観際メルの哲学レンズ

『嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する』(スピノザ)
16歳の女子が、気に入った本などを書いていきます。

カテゴリ: 心理学の本

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
社会心理学、精神分析学などを研究している、エーリッヒ・フロムの主著。

・気になった箇所

「われわれの社会においては、感情は一般に元気を失っている。どのような創造的思考も――他のどのような創造的活動と同じように――感情と密接に結びあっていることは疑う余地がないのに、感情なしに考え、生きることが理想とされている。「感情的」とは、不健全で不均衡ということと同じになってしまった。この基準を受け入れたため、個人は非常に弱くなった。かれの思考は貧困になり平板になってしまった。他方感情は完全に抹殺することはできないので、パースナリティ(原文ママ)の知的な側面からまったく離れて存在しなければならなくなった。その結果、映画や流行歌は、感情にうえた何百万という大衆を楽しませているような、安直でうわっつらな感傷性に陥っている。」

やっと読み終わりました。
図書館から借りている本も読んでいたので、少し時間がかかりました。

いかにしてナチズムは生み出されたのか、サディズムやマゾヒズムと権威主義の話など、人間の心理に関わることから社会の問題に眼を向けていきます。

どこを抜き出したら良いのか迷うくらい、名言が沢山ありました(笑)
結局、エーリッヒ・フロム自身の感想を述べている所を書きました。

確かに、現代はあまりに感情的な人は嫌われやすい傾向にあるのではないでしょうか。
「空気が読める人」が好かれやすいと言われていますね
ですが、その結果“個人”というものが失われつつあり、現代の文化もあまり質の良いものではなくなっている、といった感じでしょうか。

私自身、正直に言うとあまりに感情的過ぎる人は嫌いですが、だからといって、個人の意見を全く持たず周りに合わせてばかりの人も好きではありません。
人間として感情を持ち、他人のこともちゃんと考えて、自分の意見を持つ。
これが一番理想なのですが、なかなか難しいですね(笑)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
セールスマンや募金勧誘などのテクニックから、「承諾する」という心理について解き明かしている。

・気になった箇所

「みんながやっているなら、その行為は正しいと仮定する私たちの傾向は、いろいろな場面で悪用されています。バーテンダーは、よく、店を開ける前に何枚かのドル紙幣をチップ入れに混ぜておきます。それを前の晩の客が残していったチップに見せかけて、たたんだお金でチップを払うのが、バーにふさわしい行動であるという印象を与えようとしているのです。――

セールスマンは、すでにその製品を買った人たちのことをいろいろと織り交ぜて話をするように教えられています。セールス・コンサルタントのキャベット・ロバートは、この原理をうまくとらえたアドバイスを駆け出しセールスマンたちに与えています。「自分で何を買うか決められる人は全体のわずか五%、残りの九五%は他人のやり方を真似する人たちです。ですから、私たちがあらゆる証拠を提供して人びとを説得しようとしても、他人の行動にはかなわないのです。」(191~192ページ)

とても分かりやすく、面白い本でした。
身近な出来事を題材に書いているので、本をあまり読まない方でもすんなり頭に入ってくるかなと思います。
有名な心理学実験なども紹介されているので、そこら辺も興味深く読めると思いますよ。

自分で決めて行動できる人は全体のわずか五%、私たちが「自分で考え、行動した」と思っていることも、実は誰かに動かされているだけなのかもしれませんね。
他人の行動につい動かされてしまうという人間の心理を見抜き、自分自身の頭で考える事のできる五%の人間になりたいものです。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
「フロー」という、一つの活動に没入しているので他の物事が全く気にならなくなる状態について綴っている。読み方によっては、ハウツー本にもなる気がする。

・気になった箇所

「フロー体験を構成する要素のうち、最も数多く挙げられるものの一つは、フローの継続中は生活の中での不快なことのすべてを忘れることができるということである。フローのこの特徴は、楽しい活動は行っていることへの完全な注意の集中を必要とする――したがって現在行っていることに無関係な情報が意識の中に入る余地を残さない――という事実の重要な副産物である。」(73~74ページ)

皆さんは、何か一つのことに時間を忘れて没頭したことはありますか?
そのことを思い出してみて、後から充実感を覚えたようなら、それはフロー体験をしたということになりますよ。
幸せな状態というのはどんなものなのか、見方を変えれば、どう心掛ければ幸せになれるのか、知ることができます。

この本は、私の好きな本ベスト3に入りそうなくらい面白かったです!
どこを抜き出しても、良いことが書かれています。
オススメの1冊です(^^)

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★☆☆
・本のポイント
ノンフィクションライターの最相葉月さんが、自ら精神科医やカウンセラーに取材をし、患者との関係や療法の歴史などを綴った本。

