観際メルの哲学レンズ

『嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する』(スピノザ)
16歳の女子が、気に入った本などを書いていきます。

カテゴリ: 教育の本

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本の概要
「論文とは何か」という根本的な問いから、論文執筆の技術や心構えまで、論文を書く作法をウンベルト・エーコが一から丁寧に解説している。

・気になった箇所

「 テーマを選ぶための心得は四つある。すなわち、
1) そのテーマが学位志願者の興味に合致していること。(得意とした試験のタイプ、彼の読書、彼の政治的、文化的ないし宗教的世界と結びつきがあること)。
2) 遡るべき典拠が見つけることのできるものであること。すなわち、学位志願者が入手可能であること。
3) 遡るべき典拠が扱い易いものであること。すなわち、学位志願者の教養がカヴァーできるものであること。
4) 研究の方法論的枠組が学位志願者の経験の許容範囲にあること。
 上のように定式化してみると、四つの心得はみな陳腐なように思われるし、これらを要約して、「論文を作成しようと欲する者は、為しうる程度の論文を作成すべきだ」という規定でいい表せるようにも思える。また実際、まさにそのとおりなのであって、現に、劇的挫折をきたした論文が間々あるものだが、その原因は、当初の問題をかくも明白な観点から提起する術を知らなかったからにほかならない。」(11ページ)

著名な小説家でもあり、哲学者でもあるウンベルト・エーコのハウツー本(?)です(笑)
この人は本当に色々なジャンルの本を書きますねー。

この本は、
第一章:卒業論文(博士論文)とは何か。何に役立つか。
第二章:テーマの選び方
第三章:資料調査
第四章:作業計画とカード整理
第五章:原稿の作成
第六章:決定稿の作成
第七章:むすび
から成り立っています。
目次から分かるように、論文執筆作業の順番に沿って解説しています。
なかには、スピード完成させるためのやり方や先生の選び方、さらには盗作の技術までも載っています。
“寄せ集め式論文”と“研究論文”の違いが書かれている箇所もとても面白かったです。

この本一冊で、論文執筆の技術がカバーできそうですね。
ここまで分かりやすく、そして広い範囲を解説している本はないと思います。
今まさに卒論で悩んでいる方にオススメです(笑)

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
第二次世界大戦の真っ只中に生まれた著者が、戦後の日本の学校について綴っている。学校だけではなく、人間の真理のような話題も。

・気になった箇所

「将来に楽をするために、いまのうちは苦労をしよう、という発想を、ぼくは好まない。現在の苦労を楽しむために、未来を夢みる、というのならわかる。しかしそれは、将来の安楽のためではなく、現在にはげみをつけるためだ。目標は未来にあるのではなく、現在の行動のはずみのためにある。それは夢だから、そのとおりにならなくって当然である。
それに、若いうちに苦労したからこそ、いまは安楽になれたのだ、といったことを言う老人がいたら、とてもイヤラシイ。ぼくは、そんな老人にだけはなりたくない。むしろ、そんな老人は、ほんとうのところは生きがいがなくなって、それを虚勢でおおいかくし、過去の苦労話でもするよりない、あわれな存在である。人間、としをとると気が弱くなるものだから、そんな老人を軽蔑するよりは、その話を聞いてあげるのが、若いものの思いやりというものだが、本気で老人の言うことに耳をかたむけることもない。」(14~15ページ)

1989年発行の本なので少し古いですが、現代にも通じる内容のこの痛快さは、とても面白かったです。
華麗に蹴飛ばしていました。

およそ70年前の教育観と現代の教育観は、あまり変わっていないのですね。
読んでいて少し悲しくなるくらいでした。
ITなどは着実に進化していますが、教育だけが置き去りにされているように感じます。

なかなか刺激的でした。
たまにはこのような本も読んでみると面白いですね~

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
作家、ジェームズ・クラベルの短編小説。非常に易しい言葉で書かれているが、内容は恐ろしささえ感じる。

