2017年11月14日

こちらは、blog 「メパシネマ」です。

メパシを名乗る管理人が鑑賞した映画の感想・批評などの駄文を、その映画を見終わった日付・時間の更新日付で公開していくブログです。
基本的に「DVDパッケージに書かれているあらすじ」の範囲以上のネタバレはしないようにしています。



今年は
「マイティ・ソー バトルロイヤル」「ジグソウ:ソウ・レガシー」「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」「ブレードランナー 2049」「エイリアン:コヴェナント」「トランスフォーマー/最後の騎士王」「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」「メッセージ」「スプリット」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」「ワイルド・スピード ICE BREAK」「ドクター・ストレンジ
を劇場でみてきました。

2016年は
ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」「スター・トレック BEYOND」「スーサイド・スクワッド」「シン・ゴジラ」「ゴーストバスターズ」「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」「デッドプール」「エンド・オブ・キングダム」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生
を劇場でみてきました。

ドント・ブリーズ」を見ました。

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メパシ


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2017年09月15日

Alien: Covenant 
エイリアン:コヴェナント(2017年/アメリカ)

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「エイリアン」シリーズの一作目をこしらえたリドリー・スコット監督が改めてメガホンをとった同作の前日譚的作品「プロメテウス」。2012年公開のそれから数年後に公開した新たな続編「エイリアン:コヴェナント」を劇場公開初日に鑑賞してきた。主演は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」で限りなく地味なヒロインを演じたキャサリン・ウォーターストンだが、前作から続投のアンドロイド役のマイケル・ファスベンダーが一番強い印象を残す。

ちなみに本当は「プロメテウス」のあとにニール・ブロムカンプが「エイリアン5」を撮るということで非常に楽しみにしていたのだが、今回の「エイリアン:コヴェナント」をリドリー・スコットが撮るからと中止になってしまったり。ブロムカンプがどんな世界を作り上げるのか興味があったので本当に残念だ。

それはさておいて今回の「エイリアン:コヴェナント」。いきなり目玉の超アップが映しだされる今作はウェイランド社の会長(ガイ・ピアース)と彼に創造されたアンドロイドのデヴィッド(マイケル・ファスベンダー)の会話から始まる。だいたい同じくらいの年代に見える男性同士が「私はお前の父だ」とかやりあっているのでちょっと気持ち悪いが、とりあえずここでのやりとりが前作「プロメテウス」や今作でのデヴィッドの行動の伏線になりそうなので注目してみたり。

それからだいぶ時間が経過して本編。2016年現在に40歳ほどの私がギリギリ生きていそうな2104年の宇宙空間をなんとなく移動しているのは宇宙船コヴェナント号。なんかオリガエ6というかなり遠くの星に入植者2000人ほどとかを運ぶ船らしい。かなり遠いのでデヴィッドと同じ外観の最新アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)が船内を監督し、乗組員らは冷凍ポッドみたいなので長期睡眠をとっていたりする。しかし、宇宙空間の磁気ウェーブみたいなのを浴びて宇宙船の機器が大パニック。ウォルターは緊急措置で14名ほどの乗組員をたたき起こすこととなる。

この時の事故で船長ブランソン(ジェームズ・フランコ)は上手く目覚めることができず、冷凍睡眠ポッド内なのになぜか火がでて寝たまま火葬。2000人の冷凍睡眠中の入植者たちには被害はなかったが、機器が壊れたりして少々めんどい状況に。船長が寝たまま火葬されてしまったので、繰り上がりでオラム(ビリー・クラダップ)が船長に就任。ちょいと疑心暗鬼で優柔不断な彼は新船長としてクルーたちに舐められないように強気に指示したりする。

そんな折、クルーの一人がどこぞから流れてくる救難信号を受信。調べてみるとノーマークの惑星系にある星からのようで、どうやったのか知らないが遠隔で調査すると環境がかなり地球に近くて居住可能そうだと分かった。本来の目的地オリガエ6までは7年ちょっとかかるのと、先ほどの事故でみんな冷凍睡眠を避けたがっているというのもあり、新船長は調査船を出してその星を調べてみることに決める。亡き船長の妻だったテラフォーミング責任者のダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)は反対するが、調査は決定されたりした。

新船長オラムやダニエルズ、学者、医者、兵士、アンドロイドのウォルターらからなる10名ほどがその星へ。そこは本当にどこか海外の大自然あふれる島で撮影したかのように地球に酷似しており、麦なども自生していていい感じだったりした。そこでオラムらは前作「プロメテウス」に出てきた食べかけのドーナツみたいな宇宙船や遺跡を発見。そこで10年前に消息を絶った前作主人公の女性の痕跡を発見したりする。

しかし、その星にはなんか胞子みたいなのを出す生き物(?)がいて、調査している乗組員らに反応して何やら粒子のようなものを噴出。それが体内に入られた者は即座に気持ち悪くなり、しばらくして大けいれんを起こし、体内から不気味なクリーチャーが登場。さらに数名の犠牲者も出てピンチな状況に陥る。そこに現れたのは前作に登場したアンドロイドのデヴィッド。彼はダニエルズら生き残ったクルーたちをよくわからない神殿みたいなところに案内するのだが…。というお話だ。

というわけで今回の「エイリアン:コヴェナント」。前作の「プロメテウス」は映像的に面白い場面はそこそこあれど、お話や展開的には雑かつちょいと突拍子もなさすぎる感じが困惑を誘っていたが、今回はかなりそこからわかりやすくなっており、期待していたあのエイリアンの誕生の秘密もわりとしっかり描かれていたりした。なかなか満足できる仕上がりである。

後半はちょいと初期「エイリアン」の展開を踏襲しすぎていて失笑を買いそうな場面もあったが、映像的にも見せ場はなかなか多く、ソフト化されたら繰り返してじっくり見てみたい場面がいくつか。ホラー描写もしっかりエグくて、「プロメテウス」よりも遥かにSFホラーをしている。ああ、こういうエイリアンを見たかったんだよなぁ。

ちゃんとフェイスハガーやチェストバスターが出てくるのも嬉しい。エイリアンの体液が強酸性というド外道な設定も久々で懐かしいなぁ。

前述の「エイリアン誕生の秘密」は、オリジナルを生み出したリドリー・スコットが明確に定義。なかなかなるほどと思わされるし、よくわからなかった前作「プロメテウス」のころからこれを考えていたのなら、前作は壮大な前振りとしてそれなりに意義があったのだなと再確認させられる。まぁ、これで「エイリアンは何なのか?」と「いつ誕生したのか」がはっきりしたので、少なくともプレデターの成人式の獲物ではなくなったり、21世紀初頭にプレデリアンとなって地球に来ていたとかはありえなくなったわけだ。

また、わりと前半で出てくる新種の白いエイリアン「ネオモーフ」もなかなかいい感じ。美しくも不安感を掻き立てられる造形と、動くものに対して全く躊躇せず襲い掛かる攻撃精神がたまらない。こいつの人体への寄生方法はちょっと反則だと思うが。通常のフェイスハガーならまだ逃げるか落ち着いて応戦すればなんとかなるかもだが、あんなのはジェダイでも勝ち目ないよなぁ。

ということで私としては前作よりもかなり楽しめ、そして満足できた今作「エイリアン:コヴェナント」だが、言いたいことはちょっとある。先ほどは今作を「わかりやすくなった」と評価したが、この「わかりやすさ」は悪い部分となってしまっているところもちらほら。まず言いたいのは、ちょっと展開があまりに安直で観客を馬鹿だと思ってやしないかと。

例えば最初に寄生される人物は、調査に入った星で「ちょっと尿をしてくる」と言って場を離れ、そこでタバコを吸いながら休憩するという少し「悪ぶった行動をする」人物。最初の犠牲者をこんなにわかりやすい人物像にする必要あるのかなと。別に全然悪くなさそうなまじめな調査学者が調査中に触ってはいけないものに触れてしまうほうがリアルだと思うのだが…。

それからある場面では気を抜いた若い男女がシャワールームで全裸で乳繰りあっていて襲われたりするが、そんなジェイソンとかで出てくるようなわかりやすい描写をされると何なんだろうなぁと思ったり。そんな安っぽいホラーシーンをやられてもなぁ。まぁ、よく考えればギーガーのクリーチャーデザインが突出しているだけで初期の「エイリアン」は普通のSFホラーだったんだけどさ。ファンが勝手に神格化して、A級だと認識してしまっているだけか。

