観際メルの哲学レンズ

『嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する』(スピノザ)
16歳の女子が、気に入った本などを書いていきます。

カテゴリ: 社会学の本

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ  ★★★☆☆
・本の概要
マックス・ウェーバーと並ぶ社会学者エミール・デュルケームの、社会学のマニュアル本。

・気になった箇所

「事実が現にどのようにあり、またかつて常にどのようであったかをありのままに観察してみれば明らかだが、教育というものは、子どもに対して、本能によるだけでは達しえないようなものの見方、感じ方、行為の仕方を課す、継続的な努力である。われわれは、早くも幼児期から、子どもに対して、規則正しく食べ、飲み、眠ることを強い、さらに清潔さ、落ち着き、従順さを強いる。子どもが大きくなれば、他者への配慮と慣習や礼儀作法の尊重を身につけるよう強い、さらに労働その他を強いていく。こうした拘束が、時が経つにつれて、それと感じられなくなるのは、この拘束によって徐々に習慣や内的性向が生み出され、拘束が不要なものとなるからである。」(56ページ)

マックス・ウェーバーと並んで“社会学の祖”と呼ばれるエミール・デュルケームの著書です。
社会学とはなにか、どのような問題を扱うのか、その上で必要となる定義など、社会学という学問を構成する一冊となっています。
少し難しいですが、社会学を学ぶ上で、必ず読んでおいたほうが良い本だと思いました。

特に、第一章の「社会的事実とはなにか」は面白かったです。
回りくどく感じますが、社会学で扱う「社会的事実」の定義、それが個人に及ぼす影響など、詳しく説明してありました。

社会学への第一歩として、この本を読めたのは良かったと思います。
良いスタートを切れたのではないでしょうか。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
社会学者ジグムント・バウマンの著書。社会の中の個人だったり、集団との相互性などの、社会学で取り上げられることを網羅している。

・気になった箇所

「道徳性の抑制が生じる別の状況として、群衆がある。閉ざされた空間に、どこのだれとも知れない――他の状況下で会ったこともなく、以前に関わったこともなく、そして一時的・偶然的な関心によって目下「一緒にいる」だけの――非常に多くの人々とぎっしりと詰め込まれているとき、人間は「通常」の条件下では認められない行動をとりがちである。このような群衆的状況では、無法極まりない行動が、山火事や突風や伝染病にでも喩えるしかないかたちで、突如として広がる。たとえば混雑した市場や劇場で人々がパニックに陥るのは、思いがけず群衆的状況が生じる場合にあたる。その場合、人々は自己保存の欲求にかられて、息がつける空間を確保したり危険を回避したりするために、他者を踏みつけたり日の中に押し込んだりする。群衆のなかで、人々は「悪事」もなしうるが、それは一人ぼっちであれば道徳的にとてもなしえない類の行為である。個々のメンバーが忌避する「悪事」を、群衆がなしうるのはなぜか。それは、群衆には「顔がない」からである。各人は個別性を失い、匿名の人々の集合に「溶け込む」。群衆は、瞬く間に集まり、瞬く間に消える。その集団行動は、いかに秩序だっているようであっても、いかなる恒常的な相互作用を引き継ぐものでなければ生み出すものでもない。群衆の中の一人一人が純粋に感情的な行為に走ることができるのは、群衆行動が一時的にして不合理な性格をもつからにほかない。ほんの束の間、抑圧は取り除かれ、義務は無効となり、規則も停止になる。」(162~163ページ)

少し長いところを抜き出しましたが、とても心に残った部分です。
ヒトラーなども、人間のこのような性質を利用したんじゃないかと思えてきます。
「集団の中に入ると、段々と自分を見失ってしまう」、とても怖いですが、人間は集団で生きる生物なのでどうするか考えものですよね(笑)

最近社会学に興味を持ったので読んでみましたが、とてもわかり易く、マクロな視点とミクロな視点の両方で社会を見渡すヒントを与えてくれます。
新しい視点を教えてくれる、とても良い本でした。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
プロパガンダ批判の本。プロパガンダの方法、仕組みを解説している。

・気になった箇所

「1930年代に、ヒトラーは国民を扇動してユダヤ人やジプシーへの恐怖心をかきたてた。自分を守るためには敵を叩き潰さなければならないというわけだ。同じように、私たちにも私たちのやり方がある。この10年、1年か2年ごとに、ある種の強力な怪物がつくられつづけた。私たちはその怪物から自分を守らなければならないのである。」(46ページ)

「怪物がつくられつづけた」というのがミソですね。
プロパガンダは、民衆のもやもやとした不安に名前を付け、都合の良い“敵”を作り上げます。
そして、民衆に「これが私達の敵だ」と思い込ませることによって成功します。

この本は、そんなプロパガンダの仕組み、歴史を解説しています。
著者のノーム・チョムスキーは、言語学、哲学、政治学を主に研究しており、2005年には投票で「世界最高の論客」に選ばれています。

