2018年07月17日

こちらは、blog 「メパシネマ」です。

メパシを名乗る管理人が鑑賞した映画の感想・批評などの駄文を、その映画を見終わった日付・時間の更新日付で公開していくブログです。
基本的に「DVDパッケージに書かれているあらすじ」の範囲以上のネタバレはしないようにしています。


鑑賞したのにまだ書いていない原稿が現時点で416作分あります。ぜんぜん減らないなぁ。

ホーンテッド・サイト」「エクストラ テレストリアル」「GODZILLA 怪獣惑星」「トランスポーター イグニション」「怪物はささやく」「ギャロウズ・ヒル」「ジュピター」「オリエント急行殺人事件」「フラットライナーズ」「ラプチャー 破裂」「喰らう家」を見ました。

今年は
ジュラシック・ワールド/炎の王国」「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」「レディ・プレイヤー1」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」「ブラックパンサー
を劇場でみてきました。

昨年は
スター・ウォーズ/最後のジェダイ」「マイティ・ソー バトルロイヤル」「ジグソウ:ソウ・レガシー」「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」「ブレードランナー 2049」「エイリアン:コヴェナント」「トランスフォーマー/最後の騎士王」「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」「メッセージ」「スプリット」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」「ワイルド・スピード ICE BREAK」「ドクター・ストレンジ
を劇場でみてきました。


観たけどまだ書いてない批評の中には「君の名は」とか「アナ雪」とか有名作も多々含まれているのですが、「いまさらそれをどう書きゃいいんだ」となかなか筆が進まない自分が居たりします。


------------------------------
メパシ


mepashi at 00:12コメント(0) 

2018年07月15日

A Monster Calls 
怪物はささやく(2016年/アメリカ、スペイン)

1072

不治の病の母親が心配でメンタルが大変なことになっている少年が、夜な夜などでかい怪物に遭遇して3つのお話を聞かされるダーク・ファンタジー映画「怪物はささやく」を鑑賞した。原作はパトリック・ネスの同名ベストセラー児童文学小説で、監督は「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ。

今作のことはだいぶ前から知っていたがなかなか見る機会を持てず、前日に同監督の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」を鑑賞してきたので、この勢いでみてしまおうということで鑑賞となったりした。そんなことは正直皆さんにはどうでもいいことだとは強く自覚しているが。

お話はアメリカではなく別の国のこと。がっつり英語を話しているし住宅の壁がレンガが多いのでイギリスかなぁ。空想好きでやたら絵の上手いガキのコナー・オマリー(ルイス・マクドゥーガル)少年はオン眉カットが特徴的な約12歳で、窓から墓地や丘の上の大きな木が見える家で暮らしている。

彼の母親リジー(フェリシティ・ジョーンズ)はガンか何かの不治の病で自宅療養中で父親は離婚していてアメリカにおり、厳格でソリの合わないおばあちゃん(シガーニー・ウィーヴァー)に引き取られる話が進んでいて必死に犯行していたりした。また、学校ではわりと孤立気味で、体の大きな同級生の男子に「もしかして逆に好きなんじゃないか」というレベルで目を付けられ、顔以外を激しく殴られたりしていた。

そんなコナーが深夜に自室で絵を描いていると、がたがたと部屋が揺れて窓の向こうの丘の上の木が人型に起き上ってこっちに来るのが見えた。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のグルートが完全に成長したらこうなるのかなという感じの風貌で、声は完全にリーアム・ニーソン。怪物はコナーのもとに来て「アイアムグルート」ではなく「これから3つの物語を話してやるから、そのあとでお前の物語を話せ」とワケのわからないことを言ってくる。

日中は徐々に母親の病気が進行して病院にうつり、ばあちゃんの家に移動してそこで様子を見に来た父親(トビー・ケベル )と会ったりするコナー。父親役のトビー・ケベルはどっかで見た顔だなぁと思ったが、たしかリメイク版の「ベン・ハー」でメッサラを演じたり、リメイク版の「ファンタスティック・フォー」でドゥームを演じたりと、リメイクによく呼ばれる人だなぁ。

そして12:07になると午前午後関係なく現れるのが例の怪物。そいつはコナーに善と悪とがはっきりしていない「現実はこうだぜ」という玄人好みのひねくれた物語を語ったりする。やがてコナーの心に変化が生じつつ、ついにはコナーが話さないといけない番がやってくるのだが…。

そんな具合の今回の「怪物はささやく」だが、これがなかなかの高クオリティー作品。誰しもが経験する「親しき人との別れ」の理不尽さと、それを乗り越える局面を描いた人間ドラマでありつつも、ダークなファンタジーといても完成度が非常に高いという実に素晴らしい作品だった。

何よりも特筆すべきは映像が尋常じゃなく綺麗だということ。巨大な怪物が動き出す迫力のビジュアル、その怪物が語る3つの物語の「動く絵本」のような美しさ。そしてそれ以外の様々なカットひとつひとつがとんでもなく絵になっている。主人公が歩く登下校の道、生徒らが登校する場面を上から撮った場面など、何気ないシーンがとにかく美しい。「パンズ・ラビリンス」のプロデューサーやデザイナーが噛んでいるようだが、監督およびその方々らの功績かなぁ。

そして、絵だけでなく役者陣もこの作品の完成度に大きく貢献している。病でどんどんやつれていく「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」や「インフェルノ」のフェリシティ・ジョーンズの儚げな空気はメイクによる部分もあるかもしれないが、何より主人公の子役ルイス・マクドゥーガルが表現する「やりきれなさ」、その演技の上手さと自然さがキャラクターに説得力を持たせている。

それから、意外とシガーニー・ウィーヴァーも上手いんだなぁと再確認できたなぁ。近年はわりとおかしな映画にラスボスみたいに出てくるキャラが多かったが、自然な人間ドラマでもちゃんと演じれる人なんだなぁ。居間デストロイのシーンの表情なんて、まさに絶品。

そんなこんなの「怪物はささやく」。ダークで美しい映像と引きこまれる筆致とで、人生における不条理との対峙と癒しを描き出す秀逸な傑作ファンタジー作品だ。子どもではなく大人にこそ見てほしい一作だと思う。


mepashi at 00:40コメント(0)洋画:ファンタジー 

2018年07月13日

Jurassic World: Fallen Kingdom 
ジュラシック・ワールド/炎の王国(2018年/アメリカ)

1071


だいたいいつも恐竜が制御不能になってどえらいことになる人気シリーズの第5弾「ジュラシック・ワールド/炎の王国」を劇場公開初日に鑑賞してきた。前作「ジュラシック・ワールド」から早3年。前作の監督コリン・トレヴォロウは今回はプロデューサーと脚本を兼任し、今回の監督は「永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナだ。主演は前作と同じく、安定のクリス・プラットとブライス・ダラス・ハワード。あと、今回はシリーズ初期の主役の一人として活躍したジェフ・ゴールドブラムがイアン・マルコム役で復活しているが、なんか座って偉そうなことを言っているだけで何もしていないので正直どうでもいいと思っている。