2体のアンドロイドの区別が片方が手が壊れているかどうかというのも、途中から「これトリックにつかうんだろうなぁ。わかりやすいなぁ。」と思いながら見てしまったり。

それはともかくとしても、主人公らクルーが馬鹿すぎるのも目に付く。ほぼ全員が男女ペアのカップルというのもどうなんだと思うが、何年もかけて緻密に事前調査をして入植を決めたオリガエ6行きを中止して「乗組員らがもう冷凍睡眠したがってないから」という理由で突然現れた星に向かうという決断をはじめとして、いろいろ馬鹿なんじゃないかと思う行動が多々。

降り立った星で気密ヘルメットを被らずにノーガードでいきなりドアを開ける面々、何が潜んでいるのかわからないのに水面にいきなり足を踏み入れる面々、地上に降りた奥さんが心配だからと宇宙船全体が壊れる危険性を押しやって救出に向かおうとする上空待機の乗組員などなど。私が冷凍睡眠中の入植者なら、頼むから当初の計画通りしっかり仕事してくれやとブチ切れると思う。多くの人の命を運んでいるという自覚と責任感がなさすぎるだろう。

ヘルメットに関しては、それを着用していたら空気感染するという今回の新型エイリアンの活躍が成り立たなくなるからだと思うが…。だったら安全が確認されてから気を抜いて外してそこでやられるほうがしっくりくると思うのだが。

そんな今回の「エイリアン:コヴェナント」。クルーたちが馬鹿じゃなかったらもっと面白くなっただろうけど、馬鹿じゃなかったらあの星に行かなかったから話は始まらなかったよなぁと思ってみたり。あと主役の女性の恰好がリプリー風だったが、そういうオマージュは賛否わかれることになるのもわかりきっていると思うので、せっかくだし新しいスタイルを提示して欲しかったなぁ。


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2017年07月04日

Pirates of the Caribbean: Dead Men Tell No Tales 
パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊(2017年/アメリカ)

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世界的な人気を誇り、メジャーで売れているほぼ唯一と言っていい海賊アドベンチャー映画シリーズの6年ぶりの第5作目「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」を劇場にて観賞した。主演は今回初出場の若手俳優ブレントン・スウェイツとシリーズ全作登場のジョニー・デップ。また、今作で一作目から三作目までの主人公だったオーランド・ブルームの再登場が話題となっている。

このシリーズは文句なしに面白かった第1作、スケールと映像の迫力がアップして面白かったが「スター・ウォーズ」になろうとしてなり損ねた二作目と三作目、正統な続編ながらもジョニー・デップのみを主演としてスピンオフ臭が強くて蛇足としか思えなかった前作「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」を経ての第5作。前作登場したイケメンの宣教師はスタメン落ちとなり、今作から新たな主人公が登場している。

その主人公は初期の主人公だったウィル・ターナー(オーランド・ブルーム )とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)の息子ヘンリー・ターナー(ブレントン・スウェイツ)。幼いヘンリーは海賊船フライング・ダッチマン号に囚われて100年航海し、10年に1日しか地上にあがれない呪いにかかっている父ウィルに会いに行き、いつか必ずその呪いから解放すると誓ったりする。ちなみにヘンリーは父がかつての戦いで死にかけてその船に乗ることで生きながらえたことや、その父が海で亡くなった方の魂を導く仕事をしていることは聞かされていないらしい。

そして何年か立ってヘンリーは青年に。彼の母エリザベス・スワンはいいところの出のお嬢様だったが、いつの間にか剣術を身につけてそれなりの数の海賊を殺めたり一時的に海賊王になったりしたわけだが、息子に剣術などは教えたり、海賊の素晴らしさを説いたりするような教育はしなかったようで、とりあえず水兵として海軍の船に乗っているヘンリー。

そんな彼が乗った船がある時海賊狩りをしていて「魔の三角海域」なるエリアに進行。そこでかつて海賊狩りをしていて死んだ元英国将校の亡霊サラザール(ハビエル・バルデム)に襲撃されてヘンリー以外全滅。サラザールは一人生かしたヘンリーにジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)への伝言を命じたりする。

一方のジャックは仲間らとともに「ワイルド・スピード MEGA MAX」のパクリみたいな方法で銀行の金庫を盗んだりしつつ海賊行為を行っていたが、パッとせずにくすぶっていたりした。そんな彼の前に現れたのが前述のヘンリーと、魔女と呼ばれている天文学者のカリーナ・スミス(カヤ・スコデラーリオ)。ヘンリーとカリーナはそれぞれ別のルートから海のすべての呪いを解くとされる「ポセイドンの槍」を探すことになり、ジャックの持っているコンパスを頼りに海へと乗り出すことになる。

そんなジャックに怨みをもつ亡霊サラザールはあるきっかけを元に魔の海域から解放。海賊らを襲撃しては殺害していったりした。それを知ったジャックのライバルのキャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)は殺られる前にサラザールと取引。ジャックを見つけて差し出すという。というわけでそれぞれが様々な思惑を抱えつつ、わりとシリーズ随一のシンプルさでポセイドンの槍をめぐる冒険と戦いが繰り広げられていったりするのだった。

ということで今作「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」。これが基本に立ち返ったようなわかりやすさと映像的な見どころが用意された快作で、なかなか満足できるものとなっている。今までのこのシリーズは単品なら一作目、部分的なら三作目が一番面白かったが、今作はそれをわずかに越えたかもしれない。特に三作目あたりにあった登場人物同士の無駄な「騙し騙され」でイライラする展開が無いので、その分素直に物語を楽しむことができる。

やはり一番はシリーズの顔であるジャック・スパロウが初期3作のように「目立つ脇役」のポジションに戻ったこと。「父を呪いから解放する」という明確な目的を持つ若者ヘンリーを主軸に置いたことで、見る側が感情移入しやすくなっている。ジャックは見た目はキャッチーだが、何を考えているかわからなかったり、人としての成長をしないある意味サイコパスなキャラなので、こいつを主人公にした前作は誤りだったなぁと。

対する亡霊サラザールのキャラも良い。演じるハビエル・バルデムの怪演によるところが大きいが、こいつに追いかけられる場面は恐ろしくて緊張感にあふれている。見た目もちょっとジャパニーズホラーテイストが入っており、亡霊のくせに剣だけは実態を持ち、海賊も元同業者の海軍も容赦なく殺している手当たり次第スタイル。ノーカントリーとスカイフォールのときのラウル・シルヴァを足したような強烈なキャラクターだ。

絵的な部分でも目を引く。そのサラザールらの身体の一部が欠損した亡霊ビジュアル(一作目のバルボッサーチームのゾンビ具合より格段に進歩している!)も良いし、その彼らが乗る肋骨みたいな船やサメゾンビ、ラストあたりの映像スペクタクルもその迫力と美しさに圧倒される。見ごたえある場面が乏しかった前作とは段違いの満足度だ。

しかしながら、ちょっと「ん?」と思う場面がないわけではない。ジャックの船の「仮の船長」の扱いのひどさややたらロバがどうこう言ってる船員の寒さ、ギロチン大回転のギャグ的なアクションシーンの長さなど、このシリーズの悪い部分もそのまま継承してしまっていたりする。そういう部分はトレースしなくてもいいのになぁ。

あと、ラストあたりでとある人物の熱い顛末が見ている多くの人の胸を打ったと思うが、よく考えたらかつてバルボッサもジャックも一回ずつ死んでおり、そこから強引に生き返ったりとかしているので、このシリーズは「死」というものの絶対度が低く、のちのち「感動し損」になるのではないかという予感が否めない。(まぁ、その役者の年齢もあるので、続編にはもう出れないかもだが)

それから一番疑問だったのは若いころのジャックと生前のサラザールの因縁の話。サラザールが強くジャックを怨むきっかけとなるエピソードとして非常に説得力があったが、たしかジャックは前に出てきたディヴィー・ジョーンズと契約して「10年間限定で船長をやらせてもらった」んじゃなかったかしら? そのあたりの話との整合性に疑問があり、ちょっとどうかな?と思ってしまったりした。

しかしながら、それを差し引いても充分に楽しめる今作「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」。海を舞台にしていて目に涼しいので、夏の暑い日にゆっくり観賞してみては?と思う。デートムービーとしても最適だろう。

特に前半三部作を観た人にとっては、今作のラストできっちり「あってほしかった結末」に着地していてうれしく思える。単品としても良くできているが、シリーズ通して見ている人にはたまらないエンディングだろう。ただ、ヘンリーの父ウィルはだいたい潜航していて海中にいるので、前もって「呪いを解くよ」といっておかないと解けると同時に溺死だろうなぁ。