世にも奇妙な物語のミニドラマで知っているという方は多いと思います。
こちらが原作です。

戦争で負けた国のとある学校に、勝った国の新任教師がやってくるというストーリー。
暴力や脅迫無しに、子ども達を洗脳してしまいます。

ここで説明するより、実際に読んでもらった方が恐ろしさが分かると思います。
ちょっと説明しづらい箇所もありますし。
とても短く易しい本ですが、これはナメないほうが良いですね。

ジャンルは一応「児童書」となっていますが、これは教育問題の本です。
ハッキリ言ってしまえば、「バカでも読めるが、この本の本当の本質はバカには分からない」でしょうね。
沢山の大人に読んで欲しい1冊。

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
教育界に大きな影響を及ぼし、シカゴ学派を築いたデューイが、理想の学校や教育について、学校と社会との繋がりについて意見を述べている。

・気になった箇所

「活動的な仕事、自然研究、科学の初歩、芸術、歴史を学校のなかにとりいれること、たんなる記号的・形式的なものを第二次的な地位に引き下げること、学校の道徳的雰囲気の、生徒と教師の関係の――すなわち規律の――変化、もっと活動的な、表現的な、そして自己指導的な諸要素をとりいれること――すべてこれらのことはたんなる偶然事ではなくて、より大なる社会進化の必然的な所産である。

学校が社会の子どものひとりひとりを、このような小社会の一員たりうるところにまでみちびき、訓練し、奉仕の精神をしみこませ、有効な自己指導の諸手段を供するときに、われわれは、価値高い、美しい、そして調和のとれた大社会にたいする最高・最善の保障を得るであろう。」(40ページ)

全ての章において、いわゆる“詰め込み型”の教育ではなく、子どもの好奇心から学びを広げていくやり方が最善であり、そのような教育方針の学校を作るのが理想だ、と書かれていました。
実際デューイは実験学校を作りましたし、今の教育にもこの考え方が影響を及ぼしています。

ですが、この教育法を実践するには、子どもを見守る大人や、個人に応じた材料や本が沢山必要です。
コストがかかるんですよね。
これが理想だけれども、なかなか一歩を踏み出せないというのが現状でしょうか。

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
とにかく全国のヘンな校則を集めた本。思わず笑ってしまう校則から、「これはあまりにも酷いでしょ…」と思ってしまう校則まで様々。

私が面白いと思った校則を紹介してみます。

「マンガを持ってきてはいけないが、担任に貸す場合は認める。」
「服装違反をした者は、半年間教頭と交換日記をする。」
「登下校中、鹿に乗ってはいけない。」など。
「鹿に乗ってはいけない」は、奈良県のものです。ご当地の校則ですね(笑)

それに対して、理不尽な校則です。

「日焼け止め禁止。」
これは酷いと思います。
生徒を健康的に見せたいのは分かりますが、皮膚がんのリスクがあるのでやめてほしいです。

「他校の生徒と目を合わせない。」
「長期休暇中は他校の生徒との接触を禁止する。」
これは、なぜこのような校則を作ったのか意味不明です。
この校則の目的を知っている方がもし居たら、お話ししてみたいですね。

たまにはこんな本もいいですね。
ちょっとした息抜きに最適です。

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・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
その名の通り、登校拒否指導のマニュアル。平成7年(1995)のものなので情報が古いが、不登校に対する教育者の意見の変遷を知るには良い。

・気になった箇所

「ある研修会の報告によると、不登校の子どもにタイミングを見計らい、保健室へ来てみないかと誘ったら、登校してくれた。ガムを噛みながら、放課後に“来てやったぞ!”というように。たまらず養護教諭が、周囲の子どもを配慮し注意すると、それっきり登校しなくなった。援助的な立場と指導の立場の矛盾に泣かされる、と報告していた。
保健室登校の成功事例はあるが、万人に万能の援助プログラムはない。同時期に5人の身体症状を主として登校できない子どもがいても、要因は一人ひとり異なる。それ故、援助課題も援助方法もいくとおりも必要となる。学校復帰のステップとして保健室登校は、今、全国的な援助メディアとなった。保健室登校にとっては、連携こそすべてであると言っても過言ではなかろう。」(170ページ)