お話はちょうど前作から3年ほど経過した頃が舞台。前作はその公開年と劇中の時間がシンクしていて2015年という設定だったが、その時に大惨事を巻き起こしたテーマパーク「ジュラシック・ワールド」が舞台。前作の後半でとんでもない数の入場者に死傷者が出たりトラウマを与えたりしたので、運営会社はどう責任を取るのだろう、ベネッセの個人情報漏洩に対する「一人500円」じゃ済まない損害賠償が必要だよなぁと思っていたが、冒頭でしっかりそれを支払ったことが明示されたので私の中で今作への好感度が少々アップ。やはり、おとしまえはつけないとねぇ。

そして、そのテーマパークのあったイスラ・ヌブラル島だが、前作のラストでほとんどのスタッフが撤退し、テーマパークの跡地で恐竜らが好き勝手に生息する島になっていたりした。島全体がドッグランという感じだ。たまにその恐竜らの貴重なDNAサンプルをパクろうとする謎の業者たちが訪れては、奪取に成功したり、おなかの空いた恐竜たちのエサになったりしていた。

その島が最近、活火山となってしまったことが判明。人間がこしらえた恐竜たちを保護して生かすか、この際だから成り行きに任せて噴火で死なせるかの議論がなされたりした。前作の女主人公クレア(ブライス・ダラス・ハワード)は前作の前半でやっていたことを棚に上げて恐竜の保護団体のリーダーをしており、なんとか政府を動かして火山から守ろうと注力するがあえなく失敗に終わる。

そんな彼女に声をかけたのはオリジナルのパークの主催者ハモンドと共に組んで恐竜を研究していたロックウェル財団のベンジャミン(ジェームズ・クロムウェル)。だいぶ年を召していて寿命のカウントダウンが始まってそうな彼は部下のイーライ(レイフ・スポール)に指揮をさせて個人的な資産で恐竜を保護しようとしていた。

それには現地のパーク跡地のシステムなどに詳しいクレアと、あと前作で恐竜の調教師だったオーウェン(クリス・プラット)の協力が必要。クレアは前作のラストでいい感じになったあとなんだかんだでオーウェンと別れており、久しぶりに再会していろいろ痴話げんかをしたりするが、間近に迫った火山噴火の前になんとか恐竜救出をしたいと助力を申し出る。これを断ると映画が進まなくなるので、なんだかんだで一緒に行くオーウェン。

さて、現地には先だってイーライが手配した恐竜捕獲チームが物凄い量の設備や傭兵らが上陸しており、クレアらはそのチームらと合流。で、いろいろあって彼らが浦の目的で動いていたことを知りみんな窮地に陥るが、それよりもまず思ったよりも早く火山が大噴火。逃げ惑う恐竜らと共にクレアやオーウェンらは火砕流か逃げようと海へとダッシュするのだが…。

ということで今回の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」。作品のクオリティは前作に引けを取らないさすがの安定感。オープニングで初期作を思わせる「雨の中でティラノザウルスに追っかけられる」でワクワクを煽り、「前作最強だったモササウルスのすごさを改めて魅せつける」などのサービスも忘れない。そして火山からの救出ミッションが余計な手間取りもなくサクサクと始まり、前半で一大スペクタクル場面が怒涛の勢いで繰り出されていく様は迫力の一言。

また、ポニーテールにしたブライス・ダラス・ハワードは前作前半のかたっ苦しい女の印象は全くなくなってアクティブで魅力あふれるキャラを演じ、対するクリス・プラットは盤石の安定感で前作に続いて頼れるヒーローを演じている。今回は強そうな傭兵らをボコボコになぎ倒し、打たれてしばらく続くであろう麻酔薬の効果を気合で振りほどいて溶岩から間一髪で逃げたりする。

前作にいたジェイク・バグ似の青年やその弟などは出ず、今回はほとんどを大人に絞り、唯一の子供をロックウェル家の孫メイジーに絞っているのもわかりやすくていい。なんだかんだで死なないポジションの奴が多いとみていて緊張感が損なわれるからだ。

そんな今回も相変わらずのクオリティの「ジュラシック・ワールド/炎の王国」だが、手放しで面白かった前作とは異なり、ちょっとなんとも評価の難しい作品に仕上がっていた。今回の前半は「恐竜らを火山から救う一大ミッション」が見どころだが、中盤からは話が大きく舵を切り、今まであまりこのシリーズが触れてこなかった部分へと入っていく。

要するにそれは「人類が生み出した恐竜を生かすべきか、殺すべきか」という話であり、同時に冒頭にも書いた「やったことに対するおとしまえをどうつけるか」というもの。痛快恐竜アドベンチャーではなく、ダークで醜い世界が描かれていく今作。後半の悪い人間らに対するクレアやオーウェンもかつては恐竜を見世物にして給料を得ていたわけで、同じ穴のムジナといえばそれまで。なかなか考えさせられる作品だ。

が、それはともかくとして、私が評価をしづらいのは、テーマは新しい領域に踏み込んでいるのに、映像面や展開としてはさほど今までと変わらないなというところ。人間の醜さを露骨に描いた「捕まった恐竜らの処遇」を見たところまでは「お、今までなかった新しい領域に踏み込むのかしら?」と思ったが、そのあとのパニック展開はゴシックホラー的な描き方になっているだけで今までとさほど変わらない。屋敷みたいなところでの追っかけっこは初期からあるし。

また、手をかじられたりとかいろいろ描写も激しくなっているものの、人が襲われるシーンでわりと暗転が多く、直接的な描写は相変わらずマイルドになっている点も喜べないところ。後半のアレで「司会をする男」とか、もっとグッチャグッチャにやられればいいのに真っ暗になって終わり。それじゃダメだろ。

そして、一番「うーん」と思うのは今回の恐竜側のラスボスのインドラプトル。かけあわせで作られた実在しない恐竜で、かなり攻撃的でヤバいというやつ。しかし、前作のインドミナス・レックスでも思ったが、そもそも恐竜全部は今の時代に実在しないので、ハイブリッドもそうじゃないヤツも見ているこちらからは特に違いが判らず、そのすごさがいまいち伝わってこない。

例えば目が物凄くたくさんあるとか、頭が三つあるとか、制作中で体が安定してなくて腐ってるとか、ルックス的に個性があるならまだわかるのだが。。。

それから一番マズイのが、前作のインドミナス・レックス戦の方が圧倒的に面白かったという部分。前回は人間と数種の恐竜らの混合チームでようやく勝てたが、今回はなんだかんだで人と一種の恐竜だけでなんとかなってしまっている。パワーダウンしちゃダメでしょ。なんとなくあの大きさに収まったのは、J・A・バヨナ監督らしい「少女の寝室に恐竜が忍び寄る場面」を収まりよく撮りたかったからかなぁと邪推してしまったりもする。