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2017年05月19日

Arrival 
メッセージ(2016年/アメリカ)

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あの印象的なモニュメントが有名なお菓子に似ているということで事前に話題となったが、私としてはあのお菓子は味が嫌いなのであえてここには名前は出さない。しかし、その注目のされ方も今作への関心を引くものとして幸運だったのではないかと思える、誰しもが見るべきSFドラマの傑作「メッセージ」を公開初日に劇場にて観賞した。仕事終わりの時間にして観客の入りは7割強。スター性のある俳優のアクション大作とかでもない今作の入りとしてはなかなか好スタートだったんじゃないかと思える。

人気SF作家らしいテッド・チャンの短編「あなたの人生の物語」を「プリズナーズ」や「ボーダーライン」の監督にしてこのあと「ブレードランナー 2049」の出来が期待されるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の作品だ。この人はリドリー・スコットの後継者とも称されているが、過去の作品群や今作を観る限りそう認定してしまっても差し支えないのではないかと思っている。最終的なジャッジは「ブレードランナー 2049」次第だと思うけど。

さて、今作は一人の言語学者ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)の話から始まる。シングルマザーっぽい彼女にはハンナという娘がいたが、どうも病気か何かで彼女を失ったことが冒頭で綴られる。そんな彼女がいつものように講義のために学校に向かうと学生がガラガラ。そしてやたら上の空な学生らがテレビをつけてくれと言うので見てみると、そこには驚愕のニュースが流れていた。巨大なモニュメントが突如12本、地球上の各地に同時に出現。その大きさと形状、突然現れた具合からそれが宇宙から来たものではと推測されて世界が騒然となる。

アメリカのみならず、ベネズエラやイギリス、ロシアや中国、パキスタンや北海道まで、ランダムながらもわりと人のいる国に現れたそれはどうやら宇宙船のようで、その出現意図がわからないことから交戦準備を進める国、何らかのコミュニケーションをとって意図を探ろうとする国など、その応対は様々。だがそれぞれ一応12か所の各国の研究チームや対応する軍などは回線をつないで連絡を取り合うも、協力して情報交換をしようという空気にはならなかったりした。利権問題とかと一緒だねぇ。

そんな折、夜中にヘリの爆音で叩き起こされたルイーズは、アメリカ軍部のウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)に協力を要請される。既にあのモニュメントの中にいる「何か」とコンタクトをとっているのだが言葉が通じずチンプンカンプンなので、優秀な数学・物理学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナ)らとチームを組み、「何か」が地球に来た意図を探ってほしいというもの。

アメリカに現れた物体はモンタナ州にあり、ルイーズやイアンはヘリでそのまま運搬される。最前線の基地で話を聞き、どうも12時間だか18時間に1回物体にドアみたいなのが開くので、そこで中に入って宇宙人とコンタクトをとるというミッションが科せられる。毎回のコンタクトは空気とその開くドアの関係で約2時間のみ。なんか対サリンみたいな防護服に身を包み、他の兵士らとともにさっそく物体内に向かうルイーズら。

物体の中は重力の方向が地上と異なっており、ちょっとSF的な空中移動をしながら奥の部屋へ。そこは透明な壁で仕切られており、スモーク炊かれたみたいなその壁の向こうに、7本足のデカい宇宙人が現れたりする。ルイーズらが話しかけると、そいつらは墨みたいなもので謎の図形を描いて答えたりするが、何を意味しているのか全く分からなかったりした。交戦しに来たのか違うのか速攻で知りたい軍部はあからさまに焦るが、これは徐々に会話をつづけてパターンを記録・分析していかないとコミュニケーションとれないなとルイーズらは判断。そこから地道にコンタクトを続け、徐々に話が通じるようになっていったりする。

しかし、一方で物体の中に宇宙人がいるという話が世間に洩れ、一気に「攻撃される前に攻撃しろ」の世論が高まって行く。さらには中国などは軍部の将軍が先制攻撃を検討し始め、世界的にそちらに空気が流れようとしていた。果たして本当に宇宙人は侵略しに来たのか?その意図をルイーズらは理解することができるのか? という感じだ。

という感じでちょっとSF社会サスペンス的にあらすじを書いてみたし間違ってはいないと思うのだが、今作「メッセージ」の面白さはそうしたわかりやすいサスペンス性の部分もさることながら、非常に美しい対話劇に仕上がっているところにあると思う。まずとにかく映像とエレクトロニカな音楽が美しく、そして初見ならば気持ちよくミスリードされざるを得ない伏線の見事な解消も含めてお話の進め方も見事。実に素晴らしい大傑作だと私は思う。

同じSFながらジャンルが異なるので比較するのも野暮だが、「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を観た時とはまったく別種の濃密な満足度を得ることができるだろう。

この監督さんの前作「ボーダーライン」も全く別のジャンルの映画ながら、そこで描かれる緊迫感と主人公の無力感にただただ圧倒されたのが記憶に新しい。今作「メッセージ」はSF小説の傑作とされる原作ありきの作品ではあるが、緻密な演出と丁寧な筆致で「ボーダーライン」とは別の方向で心に突き刺さる作品だ。アクション性といった派手な場面はほぼ無いが、観賞後はしばらく心に残り続けるだろう。後半の展開は、劇場で観ていて驚愕で文字通り口が開きっぱなしになったりした。

SFとして世界規模の大事件を描きつつも、ひとりの女性の人生の選択を描いた今作「メッセージ」。彼女の選択は自分でもそうするなぁと理解できるしそれが胸を打つ。そして何より他者とのコミュニケーションとはどうあるべきかをしっかりと描いているという点でも見逃せない。今作でも語られていたが、「言葉」は送り手・受け手の知識と寛容性により、武器にも贈り物にもなりえるということを今作は訴えている。

遠景の情景の美しさ、静謐さ、そこにたたずむ巨大モニュメントの圧倒感。なるべく大きな画面で観賞したい作品だ。そんな今回の「メッセージ」。久方ぶりのSFドラマ映画の傑作だ。後半で語られる「真相」を知った上で最初から見直すとまた違った印象を得られそうな作品だ。初日に見ておいてナンだが、早くソフト化されないかなぁ。

あと、中国が和を乱すというか他の国の慎重意見に聞く耳持たずに攻撃しようとする国として描かれているねぇ。きっとアメリカからするとコミュニケーションとりづらい国なんだろうなぁ。


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2017年05月15日

Split 
スプリット(2017年/アメリカ)

0907

たまにとんでもない凡作を世に放ったりするが、それでも一定のレベルで愛され続けているM・ナイト・シャマラン監督。その彼が「完全復活した!」と評されているスリラー作「スプリット」を劇場にて観賞した。当日はまさかの劇場パンフ売り切れで非常に気持ちが萎えて人格が分離しそうになったが、後日「メッセージ」を観賞する際に再入荷していたので手に入れることができたという駄文をここに書き記しておきたいと思う。要約すれば「ただパンフを買いました」というだけの話だ。

M・ナイト・シャマラン監督の映画は明らかにつまらなそうな「レディ・イン・ザ・ウォーター」と「エアベンダー」以外は大体観賞っしており、今作のひとつ前の「ヴィジット」はなかなかえげつない恐怖を味わえる傑作だったと思っている。そんな私だがシャマラン映画を劇場で観るのは17年前の「アンブレイカブル」が最後。確か当時は「シックス・センス再び」を期待して見て、なんかトンデモ方向に振り切られたのでガッカリしたのを覚えている。

しかし、不死身の男とやたら身体の弱い怪人とのやりとりを描いた「アンブレイカブル」は今思えばなかなか味わいある作人であり、サミュエルが階段から落ちてアップになる失禁しそうなほど爆笑した場面や、ラストのオチのあたりの場面は17年経過した今でもわりと鮮明に覚えている。印象に残る一作だったんだなぁ。

そういや「シックス・センス」は新宿での合コンの帰りに深夜レイトショーで見たなぁ。男女2組で。

さて、序文が長くなったが今回の「スプリット」の紹介をしていこうと思う。舞台は現代。場所はどこと明示されたか覚えていないが、恐らくフィラデルフィアなのだろう。恐らくは学校でわりとイケてるランクに属している女子クレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)は、自身のバースデーパーティーにクラスで浮いているケイシー(アニヤ・テイラー=ジョイ)を誘う。なんか友達とあまりつるまなかったり、問題起こしてよく居残りさせられているような女子だ。呼んでみたものの、やはり明らかに場で浮いている。

