観際メルの哲学レンズ

『嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する』(スピノザ)
16歳の女子が、気に入った本などを書いていきます。

カテゴリ: 小説

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
推理作家の柳広司の代表作。日本のスパイ養成機関を巡る様々なストーリーが展開される。

地元の本バザーで熱烈におすすめされたので、このシリーズを全て一気買いしてしまいました。
とても面白いです。

所々で戦争が勃発している昭和初期の日本に、スパイ養成機関「D機関」を作るというところから話はスタートし、養成機関内での話や、卒業したスパイの活躍などの短いストーリーが描かれます。
それぞれの話自体一貫して繋がっているわけではないのですが、時間軸は全て同じで、必ず「D機関」が何かしら関わってきます。

決してスリルや物凄いどんでん返しがあるのではなく、読者が自ら推理をしたりするものではありません。
終始クールに物語が進んで行きます。
ですが、登場するスパイは少し捻くれていて全員格好良く、一瞬で好きになってしまいます(笑)
クールで独特な世界観も相まって、物語の中に引き込まれます。

『ジョーカー・ゲーム』シリーズの他の本も読みたくなりました。
一巻目だけでは物足りなくなってしまうほど面白いです。
スパイものが好きな人は間違いなくハマりますね(笑)
そうじゃなくても勿論楽しめますよ。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
ジョージ・オーウェルの代表作。全体主義、ファシズム批判を動物に例え表現している。

先日東京に行ってきたのですが、飛行機の中で読んでしまいました。
動物農場の他に、短編小説がいくつか収録されています。

あらすじとしては、
人間に酷くこき使われたり、食用として出荷されてしまう動物たちが反乱を起こし、農場を民主化する。
そしてしばらく経った後、反乱の指導者だった動物が絶対的な権力を握り、圧政を行うようになる。
結局、権力から解放されて自由になったが、また新たな指導者が権力を握り、悲劇は繰り返す。
といった感じです。

小学4、5年生の頃に初めて読み、衝撃を受けた本です。
公文の国語の課題文となっていました。
今になってこうして読み返してみると、とても凄いものを読んでいたんだなと思います。

この本では動物が主役ですが、これを人間たちの物語にしてみると、とても惨たらしい悲劇になりそうです。
全体主義の恐ろしさを分かりやすく知ることができますね。
中高生にもオススメできる1冊です。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
脳神経外科医の著者が、発達障害などの患者を治療していく中での出来事を考察していく。7本の短編が集まったもの。

・気になった箇所

「わたしたちには時の経過、「この次」といった意識がつねにある。だが、この能動的な感覚、ものごとが起こるという感覚がグレッグにはなかった。彼は知らず知らずのうちに、時間の動かない世界に閉じ込められていた。わたしたちにとって、現在が意味と深みをもつのは過去があるからだし(したがって、過去はジェラルド・エーデルマンの言葉を借りれば、「思い出された現在」になる)、未来によって可能性と緊張を与えられている。ところがグレッグにとっては、現在は単調だが、お粗末ななりに完結している。この一瞬のみに生きる人生は明らかに病的なのだが、教団では「高次」の意識を達成したと思われていたのだった。」(62ページ)

奇妙な患者を紹介しながら、それを治療していく上での筆者の心情や出来事などを描いています。
比較的易しく書かれていると思いますよ。

最後の「火星の人類学者」という話では、テンプル・グランディンに会いに行った時のことが綴られています。
※テンプル・グランディンは、食肉になる牛をリラックスさせて殺す設備を考えた生物学者。
自分が自閉症だということを公開しています。
彼女の幼少期や、なぜ動物と関わりをもつ仕事をするようになったのかを知ることができます。

一度読み始めると、続きが気になって止まらないほど面白い本です(笑)
オススメの1冊です。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
有名なディストピア小説の一つ。すべての人間が、自分の人生をコントロールされている世界での話。

東京に行ったときに、飛行機の中で読んできました。
飛行機に乗る時は、いつもディストピア小説を持っていきます(笑)