・気になった箇所

「社会人学生たちが冗談交じりにネーミングした「心理三分の一説」という仮設がある。大学院で臨床心理士を専攻する学生とはどんな人種なのかを観察した結果、大きく三種類に分かれることを発見したという。三分の一はこれまで普通の生活を送ってきた平均的な人、三分の一は過去にうつ病などを克服した経験がある共感性の高い人、残りの三分の一は今病んでいる人、なのだそうだ。
「うちのクラスにもいますよ。朝イチで長~いメールが届くんです。そういう場合は深入りせず、できるだけ距離を置くようにしています。なぜ心理の道へ、なんて聞きません。巻き込まれたら大変ですからね。」
そう忠告してくれた学生もいる。」(53~54ページ)

主に箱庭療法と絵画療法について書いています。
筆者自身が絵画療法を体験した話、ある精神科医と患者とのやり取りを経て回復していくまでの話など。
興味深いですね。

カウンセリングを受けているとき、カウンセラーはどんなことを考えているのか、どんなことを観察しているのかが分かります。
私もカウンセリングを受けていたので、とても気になりました。

率直に言うと、とても面白かったです。
「心理関係の仕事に興味がある」という方にオススメかな。

・面白さ    ★★★★★
・読みやすさ ★★★★☆
・本のポイント
人間の自由意志についての見解が覆される。人の自由を妨げるものについて深く掘り下げていく。

・気になった箇所

「自由は目の前に広がる選択肢の数だとすれば、不自由はその選択肢を与えられながら、それを封じられた数の関数です。つまり、目の前の対象を手に入れる自由の裏には、それを手に入れられない不自由がありますし、いまを遊び楽しむ自由の裏には、何かのために遊び楽しめない不自由があります。端的に言って、自由の数だけ不自由がある。そうだとすれば、皮肉なことに、人間は自由になればなるほど、不自由にもなるということになります。
文明が進み、目の前の選択肢が広がって、それに比例して欲望が肥大していくとき、人が頭のなかで描く自由度は高まり、しかし現実に味わう不自由度も高まるというのが、多くの人の現実なのかもしれません。それでははたして幸せになれるのかどうか。こんなふうに考えていけば、何か不安な結末が予感されてしまいます。」(213~214ページ)

確かにそうかもしれませんね。

例えば、何処かの遊園地に遊びに行ったとします。
自分は自由に楽しく遊んでいますが、その裏には従業員の方たちが働いています。
従業員の方たちが園内を掃除したり行列を整理しているからこそ、自分が自由に遊べる訳ですね。
それはつまり、従業員の方々の自由を奪っていることになります。

自由と不自由は天秤にかけているようなものなのでしょうか。
誰かは自由になれば、誰かが不自由になる。
しょうがないことなのかもしれません。

・面白さ    ★★★★☆
・読みやすさ ★★★★★
・本のポイント
精神科医が、マイノリティや感情について語っている。思わずハッとさせられる所があるかもしれない。

・気になった箇所

「親自身の人生で果たせなかった願望が、「あなたのために~しなさい」という形で子どもに押し付けられます。親の欲望による、子どもへのコントロールです。しかし親は、自分ではそれが子どもへの愛情であると思いこんでいます。まだ十分に判断力の育っていない子どもは、たとえそれを窮屈に感じたとしても「あなたのためよ」と親に言われれば、きっと意味のあることなのだろうと思い、嫌がる「心」を無視してこれを受け取ります。
・・・・・
さて、子どもの「心」はあるとき堪忍袋の緒が切れて、「頭」に隷属していることをやめたいと反逆を開始します。「心」のエネルギーが大きく感性の発達している人ほど、それは早期に訪れることが多いようです。」(99~100ページ)

この文章は、不登校のことをよく言い当てていると思いました。
(友達などの人間関係での不登校を除いて。)

よくよく考えてみれば、私もそうだったかもしれません。
小学校の時は成績も良く、親や親戚にはよく褒められていました。
塾に行き、中学受験をして、合格して…
両親も優越感に浸っていたはずです。

ですが、この本を読んでみると、「これまでやってきたことは全て自分のためだったのか?」と疑問に思い始め、結局それは親のためだったという答えに行き着いてしまいました。

でも、早いうちに「親のためだった」という答えを見出せてよかったと思っています。
これからは、「親のため」ではなく、「自分のため」の人生を歩んでいけますからね。
ずっと親に理想を押し付けられっぱなしだと、楽しくないですし(笑)

