観際メルの哲学レンズ

『嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する』(スピノザ)
16歳の女子が、気に入った本などを書いていきます。

カテゴリ: その他の本

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本の概要
経営破綻状態になってしまった底辺高校を、東大合格者を出すような進学校にし経営回復を図るため、主人公の弁護士が奮闘する物語。それと同時に、東大合格を目指す2人の高3生の受験までのストーリーも進行していく。

両親にすすめられたので、読んでみました。
過去には、阿部寛主演でドラマ化もされているようです。

この物語の中で誕生する「特進クラス」は、目標を東大合格の一本に絞り、様々なカリスマ教師を読んで勉強のノウハウを伝授していきます。
高3生の2人もこの特進クラスに入っており、偏差値30台から東大合格を目指すべく頑張ります。

まだ全ての巻を読み終わってはいないのですが、とても色々なものが詰まっている漫画だと感じました。
社会の仕組みだったり、学校のあり方だったり、勉強のやり方など。
第1巻から、心に響いたセリフを引用してみます。

「いいか、お前ら…… 
 社会にはルールがある 
 その上で生きていかなきゃならない
 だがな……

 社会のルールってやつは すべて頭のいいやつが作っている
 それはつまりどういうことか……
 そのルールは頭のいいやつに都合のいいように作られてるんだ
 逆に都合の悪いところは隠してある
 それでも頭を働かせるやつは そこを見抜いてルールを上手に利用する

 例えば携帯電話… 給与システム 年金 税金 保険……
 みんな頭のいいやつがわざとわかりにくくして
 ロクに調べもしないやつから多く取ろうという仕組みにしている
 つまりお前らみたいに頭使わずに面倒くさがっていると……
 一生だまされて高い金払わされるんだ 」

もっともですね(笑)
そのとおりだと思います。
このように、学生だけではなく、大人でも思わず唸ってしまうようなセリフがどんどん出てきます。
この漫画は、名言の宝庫とも言われているようです。

現在受験生の方、そして教職の方にもオススメできます。
「教員とはどういう人物であるべきか」などという話題も出てきます。
結構グサッとくるかもしれませんよ(笑)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本の概要
「論文とは何か」という根本的な問いから、論文執筆の技術や心構えまで、論文を書く作法をウンベルト・エーコが一から丁寧に解説している。

・気になった箇所

「 テーマを選ぶための心得は四つある。すなわち、
1) そのテーマが学位志願者の興味に合致していること。(得意とした試験のタイプ、彼の読書、彼の政治的、文化的ないし宗教的世界と結びつきがあること)。
2) 遡るべき典拠が見つけることのできるものであること。すなわち、学位志願者が入手可能であること。
3) 遡るべき典拠が扱い易いものであること。すなわち、学位志願者の教養がカヴァーできるものであること。
4) 研究の方法論的枠組が学位志願者の経験の許容範囲にあること。
 上のように定式化してみると、四つの心得はみな陳腐なように思われるし、これらを要約して、「論文を作成しようと欲する者は、為しうる程度の論文を作成すべきだ」という規定でいい表せるようにも思える。また実際、まさにそのとおりなのであって、現に、劇的挫折をきたした論文が間々あるものだが、その原因は、当初の問題をかくも明白な観点から提起する術を知らなかったからにほかならない。」(11ページ)

著名な小説家でもあり、哲学者でもあるウンベルト・エーコのハウツー本(?)です(笑)
この人は本当に色々なジャンルの本を書きますねー。

この本は、
第一章:卒業論文(博士論文)とは何か。何に役立つか。
第二章:テーマの選び方
第三章:資料調査
第四章:作業計画とカード整理
第五章:原稿の作成
第六章:決定稿の作成
第七章:むすび
から成り立っています。
目次から分かるように、論文執筆作業の順番に沿って解説しています。
なかには、スピード完成させるためのやり方や先生の選び方、さらには盗作の技術までも載っています。
“寄せ集め式論文”と“研究論文”の違いが書かれている箇所もとても面白かったです。

この本一冊で、論文執筆の技術がカバーできそうですね。
ここまで分かりやすく、そして広い範囲を解説している本はないと思います。
今まさに卒論で悩んでいる方にオススメです(笑)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本の概要
それぞれの生物が知覚と行動で作る世界が、その生物にとっての環境である「環世界」説を論じている。科学の古典。