この本の中の世界では、生まれた時に階級や仕事などを決められ、それになるための教育をしていきます。
洗脳と言ってもいいかな。
そして、「ソーマ」と呼ばれる麻薬のようなものも存在しています。
みんな、それを当たり前のように飲み、ソーマを巡っての話もあります。

どこか、今の世界と似たようなものを感じました。
流石に生まれてから死ぬまで決められているわけではありませんが、小学校から中学校、高校、大学に行く流れが当たり前だと思っている所もありますよね。
それこそ、“コントロールされている”状態ではないかと。

とても面白かったです。
ディストピア小説、皆さんも読んでみてはいかがでしょうか?

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
アメリカの有名なSF作家、レイ・ブラッドベリの1950年の小説。火星と地球との間に起こる奇妙な出来事や人間関係などを描いている。

ざっくり言うと、短編集のような感じです。
「火星に地球人が初めてやってきて、火星に地球人が移り住み、火星が栄え、そして時が経ち、住む人がいない寂しい街になっていくまで」を沢山の短い話で描いていますね。
ちなみに、それぞれの話は繋がってはいません。

ホラーだったり、笑えたり、考えさせられる話などバリエーションが豊かで、読んでいて飽きませんでした。
私が気に入ったのは、「火の玉」「第二のアッシャー邸」の2つ。
「火の玉」は、火星に降り立った地球人が、原住民(?)の火の玉たちにキリスト教を広めようとする話。
「第二のアッシャー邸」はホラーで、アッシャー邸で繰り広げられる“死のパーティー”の様子を描いています。
バイオレンスな表現が苦手な人にはおすすめしません。

とても面白かったです。
飛行機の中で読んでいましたが、何より短編集なので、キリの良い所でスパッとやめられるのがいいですね(笑)
しかも私の好みのテイストの話ばかり。

おすすめの1冊です。
ぜひ読んでみてくださいね。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
1949年に発表された、ジョージ・オーウェル最後の著作。絶対的な存在がいて、洗脳や歴史の改ざんが普通になっている世界での話。拷問のシーンがあるので、苦手な方は注意!

・気になった箇所

「党は目と耳から得た証拠を拒否するように命ずる。それこそが党の最終的な、最も本質的な命令である。考えると気持ちの萎えることばかりだった――自分に敵対する力は足並みを揃えているだろう、討論をしようが党の知識人にいとも簡単に論破されてしまうだろう、微妙な議論にはついていけず、ましてや答えることなどまったく無理だろう。けれども、正しいのは自分なのだ! 党が間違っていて自分が正しい。明白なもの、馬鹿げたもの、そして真なるものは守らねばならない。自明の理は真実、死守するのだ! 実体のある世界は存在し、その法則は変わらない。石は硬く、水は湿っていて、支えられていない物体は地球の中心に向かって落ちる。オブライエンに話しかけるような、そして、重要な公理を発表するような気分で、彼は書いた――

自由とは2足す2が4であると言える自由である。その自由が認められるならば、他の自由はすべて後からついてくる。」(125ページ)

千葉の行き帰りの飛行機の中でガッツリ読んできました。

現在、私達みんなは、「2足す2が4であると言える自由」を手にしているのでしょうか?
自分が正しいと思ったことを正直に訴えることができているでしょうか?

私が小学3年生のとき、七夕で先生に「好きな願い事を自由に短冊にかいてね」と言われました。
その時、私は「死刑がなくなりますように」と書いたのです。
先生はそれを見て、「もっと子供らしいことを書きなさい!」と言いました。

公務員である先生からすると、自分のクラスから国の制度に異論を唱える子が出てくると具合が悪かったんでしょうか。
ですが、それは言論の統制ですよね…

皆さんはどう思いますか?

