『女子高生に殺されたい』なんていうふざけたタイトルを付けるから、書店での店員の目線が気になってしょうがなかった。正直若い女の子がレジだったら買いにくい・・・。

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「オートアサシノフィリア」なる性癖が世の中にはあるそうで、これは実際は性癖ではなく「性的倒錯」と正確には呼ぶらしいのだけど。この性的倒錯は自分が殺されることに性的快感を覚える性的嗜好なんだとか。
ほんとに世の中には様々な性的倒錯があるようで、軽くWikipediaで調べただけでも、出てくる出てくる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E5%80%92%E9%8C%AF

個人的に今度本でも買って調べてみたい気もする。興味深い。


この『女子高生に殺されたい』は、高校教師が教え子の女子高生に殺されるために計画を練っていく話。

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次の第2巻で完結らしいので、びしっとまとめてくれると思うのだけど、この漫画で特徴的な点は2つ。
1つは古谷兎丸の画だね。

古谷兎丸は正直初めて読むのだけども、(この漫画に限ってなのか)温度のない人間をうまく描くなあと感じた。
『悪の教典』の伊藤英明のように、好青年だけれども目が笑っていないような人物が恐ろしく、そして冷やっこく描かれている。とても特徴的。

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もう一つはコマ割り。
とにかく横に広く、そして各コマごとに説明文を添えていく。浅野いにおは心理描写を描くときに、サブリミナルのようにコマとコマの間に、セリフの行間を挿入する手を使うが、それとは異なって、小説のプロローグのように文章を挟んでくる

なぜかホラー漫画のように感じてしまうのは、この2つの要素がうまく絡み合っているからだろうな。独特の漫画。BGMを装飾しようにも、何も似合わなそう。高校生の物語なのに、無音が似合う漫画

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性的倒錯の主人公のこ高校教師、アスペルガーであり、人が感じ取れないものを感じ取れる女子高生、そしてターゲットとなる女子高生にも隠された一面があり・・・と、正直この1巻で結構な満足感・充実感。
1巻で登場人物の内面をかなり出し切っていて、最終2巻で、それらをどのように絡み合わせていくのかがとても気になる。


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ただ、自分がもしこんな性的倒錯だったら、生きることが苦しくて仕方がないんだろうなという感想が一番強かった。全てが矛盾して本末転倒で。
生き方にセオリーなんてないけれど、それでもあまりにも難しすぎる。