・気になった箇所

「自然研究者のさまざまな環世界で自然が客体として果たしている役割は、きわめて矛盾に満ちている。それらの客観的な特性をまとめてみようとしたら、生まれるのは混沌ばかりだろう。とはいえこの多様な環世界はすべて、あらゆる環世界に対して永遠に閉ざされたままのある一つのものによって育まれ、支えられている。そのあるものによって生みだされたその世界すべての背後に、永遠に認識されないままに隠されているのは、自然という主体なのである。」(158ページ)

珍しく理系の本を読んでみました。
今年のお正月に買ったのですが、読む機会がないまま積んでいたのを引っ張り出してきました。

読み終わった後、「あぁ、生物の世界ってそれぞれ違うんだな…」としみじみ思いました。
ハエから見た世界、ハチから見た世界など、画像が沢山載っているのですが、あまりにも人間が見ている景色と違っていたので驚きました。
私は根っからの文系なので、詳しいことはあまり理解できませんでしたが、私が思っている以上に「(人間以外の)生物から見た世界」は人間とは違っていて、時間の進みや物に対しての意識が異なるのだということが分かりました。

人間も同様に、見ている世界はそれぞれ違っていて、物事に対する意識も違うということに気付く人が増えれば良いのですが…(笑)

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
東京藝大の学部を紹介しながら、そこに在籍する学生を研究している、そんな本。なかなかカオスで面白い。

・気になった箇所

「藝大生はみんな、僕には天才に見える。しかし、そんな藝大生をして「あいつは天才だ」と言わしめる藝大生も存在する。
音楽環境創造科の青柳呂武さんも、その一人だ。
「僕は、口笛をクラシックに取り入れたいんです」
太い眉を柔らかく曲げて笑い、青柳さんはそう言った。

青柳さんは、2014年の「国際口笛大会」成人男性部門のグランドチャンピオン。名実ともに口笛界の頂点だ。そしておそらくは最初で最後の「藝大に口笛で入った男」になるだろうと言われている。
「二次試験の『自己表現』で、ヴィットーリオ・モンティ作曲の『チャルダッシュ』を口笛で吹きました。そして、口笛を他の楽器と対等に扱えるようにしたい、と言ったんです。」
『チャルダッシュ』という曲は前半はゆっくりのびやかなのだが、後半には小刻みで非常に速いリズムがやってくる。この速いパート、どれくらい速いかと言うと……早口言葉の「生麦生米生卵」が人生で一番スムーズに言えた時を思い出してみてほしい。たぶん、その二倍は確実に速いと思う。早口言葉だって舌を噛むのに、口笛で吹くなんて……。」(79~80ページ)

最近、あまり古典が読めていません。
年度初めでバタバタしており、軽いものしか手に取れない状態ですm(_ _)m
5月に入ると落ち着くと思います。

両親からオススメしてもらった本です。
なにか学術的なことが書いてあるというより、とにかく笑わせに来ている印象でした。
良い意味で変人ばかりで、ここまで自分の好きなことが追求できたら楽しいだろうなと思います。

藝大には、デッサンなどの実技試験を受けなくても入ることのできる学部があるそうです。
藝大に少し興味が出てきました。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
漫画家、絵本作家の佐々木マキの、1967‐1981の間の漫画作品を集めた本。

小さい頃、佐々木マキの絵本には大変お世話になりました。
しかし、この本は「子供向け」という感じはしませんね。
世間の不条理なことを風刺した漫画などが沢山載っています。

最初の一ページをめくった瞬間から、ダークでシュールな世界が広がっています。
もう私の好みにピッタリで、思わず「好き!!!」と叫びたくなってしまいました。
絵本の登場キャラクターが出てくる漫画もあり、とても懐かしい気分になりました。
「ムッシュ・ムニエル」や「ぶたのたね」など。
ですが、絵本特有の「親しみやすさ」「可愛らしさ」などは微塵もないです(笑)

一つ気になったことがありました。
最後に初出一覧が載っているのですが、「道徳マンガ」という作品が『中学二年コース』という学研の中学生向け学習雑誌に掲載されていたそうです。
その「道徳マンガ」を読んでみると、なんというか全く“道徳的な雰囲気”が感じられず、そこには佐々木マキの独特の世界が広がっており、思わず笑ってしまいました(笑)
これを中学生向け雑誌に掲載しようとした編集者は本当に凄いなと思います。