しかし、前回はT-レックス、今回はラプトルのハイブリッド恐竜が出てきたが、次回はまさか「恐竜と人間をかけあわせた新種の生き物!」とか出したりしないよなぁ。

ということで「ジュラシック・ワールド/炎の王国」。充分面白かったが、出来は前作の方が上かなぁ。あと、ラストのあのボタンはおして大正解だと思うが、そのあとのことを想像するとあまりワクワクしないなぁ。恐竜たちがすぐに爆発的に個体数を増やせるわけではないのですぐに事態が収束しそうで「ヤバイことになったぞ」というゾクゾクが足りない。今の時点では「続編ありきの繋ぎ」だなという感じ。

ところで前作で一番むかついた「タカアンドトシの太い方」みたいなオッサンに近い立ち位置の「歯を集める好き者」。こいつもむかつくキャラだったなぁ。余計なことしかしないし。


mepashi at 21:15コメント(0)洋画:アドベンチャー 

2018年07月09日

Murder on the Orient Express 
オリエント急行殺人事件(2017年/アメリカ)

1070

アガサ・クリスティーの名作推理小説をケネス・ブラナーが監督・主演し、なかなか豪華な役者陣で映画化した王道ミステリー作品「オリエント急行殺人事件 」を鑑賞した。前述のケネス・ブラナーが監督自らエルキュール・ポワロ氏を演じ、ジョニー・デップだったりペネロペ・クルスだったりミシェル・ファイファー だったりウィレム・デフォーだったりといろんな方々が登場したりする。

お話はまだスマホはおろか電卓もなかった時代のこと。エルサレムを訪れていた世界的名探偵のエルキュール・ポアロ氏(エルキュール・ポアロ )はオープニング謎解きとしてソフトな謎を解明し、そのまま休暇を楽しもうとしていた。しかし、とある電報が届いて顔色を変え、急遽友人が運営する長距離列車オリエント急行に乗り込むこととなった。イギリスで何か事件が起きたそうである。

そのオリエント急行は客車や豪華な食堂エリアのある寝台特急で、ポワロ以外にいろんな方々が乗車していた。顔はいいが贋作を売りさばくという画商のラチェット(ジョニー・デップ )や何でもかんでも神がどうとか言っていて付き合ったらつまらなそうなエストラバドス(ペネロペ・クルス )、ウソばかり言うしなびた中年のゲアハルト(ウィレム・デフォー )、007のM役引退後は確実にババァ化が進んでいるドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ )、上品な口調でやたら男漁りしているハバード夫人(ミシェル・ファイファー )、当時にしては珍しそうな黒人医師アーバスノット(レスリー・オドム・Jr )、何か裏がありそうな女子メアリ・デブナム(デイジー・リドリー)など様々だ。

列車はそんな彼らを乗せて雪の山岳地帯を凄い勢いで水平移動していくのだが、前述のラチェットがポワロ氏に「世界的な探偵と見込んで自分のボディガードをしてくれないか?」と打診。どうして探偵に護衛をさせるのかよくわからないが、彼は画商としていろいろ悪さをしすぎて敵を作りまくっており、恨まれたりして命を狙われているとのこと。ッポワロ氏はその依頼を「興味ない」として一蹴。読書を楽しみつつ、寝ることにする。

深夜、列車は雪山の断崖にさしかかるが、ちょうど山の上の方で雪が崩れて雪崩(今作屈指のスペクタクルシーン)となり、トンネルにさしかかろうとしていたオリエント急行に降りかかってきて脱線。立ち往生してしまうことになる。ちょうど「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」でバッキーが落ちていったような雪の断崖だ。翌朝、「とりあえずすぐに列車を線路に戻す救出部隊が来るはずなので、しばしこのまま待機です。」と説明がされ、予定の日にちで目的地に行きたかった皆から不満の声があがったりする。

そんな折、乗客の一人が朝ごはんになっても部屋から出てこず、異変を察知したポワロが乗務員らの立会いのもとドアをこじあけると、中には胴体にナイフで1200箇所ほど滅多刺しにされた遺体が。(役100倍に話を盛ってみました)。犯人は乗客の誰かということで、ポワロ氏は確実にアリバイのある友人を相棒に捜査を開始することに。調べていくうちに殺された人物の裏の顔が明らかになったり、乗客らの隠された素性などが明らかになったりするが、同時にアリバイもそれぞれしっかりあったりして推理は難航したりしなかったりするのだった。

ということで、決め付け推理が多かったり、甘いものが好きだったりと、恐らくは「デス・ノート」のLの原型と思われるエルキュール・ポワロ氏がオリエント急行内で起きた難事件に挑戦するミステリー作「オリエント急行殺人事件」。やたら豪華な役者たちの競演と列車内セットやCGや絵もあるだろうがロケーションの美しさなどで、なかなか見ごたえのある一作に仕上がっている。

役者で注目すべきはやはり特徴的なヒゲを讃えたポワロ氏の造形とキャラクター。非常にキャラがたっており、このままのキャストで続編も見てみたいという気にさせられる。加えて特筆すべきはミステリアスな美女のメアリを演じたデイジー・リドリー。彼女は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」以降の主人公役で有名になったが、あのトイレット・ペーパーを身体に巻いてるみたいな格好じゃない服装の役柄を見たのは今作が初めてだ。ちゃんとした服も着せてもらえてよかったなぁ。

そんな役者の顔ぶれと映像美とで絵になる場面の多い今作だが、肝心のミステリ部分はどうかというと少々難を感じる。殺害された人物の裏の素顔が殺害の余韻もまだあるくらいの時間であっという間に暴かれたり、各乗客らの隠された素性が明らかになっていく展開が速すぎる。じっくりと推理で謎を紐解いていく感覚が乏しく、まるでダイジェストで見ているかのようだ。

特に後半、ポワロ氏が推理に行き詰まり、想い人の写真を見ながら「やべぇ、今回は難しくて犯人がわかんねぇ」とボヤいて弱さをみせつけ、直後のシーンで特定の人物に「アンタが犯人だ!」とつきつける場面はさすがにないよな、と思った。そのあとの解決編への場面転換も、途中で何シーンか間が抜けたかと。もう少し時間をかけてじっくり描いて、徐々に謎や秘密が明らかになっていく方が、より物語を楽しめたんじゃないかなぁ。

そんなこんなの「オリエント急行殺人事件」。充分楽しめる水準のできばえだが、ちょっと性急な感じが惜しいなぁというところ。あと、犯人はターゲットを殺すためにあの列車の席を頑張って予約したのかなぁ。倍率高かっただろうに。

あと、今作の予告編でImagine Dragonsの「Believer」が使われていたが本編では無し。あれが本編かエンディングで流れたら印象は少し変わったかもしれないなぁ。映像はレトロなのにモダンな雰囲気になる。


mepashi at 00:01コメント(0)洋画:サスペンス&ミステリー 

2018年07月08日

Flatliners 
フラットライナーズ(2017年/アメリカ)