そんなパーティーも終わりを迎え、クレアとその父は厚意でケイシーを車で送ることに。同乗するのはクレアの友達のマルシア(ジェシカ・スーラ)。しかし、屋外駐車場に停めてあった車に乗り込んだ女子3名は、運転席にクレアの父ではなく坊主頭の知らない男が平然と乗ってきて戦慄する。何か速攻性のある気絶スプレーを噴射されて、そのまま意識を失う女子ら。クレアの父ちゃんは恐らく車の外でぶっ倒れているのだろう。このあたりの演出は静かだが恐ろしく、かなりの緊張感があってさすがだなと思う。

さて、やたら太いフォントで描かれるタイトルやスタッフの名前などが出てきて本編。連れ去られたケイシーらはなんか地下通路みたいな場所を運ばれ、石壁に囲まれた監禁部屋に3人一緒に入れられる。監禁部屋はわりと広く、酸素を気にせずぎゅうぎゅうづめにするなら100人くらいは入りそうな部屋。窓はないがトイレなどはあり、別途も3人分用意されている。「10クローバーフィールド・レーン」の最初の部屋よりはかなりの高待遇だ。

閉じ込められた三人は拉致されるのはどうやら初体験で、気絶から復活して状況に恐れおののく。普通に考えればこのあと痛いことをされたり、エロいことをされたりなど、何かしらタダでは済まなそうな気配だ。案の定、部屋に現れたのは彼女らを拉致した坊主頭の男ケビン(ジェームズ・マカヴォイ)。X-メンのプロフェッサーXの撮影からそのまま来たようなヘアスタイルの男は女子らの品定めなどをしてきてやはり怖いが、彼は扉を開けて入ってくるたびに別の格好をして現れたりする。ある時は女装していたり、ある時は9歳の少年を名乗ったり。

ケビンは解離性同一性障害で、精神医学の権威で学会とかでも講義とかをしていたりする女医フレッチャー(ベティ・バックリー)の元に週一くらいで通い、セラピーを受けたりしていた。彼はどうも23人も人格がいるようで、フレッチャーのところに来る時は服飾デザイナーのバリーというシャレオツで社交性のある男子として現れたりする。フレッチャーは研究対象として彼に興味を持ち、いろいろ助言をしたりしつつも観察を行っていたりした。

一方で監禁されている女子3名だが、やたら冷静なケイシーは誰より早くケビンの多重人格性に気づき、それを利用して情報を得たり、味方してくれる(利用できる)人格にアプローチしたりして脱出を試みようとする。しかし、ケビン側もなかなか一筋縄ではいかず、さらにはちょうど同時期に劇場公開されている「美女と野獣」の知名度にあやかった24つ目の人格ビーストの存在が示唆されたりして、監禁部屋でのやりとりは緊張感を増していったりするのだった。

あと、なんか事あるごとに「服が汚れた」といって、ケビンは女子らの服を脱がしていったりするのだった。

そんなこんなの今作「スプリット」。捕まる3名の女子は皆それぞれ三者三様で可愛く、彼女らが徐々に追い詰められ、、なんとか脱出しようという監禁サスペンス劇。そしてそれを監禁するのが何を考えているのか読みづらい解離性同一性障害の23人格者という設定が何とも面白い。その面白さを支えるのは、やはり多様な人格をそれぞれ演じ分けたジェームズ・マカヴォイだろう。今作では23人格すべては出てこず、クレジットやパンフにもあるとおりその中の8つくらいだが、衣装や小道具が手助けしつつも表情、話し方や所作できっちり演じ分けている様はなかなか唸らされる。演じているマカヴォイさんも手ごたえある役で面白いだろうなぁ。

また、シャマラン監督の演出も冴えわたり、地味な場面ほど巧いなぁと思われる。その上でケビンの行動に隙が多くて逃げようと思えば逃げられそうなのだがその意図が読めずにどうにも動けなかったり、酷い目にあわされそうでなかなかそうでもなかったりと先の読めない緊張感が続く。フィジカル的には3人対1人だし、バスルーム掃除の道具を受け取った時など容易に反撃できそうな場面はあるが、相手が不気味だし地の利が全くないから確かに動けないよな。

という風にサスペンス映画として良くできている今作だが、同時にシャマラン映画としても確かに面白い。前評にあったような「シャマラン完全復活」とはどういった場面で出てくるのかと楽しみにしていたが、クライマックスになり確かにこれはシャマラン映画だなと舌鼓を打った。同時に、見ていた劇場内の空気がちょっと変わったのを感じ、「なんだこれ?」と思っている方も少なくないんじゃないかとほくそ笑んでみたり。

シャマラン監督は、ウィル・スミスの息子売り出し用映画だった「アフター・アース」など多少のブレはありつつも職人性ではなく作家性をキープしている数少ない監督の一人だと私は思う。そしてその醍醐味は「シックス・センス」のような観客が勝負を挑まれているようなどんでん返しではなく、「アンブレイカブル」や「サイン」などのB級なんだけどA級の雰囲気で魅せてくる演出と、そしてあり得ないはずのものを魅せつけてこちらを驚嘆させてくる展開なんじゃないかと思っている。

何かオチがありそうでいい意味でオチ(真相)がなく、現象のヴィジュアル的特異さで押し切った怪作「ハプニング」や、語弊はあるがわりと誰でも作れるPOV形式で玄人な演出で見事な巧さを見せた「ヴィジット」のような地力がありつつも、常識で考えて、そういう展開には持ってこないだろうという予想を軽々越えてくる様がシャマラン監督の真骨頂じゃないかなと。そういう意味では原案とプロデュースに回った「デビル(2011)」はわりとシャマランらしいオチだったなぁ。

というわけで今作もB級映画好きにはたまらないご馳走のような展開がクライマックスに用意され、きっと「多重人格は女子高生3人の方で、本当は1人でしたー」みたいな陳腐でA級なオチを求めていたであろう観客の予想を皆殺しにしていく様が爽快だった。ラストあたりの「まさかのシーン」の演出も笑えるし。(よく考えたら主人公を前にしてあんな風に力を魅せつける必要がないしね。)

そんなこんなな今作「スプリット」。私としては非常に楽しめたし、こうした映画をまた映画館で見ることができるようにするためにも劇場で観賞して大正解だった。ラストのサービス的なゲスト出演も嬉しかったなぁ。でも劇場で観ていたほとんどの人は「なんであの俳優が出てくるんだ?友情出演か?」と頭にハテナが浮かんでいたんじゃないかと思う。でも、このあとの次作「グラス」はちょっと心配。調子に乗りすぎない方がいいと思うんだよな…。


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2017年05月12日

Guardians of the Galaxy Vol. 2  
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017年/アメリカ)

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宇宙のはみ出し者たちが銀河を救うマーベル製の2014年の大傑作SFアドベンチャー映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。スタッフやキャストが再集結した第2作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」を劇場にて初日に観賞した。これを書いている今も思い出して熱いものがこみあげてくる。これが前作越えでちょっとどうかと思えるほどの大傑作だったりした。

詳しいキャラクターの紹介は前作で理解してから今作を観て戴きたいので割愛。スターロードことピーター・クイル(クリス・プラット)が仲間たちとともに、全身金ピカでやたら高潔な種族ソヴリンの依頼を受けて、彼らの貴重なアニュラックス電池を狙ってくるタコみたいな怪物を倒す場面から始まる。

このオープニングクレジット兼ファーストアクションからしてもう最高。皆を尻目にベビーとなった植物のグルードが踊りまくり、それを皆が気にかけつつ激しく闘うという笑いと優しさに満ちた場面。グルートがかわいすぎて後ろの激しい闘いが全く目に入らない。もうこれだけでこの後の今作が傑作になることが容易に想像できたりする。

怪物をブッ倒して依頼主のソヴリンの女王に報告をするピーターらだが、アライグマのロケットがソヴリンの電池をいくつか盗んでしまったことで大量の追っ手が。宇宙船が大破してどこぞの星に不時着する羽目になるが、追っ手は突如現れた謎の宇宙船により全滅。その船から現れたのは、ピーターの父を名乗るエゴ(カート・ラッセル)だった。