ちなみに、ヒトラーは、演説をする際に気をつけていたことがあるそうです。
とにかくシンプルに分かりやすく、抑揚やジェスチャーを使い、強烈なインパクトを与えること。
小難しいことを延々と羅列するより、一瞬で理解できる言葉を入れた方が引き込まれますよね。
このような演説をする人は、少し警戒したほうが良いかもしれません。

ヒトラー自身が執筆した本『我が闘争』は、日本語でも読むことができます。
世界では、発売禁止されている国もあるそうです。
少しナチス・ドイツについて調べてみようかなと思います。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
アメリカの社会学者ゴッフマンが、何らかの不自由を持っている、“スティグマ”をもつ人達の暮らしやアイデンティティについて意見を述べている。

・気になった箇所

「常人は真実、〔スティグマをもつ人びとに〕害を与えようなどとは考えていない。常人に害意があるとすれば、それは彼らがそれ以外にどうしてよいか分からないからである。したがって気転のきいた仕方で助力してもらわないと常人は〔スティグマのある人びとに対して〕適切に行為できないのである。軽視されたり、冷遇されたり、不躾な批評を受けても、同様の手段を以ってそれに応ずるべきではない。〔そのようなことには〕注意を払わないですませるか、それともスティグマのある者は外見とは違ってその下は完全な人間なのだ、ということを一つ一つ、穏やかに、つつましく常人に教え、同情的な立場から彼の再教育に努力すべきなのである。」(194ページ)

前々から読んでみたかった本です。
ゴッフマンの主著。
スティグマをもつ人びとが常人から言われたこと、または出来事に対するゴッフマンの解説から成り立っています。

ネタバレですが、最後には「スティグマをもつ人びとと常人の立場が逆転することもあり得る」という内容も。
今回の気になった箇所もそこから抜き出しました。
ちょっとしたどんでん返しですね。

とても面白く読むことができました。
社会学の本ですが、心理学に興味がある方、福祉関係の仕事をされている方にもオススメできます。

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
社会学のご意見番が、政治家の適性について講演したものを本にしたもの。

・気になった箇所

「同じく政治を職業とするといっても、二つの道がある。政治「のために」生きるか、それとも政治「によって」生きるか、そのどちらかである。この対立は決してあい容れないものではない。むしろ、少なくとも精神的には、いや多くの場合物質的にも、両方の生き方をするのが普通である。つまり、政治「のために」生きる人も精神的な意味では「政治によって生きている」わけだし、さらに彼は、自分の行使する権力のむき出しの所有そのものを享受するか、それとも、自分はある「仕事」に打ち込んでいるのだから自分の生活には意味があるのだ、とそう思い込むことによって、精神的なバランスと自信を駆り立てているか、そのどちらかである。」(21~22ページ)

日本には、政治「のために」生きている政治家はいるのでしょうか?
もしかしたら、政治によって“生かされている”政治家ばかりかもしれませんね。
実際、日本の国会は世界からレベルが低いと言われていますし。

「政治」とはどういうものか、「政治家」にはどんな人が適しているか、社会学のご意見番マックス・ウェーバーがバッサリと斬ります。
読んでみて、『職業としての学問』の方が分かり易かったかなと思いました。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
「学問を仕事にするのはどういうことか」について、マックス・ウェーバーが考えを述べている。

・気になった箇所

「一般に思いつきというものは、人が精出して仕事をしているときにかぎってあらわれる。もちろん、いつもきまってというわけではないが。ところで、しろうとの思いつきは、普通、専門家にくらべて勝るとも劣らぬことが多い。実際、われわれの学問領域でもっともよい問題やまたそのすぐれた解釈は、しろうとの思いつきに負うことが多い。ヘルムホルツがロベルト・マイヤーについて語っているように、しろうとを専門家から区別するものは、ただしろうとがこれときまった作業方法を欠き、したがって与えられた思いつきについてその効果を判定し、評価し、かつこれを実現する能力をもたないということだけである。」

簡単に言えば、「学者や大学教員はこうあるべきだ」というマックス・ウェーバーの理想を綴っているような本です。
かなり厳しい意見も書かれていますが(笑)

比較的薄いので、短い時間ですぐに読むことができます。
また、「職業としての政治」という姉妹書もあります。
そちらも機会があれば読みたいですね。

※私が読んだのは岩波クラシックス版のものですが、あまり販売されていませんので、岩波文庫のものを載せておきます。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
家族構造から国の成長を考える。識字率や結婚率などの統計を取り、そこから社会とどう繋がっているのかを解き明かしている。

・気になった箇所

「イギリスの歴史家ローレンス・ストーンは、イギリス、フランス、ロシアでの三つの革命の極めて重要な共通点を発見した。それはこれらの政治的、イデオロギー的な騒乱の直前に、男性の識字率が五十%に達したところであったということである。これは根本的な発見であり、このことによって革命という現象と近代化の達成とを厳密に関係づけることができるとともに、同時にまだ実証されていない労働者階級の役割についての古い仮設を回避することができ、これらの三つの革命の場合にそれぞれイデオロギー的内容が異なるという問題を避けることができるのである。これらの例では、大衆の識字化は争乱への道を開き、それぞれの場所での固有の内容を盛り込んだ大衆のイデオロギー的な活性化を可能にしたのであった。」(449ページ)