1069

仮に死んでみる実験をしたらいろいろ怖いことが起きちゃったという科学系サスペンスホラーの1990年作「フラットライナーズ」。若き日のジュリア・ロバーツやキーファー・サザーランドが出演した同作だが、その27年ぶりのリメイク作「フラットライナーズ」を鑑賞した。ちなみに私はオリジナル作はしっかり見た覚えがあるが、後半どうなったかは正直うろ覚えだったりする。覚えていないということは、鮮烈さは乏しかったんだろうなぁ。

さて、今作の主人公の一人はコートニー(エレン・ペイジ)。彼女は妹のテッサとドライブ中にガラケーをチェックして事故り、川に転落してテッサは溺死。コートニー自身は助かるものの深いショックと自責の念に囚われることとなった。完全に自業自得だが。

臨死体験をしたことがある方々のインタビュー(世迷言)の声がかぶさる中、タイトルロールが流れてから本編。お話は前述の事故の場面から月日がたち、コートニーはどこぞの病院でインターンとして実習したり、レポートを出したりしていた。エレン・ペイジはすでに30歳前後で、冒頭の妹役の子は10代だったので最初親子関係かと思った。しばし混乱するも、同年代の若き医者の卵らと共に毎日勉強や実習に励んでいるようである。

てか、彼女は「ハード・キャンディ」でパトリック・ウィルソンの男性器を氷で冷やしていたりしたが、その頃から医学への関心があったんだろうなぁ。

同年代で特にいつもつるんでいるのは、背が高くて金髪の男子ジェイミー(ジェームズ・ノートン)、黒人で少し成績に不安のあるソフィア(カーシー・クレモンズ)、美人だがちょっとなんかあるマーロー(ニーナ・ドブレフ)、そしてイケメンで飄々としているが成績は良い方のレイ(ディエゴ・ルナ)だ。

彼らはそれなりに頑張っていたりするが、友情出演なのかギャグで出てきたのかわからないキーファー・サザーランド演じる先生に勉強不足をボコボコになじられ、各々へこんだり反抗心を燃やしたりしていた。確かに知識と判断的にまだ未熟な様子である。

そんなある日、コートニーが突如上記のメンバーを招集。(厳密にはそのうち二人だけだが結果的に全員現場に揃うので詳細は割愛)。病院の地下の今は使っていない設備の部屋に集まり、そこでとある実験をしようと持ち掛ける。それはいっぺん死んでみて、脳の状態がどうなるかを記録する研究をしてみようというもの。

CTスキャンみたいな設備のベッドにのり、なんか薬品を打って身体を弱らせてから電気ショックで心臓を止め、そこから数分間の脳の様子を観測。その後蘇生措置をして復活させるというもの。4分くらいは脳に酸素がいかなくても、脳にはダメージはないとか言っている。そしてコートニーは自ら一回死んでみるとのこと。

皆が「マジで言ってるのか?」と戸惑う中、コートニーは自身に薬品を打って実験開始。自発的にくたばり、そして皆が慌てふためいて蘇生措置を施したりする。物語の進行上、蘇生が上手くいくのはわかりきっているのだが、この「生き返るかそのまま死んでしまうか」をギリギリのラインで魅せつける緊迫感はなかなかのものだと思う。

復活したコートニーは死んでた時のことを皆に話すが、同時に何やら前はなかった素質が覚醒、成績がよくなったり、ピアノがひけるようになったりする。その様子をみたメンバーたちは次々と臨死実験を体験していく。それによりいろいろと知恵が開花したりする彼らだが、同時にいろいろと恐ろしいものが見え始め。。。

ということでリメイクされた2017年版の「フラットライナーズ」。全米での売り上げは散々だったようだが、確かに“突出した何か”を感じさせない出来なので「そうだろうなぁ」という感じ。俳優陣のルックスはだいぶいいが、それ以外がちょっと凡作過ぎる。

ホラー的な怖さを求めて今作を見るとその類の描写は今一つだし、後半の「各人が臨死により掘り起こされたトラウマと向き合っていく展開」の人間ドラマ的要素もいまいち共感できない。何しろ主要人物が一人を除いて全員クズで、本当にこの人たちには医者になって人の命を預かる仕事について欲しくないなぁと思えるやつらばかり。各人が抱えるトラウマとなった事件をそれぞれ解決していくちょっといい話にされているが、人が死んだり人の人生をめちゃめちゃにしてるしなぁ。

そんなクズばかりの中、唯一まともなのが一番ルックスがいいレイというキャラ。ルックスはいいし、頭はいいし、仲間を見捨てないという男気も魅せるキャラクターで、今作では完全に彼を演じるディエゴ・ルナ萌えを愉しむ作品となっている。このディエゴ・ルナは40近いはずだがこの中ではかなり若々しく見えるのですごいなと思う。「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」で2人目の主人公だった人だ。

ということで、出演した俳優さんらがだいたいみんな一回ずつ死人役を演じれる今作「フラットライナーズ」。臨死を体験したことで掘り起こされる心の傷と、それに起因する幻覚に襲われるサスペンス映画であるが、心停止してから生き返った人なんて世界中を見渡せば決して少なくはないはずで、その方々がみんなこうなるわけじゃないだろうしそう考えるとちょっと設定が弱いかなぁと。

同じように「死んだのを生き返らせたらすごいことになった」映画で「ラザロ・エフェクト」というのがあったが、あっちの方が展開がぶっ飛んでいて面白かったなぁ。


mepashi at 15:26コメント(0)洋画:サスペンス&ミステリー 

2018年06月29日

Solo: A Star Wars Story 
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年/アメリカ)

1068

年に一度のスター・ウォーズ祭り。今年の公開分であるハン・ソロの若き日を描いたスピンオフ映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」を同僚4人と劇場初日に鑑賞してきたりした。そして結論から言うと、私を含めた5人の感想が賛否真っ二つに割れた作品だったりした。ちなみに監督は名匠ロン・ハワード。主演は私は初めてお目にかかるオールデン・エアエンライクだ。どこで見つけてきたんだろう、この人。

お話はハン・ソロがおそらく20代手前くらいの年代からスタートする。時期的には「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」よりは「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」に近い頃という感じで、若きハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)はコレリアというファイナル・ファンタジーに出てきそうなスチームパンクなデザインの小汚い星でレディ・プロキシマというチンアナゴにダンゴムシのDNAを足したような化け物がシメている地域に住み、その一派の連中の使いっぱしりなどをして暮らしていたりした。

どう見ても物凄く育ちが悪いし学もかなりなさそうな感じだが、血気盛んで宇宙一のパイロットになりたいハンは恋人のキーラ(エミリア・クラーク)と逃げ出すことを画策し、コアクシウムなるエネルギーの入った筒をパクって逃走。激しくカーチェイスを敢行。空港の税関みたいなところまで来て係の人を買収して抜けようとするが失敗してキーラが取り残されることに。引き裂かれるカップルだ。