船の修理のためにロケットとグルートを残してピーターらはエゴの星へ。そこでピーターは自分の出生の秘密を知ったりする。一方でロケットらをピーターの育ての親のヨンドゥ(マイケル・ルーカー)率いる賞金稼ぎ組織ラヴェジャーズが急襲。だが、そこで謀反が起きてヨンドゥはロケットらとともに身柄を拘束されたりする。そしてピーターの方もまた過去最大のピンチが差し迫っていたりして、ガモーラやドラックスら仲間たちが彼を救おうと奔走したりするのだが…。

というわけであまり深く書くと見る方の楽しみが損なわれてしまうのであいまいにしておいたが、前述の通り今作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」は本当に大傑作。今年の初頭に見た「ドクター・ストレンジ」も別種の素晴らしさがあったが、ちょっと今年のマーベル映画はどうなっているんだと驚嘆してしまうほどの見事な作品である。

意外なストーリー展開、目を見張る映像、すさまじいアクション、そしてノリのいい音楽と要所要所で完ぺきに笑わせてくれるギャグ場面。そして各見せ場が絶妙なバランスで配分された登場人物ら。この脚本が本当に完璧で、一体どれだけの時間をかけて丁寧に練ったのだろうと畏怖の念を禁じえない。すべてのキャラクターが印象的で「こいつの場面は省いてもいいな」と思えるものが一つもない。テレビ放映時に尺の関係でカットしやがるときは困るだろうなぁ。

ベイビー・グルートの可愛さも尋常ではない。ロケットらの脱獄シークエンスや後半の即死爆弾スイッチのくだりなど、グルートの出てくる場面のひとつひとつが笑えつつもたまらなく愛しくなる感じ。ベビーとしての登場は今作のみのような雰囲気だが、このまま活躍をいろいろ見てみたいなぁ。

そんな素晴らしい作品に今回は父と子、家族といった普遍的なテーマが軸となっていてこれがまた胸を打つ。はみ出し者同士が集まって家族同然に結束していたところに、本物の肉親が現れてしまって試されるわけだが、その決着の付け方や落とし所にに目頭を熱くさせられる。前作の最大の名場面である「俺たちグルート」のシーンの破壊力は凄かったが、今作であれを軽く凌駕するような場面を用意してくるとは想像していなかった。涙線もろい人は、後半は大変だろうなぁ。

まぁ、完璧といったものの、中盤少々ダレる部分がなくはない。前作はロナンという非常にわかりやすい強敵がおり、そいつの軍隊vs主人公らと仲間の軍隊がおり、その後ろに守るべき一般市民がいるという明確な構図があった。が、今作はそれとは趣の異なる展開となり、「あれあれこのあと前作みたいな感じになるのかな?」と盛り上がりを心配してしまった時間があったのは事実。が、その後で予想を越えた展開となってスペクタクルな大戦闘となるので杞憂だったのだけど。

ほんと、今回の敵は物凄くデカいね。火力と飛行のあるアイアンマンでも厳しいと思うし、キャプテン・アメリカやスパイダーマンあたりでは手も足も出ないと思う。どちらかというとDCコミックス系の近作の敵くらいの強さかなぁ。でも、よく考えたら「ドクター・ストレンジ」のラスボスも強くて主人公は手出しできていなかったしなぁ。この流れで行くとこの後の「アベンジャーズ3」以降もとんでもないスケールになっていくのかなぁ。

ということで今作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」。邦題は続編ではなく前作の作り直しみたいな印象で本当にどうかと思うが、内容は素晴らしいので四の五を言わずぜひご観賞いただけたらと思う。他のアベンジャーズシリーズはどうでもいいから、前作と今作だけでもいいかもしれない。同じSFの新生「スター・ウォーズ」シリーズよりも絶対にこっちの方が上だと思う。

今作を観てから前作を見ると、前作で戦っていたり主人公を脅したりしていた人たちが、本当は殺す気なんか全くなかったんだなとわかる。そんな「見方が変わる」新たな発見も今作の魅力の一つだ。

最後に、噂されていたあの有名俳優の出番は「まぁ、こんなものかなぁ」という分量。彼とカート・ラッセルを同じ場面に出して「デッド・フォール」の共演再び!とはならなかったが、ヨンドゥを演じるマイケル・ルーカーとは絡みがあって「クリフハンガー」再びだったなぁ。


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2017年05月01日

Fast & Furious 8 
ワイルド・スピード ICE BREAK(2017年/アメリカ)

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世界的に大ヒットしているカーアクション映画シリーズの第8作「ワイルド・スピード ICE BREAK」を映画の日に劇場にて観賞した。世界中の多くの人がそうであるように私も今シリーズが大好きだが、劇場にて観賞するのは今回が初めてである。なお、今作の原題はオフィシャルだと「The Fate of The Furious」だが、今作の冒頭で表示されたタイトルはFast & Furious 8だったりした。(FastとFuriousにそれぞれTheがついていたかどうかは記憶が定かではない。)まぁ、いいか。

今作はちょうど前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」の撮影中に主演のポール・ウォーカーが亡くなり、首から下の代役などを用いつつなんとかスタッフがこしらえ、そしてその結果実に見事な大団円を迎えていたりした。特にラストあたりは目頭が熱くなるような親愛に満ちた名場面だったと思う。そして今作はそこからの続編。製作の発表を聞き、蛇足になりはしないかと非常に心配になったものだったが、果たしてどうなりますことやらというわけで劇場に足を運んだ次第である。

お話はキューバのハバナの美しい町を舞台に始まる。ドミニク(ヴィン・ディーゼル)はレティ(ミシェル・ロドリゲス)とバカンスを楽しみ、地元の金貸しのラルドに金を借りて返せず、差し押さえられそうになっている従弟のフェルナンドの代わりにレースに出て勝利したり、レティに遠まわしに子供が欲しいとほのめかされたりしていた。そんな時、道端で謎の女サイファー(シャーリーズ・セロン)と出会い、彼女になにやら吹き込まれたりするドミニク。

一方、オフを楽しんでいたホブス(ドウェイン・ジョンソン)のもとに外交保安部から極秘の任務が入る。ドイツの反体制派の武器商人らに強力な軍事兵器である電子パルス砲を奪われたので、極秘裏にそれを取り返して来いというもの。なお極秘なのでしくじったら安全は保障できないしパクられるぞなどとミッション・インポッシブルばりのブラックな通達を受ける。とりあえずホブスはこれを受諾し、ドミニクに「ファミリー」の招集を依頼。呼ばれたらほいほい集まるドミニクとその仲間たち。

ベルリンでのパルス砲奪還作戦は「M:i:III」の時の潜入作戦張りに省略されてチームは脱出。が、その帰り道に突如ドミニクがホブスを襲い、パルス砲を奪って失踪する。どういうことか混乱のファミリーと、任務失敗で投獄されるホブス。奇しくも同じ刑務所に投獄されていた前作の敵デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)と再会し、なんだかんだで一晩おかずに脱獄することに。そんなホブスとデッカードを前作から登場のミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)が回収。

どうもドミニクは美人かつ世界一のハッカーという申し分ないスペックの持ち主のサイファーと組んでいることがわかり、裏切られたホブスやレティ、テズ、ローマン、前作から登場して当たり前のように仲間になっている女ハッカーのラムジーらは混乱。だが、そんな彼らをよそに、ますますサイファーに加担していくドミニク。彼は気でも違ってしまったのか、それとも頭がおかしくなってしまったのか? というお話だ。

世界的人気シリーズの第8弾「ワイルド・スピード ICE BREAK」。監督は前作のジェームズ・ワンが降りて今度はF・ゲイリー・グレイ。「ストレイト・アウタ・コンプトン」の人なのでアクション映画は大丈夫かなぁと最初は心配したが、よく考えたら傑作「ミニミニ大作戦」を撮った人じゃないか。街の中で小回り利くミニクーパーが爆走するこの作品を仕上げた監督さんならワイルド・スピードもアリかもなと思いなおした。確かこの映画ではシャーリーズ・セロンがヒロインだったなぁ。

同じく同監督がヴィン・ディーゼルと組んだ「ブルドック」はちょっと微妙だったけどね。

だが、そんな事前の多少の心配をよそに、今作はまたかなりの出来栄えに仕上がっている。アクションだけで言えばシークエンスの量は多少減ってはいるがものすごかった前作のそれを軽く凌駕しているかもしれない。中盤の目玉である大量の遠隔操縦車の爆走大破と、クライマックスの潜水艦vs車の場面は他ではなかなか見られないスペクタクルを味わうことができる。

遠隔操縦車の場面は一瞬、「ターミネーター3」で女ターミネーターがいくつかの車を遠隔操縦しながら主人公を追う場面を思い出したが、今作はあんなものとはスケールも金のかかり方もケタ違いに違う。先日他界した、アクション映画好きだった父に見せてやりたかったなぁ。

