ちんぺち日記

マンガを中心に、音楽や映画など、自分の趣味に基づいて偏ったものをつらつらと

漫画や音楽や映画とか、自分の趣味に偏ったものをつらつらとレビューしたいと思います。 Twitterやってますのでよければ。 @meoooooo

1月7日で30歳になる。

10年前に想像していた30歳の姿に、正直近くて驚いている。結婚に子供が生まれて、家も買った。人生の大筋の部分を早足で凝縮してここまできてしまった。

ここまで自分を小さく見積もる30年だった。
おそらく中学生くらいから自分の性分は変わらず、「ここら辺までだろう」と、目の前の信号が赤になる前にブレーキをかけ始める癖があったように思う。

だから自分の30年間に、予想を上回る出来事は起きていない。人生を脱線させないように生きてきた。保険会社の人生設計のサンプルがよく当てはまるなと気づいたとき、線路に身を任せたが故に、車体の自由が奪われてしまったことに気づいてしまった。
(気づかないようにしていた。気づいて立ち止まると、あまりに重すぎるから。)

そんな話をすると、「けど、子供がいて幸せなわけじゃん」と宥められることが非常に多い。そのたびに思うのがそれはそれ、これはこれ。
きっと幸せの尺度を測る物差しは1人に対して一本ではない。
子供がいるからプラス100、好きなことができないからマイナス100でトータル0といった具合に、1つの物差し上で右に左に動くのではない。あくまで1つの事柄に対して一本の物差しが充てがわれてるのだろう。

30になってもウダウダこんなことばかり考えている、しょうもない。
だけど、思考停止だけは怖い。ものを生み出す立場には、もうなれないことくらいは分かっているけど、ならばせめて感動をできる心だけは維持していたい。

EVISBEATSのゆれるのように、何かに心をゆらす瞬間を見逃さないでいたい。
毎日同じ電車で、同じ仕事を月単位で回していく日常に、恐ろしく鈍化していく感覚の中で、ゆらぎを感じ取れるスペースは残していたい。それはどこかに足を運ばなければ得られないものではないはず(そう思わなければやっていけない精神)。

いつからか自分の人生で主人公は自分でいる感覚がなくなって、子供中心の生活に落とし込まれている中で、友人のバンドの曲を聴いた。
共感というものはとても大事で、『わかる!』という思いの先に、ヘドロのように沈殿化した憂鬱を過去に遡って最初の一片から洗い流してくれることがある。傷の舐め合いを超えた感覚で、複雑な計算式の答えがふと浮かんでくることがある。この曲を聴いたときがまさにそうだった。

今までのモヤモヤを一掃して、これから同じような想いに苛まれたときに、多分一緒に立ち止まってくれる曲だと思う。気負いさせないような飄々としたメロディーが、背中を押すとかではなく寄り添ってくれる。

焦燥感にかられる毎日だけど、焦燥感がなくなったときは思考停止になってしまう。とは言え、その真っ只中にいるときに、こんなプラス思考になれないものだけど。
そんなときに、30歳を目前にしたこの気持ちを思い出せればいい。小さいけど、つまらない日常を生きる上でのちょっとした決意として。

信号が、青から黄色に変わるまでの緑色でもアクセルを踏み込めるような生き方を。



子育て&2人目誕生を控え、ますます漫画に費やす時間も金も無くなって来ましたが、細々年の瀬の(勝手な)義務を果たしたいと思います。

第10位
少女終末旅行
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完結巻の、沈黙の中で2人の会話だけが世界に生まれては消える最終話。
押し付けるわけでも諭すわけでもない最期が、質量を持って放られて来たような漫画だった。
亡くなった漫画家の優のように、奥に力を持った作品だった。


第9位
マイホームヒーロー
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サスペンス系はROUTE ENDとマイホームヒーローで今年は(去年から)二分してたような気がする。どこで敵にバレるかの恐怖感がピカイチ。
作り込まれて絵も上手くて、サスペンスは原作作画別じゃないと無理だよなー。


第8位
波よ聞いてくれ
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物語の本筋とか何なのかよくわからなくなる展開で爆笑しつつ、いつのまにか本筋に戻っていく。沙村広明節が1巻からずーっと面白い。
コマの隅々まで見逃したくないと思いながら読んでいるので、読み終わるまでの密度がすごい。


第7位
1518!
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1巻から右から上がりで面白さを更新していく。
題材が地味なのに、いや地味だからこそ、青春というキラキラ系の時間を中和して、心に染み入る超上質な群像劇になる。5巻の告白シーンが最高。