ハンはキーラを助けにまた戻ってくることを決意して帝国軍のパイロット養成所に即日入隊。だが3年後には帝国群の歩兵としてミンバンなる星で最前線で戦闘に参加していたりした。いきなり戦争映画みたいな感じになり、なんとなく「ワンダーウーマン」の成功の影響が感じられる。

その星で、兵士にまぎれて悪さをしていたベケット(ウディ・ハレルソン )とであったハンは泥レスをしたり、人の形をしたチューバッカなる犬と知り合ったりしつつベケットに弟子入り。彼とその一派とともにヴァンドアなる星に行き、そこで大量のコアクシウムを運搬している列車を急襲してそれの強奪を試みたりした。結果は大失敗し、ベケットとハンらはその仕事の元締めである宇宙ヤクザ組織クリムゾン・ドーンの首領ドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー )のところに謝りに行くことにする。

ドライデンはブチ切れると容赦なく刺したりしてくる筋金入りの気違いだったが、彼の公私共のパートナーになっていたのが、まさかのハンの元ガールフレンドのキーラ。久しぶりにあったキーラはいろいろあってイイ女になっており、ハンはその予期せぬ再会に心が躍ったりする。

んで、前述の強奪仕事の失敗の埋め合わせにケッセル という星にコアクシウムの原料を奪いに行くこととなり、やたら権利を主張する女OSのドロイドL3-37と付き合っているギャンブラーのランド・カルリジアン(ドナルド・グローヴァー/チャイルディッシュ・ガンビーノ)に声をかけ、なんだかんだで彼の私物である宇宙船ミレニアム・ファルコン号で一向は旅立つこととなるのだが…。

ということで、主だった登場人物らがだいたいカップルだったり元カップルだったりする高恋愛気質(うち一組は人間とロボットなのでなかなかエクストリーム)な方々が多いSFアドベンチャー作「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」。アクションシーンの見せ場はなかなか多く、エンターティメント映画としてのクオリティは充分。少なくとも前年の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」よりはよほど面白いと思う。敵キャラの気違いっぷりもなかなか良いし。

私としては今作の評価は「賛」なのだが、それは「ハン・ソロ」というキャラに思い入れも期待もなく、ただ一作のSFアクション映画として鑑賞したからに他ならない。前述のように見せ場は充分。スピード感もあるし、巨大宇宙怪獣の登場など大冒険的な場面もちらほらと。タイトルロゴの文字と色が能天気な割には全体の絵作りが少々暗いというマイナスはあるが、西部劇などを基調にした痛快活劇としてなかなかのクオリティに仕上がっている。

しかしながら、同行した同僚らの半数は今作を「否」と評価。その理由は「見たかったハン・ソロはこうじゃない」というものだった。確かに「スター・ウォーズ」正史に出てくるハン・ソロはひょうひょうとしたアウトローでカッコいいが、今作での彼は完全に青二才。さらには童貞感が丸出しの行動をとり、それが少々痛い印象に繋がっていたりする。

コレリアを出る前のハンはキーラとラブラブだったようだが、恐らく中学生レベルに毛が生えたような関係だったのではと推測される。せいぜいキスどまりというところであろう。

対するヒロインのキーラが3,4年の別行動期間のうちにいろいろ経験し、恐らくはヤクザのドライデンと肉体的な関係を持ち、ハンと再会してハンを気遣いつつも安易に元のさやに納まろうとしない現実的な意識を持った女性に成長し、青二才のまんまのハンの数段上のステージのイイ女となり、その立っている位置が異なることにすら気づけないハンの恋愛童貞っぷりが強く露呈する結果となっている。

こんな「スター・ウォーズ」シリーズでは珍しい「現実的なイイ女」を出すというのはスピンオフならではのなかなか面白い試みだと思うが、このキーラと決定的な離別をしていない状態で、どうしてその後にあのレイア姫にいけるのか全く理解できない感じになってしまっていたりするが…。

まぁ、それでも今作を見ての感想は「まぁまぁ面白いなぁ」だった。「ハン・ソロ」の名前の雑すぎる後付け設定や、例の「やばいルートを通ってありえないスピードで目的地に達した」ファルコン号自慢のエピソードなど、いろんな意味で見どころは盛りだくさん。毎年公開される「スター・ウォーズ」コンテンツに徐々に飽きが生じてきている部分はあるが、それでもここにきて一定のクオリティを保っているのはさすがだと思う。

ただ、今作唯一のあのライトセーバー使いの登場場面は完全に蛇足だと思う。アニメシリーズとの繋がりで出したようだが、実写映画の中で出したならきっちり実写で活躍させる場を作ってほしい。でも、いまのところ今作の続編は話にあがっていないし、出しっぱなしは無責任だなぁと。


mepashi at 23:00コメント(0)洋画:アドベンチャー 

2018年06月17日

12 Feet Deep  
プール(2016年/アメリカ)

1066

閉館後のプールの中に取り残され、ふたを閉められてしまった姉妹が体験する命の危機を描いたある意味「デッドプール」なサスペンススリラー作「プール」を鑑賞した。こうソリッドなシチュエーションをよくもまぁいろいろ考えるものだと唸らされてみたりもする。

舞台はアメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスの街にあるケテア市民プールでのこと。その日は翌日が祝日なのでいつもより早く閉館しようと館長は早く帰りたがっていた。この館長役がまさかのトビン・ベル。あの「ジグソウ」の人なので何かプールを使って殺人ゲームを起こしそう感がハンパない。とりあえずオフの日は犯罪者を捕まえてゲームをさせてたりするのだろう。

そんなプールに来ているのは姉のブリー(アレクサンドラ・パーク)と妹のジョナ(ノラ=ジェーン・ヌーン)。姉は腕にやけどの跡があり、どうも最近恋人のデヴィッドと婚約してダイヤの指輪を頂いた模様。そんな姉ブリーに対し、久々に会ったっぽい妹のジョナは少しとげのある態度で接したりする。

2人が泳ぎ始めた矢先にジグソウが「もう閉館だから出てくれ」と注意。荷物をまとめようとする二人だがブリーがプールサイドにおいておいた荷物に指輪がないことに気づく。探しているとジョナが、「あの水底の排水溝のところにあるの、指輪じゃね?」と発見。排水溝の溝に確かに指輪がスリリングに挟まっていたりした。

それと取ろうとプールに潜る二人だがなかなか取れずに四苦八苦。そんな折に館長がプールを見まわし、ああもう全員帰ったなと電動スライダ式のプールのふたを閉めて帰宅してしまう。蓋はグラスファイバ製の素手では割れない固さで、水面と蓋の間はだいたい30~40cm。コースロープは張ったままで、水温を一定に保つヒーターもつけたままだったりした。案外ズボラな帰り方をするなぁジグソウ。

これにパニくったのは姉妹。出れないじゃんと大声を出したり叩いたりするも誰も助けに来ず、このあと祝日なのでしばらく出られないとあせりだす。そこから妹がやたら姉につっかかり続けたり、それが二人の過去のめんどうくさい話につながっていたり、投薬的に意外と姉ちゃんに時間がなかったりと、徐々に二人の命は危険にさらされていくのだったりした。