さて、キャラクターもますます成熟し、笑いを誘う場面も多い。ローマンは完全にギャグ要員になり、今回から新たに登場の白人キャラ枠のリトル・ノーバディ(スコット・イーストウッド)との掛け合いが荒削りながらなかなか面白い。このクリント・イーストウッドの息子さんの役はなかなか甘ちゃんの未熟な若者という感じだが、絵的には完全にポール・ウォーカーの後がまの立ち位置を狙っているなぁ。彼が今後ポールの穴を埋められるとは到底思えないが、きっと次作以降も出てきて印象を残していくのだろう。

そして今作で最も活躍するのはジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウ。前作のレビューで「次は一時的に味方になって共闘するようなベジータみたいな展開もかっこいいだろうけどわかりやすくて嫌だなぁ。」と書かせていただいたが、まさにその通りの展開になって少々苦笑。まぁ、安易に想像しやすい展開なので当てたことは全く自慢にはならないが。しかし、それでも彼のアクションは格好いいし、後半には三国志の趙雲みたいな活躍をする見せ場があるので視覚的に大満足だ。

でも、いくら「あのドミニクが裏切った!どうして?!」「捕まえて理由を聞かなきゃ」という異常事態の中であっても、結果的に彼と共闘しているファミリーの面々はどうなのかなぁと違和感は残る。ファミリーの一人であるハンをぶっ殺したことはさておいて、ドミニクの家をふっ飛ばしたりした人なのにねぇ。そのあたりに触れると面倒くさくなるからスタッフも劇中のキャラたちも忘れることにしたのかなぁ。デッカードの弟はドミニクファミリーには加わらないようだけど。ユーロミッション時にレティをひどい扱いしてるしね。

というわけで今回の「ワイルド・スピード ICE BREAK」。劇場で観賞し、総合的にはやはり完璧な前作には及ばないものの、かなり満足させていただいた次第である。強いて言うなら、反撃を協力することになる方々とドミニクがいつ連絡を取った(取れた)のかなぁということくらいかな。連絡系統はハッカーのサイファーがすべて監視しているような気もするのだが。それとも劇場で初見だったから見逃しただけかな。ソフト化されたらまた見てみよう。

しかしまぁ、今回もどんどん話とアクションの規模が拡大し、中盤などは結構民間人も死んでるんじゃないかと思う。ただの車泥棒の話がずいぶんと広がったなぁ。あと、何気に今作では凄腕ハッカーが凄腕ドライバーと同じくらい出てくるのね。サイファーにラムジー、意外とテズもそうだし、神の目と同等の探索力を持つデッカードもそう。ちょっと浮世離れしてきたなぁ。

最後に、前作を観た際にもう一つ想像したことも今作で当たっていたが、そちらはなぜか素直に感動することができた。演出が上手かったのかも。


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2017年03月22日

Don't Breathe 
ドント・ブリーズ(2016年/アメリカ)

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救いようのないハードな馬鹿3名が盲目の老人宅に強盗に押し入り、まさかの反撃を受けて恐ろしい目に遭うホラー映画「ドント・ブリーズ」を鑑賞した。監督はリメイク版「死霊のはらわた」を超グロ映画に仕上げて(私としては)高い評価を得たフェデ・アルバレス 。そんな今作は20年に一度の恐怖映画と称された一本である。基本的にレベルの差や種類の差はあれどクソみたいな人間しか出てこない一作だ。まだまともなのは主人公の妹くらいだが、育った環境が悪いからいずれは同じような感じになるだろう。

お話の舞台は閑静すぎてあんまし人がいなそうな雰囲気の住宅街。そこをおじいさんが誰かを運んでいる姿をドローン空撮した思わせぶりな場面からスタート。髪の毛を掴んで引きずっているが抜けちゃうと思う。それはさておいてタイトルが出て本編スタート。

デトロイトの近郊に住む学生くらいの年齢の女子ロッキー(ジェーン・レヴィ )はワルな感じの恋人マニー(ダニエル・ゾヴァット)と、父が警備会社をしている友人アレックス(ディラン・ミネット)と組み、豪邸に空き巣をして金目の物を盗んで売るという活動を行っていた。ソフィア・コッポラ監督の「ブリングリング」でも若者らがセレブの豪邸に空き巣していたがあれと同じようなやつだ。いろいろ盗むが元締めに結構持っていかれるのであんまし大きな稼ぎにはならなかったが。

そんなロッキーは母親とその新しい彼氏が末期的なクズという劣悪な家庭環境にあり、まだ幼く無垢な妹を連れて家を出てどっかに遠くにいきたいという夢があったりした。まぁ、育ちが悪すぎるので妹も今は無垢でもいずれはクズに育つと思うけど。アレックスはそんなロッキーに明らかに恋心を抱いていそうな描き方をされていて、彼もロッキーについていきたいが父がいるために街を出ていくことはできないと思っていたりする。

そんなあるとき、新しい「空き巣しやすい家」の情報が。過疎地域となっている住宅街ブエナビスタ通り1837に退役軍人の老人が一人住む家で、数年前に彼の娘が事故死し、轢いた相手の親が相当な示談金を支払い、それを貯めこんでいるはずとのこと。どうもその老人は盲目らしく、盗みに入るのは楽勝だという話らしい。すでに侵入の手引きをしている一番の罪人アレックスは真面目そうなキャラなので最初は断るが、結局場に流されて参加をすることに。

前準備をしつつ決行の夜に。三人は老人の住む家の裏口から侵入しようとする。裏口と地下室への入り口は固く閉ざされていたが、小柄なロッキーが2階の窓から侵入。晴れて三名は中に入り、電気をつけて物色し始める。上の階にあった寝室ではちょうど老人がテレビをつけっぱなしで寝ていたので、睡眠ガスを撒いて深い眠りに導入。ということでそこから思い切り自由に家の中を漁ることに。

が、明らかに何かありそうな地下室の施錠をマニーが銃で撃ち壊すと、薬が効かなかったのか老人が降りてきて「誰かいるのか?」と。相手は盲目だし銃を持っていて優勢だと思ってナメているマニーだが、この盲目老人がとんでもない戦闘力を持っており、ロッキーやアレックスを含めて3名は非常に恐ろしい目に遭わされていったりするのだった。

ということで、すげぇ怖いということで話題となった今作「ドント・ブリーズ」。題名は息をしただけでも見つかってしまうという極限状態を表したものだが、正直「息をするな」というか、主人公らは金輪際息をしないでもらいたいほどのクズ3名。そのクズらが視覚以外の感覚が研ぎ澄まされていて、近接戦闘では無敵で容赦ない老人から家の中を逃げ回るが出させてもらえないという恐ろしい作品だ。

その恐怖描写や、もう少しで脱出できるかな…というところで絶望のどん底に叩き落される場面が何度も出てくる様に、ホラー映画としてかなり良くできているなぁと唸らされる。また、中盤くらいから老人と主人公らの関係が単なる被害者と空き巣というものではなくなる展開もひねりがあって面白い。「20年に1本の恐怖映画」は持ち上げすぎだと思うが、それでもその年の一本としては選ばれてもおかしくないんじゃないかなぁと。

ただ、ラストはちょっと気分がよくなかった。今作の主人公側のしている行為は明らかに犯罪だし、いろいろ個人的な想いがあるにせよ共感のしようがないクズであることは紛うことなき事実。また、詳しくはかけないが老人側のほうにもいろいろマトモじゃない部分があったりする。この関係性の中で事件の顛末を描く際に、なんとなく続編で第二戦を続けられそうな含みをもたせた結末になっているとしても、登場人物の誰かが得するようなオチにしちゃダメなんじゃないかと。

自分の利のために他者を犠牲にするような誰一人幸せになってほしくない人しか出てこないのだから、結末もそうあってほしかったなぁ。ということでこの「ドント・ブリーズ」。面白かったが私の中では数多あるホラー映画の中の一作というレベルにとどまったりした。ラストの決着以外は非常によくできていると思うけどね。


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2017年03月21日

Bridge of Spies 
ブリッジ・オブ・スパイ(2015年/アメリカ)