「登校拒否」という言葉が使われていた、少し前の頃のマニュアルです。
というか、「マニュアルなんてあったんだ!」と驚きました。

登校拒否のタイプ分けや、親とどう連携をはかるかなど、不登校児が読んだら気分が悪くなってしまうような内容でした(笑)
プッと吹き出してしまうような所も…
だいぶ前の情報ですから、これを読んで参考にしよう、などとは考えないほうがよろしいかと。
不登校でお悩みの方は、最新の情報を探しましょう。

この本は、1995年発行のレア本です。
Amazonにも流通していません。
図書館でなど見つけたら、ラッキーだと思いましょう!
不登校なんて許さない!という時代の本なので、かなり貴重な情報が書かれていました。

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
東大総合文化研究科助教授(出版当時)で、よくコメンテーターとしてテレビに出演している、ロバート・キャンベルさんが東大の比較日本文化論で招いた人達の講義を本にまとめたもの。

・気になった箇所

「さて平和に生まれ、まぶしいほどの選択肢からライフスタイルを自由に選べるわたくしたちだが、どのようにして他者の「心相」をとらえようとしているのか。
あらゆる空間にイメージがあふれ、しかもほとんどが固定的ではなく、一瞬のうちに自在に動かせ、作りかえさせられ、そして終わらせることにこそ真価を認められている。流動性とすばしこい切り替えが嗜好され、それがくりかえされる風景の上に、眼がおどる。しかしそうやってこしらえたイメージだけでは、眼は人間の心が達しうる深度にまでははたして届くのだろうか。言葉として紙の上に刻印され、表紙にくるまれた書物こそ、ある意味では究極の「他者」といえるのかもしれない。見えない人の姿をくっきりと見せつける。意地悪でパワフルな他者ではあるけれど、それだけ渡り合っていく甲斐もあろう。」(8ページ)

本をたくさん読むということは、究極の「他者」と沢山会話するということでしょうか。
本は物としてずっと残っていくので、時間がたつにつれて熟成していくのかな?(笑)
そんな本と違って、話し言葉は流れてしまい、残りません。

コミュニケーション能力を向上させたり、ディベートを授業の中に組み込むなどしている学校があります。ですが、文章を書く能力も向上させたほうがいいと思いますよ。
せっかくいいアイデアが生まれても、それを書き留めておくことができなければ、いつか忘れてしまいます。
また、学問の中でずっと残っていくのは、論文です。
いくら話すのが上手い学者でも、論文を書かなければ歴史に残りません。
プリニウスのように、口述筆記してもらえるほど偉い人なら別ですけどね(笑)

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
「勉強するというのは、どういうことなのか?」という問いに答えてくれる本。ただ、少しだけ回りくどい。

・気になった箇所

「読書と言えば、最初の一文字から最後のマルまで「通読」するものだ、というイメージがあるでしょう。けれども、ちょっと真剣に考えればわかることですが、完璧に一字一字すべて読んでいるかなど確かではないし、通読したにしても、覚えていることは部分的です。
通読しても、「完璧に」など読んでいないのです。
ならば、ここからだんだん極論へ行けば、拾い読みは十分に読書だし、目次だけで把握するのでも読書、さらには、タイトルを見ただけだって何かしらのことは「語る」ことができる。
そもそも人から「本当にちゃんと読んだのですか」と聞かれることはまずありません。というのはなぜか。誰しもが、自分の読書が不完全であることが不安であり、そこにツッコミを入れられたくないとおもっているからです。」(179~180ページ)