第6位
ばけものれっちゃん/きのこたけのこ
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浅野いにおを卒業したという人も、10年ぶりの短編集読めばまた面白さを感じるかも。相変わらずのサブカル臭なんだけど、短編集の方が連載より好きかも。(けどそういう漫画家多いけど)
前作の短編集から10年経ってることにも驚き。20代の10年間はあっという間だな。


第5位
ダルちゃん
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資生堂のホームページで連載してたはるな檸檬の作品。なので正直単行本として購入してません。上下巻1600円で地味に高いんだもん。
とにかくテーマがはっきりしてる。自分の本音のあり方って、ありきたりのテーマだけど、とにかくがっつり、時には脳天殴られるような痛みを伴って。
彼氏との終着点を描くスタンスとか、それは物語の終着点ではなかったりとか、女性を応援する企業として、これをホームページで掲載した資生堂のセンスはすごい。


第4位
ブルーピリオド
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今、芸術系漫画はブルーピリオドと左利きのエレンが面白いけど、自分は断然こっちです。
1巻1話で物語全体の問いが明確すぎて100点すぎる。
人を感動させる人が選ぶべき道はあまりに常軌を逸しているのに答えがなくて、どれだけ努力してもたどり着ける保証もない世界。胸熱すぎる。


第3位
よつばと!
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電車でのお出かけ、とーちゃんの妹との交流、車を貰う、そして女の子の感性が出てくるよつば。
1つ1つの経験が人間性を縁取っていく、その様があまりに美しすぎる。言わずもがなすぎて何も言えない。何回でも読み返せる漫画はよつばとだけ。


第2位
名探偵コナン
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ここまで読んできた自分を褒めてあげたい。
いや、途中一回離れたんだけど。
ボスの名前発表もさることながら、新一と蘭の関係性がグッとくる。個人的にはコナンは推理モノというよりもラブコメとしてみているので。いよいよカウントダウンが始まって来たような気もするけど(10年以上のカウントダウンかもだけど。)とにかく考察サイト読むのが楽しすぎます。


第1位
セッちゃん
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大島智子は泉まくら関連で知ったのですが、漫画としても面白かった。
変わらないことを求める2人が変わる世界に巻き込まれてしまう話だけど完成度高い。
あくまでストーリーの中心は2人で、世の中の動向を必ずちょっとだけ間を置いたところに流している感じがすごい好き。映画のぐるりのことのよう。
1巻完結で、めちゃくちゃ綺麗にまとまってて、お見事って感じ。泉まくら流しながら読んでみてよ。



お金の余裕が減って来たので、新しい漫画に手をつけられる頻度は減って来てます。そんなランキングでした。まあ仕方ない。
あと、音楽はホームカミングスが良かったです。あんまり新しいの聴けてないです。

音楽漫画としては珍しくバンドが主役じゃない。(ここからバンド編成になっていきそうな気もするけど)

1人で完結できる音楽と、ミニマルな画で魅せるバジーノイズが面白い。

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表紙にも表れてるように、“お洒落”をメインに持ってきている漫画みたいで、作中に登場する曲もIn My Roomや、水星、クロノスタシスなど所謂そっちの方面。

“お洒落”というか“今風”というか。
宅録で音楽は自分1人で作れて、レコード屋に行かずともネットで無料で古今東西の音楽が聴ける。漫画もアプリで無料で読める、所有から消費に移行する時代を切り取った漫画になっている。

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つまり熱さがない。『ロックで世界を変えてやろう』『ジャズってこんなにすごいんだぜ』といった沸騰するような体温はあまりない。
あくまで自分のために、趣味として。自分の肌よりも外側には関心を持たない。

話は変わるけど、ここ数年の漫画でツイッターやLINEが本当によく登場するようになった。しかも実名で。ニュースなどでもわざわざその仕組みを説明することも無くなったし、それらが如何に当たり前のツールとして生活に浸透しているかが分かる。

もはや生活も“冷たい”と評されるようなコミュニケーションツールが当たり前になってきて、コミュニケーションそのものの形も変わったのだと実感する。

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自分のためだけに音楽を楽しんできた清澄が、ヒロインの潮のためだけにライブをするシーンがとても良い。

清澄のライブを撮影しながら涙を浮かべる表情と、潮に恋する速水がそれを見つけてしまう。
速水の目線は目元に集中する。この1ページすごい好き。

ライブに足を止める人たちがスマホで撮影するけど、そんな一見ドライな感じ(例えライブを見て胸を撃ち抜かれる描写を熱いとして)も、広がっていく、バズっていくという熱さに感じる。時代とともに手段は変わっても、見た目にわかりにくくても、熱量がそこに存在する。そんな描写が良い。

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バジーノイズってタイトルがまた良いな。
音楽以外の“いらない”音をバジーな(ブンブンいう)騒音として表現したり(作中でそういったものに侵されていく様も画で表現されている)、マンションで苦情が来てしまうような騒音がバズっていくといったダブルミーニングなのかな。知らんけど。


