない。逮捕の原因となるような行動を繰り返す。
2. 人を騙す傾向がある。自分の利益や快楽のために嘘を使うことが多いです。
3. 行動に衝動性が強く、自分の将来の計画が立てられない。
4. 怒りっぽく、攻撃性である。
5. 向こう見ずで、自分や他人の安全を考えない。
6. 一貫して無責任である。仕事を続けられなかったり、借金を返済しなかったりします。
7. 良心の呵責を感じない。人を傷つけても、虐めても、物を盗んでも反省しません。その為、繰り返します。



◆境界性人格障害


「神経症と分裂病との境界」です。
精神分裂病と言ってしまうには症状が足りず、かといって神経症でもない状態です。
非常に衝動的で、感情の起伏が激しく、そのため対人関係がいつも不安定な人格です。
感情をコントロールする力が弱いため、ときに暴力的だったり、自殺を図ったりします。

▽次の9つのうち5つ以上当てはまると、境界性人格障害が疑われます。

1. 見捨てられる不安が強いために愛情を繋ぎとめるために必死に努力をする。
2. 他人への評価が理想化したり、こき下ろしたりといった両極端で不安定なものである。 
3. 同一性が混乱していて、自己像がはっきりしない。
4. 衝動的で、ケンカ、過食、リストカット、衝動買い、アルコール、薬物、衝動的な性行為などが見られる。
5. 自殺行為、自傷行為などをやろうとしたり、脅したりする。
6. 感情が不安定。
7. いつも虚無感を覚える。
8. 場に合わない激しい怒りをもち、コントロール出来ない。そのため、暴力に走ったりする。
9. ストレスがあると妄想的な考えや解離症状が出ることがある。



◆演技性人格障害

常に周りの人の関心を集め、自分が中心でいないと気が済まない人です。
一見魅力的なのですが、底は浅く、自分の思い通りにいかないと感情を爆発させることがあります。
感情の昂揚しやすいこと、暗示性に富むこと、大げさな芝居かかった行動に出ること、性的なことにむやみに関心を示すこと、となっています。
9割が女性。

▽次の8つのうち5つ以上当てはまると、演技性人格障害が疑われます。

1. 自分が注目の的になっていないと楽しくない。
2. 他人との関係は、不適切に性的で魅惑的・挑発的な態度をとる。
3. 浅はかで感情を表に出す。
4. 自分への関心を引くために身体的外見を利用する。
5. 感情表現がオーバーなのだが、内容がついてこない。
6. 芝居がかった態度や誇張して表現する。
7. 他人や環境の影響を受けやすい。
8. 対人関係を実際以上に親密なものとする。

この障害は本人に「治そう」という気がない限り難しい病気です。



◆自己愛性人格障害


つまりナルシストのことです。
大きく二つのタイプが存在すると言われています。

一つは無自覚タイプです。
これは日本に多いタイプで、正に自己中心の塊です。
多くは、母親の過保護によって生じます。愛情を注がれ過ぎたために起きます。
「特別な子供」扱いすることで、「私は特別な人間なんだ」と思い込んでるのです。
厚顔無恥、誇大、顕示欲の強さなどがこのタイプの特徴です。

もう一つはこれと全く逆で、過剰警戒タイプです。
小さな頃から親の愛情を受けなかったため、褒められずに育ったために、「自分は本当はもっと凄いんだ」と空想して、傷付いた自尊心を取り戻そうとするタイプです。
傷付きやすさや、過敏性が強く密かな自己愛を持っているのが特徴です。
このタイプはアメリカで多いとされています。

共通しているのは「自分は特別だ」と思っていることです。
また、「独特で」「完璧な」「才能がある」と自分を表現し、「普通の人には理解出来ない」と感じているようです。

対人関係での誇大(誇張)した自分が表に出てくることが主な症状です。
しかし、一方では羞恥心が非常に強く傷付きやすい一面を持っていたり、劣等感や怒りに満ちた一面も持っています。
これらが対人関係をうまくさせないことの原因となっています。