表紙からは想像もできない毒々しい世界が広がっていますので、怖いもの見たさで覗いてみるのもいいのではないでしょうか?
ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』や『チャーリーとチョコレート工場』の、あの少し狂った世界観が好きな方は、もしかしたら気にいるかもしれません。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
『すべてがFになる』で有名な森博嗣のエッセイ(またはビジネス本?)。「自由とは何か」というテーマのもとに展開される。

・気になった箇所

「どんどん目移りをして、つぎつぎに違うものに手を出していると、一つとして満足に成し遂げられない事態に陥るだろう。日本では昔から「一芸に秀でる」ことが人の理想といわれてきた。これが「道を究める」という意味だ。つまり、好奇心に誘われるまま、自由にきょろきょろしていると、どの道も中途半端になり、奥へと進み入ることができない。こういう状態を、「虻蜂取らず」とか、「器用貧乏」などと揶揄する。たしかに、そういった面は否定できない。
しかしそれでも、無理に一本の道に拘るのは、自分を縛ることにはかわりはない。続けることで得られるものと、別の道へ移ることで得られるものを天秤にかければ良い。そのとき、他者からどう評価されるのかではなく、自分を見つめ、自分の人生における設計として、選択をすべきだろう。あくまでも、最終的には自由なのである。楽しさを求める人生ならば、楽しい方を選べば良い。満足を求める人生ならば、満足できそうな道を進む。人生設計に照らし合わせて判断をすることが一番良いと僕は思う。もちろん、それには、自分の人生について、ある程度の方針がなければならない。難しく考えることはない。方針など、いつ変更しても良い。これもまた、自由なのである。」(148~149ページ)

自由とは、単に「好き勝手していいよ」と放り出された状態でもなく、自分を縛り付ける義務がなくなった状態でもない。
自分が「成し遂げたい」と思ったことを遂行し、自分の思い通りに事を進ませ達成するまでが自由。
この本を要約すればこんな感じなのですが、とても納得できました。

タイトルにもある、「自在に生きる」というのがミソですね。
縛りがある中でも「自由」を作り出し、自分の思い通りに自分の人生を操ること。
このことを少し頭に入れておくだけで、だいぶ気持ちが軽くなったり、これから役に立つのではないでしょうか。

内容的には、気になった箇所で書いたものと同じような話がいくつも並んでいる感じでした。
この本の内容は、本気を出せば3ページに要約できそうです。

暇な時にちょっとずつ読み進めていくスタイルが良さそうですね。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
ラテン語の文法や、英語との関わりなどを解説。ちょっと「へ~そうなんだ!」と思ってしまう小話を挟んでいる。

・気になった箇所

「ラテン語の動詞の学修は〈愛する〉の活用を覚えることから始まる。〈憎む〉とか〈殺す〉だと、いくらなんでも教育上まずいこともあるけれども、意味はともかくとして、〈愛する〉ならばその形自体が「右代表」となるに都合よくできているからである。あとで詳しく説明する文法用語を先取りすると、不定詞が‐areで終わる動詞、つまり「第一活用」の動詞であることが重要だし、さらに他動詞であって受動態の形をももっていることが、動詞の変化丸暗記の最初の例には必須となる。
amare〈愛する〉がそうした条件を満たす動詞の代表になったのは、文法教育の歴史上、本当に古い。確認していないのでわずかな記憶でいうが、すでにルネッサンス期の文法書で、動詞変化の表にこの動詞が見本を提供していた。」(45~46ページ)

最近、ラテン語に興味を持ち始めたので、読んでみました。
知り合いの方から頂いた本です。

ラテン語の文法に関しては、あまりよく分からなかったのですが、章の始めに語られる、ラテン語のちょっとしたお話がとても面白かったです。
カエサルやデカルトなどの名言とラテン語の関わりや、文学作品を用いた話など、とても興味深かったです。

文法の解説は英語が用いられていたりと、少し私には難しく感じました。
また、「これを読んだらラテン語が読めるようになる」という感じではないので注意が必要です。
参考書として読むより、普通に読み物として読んだほうが良いと思います。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
ノーベル経済学賞を受賞した、ジョージ・A・アカロフと、レイチェル・E・クラントンの研究の本(書かれたのは8年前)。経済学、社会学、心理学の融合。