読書について書いてある部分を抜き出しました。
筆者の考えには、とても共感しました。

確かに、自分では完璧に読んだつもりでも、実際には内容はあまり覚えていない、ということはありますよね。
なので、私は「ここに興味がある」「ここに考えがまとめてありそうだ」と思ったところをピンポイントで、という感じで読むことが多いです。
一文字も漏らさないように読んでいくと、途方もない時間がかかりますし。
そんなことをしていたら、一週間に何冊も紹介することができません(笑)

本の読み方なんて決まっていないので、自分にあった方法で楽しく読んでいきましょう(*^^*)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
ジョン・スチュアート・ミルが大学教育について考えを述べた本。そもそも大学は何をするところなのか、という問題に答える。

・気になった箇所

「大学が国民教育のなかで果たすべき本来の役割については、十分に理解されていると思われます。少なくとも、大学がこうあってはならないということについては、ほとんどの人々の間で意見の一致がみられます。大学は職業教育の場ではありません。大学は、生計を得るための特定の手段に人々を適応させるのに必要な知識を教えることを目的とはしていないのです。大学の目的は、熟練した法律家、医師、または技術者を養成するところではなく、有能で教養のある人間を育成することにあります。」(12ページ)

セント・アンドルーズ大学の名誉学長だったときの就任講演をまとめたものです。
大学とは何を学ぶところなのか、また問題への対案、どれも私には納得がいくものばかりでした。

私は、将来は意義深い話が聞ける大学に行きたいです。
大卒資格をとるためでもなく、国家資格をとるためでもなく、純粋に学びを楽しみたいから。

大学にも研究をしていない先生がいると聞きました。
最低でもあと5年はあるので、どんな人がどんな研究をしているのか、しっかり見極めていきたいと思います。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
地球物理学者の松井孝典さんへのインタビューをまとめた本。主に人生論や学問論について語っている。

・気になった箇所

「人間の世界、それを私は人間圏としてとらえているわけですが、直感的に皆さんがわかりやすい用語でいえば、世間になるだろうと思います。それは共同幻想の世界です。我々は、モノのような手ざわりのある実体だけをたよりに生きているわけではありません。むしろ、価値と呼んでいるさまざまなものを追いかけ、そこに人生を賭けているとすらいえそうです。そのように、あたかも実在するものであるかのように信じ込んでいる、しかし実際には抽象的なものが、共同幻想です。
共同幻想には、さまざまのものがあります。いずれも皆が疑いを持たずに、それが真理であると思い込んでいるような何かです。それが求心力を持つから、人々はともに共同体を築いて暮らし、文明を築き、社会を構築してきたわけです。
より豊かな暮らしができるという人生目標も、共同幻想のひとつです。お金も、宗教も、愛も、あるいは「愛は地球を救う」というスローガンも、どれもが共同幻想です。人権とか民主主義とかグローバル市場主義経済とかいう類もそうです。
どれもが自然科学でいうところの普遍性に裏付けされた概念ではなく、脳の内部のある与えられた環境条件の中でのみ成立する共同幻想にすぎないのですが、普段はそれらに頼ったり、すがったり、求めたりすることはあっても、疑うことはありません。むしろ、それがあまりにも自分の安定を支えているものですから、機能している共同幻想を、一種の真理と思い込む傾向があります。

そのため、共同幻想をその外側から見てしまった瞬間には、目の前の被膜がハラリと落ちる感じがするものです。うまくいっているときほど、当たり前のこととして意識せず、誰も疑問を持たない共同幻想を、外側から見てしまうときとは、時代が変わるときです。」(136~137ページ)

少し長いところを抜き出してしまいました。
ですが、この文章、私が言いたかったことを物凄く詳しく説明してくれてます。

当たり前に感じていることを一歩離れて覗いてみると、「今までやってたものはこんなものだったのか!?」と何か新しい発見があるかもしれません。

実際、私も学校に行かなくなったときに、そんな体験をしました。
学校のシステムを、冷静に観察する余裕ができたからです。

今は結局別室登校ですが、すごく自由にいろんなことをやらせてもらっています。
他の学生よりいろんな経験を積んでいると思っています。

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