音楽もなんも解決せえへん。
ただ悩んだまま踊らせるんや。

ちょっとドライのようだけど、実は本質かもしれないこの台詞で一巻を締めくくる。
この物語が完結するときに、どんな熱量に変化しているのか、もしくは変化しないでいくのか、とても楽しみ。

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ナンパを論理的に科学する小説、ぼくは愛を証明しようと思うの漫画化。
今回の3巻で完結。

効率的なナンパから、女性との信頼関係を築きゴールを目指すことを描いた内容ゆえに、漫画全体としては説明描写が多いのだけど、良い具合に辟易としない。むしろ引き込まれて『自分にもできるんじゃ?』感を感じさせられるところがある。

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要は心理学の話。
日々当たり前すぎて、改めて声にも出さないことを順序立てて言葉にすることで、りろんにする。理論になれば、行動の礎になる。
漫画にしたことで内容もポップになるので、(小説は読んでないけど)こっちの方が合ってそうだと思った。


基本的に主人公と、彼にナンパ(恋愛工学)を教える2人は、絶対的に敵キャラとなるべき行動をする。
ある意味ゲーム感覚でナンパをしてセックスに持ち込む。如何に多くの女性と寝れるかを目指して自分のスキルを磨く。

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本来であれば、作中で淘汰されるべき対象なんだけど、感情移入もあるのだろうが、途中からナンパの結果に一喜一憂したり、はえ〜…なんて女性との会話にのめり込んでしまう。

結局、その軽薄さに批判の目を向けながらも、羨望の念が自分の中にあるからなのだろう。

周りの目を顧みず、無視されることの方が多いのに女性にアタックし続ける、そのガッツも自分にはなく、不特定多数と関係を持つナンパ男を、遺伝子を多く残したいという『本能的』に、ああなりたいと願っているのだろうか。

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こういったネタ漫画にありきたりな、主人公のキャラ立たせなすぎ問題も乗り越えて、面白いくらいに感情移入できる。

2巻の最後で、モテてると見える男に女性は集まってくる。そのスパイラルである。では結局愛とは何か?それは要らないものだと半ば絶望的に結論づける主人公の問いに、うーむと唸ってしまう。

物語の終結に向けての展開は、どこか切なくなるものがあるものの、最後はこの漫画らしい締め方をしてきて読後感がとても良い。飛び道具的な内容でどうなるものかと思っていたが、読んで良かったと思えた。



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石黒正数のネムルバカで、やりたい事が決まっている人と、やりたい事がない人がそれぞれ1割ずつ。残りの8割は何かやりたいけど、やりたい事がわからないという台詞があったけど、自分は間違いなく8割に属していて、一気に墜落することはないだろうという根拠の少ない安心感と劇的な変化はこの先待ってはいないだろうという確信にも似た寂しさになるべく目を背けながら暮らしている。


ブルーピリオドは夢もないし趣味もないけど、やるべきことだけは努力してこなす近代的な高校生が美術に夢中になっていく物語。

僕も趣味は漫画を読んで音楽を聴くことだけど、それだって誰かが血の滲むような思いで産み出した作品を5〜600円払って、スマホの画面で通勤中に読んでる。ただ誰かの恩恵を受けてるだけで、決して自分で何かを生み出すわけでもなく、それすら極めることもない。

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『他人の努力の結果で酒飲むなよ』
『お前のことじゃないだろ』

自分で何も産み出せないから、誰かの努力の結果に縋るしかなくて、さも自分の感動のように誤魔化してる。
序章の主人公やその友人たちは、ああこれは僕や大勢の人のことだな、気付いてて目を背けていることをストレートに投げ込んできたなと思った。

僕の友人が音楽で生計を立てていて、少しずつ知名度を上げて、世に出てきている。
稼ぎを趣味に費やして、多分僕が人生で見る事がない景色を時間を見つけては見に行く友人がいる。

彼らは最初に書いた1割に入るマイノリティだとは思うけど、なんで自分はそんな情熱が生まれなかったのかと思う。

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自分でも分からないうちに、『自分は、まあここが妥協だろう』と決めてかかっていたところがある。
就活だってそうだ、大手も受けなかったし、新進気鋭のベンチャーも受けなかった。いや、もっと前からそうだった。高校から新しい部活始めても中学からの続けてきた人に敵うはずもないとバイトばかりしていた。

僕の人生の最大到達点が霞みながらも見えてきている30歳目前。ブルーピリオドの完結まで読んで、どんな感情が僕の中に生まれるだろうか。

※ちなみにこの問題で苦しくなった時は、肯定的に歌ってくれるロストインタイムの30を聴くことにしている。

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