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
レイ・ブラッドベリの古典SF小説。かなり回りくどい文章だが、とても面白い。

久しぶりの小説です。
レイ・ブラッドベリの本を読んでみました。

舞台は、本を所持してはいけないという法律がある国です。
主人公は、本がある家を見つけたら、本と一緒に家を焼く“昇火士”という仕事に就いています。
火を消すのではなく、火を点ける仕事です。

登場人物は皆個性的で、読んでいて飽きません。
さらに、シェイクスピアやベーコンなどの言葉をたくさん引用していました。
「これ聞いたことある!」というフレーズが見つかるかもしれませんよ。
ブラッドベリがとても物知りだったということに驚かされました。

活字慣れしている方なら読めると思いますが、そうでない方はかなり難しいでしょう。
私も少し苦戦しました(笑)
ですがとても面白いので、一度読んでみて下さいね(^O^)

・面白さ   ★★★☆☆
・読みやすさ  ★★★★★
・本のポイント
またまたラノベっぽい本。今度はハーレム系。萌えアニメ好きの方におすすめかな(笑)
    
        
・気になった箇所

「 わたしは、理性は人間の行動の原動力にはならないと思う。
人間は、なにかの対象から快や苦を予測すると、快を取りこもうとしたり、苦を避けようとしたりする。そこで理性による推論がなされて、その結果、わたしたちの行動が決まる。でもこの場合、行動を決めているのはなんだろう。理性による推論は、快や苦に感じる情念の、後にくるものなんだよね。
もしなんの衝動も感じない対象だったら、そこにあるのはただ理性による分析だけ。でもそれだと人間のふるまいになんの影響もあたえることはできない。
だから、本当のことをいうと情動のないところに人間の行為はない。それどころか理性が意志を妨げたりすることもできず、実は理性は情念の奴隷でしかないし、またそうあるべきものなんです。」(124ページ)

『ニーチェが京都にやってきて 17歳の私に哲学のこと教えてくれた』に出てくる哲学者は、みんなかっこいい男性でしたが、こちらは可愛い女子高生ですね。

個性豊かな女子高生が哲学のことを教えてくれる、なかなかいいですね。
キャラのおかげか、内容が頭にするっと入ってきます(笑) 
 
※上の写真の表紙は、文庫化されて改変されたものです。私が読んだのは、文庫化される前のものです。

・面白さ   ★★★☆☆
・読みやすさ  ★★★★★
・本のポイント
哲学の本というか、ラノベに近い印象。ラノベ好きな人にオススメの哲学入門書。
    
        
・気になった箇所

「科学は研究や理解するのに訓練が必要です。例えばある一定の数式を理解出来るスキルがあったり、知識を持っていないと判断できないじゃないですか。
“哲学史”を理解するには知識も必要だろうけど“哲学”はどうでしょう? 僕たちは哲学に関して大した知識を持っていなくても、考えることができますよね。
自分がどうして生きているのだとか、自分は何者なんだろうとか。答えは出ないとしても、考えて誰かと話し合うことが出来る。つまり知識や資格がなくても、誰しも追求することが出来るんです。」(314ページ)

悩んでいる主人公が、哲学でだんだん大切なことを知っていくという、王道ストーリーです。

普段はボカロ小説やラノベばっかり読んでるけど、哲学がちょっと気になるな…と考えている中高生にはとてもいい一冊です。
もちろんそう考えている大人にも。
これを読み、もっと哲学を知りたい!と思ったら、最後の文献一覧の中から気になる哲学者の本を覗いてみたらどうでしょうか。

・面白さ     ★★★★☆
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント  年代順で哲学者が紹介されている
        とにかく分厚い! そして長い!
        
・感想

ポイントでも書いた通り、年代順に哲学者が紹介されているので勉強になる。
これを読むことで、大まかな哲学史は理解できる。

15歳の女の子が、謎の哲学者に出会い、いろいろなことに巻き込まれていくという話。
中盤辺りから、予想もしないことが起こっていく。 

私はこの本を読んでから、物事は100年単位で考えたほうがよいということに気が付いた。
この話には、タレスからサルトルまで、およそ2600年分の思想の流れが書かれている。
自分の生きている時代だけではなく、歴史の中で現在のことを考えてみると、
「今悩んでいることは小さすぎる」ということが分かった。

3.5㎝という本の分厚さに負けず、がんばって読んでみて下さい(笑) 
 

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