この本は、1983年刊行の『第三惑星』と1984年刊行の『世界の幼少期』が合冊の形で再版されたものです。
二つ一緒ということで、とても分厚いです(笑)

結婚している人ほど識字率の割合が高かったり、女性が権力を持っている国ほど成長していたり。
三十年前に書かれたものですが、今と似ている所もありますね。
家族構造は社会と繋がっている、ということを発見したエマニュエル・トッド、とても尊敬します。
とにかく分厚いですが、読む価値アリです。

私は明日誕生日を迎えるので、これが13歳最後の本になりますね。
一年間、とても沢山の本を読みましたが、最後はこの本で良かったと思っています。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
ペンシルベニア大学教授、ランドル・コリンズさんが書いた、社会学の本。権力や犯罪など、様々な話題を取り上げている。

・気になった箇所

「愚鈍さは、強制状況の結果である。反逆も逃亡もまったく不可能だとすれば、囚人たちはついには自分から何かをしようという気持ちを失いはじめる。他人のために無意味な仕事をするよう強制された囚人たちは、できるかぎりうわべだけで言われたことをする。できるかぎり殻の中に閉じこもる。外から見れば、それは愚鈍さのように見える。しかし、それは自分たちの都合から奴隷たちにもっと積極性を示してほしいと思っている奴隷監督の観点から見た愚鈍さにすぎない。そして、最終的には、それは奴隷監督の愚鈍さであって、奴隷側の愚鈍さではない。」(110ページ)

正直に言うと、この本は難しかったです。
もともと社会学は堅苦しい学問だと思っているので、しょうがないんですけどね(笑)

ですが、この中の「権力の逆説」「犯罪の常態性」という章は面白かったです。
権力と犯罪の本質をズバリと言い当てていると思いました。

・面白さ   ★★★★☆
・読みやすさ  ★★★★☆
・本のポイント
就職協定や偏差値問題などの社会問題から、複眼思考法のポイントを知ることができる本。
    
        
・気になった箇所

「塾と学校を、それぞれケースとして比べてみたとしましょう。塾も学校もクラスの集団としての均質性はいずれも同じくらいと見てよいでしょう。しかし、所属への強制力は違います。塾だったらやめようと思えば簡単にやめられますから、学校のほうが所属の強制力は強いでしょう。」(260ページ)

「あるいは、同じ中学校でも、私立と公立の比較という、これまた別の種類のケースで比較するのもいいでしょう。中学の場合であれば、私立校から公立校に転校することはそれほど難しくないでしょう。その反対に、いったん公立中学に行っている子どもが、学年の途中から私立を受け直すことは難しいはずです。つまり、公立中学校のほうが私立よりもいじめが起きやすいとすれば、集団所属の強制力が原因であると考えることができるかもしれません。」(260~261ページ)

常識にとらわれた単眼思考をいつまでも続けるんじゃなくて、自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考えてみようよ~ といった感じでしょうか。

実を言うと、知的複眼思考法のポイントより、“知的複眼法を分かりやすくするための例題”のエピソードのほうが面白いと感じてしまいました(笑)

著者は東大出身で、現在はオックスフォード大学の教授です。
思考法も勿論ためになりましたが、寄り道のエピソードも面白く書いてしまうという技術が素晴らしいと思いました。 
 

・面白さ   ★★★★★
・読みやすさ  ★★★★★
・本のポイント
人との繋がりを社会学の観点から考えてある本。文章もわかりやすい。
    
        
・気になった箇所

「「〇〇ちゃん、そんな一人でいないで、みんなの輪に入りなさい」という言葉にかえって圧力のようなものを感じる子供や、みんなと一緒になれないことを気にするあまり「僕はダメなんじゃないか」と思う子供も少なくありません。
また理屈を超えて「こいつとはどうしても合わない」と思うクラスメートだっているはずです。
大人になってからはみんながそういう体験をしているはずなのに、「子供の世界はおとなの世界とは違う。子供のころはどんな子どうしでも仲良く一緒になれるはず。」というのは、子供の世界にあまりにも透明で無垢なイメージを持ちすぎなのではないでしょうか。」(67ページ) 

まさにその通りだと思います。
子供は誰とでも仲よくなれるわけではありません。

実際、小学校の時の担任の先生が「みんな秘密を持たず仲良くする」「クラスは一つだ」などとしつこく言う先生でした。
仲よくしていなかったら怒られました。

その時クラスメートは「先生うるせーから仲良くしてるフリしようぜ」みたいな感じでクラスでまとまり、表だけ仲よく見えるように卒業まで演技していました。
裏では、LINEで炎上などは日常茶飯事でした。

まさにクラス全員で先生を騙していたんです(笑)
純粋無垢とはかけ離れていますね。
かっこよく言えば、子供はみんなが“小さな詐欺師”なんです。

40という少人数でしたが、全員と仲良くしなければダメという先生の主張には全体主義の胡散臭さを感じました。

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