というわけで今回の「プール」。ほとんど女子が水につかっている「オープンウォーター」系の一作だ。その女子らの命を脅かすのは閉館後の「出られないプール」。特にサメとかが出てくるわけではなく、じわじわと体力を奪っていくヤバさだ。私は学生時代は水泳をやっていたので多少はもつと思うが、それでも数日間あのままではかなり危険だろう。

しかし、閉じ込められてからやたらと妹の方が愚痴り続け、見ているこちらが「ああ、もううるせぇな」となってくる序盤はちょっとキツいものがあった。その後中盤にちょっと話が転がりだすが、エンディングに至るあたりは思ったより地味なクライマックスだなぁというところ。やはり水中に「サメ」や「敵」などの怖いものがないので、見ごたえあるスリルを醸成しにくいのだろうなぁ。

そして途中に出てくる「ある人物」の行動がブレまくっており、それもちょっとスッキリしないポイント。今作は86分というなかなかスッキリした上映時間だが、この題材とシチュエーションでは30分くらいの短編で充分だったんじゃないかなと思う。後半に「助かったかに見えて白昼夢だった」という反則な時間稼ぎ場面も入ってくるし。

そんなこんなの「プール」。ジグソウの登場には驚いたが彼の登場はさわりの部分のみ。それ以外は「もう一越えしてくれよ」の展開が続く。駄作ではないが、別の脚本で見てみたい作品だなぁ。このシチュエーションで別の人が作ったら、どんな風になるんだろうと。

あと、プールの全面が深いというわけではなく、片側は浅くて足が充分つく状態だが、DVDパッケージにはさりげなく「足がつかない」という煽り文句が入っている。こういうさりげないウソはどうなのかなぁと思う。


mepashi at 20:40コメント(0)洋画:サスペンス&ミステリー 
Train To Busan 
新感染 ファイナル・エクスプレス(2016年/韓国)

1065

邦題はちょっとアレだが私はそんなに悪くないと思っている、物凄いスピード感と絶望的な描写が圧倒的な韓国初のゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」を鑑賞した。監督は元々アニメ映画をこしらえていて今作が実写映画のデビュー戦のヨン・サンホ。主演は「トガニ 幼き瞳の告発」や「サスペクト 哀しき容疑者」のコン・ユだ。

お話の主人公はソウルの証券会社に勤めるファンドマネージャーのソグ(コン・ユ)。彼は仕事で毎日多忙で奥さんとは別居しており、母親と住みつつ娘スアン(キム・スアン)の親権争いをしていたりした。今はスアンが家に来ているが、忙しさのあまりかまってあげられなくてガッカリされ、スアンは釜山に住んでいる母の元に明日帰ると言い出したりする。

多少いろいろありつつソグはスアンを釜山まで送るべくソウル駅に向かい、高速列車のKTXに乗ることになった。同じ電車には高校野球の一向が居てスター選手か何からしいヨングクや、そこまで可愛くはない絶妙な素人感の彼女気取りのジニ、ババァの姉妹やバス会社の重役か何かのヨンソク、身重の妻の身を案じる大男のサンファなど、実にバラエティに富んだ客らが乗っていたりする。

さて、その電車が発車直前になんか若い女性が飛び乗ってきて、迷惑にも客車と客車の間のエリアでぶっ倒れて苦しみもがく。その様子に気づいた女性乗務員が駆け寄るも噛みつかれ、噛まれた者は次々と狂暴化して他の人に襲い掛かったりした。瞬く間に車内は阿鼻叫喚に包まれ、事態に気づいたソグはふと姿が見えなくなってしまった娘スアンを探しつつ、感染者から逃れようと必死に奮闘するのだが…。

ということで高速列車という閉鎖空間の中や時折到着した駅の中で、ものすごい数の感染者らが気違いじみた動きとスピードで襲い掛かってくるという絶望感がハンパない一作「新感染 ファイナル・エクスプレス」。これが実に手に汗握る作品で、多少の荒さはあれど最後まで非常に楽しめる出来栄えだった。すごいとは聞いていたが、なるほど噂に違わぬクオリティだ。

近年では邦画の「アイアムアヒーロー」が素晴らしかったが、今作はそれと肩を並べる出来栄えだなぁと思う。描写もさることながら人間ドラマとしてもなかなか良いものがあり、「アイアムアヒーロー」を見て揺さぶられたヒロイズム的な感情とは別の部分の感情が今作では揺さぶられてみたりもする。。あと、どっちも「日常が壊れてとんでもない状態になっていることになかなか気づけない段階の緊張感」の部分が非常に良いな。

まぁ、ゾンビ映画ならではのグロさは他と比較すると少し甘いが、全力疾走してくる系の感染者たちが数の圧力で押し寄せてガラスなどを突き破ってくる様は少々肝が冷えたりする。そのあたりのゾンビの物量の描き方は「ワールド・ウォーZ」にも近いものがあるなぁ。駅の大量の兵士ゾンビや、後半の列車に追いすがる大量のゾンビのご一向の壊れ具合など、絵的な見せ場が盛りだくさんなのが良い。

しかし、見ていて面白いのは本当にいろいろなキャラが出てくるところ。最初は自分のことしか考えなかった主人公が非常によくできた娘との関わりの中で徐々に変わっていく様は王道な展開ながらもわかりやすく、その結果のあのラストの展開が強く胸を打つ。

そしてその主人公よりも数段かっこいい大男のサンファ。演じるマ・ドンソクはいろいろな作品に引っ張りだこだが、使われまくるだけのことはあるいい味を今作でも出している。それから極限状況でどんどん自己本位さが露わになって観ていてむかついてくるバス会社の重役ヨンソク(キム・ウィソン)。こいつはほんとにウンコを集めて人体錬成したみたいなクズで本当にどうしようもないが、こういうキャラが居るからこそこういう作品は本当に面白くなっていく。

韓国の映画は、悪役の人が本当にド外道だったり、腹立たしいほどの利己的な鬼畜だったりするのでその振り切れたクズっぷりが物語に厚みを加えたりする。そいつがクソみたいなやつであればあるほど、報いがくる場面は本当にスカッとする。

そんなこんなの「新感染 ファイナル・エクスプレス」。戦争映画と同じく、感情移入できて死んでしまってほしくない人も容赦なく死んでいく、圧倒的な熱量と絶望感の韓国産ゾンビ映画だ。生存者も感染者も載せた高速列車はプサンに向けて全力疾走していくが、プサンに着いたところで本当に助かるかどうかの保障が何一つない。てか、15秒後にはやられてるかもしれないという極限の緊張感が持続する素晴らしい一作だ。


mepashi at 14:42コメント(0)韓国:ホラー 

2018年06月16日

Incarnate 
ドクター・エクソシスト(2016年/アメリカ)