・気になった箇所

「組織を機能させるにはアイデンティティが重要だと私たちは主張する。労働者は帰属意識を持てる仕事に配置されるべきだし、企業はそのような愛情を後押しするべきだ。そう考えるのは、私たちだけではない。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのティモシー・ベズリーとマイトリーシュ・ガタクや、シカゴ大学のカニース・ブレンダーガストも同じように、組織において生産が増進されるのは、組織と目的を同じくする労働者を雇用した場合だと主張している。企業に共感する労働者は、金銭的インセンティブをほとんど必要とせずにきちんと仕事をするので、組織はうまくいくのだ。」(58ページ)

経済学と心理学の融合ということで、とても興味を持ちました。
普通ではなかなか思いつきませんよね。

特に気になったのは、第五章と第六章。
軍隊や工場勤務の人のアイデンティティ、学校の中の、生徒たちのアイデンティティについて、意見が述べられています。
具体的なモデルと分かりやすい解説のおかげで、とてもすんなり頭に入ってきます。
今、私が感じている、学校に対する言葉にできないモヤモヤの正体はこれかもしれないとも思ったり。

特に経済学や心理学などに興味を持っていない人にもオススメできる1冊だと思いました。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
最後の第三巻。やっとヨーロッパに入った筆者は、最終目的地ロンドンを目指しながら旅を続ける。

・気になった箇所

「バスを降りた共和国広場から、通行人に教えてもらった方向に歩いていく。
確かに夜遅い時間ではあったが、通りを走る車のライトと洒落たデザインの街頭とで、遺跡とモニュメントと建築とが混然と一体になったようなローマの街並みははっきりと見ることができた。美しいロータリーがあり、その中央に泉がある。左右対称の堅牢な教会の横には、古代ローマ時代のものと思われる壁が剥き出しになっている。石造りの古い建物の窓からは、カーテンの向こうのあるだろう団欒を想像させる柔らかい光が洩れて来る。だが、そこを歩いている私には、全てがまるで映画のセットの中にいるような現実感のなさだった。~

もしこれが本当に映画のセットだとすれば、私はここでどんな役を演じることになるのだろう。単なる通行人の役か、それとも、小さいながら何かの役が振り向けられるのだろうか……。」(202~203ページ)

ヨーロッパ、特にローマやフィレンツェ辺りは行ってみたいです。
筆者も言っているように、街全体が映画のセットのように芸術品なんでしょうね~
海外旅行に慣れ、お金と時間に余裕ができるようになったら、一人旅してみたいと思います。

『深夜特急』は、これで最後です。
第三便は、第一便、第二便から六年程経っての刊行となっています。
かなり長く分厚いですが、それも気にならない程に熱中して読みました。
続きが気になって仕方がなかったくらいに。

私と同年代、20代の方達にオススメします。
今すぐにでも旅に出たくなりますよ(笑)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
第二巻目。やっとインドに到着し、そこからパキスタン、アフガニスタン、イランと、シルクロードを辿って行く。

・気になった箇所

「それにしても、パキスタンのバスは、およそ世界の乗り物の中でもこれほど恐ろしいものはない、と思えるほど凄まじいものだった。~
パキスタンのバスはどれも相当くたびれているが、眼の前にある車はすべて追い抜かなければ気が済まないというような勢いで強引に走っていく。車体はガタガタで、客は常に機銃掃射を浴びているような具合に体を震わせていなければならない。そんなオンボロのバスが、パキスタンでよく見かけるトヨタやフォルクスワーゲンの乗用車を軽く抜き去ってしまう。だが、相手が乗用車である場合はいい。前にいるのが同じバスだと恐ろしいことになる。
こちらは激しく警笛を鳴らし、対向車線を大きく廻り込んで、追い抜こうとする。しかし、相手も負けじと頑張る。二台のバスが並行して走っていると、向こうからもバスがやってくる。そのバスも断固としてスピードを緩めない。緩めないという意志を表すかのようにライトを点滅させる。三台のバスが、猛スピードでチキン・レースを始めてしまうのだ。」(177~179ページ)

道路上でチキンレース、とても危ないですね…
ちょっとだけ乗ってみたい気もしてきますが(笑)

この巻では、インドでの滞在と、ヨーロッパに続く道を辿って行く話が綴ってあります。
特に、インドの貧困が浮き彫りになっている箇所は、思わず目を背けたくなってしまうような現状が生々しく描かれています。

第三巻も近日中に紹介しますね~

このページのトップヘ