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核兵器の所有や開発などをお互いに行いつつ、お互いを恐れるという今となっては愚かだなぁと思えるアメリカと旧ソ連のいわゆる「冷戦」。そのさなかに起きたスパイの逮捕と裁判、そして上記2カ国間での捕虜スパイの交換という偉業を成し遂げた一人のおじさん弁護士の奮闘を描いたサスペンスドラマ作「ブリッジ・オブ・スパイ」を鑑賞した。主演は安定感あふれる名優トム・ハンクス。監督はいわずと知れたスティーブン・スピルバーグだ。

お話は1957年頃のこと。当時のアメリカと旧ソ連はお互いが所有する核兵器やその開発を恐れ、双方がスパイを放ち、同時にスパイ探しが流行っていたりした。そんなわけで時代柄やたらとスーツと帽子の格好の人が多い ブルックリンが最初の舞台。やたら通信機器などが充実している部屋に住んでいるセミプロの絵描きルドルフ・アベル(マーク・ライランス )は丁寧な筆致で自身の似顔絵を描いたり、外に出て風景画を描いたり、誰かから密書を受け取ったりしていた。

そんな彼を尾行するのはアメリカのFBIの皆様。どこで知ったのかはわからないがロシア人であるアベルをスパイだと断定し、彼の自宅におしかけて逮捕。結果として彼がスパイであるという決定的な証拠は見つからなかったが、アメリカ当局と世間は彼をスパイだとして断罪し、自国を脅かす敵として死刑にしろという空気が高まったりした。

さて、話は変わってクライアントだかに対して屁理屈にしか聞こえない詭弁でやりこめたりする保険専門の弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス )が登場。彼はワターズ&コワン&ドノヴァン法律事務所なる事務所に属していたが、連邦裁判所からのその事務所への指名があり前述の逮捕したソ連のスパイの弁護を引き受けてくれないかと言われる。アメリカの裁判所や世論的には完全に「そいつを有罪にしてブチ殺せ」という空気なのだが、世界に対してアメリカは「司法がちゃんとしている国」として敵国の人にもちゃんと弁護士はつけますよというパフォーマンスをしたいらしい。

要するに引き受けることになると高確率で敗訴することになるだろうし、敵国のスパイの弁護をするということで世の中からのバッシングも免れない。家族からの反対を押し切ってそんなハードな依頼を受けることにしたドノヴァンは実は自分の娘と付き合っている部下の若者とともにこの役に付き、やるからにはときっちりこなして確実視されていたアベルの死刑を回避することに成功する。これにより予想どおり世間からは白い目で見られたり、家の窓を撃たれたりすることになるのだが。

一方、話は変わって空軍だかが舞台。4人ほどの若く優秀なパイロットが選出され、パキスタンのペシャワル米空軍基地あたりからソ連の上空に飛んで写真を撮ってこいという完全にスパイな活動が命令される。飛ぶのはレーダーにもかからないほどの超上空だというふれこみだったが、その中の一人のフランシス・ゲイリー・パワーズ(オースティン・ストウェル)はその初日にいとも簡単に撃墜されてソ連に墜落。このあたりの描写は地味なトーンの今作の中ではなかなかのスペクタクルだ。

あらかじめ用意されていた数秒で即死できる自決用の薬を使うタイミングもなく捕縛され、現地で10年の刑を宣告された上、眠そうなところで叩き起こされてアメリカ側が知っている情報を吐けと詰め寄られたりする「今夜は寝させないわ」な拷問を受けたりしてヘロヘロになるのだった。

話はアメリカに戻り、再びドノヴァンの元に話が。非公式で現地に行き、アベルとパワーズの人質交換の交渉をしてきてくれないかとのこと。これを受託したドノヴァンはさっそく飛び、現地でいきなりチンピラたちにコートを奪われたりする(ケツじゃなくてよかったな)のだが、はたして彼はこの困難なミッションをクリアすることができるのだろうか?という感じだ。

というわけで実際にあったらしい人質交換の交渉劇を丁寧な筆致で描いた社会派サスペンスタッチの戦争ドラマ「ブリッジ・オブ・スパイ 」。スピルバーグらしい安定した演出とわかりやすい話運びで、シリアスで難しい題材ながらも見ていて非常に理解しやすい一作となっている。

ロシア人スパイのアベルが本当にスパイだったのかどうかもう少しわからなくしたほうが、あくまで法を順守するドノヴァンの正義感や信念が伝わってよかったんじゃないかなぁ?とか、ドノヴァンとアベルの「不安かい?」「不安が役に立つかね?」のやり取りが2時間半の間に3回も出てくるのでクドいなぁとも思ったりしたが、全体的には退屈さもなく一気にラストまで見入ることができた。

交換の交渉がアベルとパワーズだけでなく、さらに冤罪で捕まった全く関係ない学生のフレデリック・プライヤーも一緒にと言い出した時はちょっと強気すぎないか?とも思ったが、そんな困難な交渉をやりきった主人公ドノヴァンの不屈の精神にはなかなか心打たれるものがあったりする。

そんなわけでなかなかシブい戦争ドラマの今作「ブリッジ・オブ・スパイ」。ラストのすべてやりとげて帰宅した後のくだりが清々しくていいなぁ。


mepashi at 15:59コメント(0)トラックバック(0)洋画:ドラマ  mixiチェック
13 Hours: The Secret Soldiers of Benghazi 
13時間 ベンガジの秘密の兵士(2016年/アメリカ)

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主に6人くらいで大量のゲリラ兵士らから味方を守るという実際にあったらしいリビアでの壮絶な防衛戦を描いた戦争アクション映画「13時間 ベンガジの秘密の兵士 」を鑑賞した。有名な俳優がまったく出てこないからなのか日本では劇場未公開作だが、今作の監督は「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイだ。実に彼らしいアングルや映像の色味、迫力ある銃撃戦をこれでもかと堪能できる一作である。

お話は2012年頃のこと。舞台はリビアのベンガジの街。当時の支配者のカダフィ氏がクーデターか何かによりしばかれて失脚して政権が変わったが、そのまま民衆が調子に乗りすぎて暴徒にクラスチェンジ。その地域は暴動地帯化し、そこかしこで銃を手にした暴徒らがハバを利かせていて修学旅行で遊びに行ったら生きて帰ってこれ無そうな世界になっていた。日本人の集団がいたら目立つので、身ぐるみはがされた上に男子生徒は犯され、女子生徒は殺されたりするのだろう。

ヤバすぎるので各国の大使などは撤退していたが、アメリカの大使館とCIAは残って現場の情報収集や沈静化などに従事していたりする。実際そうだったんだろうけど、ちょっとそのテロップから「アメリカだけは頑張ってたんだぜ」感が漂ったりもするが。

今作の主人公はそんなCIAに雇われた元軍人からなる約6名のGRSなる傭兵チーム。全員やたら体格がよく、調子にのった武井壮でもカンタンに殴り殺せそうな筋肉を保持している。オフの時間はハードな筋トレをしたり、FPSの戦争ゲームをやったり、映画「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」を鑑賞したりしている馬鹿たちだ。年齢的にはみんなだいたい幼いこどもが居るかいないかという感じ。軍に属して強制的に駐留しているわけではなく、家族をアメリカに残しつつも自らの意思でこの危険な現場にきて稼いでいる人たちだ。

一応主人公となるのは冒頭でリビアのベニナ空港に降り立つジャック・シルバ(ジョン・クラシンスキー )。彼は迎えに来た顔なじみの傭兵とともに滞在することになる基地に移動し、途中ゲリラに出くわしてピンチに陥りつつもなんとかCIA基地入り。そこで元海兵隊や元レンジャー隊員からなる他のGRSメンバーらと合流し、危険な現場での要人の護衛などの任務についたりした。誰が武器を持ったゲリラかわからないので、人ががやがやした街でちょっとでも不穏な気配がしたら撤収したりする感じだ。

そんなこんなで9月のある日のこと。アメリカから大使のクリス・スティーブンスが訪問。わりと意識高い系の彼は周囲の「気をつけてください」をあまり聞かずに自由に政治活動をしたりしていた。その姿勢やスピーチ内容に彼を支持する現地の方々もいたが、時同じくしてアメリカのインディーズ映画で現地の方々が好ましく思わない内容のものが公開されたとかで反米感情が一気に噴出。街に緊張感が増し、徐々にヤバい感じになってくる。

そしてちょうとビルに飛行機が突っ込んだ追悼の日にあたる9/11に事件が発生。この日は大使もオフで領事館のプールでくつろいだり、CIAの基地にいる主人公らも家族に連絡したり筋トレしたりしてゆっくりしていたのだが、その雰囲気が死亡フラグにも見えてこの先は壮絶なことになるんだろうなと見ているこちらの緊張も高まってくる。このあたりの演出はまさにマイケル・ベイって感じだなぁ。本当にわかりやすい。