▽次の9つのうち5つ以上当てはまると、自己愛性人格障害が疑われます。

1. 自分は特別重要な人間だと思っている。
2. 限りない成功、権力、才能、美しさに囚われていて何でも出来る気になっている。
3. 自分が特別であり、独特であり、一部の地位の高い人たちにしか理解されないものだと信じている。
4. 過剰な賞賛を要求する。
5. 特権意識を持っている。自分は当然優遇されるものだと信じている。
6. 自分の目的を達成するために相手を不当に利用する。
7. 他人の気持ちや欲求を理解しようとせず、気づこうともしない。
8. 他人に嫉妬をする。逆に他人が自分を妬んでいると思い込んでいる。
9. 尊大で傲慢な態度、行動をとる。



◆回避性人格障害


特徴は、「自分自身の失敗や周囲からの拒絶、否定的評価を避けようとすること」です。
しかし、その根底にあるものは「低い自尊心と低い自己評価」です。
つまり、他人には受け入れてもらいたい気持ちはあるが、自分には他人に何かをしてもらえるだけの価値がない、と感じているため、その欲求を他人に伝えることが出来ません。
拒否されることに対して、極度に敏感で傷付きやすく、嫌われたりバカにされたりするのを恐れ、対人場面や社会生活を避けるようになります。
その結果、社会生活からひきこもり、責任の軽い仕事ばかりを選ぶということになっていきます。

▽次の7つのうち4つ以上当てはまると、回避性人格障害が疑われます。

1. 他人からの批判、拒否、拒絶をあまりにも恐れるために、仕事上大切な人と会わなければならないような状況を避ける。
2. 好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。
3. 恥をかかされること、バカにされることを恐れるために、親密な間柄でも遠慮がちである。
4. 社会的状況の中では、批判されはしないだろうか、拒絶されはしないだろうかと心を奪われる。
5. 自分が人とうまく付き合えないと感じるため、新しい人間関係を築けない。
6. 自分は社会的に不適切な人間で、長所がなく、人より劣っていると思っている。
7. 恥ずかしいことになるかも知れないと言う理由で、何かにチャレンジしたり、新しいことを始めたりすることに異常なほど消極的である。



◆依存性人格障害


いわゆる「甘えの強い性格」です。
甘えが強く、大切なことも自分で決められず他人の判断に任せます。
並外れて従順で、非常に受け身的、世話を焼いてくれる人がいなければ何も出来ません。
いつも周りから元気づけや励ましが必要です。
独立を避けるために、自分自身の欲求でさえも、他人の欲求に合わせます。
自分の責任を他人に押しつけるので、いざ1人になると非常に不安や抑うつにかられる人格障害です。

▽次の8つのうち5つ以上当てはまると、依存性人格障害が疑われます。

1. 普段のことを決めるにも、他人からの執拗なまでのアドバイスがないとダメである。
2. 自分の生活でほとんどの領域で他人に責任をとってもらわないといけない。
3. 嫌われたり避けられたりするのが怖いため、他人の意見に反対することが出来ない。
4. 自分自身から何かを計画したりやったりすることが出来ない。
5. 他人からの愛情を得るために嫌なことまで自分から進んでやる。
6. 自分自身では何も出来ないと思っているため、ちょっとでも1人になると不安になる。
7. 親密な関係が途切れたとき、自分をかまってくれる相手を必死に捜す。
8. 自分が世話をされず、見捨てられるのではないかと言う恐怖に異常に怯えている。



◆強迫性人格障害


特徴は、「秩序、ルール、完全主義などに囚われすぎて、柔軟性や効率性がない」ことです。
自分の思ったようにいかなかったり、完全に出来なかったりしたら、抑うつ状態に陥りやすいのです。
そして、頑固で柔軟性に欠けているので、ひとつのことにこだわってしまうのです。
ひとつだけの「正しいやり方」や「物事の原則」を主張し、他人の視点や考えに妥協することを拒みます。

▽次の8つのうち4つ以上当てはまると、強迫性人格障害を疑います。

1. 何がなんだか分からないくらいに小さなこと、規則、構成、予定表などにこだわる。
2. 必要以上に完璧主義にこだわりすぎて、達成できないことがある。
3. 娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事にのめり込む。
4. ひとつの道徳、倫理、価値観にとらわれすぎて、融通が利かない。
5. 特に思い出があるわけでもないのに、使い古したモノや価値のないものを捨てることができない。
6. 他人が自分のやり方に従わない限り、仕事を任せることができない。
7. 自分のためにも他人のためにもお金に対してケチである。お金は将来の何時かに備えて蓄えておかなければならない。
8. 頑固である。











 
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