1064

人の潜在意識に入り込んで悪霊を退治する車椅子の除霊師?と、彼にゆかりのある強力な悪魔との戦いを描いたホラー作「ドクター・エクソシスト」を鑑賞した。主演は「ダークナイト」で顔が半分壊れた男を演じたアーロン・エッカートだが、今作の監督ブラッド・ペイトンは「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」「カリフォルニア・ダウン」「ランペイジ 巨獣大乱闘」など、ドウェイン・ジョンソンの主演作を多く手がけている人だ。今作の浮気はどうしたんだろう。さすがにロック様に車椅子男を演じさせるのは無理があると思ったのかな。

今作の主人公はかつて事故で妻子を失った科学者のセス・エンバー(アーロン・エッカート )。彼はもともと寝ている人の潜在意識の中に入り込める能力の保持者で、その力を使ってキリスト教会では手に負えないレベルのガチの悪魔憑きのお祓いを生業としていたりした。

悪魔に取り付かれている人はずっと悪霊に楽しい夢を見させられており、そのまま放っておくと生気を奪われて衰弱していくというもの。ある意味それも幸せなんじゃないかと思うが、セスはその世界に入り込んでこれは夢だと認識させ、そして現実へと脱出させて正気にかえさせるというやり方である。パンクな感じの男子とそうでもない女子の二名の助手の協力の下、なかなかハードな悪魔憑きを日々しばいていたりした。

そんなセスはかつて自分の妻子を殺めた「マギー」という名前の強力な悪魔を追っており、日々のお祓いのお仕事は全てそいつを見つけ出すためのものだったりする。そしてそんなある日のこと。教会から着た女性カミーラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ )がセスに「11歳の少年キャメロンがハードな悪魔に憑かれているので助けてほしい」と依頼。最初は興味ないと一蹴するもカミーラが言うにはそいつはマギーであるとのこと。

とりあえずキャメロンの家にいったセスはその母リンジー(カリス・ファン・ハウテン )にやたら怪しまれるもお祓いを開始。が、初回は何も出来ずにマギーに撃退されてしまいみんなガッカリ。マギーへの復讐に燃えるセスは仕切りなおしでもう一度しっかり準備をしつつ、再びマギーの入ったキャメロン少年と対峙したりするのだった。

ということで普通の悪魔祓い系に「インセプション」のような夢の中の世界という概念が加わった変形エクソ映画「ドクター・エクソシスト」。86分という短い上映時間の中で起承転結がほどよく収まっており、そこそこ楽しむことが出来る娯楽映画だ。

が、とりたてて目を見張る描写や印象深いシーンがあるわけではなく、車椅子姿で髪の毛伸び放題のアーロン・エッカートのキャラ自体の魅力だけで持っているなぁという感じだったりする。お祓いの場面で身体が中に浮くなんて描写は今まで山ほど見ているし(逆に悪魔祓いでは必ず宙に浮かせる場面を入れないといけないものなのかしら)、オチも想定の範囲内で驚きは薄い。

悪魔を科学の機器と意識への介入能力で倒そうとする設定は面白いし、全体としては決して悪くはない出来ばえ。もしかしたら同じ能力の女性主人公とかに変えて何年かしてから続編が作られたりするかもしれないが、今作自体はそれほど特筆すべき点はなく数年したら内容を忘れてそうだなぁという印象だった。平均点以上のものはないなぁ。

てか、中盤の悪魔祓いのシーンで失敗してとある人物が亡くなったりするが、そこに警察が来てもセスや他の人らに一切関与していないのはちょっとリアリテイがなさ過ぎると思う。普通ならその場に居る人は全員拘束されて一人ひとり事情徴収だろう。もちろん憑かれているキャメロン君も。そこから警察で尋問官がやられ、そのまま警察署が阿鼻叫喚…なんてダイナミックな展開の方が面白かったかもしれない。それを治めるのが意識へのダイブ能力ってのはちょっと話をつなげにくいかもしれないけど。


mepashi at 01:18コメント(0)洋画:ホラー 

2018年06月11日

Spectral 
スペクトル(2016年/アメリカ)

1063

どっかの国の内乱を治めにいったアメリカの兵隊たちが、見えない上に一撃即死攻撃をしかけてくる謎の存在に遭遇し、そいつに立ち向かう姿を描いたSF戦争アクション映画「スペクトル」を鑑賞した。

主演はジェームズ・バッジ・デール。「アイアンマン3」とか「ローン・レンジャー」とか「ワールド・ウォーZ」などに出ていたようだが、正直どこに出ていたかぜんぜんわからない。監督はニック・マチューというこれまた知らない人物。調べると実写版「マクロス」を手がけることになったという記事が出てくるが、2013年の記事なので完全に頓挫したのだろう。

お話はたぶん現代。国防総省に勤務してその予算でいろいろ新技術を研究しているクライン博士(ジェームズ・バッジ・デール )は国防総省の命令でも兵器開発に繋がる実験はしないとワガママを言ったりする好人物だったが、そんな彼の元にアメリカ空軍のオーランド大将(ブルース・グリーンウッド)から依頼が。クラインは東欧のモルドバという国で内乱を治めるために現地入りしてゲリラなどと交戦している兵士らがつけている可視ゴーグルの開発者で、どうもそのゴーグルにおかしなものが映っていたという。

そのゴーグルは部隊からはぐれて街をさまよっていたある兵士のもので、目には見えないけどゴーグルには映る何か白い煙のような人影を感知しており、そいつが兵士に襲い掛かって一撃で死に至ったとのこと。死に方は内臓が凍りつきつつも皮膚が焼けて腐るというもの。

ここ数週間で街のいたるところでそんな死体が続出しており、オーランドは頭を抱えている模様。そのゴーグルの開発者として、クラインに助力を仰いだという形。なお、現地ではその現象は「アラタレ(幽霊)」といわれているらしい。見えてるのかな。

現地にいるCIAの女性捜査官フラン(エミリー・モーティマー)は「敵軍がクローキング技術(なんらかの方法で身体を透明にしている)を使っているんじゃないか」との説を打ち出すが、クラインは「そんな技術が確立されてるわけがないだろ馬鹿。だいたいそれでどうやって相手を即死させるんだよ」と一蹴。

とりあえず基地で話していてもその敵の正体に対して結論は出ないので、今敵地に孤立しちゃってる仲間部隊の救出をかねて、筋肉が武器をもって歩いているような屈強な兵士らとともに現地で調査をすることになるクライン。でかいけどより高度なカメラを持っていくことにする。

瓦礫が大量にあるその建物に到着し、味方を探すもほとんどが既に他界。そしてそこに例のフワフワが現れて次々と兵士らを殺害。絵的にはフワッと人型の霧みたいなのに触れらられてバタバタと兵士らが一撃死していく感じだ。そんな現場から命からがら撤退する兵士やクラインらだが、装甲車が余計な地雷にやられて横転してしまい、仕方なく近くの製釘工場へと逃げ込んだりする。「エイリアン2」のニュートのポジション的にそこに隠れていた地元の子供らを助けつつ途方に暮れる男たち。