そして夜になって大使がいる領事館に武装した大量のゲリラの人々が終結。容赦なく襲撃を開始してとんでもないことになる。四方八方から次々と大量のゲリラが現れるし、現地の友好勢力にお願いしていた領事館の警備の方々は逃げちゃったりするして手薄。仕方ないので数名のSPやアメリカ兵が大使をなんとか守ろうと建物に立てこもったりする。

一方、領事館あたりに火があがったりして暴動に気づいた主人公らは大使救出のための出撃を上司に進言するが、彼らは非公式部隊なのでなかなか許可が得られずやきもきする。そしてついに大変な状況になってきたので半ば命令を無視して出撃するが、それは彼らアメリカ人にとって危険な長い一夜の始まりだったりした。。。

ということで実際に起きた襲撃事件の顛末をこれでもかこれでもかというしつこさで描いた戦争アクション映画「13時間 ベンガジの秘密の兵士」。サイフを後ろズボンのポッケに入れて歩いていても無事に家まで帰れる安全な国に居る我々日本人からすると想像を絶する危険な地域を舞台に、ド迫力の白兵戦が怒涛の勢いで展開されていく。そのどれもが救出作戦だったり防衛だったりして、アメリカ側がアウェイの環境で窮地に追いやられていく様が恐ろしい。

出てくる主要な6名の兵士を皆わりと有名ではない方々が扮していて、かつだいたいヒゲ面なので区別がつきにくいという難がある。しかしそのスター俳優不在がかえって作品にリアリティを与えている。特に後半はこれでもかこれでもかと敵が押し寄せ、その皮膚があわ立つような緊張感に「もう止めてあげてー」と何度も思ったことか。

誰かが突出して強いというフィクションのヒーローアクションではないので、重火器やミサイルを撃ちこまれれば人間は誰だって負傷もするし時には死ぬ。その時がいつ訪れるか全くわからないという、こんな危険な世界があるんだなぁと如実に知らしめられる。主人公らは経験ある傭兵だからまだしも、あのCIAのみなさまのビビリぶりが普通の反応だろうなぁ。相模原で一般人から暴行うけて顔面全治一カ月だった元傭兵の日本人のあの人とか、この世界に飛び込んだらどんな活躍するかなぁ。

てか、そんな何度もおこる襲撃と激しい戦闘があのマイケル・ベイ特有の大仰なアングルとコントラストが強くてくっきりした映像で描かれるので、途中で「そろそろバンブルビー現れて敵を蹴散らして!」とも思ってみたり。

というわけで「13時間 ベンガジの秘密の兵士」。「トランスフォーマー」の白兵戦シーンからトランスフォーマーを抜いたような感じの、なかなか見ごたえのある戦争アクション映画だ。ちょっと「ほら、アメリカ人の勇気と気骨はすごいだろ」と言いたい意図が強く出すぎている感もなくはないが、それを含めても充分満足できた一作である。劇場で見たかったなぁ、これ。たぶん圧倒されたと思う。


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2017年03月15日

Lemon Tree Passage 
パッセージ 牙剥く森(2015年/オーストラリア)

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森の中の道路を車で爆走すると後ろから霊が現れるという都市伝説を題材に描いたオーストラリア産の心霊ホラー作「パッセージ 牙剥く森」を鑑賞した。ちなみにその都市伝説はあちらの国ではポピュラーなのかどうかは知らないが、劇中で私も聞いたことのある別のよくある都市伝説エピソードが若者のじゃれあいの中で怪談として語られたりするので、そういったものなのだろうと推測している。

舞台はオーストラリア。冒頭でサム(ニコラス・ガン)という髪を剃りあげて体格のいいイケメンがなにやらガレージの中で少々恐ろしい目に遭ったりするが、描写がぼやかされていていまいちよくわからない。そして本編。アメリカから来たバックパッカーの若い女子マヤ(ジェシカ・トヴェイ)とアメリア(ピッパ・ブラック)、及びアメリアの双子の弟トビー(ティム・ポーコック )はビーチで行き当たりばったりの旅の計画を話し合いつつダラダラ過ごしていた。

そこで知り合ったのは地元オーストラリアのイケメンのジョーディー(ティム・フィリップス)とイケメンではないエロくてお調子者のオスカー。クソみたいな話をしていたマヤらと接触し、ビーチでクリケットをしたりして意気投合。夜には5人で火を囲んで怪談話をするが、オスカーがそこからすぐ近くにあるレモンツリー・パッセージという道路で爆走すると霊が光の姿で現れるという話を披露したりする。それがマジの霊現象だというので、皆で真偽を確かめてみることに。

問題の道路は森の中を抜ける道路で、深夜にジョーディーの運転でそこを爆走する5名。車のスピードが130kmを越えたところで本当に遠く背後の道路の先に光が出現。そのまましばらくこちらを追ってきて消えたりした。「ほーら、マジだっただろ。」ってことで真偽を確認終えたので、そのまま近くのジョーディーの家に行くことに。

家には冒頭にでてきた男性サムがおり「生きてたんかい」という感じだが、どうやら彼はジョーディーの兄らしい。彼は家にきた面々に関わろうとしないが、シャワールームなどで人知れず怪現象に襲われて悩まされていた。

さて、いろいろありつつ話題はあの道路の幽霊のことに。確かに光は見たが何人かがあれが幽霊だとは信じないので、あらためて現場に行き検証することに。光が出たあたりの道路にオスカーを残して車を爆走させ、出てきた光が何なのかを調べる実験を行う彼らだが、また光が出てくると同時にオスカーが失踪。悪ふざけかなと思って彼がいたあたりに戻って付近を調べるが、徐々に恐ろしい現象に見舞われていく面々。

そんな折に、この道路で過去に少女の失踪事件があったことが分かり、霊現象がそれを密接に関係していることが明らかになっていくのだが…。

という具合の心霊ホラー作「パッセージ 牙剥く森」。若者5人ともう一人が深夜の森の中で恐ろしい目に遭っていく恐怖映画である。いまどきよくある低予算のPOV方式ではなく、ちゃんとしたカメラワークで撮られているという意味では良質な一作だと思う。出てくる俳優陣は男子も女子もなかなかルックスが良く、そして恐怖描写もそれなりにクオリティが高い。酔っぱらった勢いなどで深夜に見たら、そこそこ有意義な時間を過ごせるんじゃないかと思う。

だが、冷静に見てみるといろいろと難が多い。前述の通り恐怖描写はなかなか良くできているのだが、それは各シーンを個別に切り取った場合の話。連続して見てみると、「心霊が引き起こす不条理かつ超常的な現象」と「人為的に引き起こされた残虐な殺害」とがごっちゃになっており、ましてや後者はなかなか手が込んでいたり相当な筋力が必要なものもあったりして、実際に出来るんかいとツッコミを入れたくなってしまうような代物。

人による所業と霊の仕業によるものとを一緒くたにされてしまっていて、なんかいいとこどりをしている感があるというか、ちょっと展開の作り方が稚拙だなぁというか。

そして一番の問題は出てくる霊に明確な目的=”怨みを晴らすこと”があるのに、まったく関係ない人らを凄惨な目に遭わせ、それを一番思い知らせないといけない相手には見せず、泳がしまくって最後まで残しているというのが全く意味がわからない。日本の「呪怨」のように怨むべき相手もとっくに死んでいるので無作為に関係したものをまきこんでいくものとは異なり、明確に怨みの相手が存在するので今作のようなやり方はただただ納得のいかない理不尽でしかない。

怨みがあるやつがいて序盤からちょくちょく怖い目に遭わせているんだからそのままそいつだけに晴らせよ。特にアメリカからきた女子なんて全く関係がないじゃないか。復讐対象がとっくに死んでいて主人公らの誰かがそれに似てるとか、遠く血縁関係だったとか、封印していた何かを壊しちゃったとか、そういうのならまだわかるのだが今作のこれではただの八つ当たりだ。遊び感覚で都市伝説で言われるやり方で霊を呼び出したのは確かに悪かったかもしれないが。

そんなわけなのでこの「パッセージ 牙剥く森」。ホラーの描写自体はなかなかいいのに、お話に筋が通っていないので非常にもったいない印象になっている。前述のとおり安易にPOVに逃げて安く作っているわけじゃないところはいいんだけどねぇ。


mepashi at 02:07コメント(0)トラックバック(0)洋画:ホラー  mixiチェック
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