周りを見ると例の「悪霊」たちにすっかり囲まれてしまっていたりするが、いろいろな事象から徐々にクラインが奴らへの対抗策を考案。そんなわけでその見えない敵の包囲網から脱出したり、仕切り直して反撃に出たりするわけだったりした。

ということで科学捜査TVシリーズの知的なノリとガチの戦争アクションが両立する今作「スペクトル」。非情によくできており、ガチで面白い。内戦が続きすぎて廃墟と化している街で、アメリカ兵士らとザキを使いまくる見えない敵との戦いが迫力の映像美でこれでもかと見せ場を繰り出してくる。

主人公は前述のように技術者のクライン博士だが、彼が首回りがすっきりした知的イケメン男子なのがまず良い。変に色気づいていないのが逆にセクシーで、いつの間にか体型的に明らかに勝る屈強な兵士たちが彼の考える敵への対応策に従って一丸となっていく様が非常に熱い。一応女性も出てくるが、通訳の能力以外は何も役に立たず、あくまで男らが現場をなんとかしていく様が「アメリカ兵すげぇだろ」的でわかりやすくていいなぁ。

そんな「スペクトル」。出てくる役者らがほとんど知らない方々だったので誰が生き残るか予想もつかず、(というか兵士らはいい意味で区別がつかない)、最後までハラハラしつつこの大ピンチな戦場の顛末を愉しむことができる。何年かしたらまた観たいなと思う傑作だ。


mepashi at 23:50コメント(0)洋画:戦争・戦場 

2018年06月10日

GODZILLA 怪獣惑星(2017年/日本)

1062

連綿と連なるゴジラシリーズ初のアニメーション長編にして3部作の第1作、「GODZILLA 怪獣惑星 」を鑑賞した。劇場公開前はとにかくTOHOシネマズでやたらと宣伝されていたが、そのときはしつこいなと思うと共に「三部作」であることはなんとなく伏せられていて小ずるさを感じたりしたが、作品そのものの評価とはまた別の話なので今回はその中身について触れていきたい。ちなみに私は今作はNetflixの一覧画面の誤動作で意図せず再生開始してしまい、いいやそのまま観てやれと思い鑑賞してみた次第である。

お話は近未来のこと。地球からものすごく離れた場所にある移民候補の星の軌道上に停止する移民船の中で、ハルオ・サカキ(宮野真守)なる青年が反乱を起こしているところから始まる。その移民船は怪獣が出まくってどうしようもなくなった地球から脱出し、移民先の星を探して宇宙をさまよい続けており、今回何人かが口減らし的に移民が厳しそうな環境の星に送られることになっていた。

今回のハルオのブチ切れはそれに対しての「同じ人間としてどうなんだ?!」という反乱だったが、当の移民者たちが「もう長い旅に疲れたから、どんな星でもいいから地上で死にたい」と言い、なんだかんだでハルオは捕縛されて独房で罰を受けることになったりした。

移民船が立つ前の地球は、いろんな怪獣が立て続けに登場したり、宇宙からも何種類かの知的宇宙人らが移民に来たりしてわりとアグレッシブな様相を呈していた。そんな折に最後に登場したのがゴジラ。こいつの破壊力の前には地球人も宇宙からきた方々もなすすべがなく、最終決戦という感じでやった攻撃も効かず、地球を放棄して旅立つより他なかったりした。

しかし、地球の代わりになる星が見つからないまま20年くらいが経過し、移民船の中の資源やエネルギーも枯渇し始め、お偉いさんがたは会議の末に「地球に戻ってみるのはどうだろう」という話になってきたりする。

おりしも、ハルオが個人的に調べ上げたゴジラの研究レポートが移民船内でゲリラ的に出回り、弱点をちゃんと狙えばなんとかなるんじゃね?という空気になってきた。そんなわけでハルオと仲がいい異星人のメトフィエス(櫻井孝宏)の進言のもと、地球への帰還計画とハルオの一時的開放がされ、人類は超ひさしぶりに地球に帰ってきたりした。

移民船は宇宙空間を光速で飛び回っていたので、船内の時間と地球での経過時間に大きく差異があり、地球はハルオらが旅立ってから2万年近く経過していた。さすがにワンピースは完結していると思うが、ハンターハンターはまだ休載を繰り返しながらも連載中の頃合いだ。そんな地球は見たことのない植物が生えまくり、生態系はかつてとは激変。そして当のゴジラらしいのがまだ居ることが分かったりする。

ゴジラがいる限りこの地球で再び人類が繁栄することは厳しいので、かくしてゴジラ掃討作戦が実行される。そしてなんだかんだでハルオは懲罰房でシメられていた身から指揮官に電撃昇進。「スターシップ・トゥルーパーズ」一作目のリコを凌駕するスピード出世をしたハルオは、部隊を指揮してにっくきゴジラを倒すべく最終作戦を開始するのだが…。

ということでアニメーションで描かれた人類vsゴジラのハードバトル映画「GODZILLA 怪獣惑星 」。アニメならではの躍動感ある動きと美しい映像で、バカでかいゴジラとハイテク装備の兵士らの戦争ががっつり描かれていく。声優陣の熱演もあってなかなかテンションが高く、何としてもゴジラをぶっ殺してやるという殺気に満ちた一作に仕上がっている。

まぁ、映像を見ている分にはなかなか面白い作品だ。2万年後という我々がかろうじてお目にかかれそうな未来世界を舞台に、空中を飛び回るスノーモービルみたいなのに乗った部隊や、地上兵などさまざまな方々が一丸となってゴジラを総攻撃する様はアクション映画の醍醐味に満ちている。ちょっとヌルヌル動きすぎて目で追うのが大変だったりもするが、とにかくスピーディーでスリリングな戦闘シーンは一見の価値あり。なんかテンションがワールドカップやオリンピックの「絶対に負けられない試合」みたいな感じで面白い。

一方、全体的に専門用語や軍事作戦用語が満載で、そのセリフが小難しすぎるなぁという印象も。日本語を話しているのに、日本語字幕を表示しないと各キャラが何を言っているのかほとんどわからない。この感じをSF映画的でカッコいいと感じる人もいるのかもしれないが、ちょっとわかりづら過ぎるというのは考え物だと思う。

シン・ゴジラ」もセリフ量と会話速度が尋常ではなかったが、それでもなんとなく今何を議論しているのかとか、何をしようとしているのかは感じ取ることができたからなぁ。

というわけでこの「GODZILLA 怪獣惑星 」。お話が続編に続くのでまたそのうち続きも見ることにはなると思うが、次はもう少し落ち着いてみたいなぁと思ってみたりもする。きっとこのテンションは次も変わらないと思うが。


mepashi at 00:55コメント(0)邦画:アニメーション 
記事検索
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

メッセージ

名前
メール
本文
  • ライブドアブログ