・面白さ   ★★★☆☆
・読みやすさ  ★★★★★
・本のポイント
女性で、他人と自分をつい比べて落ち込んでしまう人向け。図書館で気になったので借りてみた。
                               
        
・気になった箇所

「いまの時代、いちばん自分にとってストレスになるのは、なんといっても「私ってダメだな」と自分に自信が持てないことではないでしょうか。
昔はたとえ「自信が持てない」という人でも、それほど不利ではなかったのです。
「声が小さい」「気が弱い」という女性は、昔は「控えめでおしとやかだね」とむしろほめられることも多かったのですが、いまの時代は「それではグローバル化した社会で落ちこぼれてしまうよ」と欠点のように扱われます。
本当は「自信がない=欠点」というのはおかしなことです。自分に自信が持てない人は、その分、他人にやさしくできたり弱い人に共感する力を持てたりするはず。ゆっくり慎重に進むことで、誰もが先を急ぐ世の中の調整役にもなります。」(170ページ)


私は、この本にはあまり共感できませんでした。
この本が面白くないわけではないんです。
ただ、この本の中に出てくる人たちの気持ちが分からなかったんです。

私は自分に自信が持てないわけではありません。
そもそも、自分と他人は違います。
同じフィールドで比べること自体が、私にとっては、ちょっと違和感があります。

著者も言っているように、「私は私、これでいいの!」と思いながら生きていくのがいいんじゃないかな。

・面白さ   ★★★★★
・読みやすさ  ★★★☆☆
・本のポイント 
ナチスのユダヤ人虐殺をきっかけに行われたミルグラム実験(アイヒマン実験)の成果をまとめた本。世界的な反響を呼んだ。
                               
        
・気になった箇所

「服従的な被験者で一番多い調整は、自分が自分の行動に責任がないと考えることだ。
あらゆる主導権を、正当な権威である実験者に委ねることで、自分は責任から逃れられる。自分自身を、道徳的に責任のある形で動いている人物としてではなく、外部の権威の代理人として動いている存在として見るようになる。
実験後のインタビューで、なぜ電撃を続けたかと尋ねられた被験者の典型的な答えは「自発的にはそんなことはしなかっただろう。単に言われた通りにやっただけだ」というものだった。
実験者の権威にあらがえなかったかれらは、すべての責任を実験者に負わせる。ニュルンベルク裁判の弁護発言として何度も何度もきかれた「自分の義務を果たしていただけ」という昔ながらの話だ。
だがこれは、その場しのぎの薄っぺらい言い逃れだと思ってはいけない。
むしろこれは、権威構造の中で従属的な立場に固定された人々の大多数にとって、根本的な思考様式なのだ。責任感の消失は、権威への従属にともなう最も重要な帰結である。」(24ページ)


とても有名な心理学者、ミルグラムの代表作です。
ミルグラム実験(アイヒマン実験)はロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』で紹介されています。
こちらはミルグラム自身が書いているので、詳しいデータ、統計などを知ることができます。

『自発的隷従論』の後にこれを読むといいかもしれません。

・面白さ   ★★★★☆
・読みやすさ  ★★★★★
・本のポイント  よいカウンセリングをする為の、面接者向けの本
         専門職ではない人が読んでも面白いと思う

・気になった箇所

「 ここでは「不在の他者」について説明する。初めて聞く人にとっては、変わった言葉かもしれない。
まずは、他者の在り方を、現前(目の前にいること)、不在、非存在と三つに分ける。それぞれ、好きな人と一緒にいること、好きな人と一緒にいられないこと、好きな人がいないことと例示しよう。大変、違うということは、誰でも分かる。このような重要な心理は、面接理論から除くわけにはいかない。

面接室では、面接者と来談者の二人は、いつも「あなた」と「私」として、目の前に現前している。一方、その場に物理的にはいないにもかかわらず、強い影響を与える他者が「不在の他者」である。
家族や友人など来談者に大きな影響を与えている他者は、通常、面接の場にはいない。面接者にとっても、自分の指導者は、面接に大きな影響を与えている「不在の他者」である。
面接の場には、時に応じて多彩な「不在の他者」が登場する。そのお陰で、面接者は、あたかも多くの人たちの心が充満した世界のように、時々刻々と多彩に変化する。
この表現が理解できる人は、既に、面接にかなりの経験を積んだ者であろう。初心者は、いずれ、そのように感じるときが来るので楽しみにして待つとよい。
要するに、面接では、いない人との関係を話し合うのである。

面接とは、面談者と来談者の二者関係から、「不在の他者」を扱う技術である。」(68~69ページ)


私はいつも来談者の立場なので、この本はとても新鮮に感じました。
こんな風にカウンセリングやってんのか… みたいな。
ちなみに、『面接法2』も出ているようです。機会があれば読みたい。

私は、小さいころから家の中では心理学の専門用語が飛び交っていたので難なく読めましたが、心理学の知識がない人が読むには、少しだけ難しいかもしれません。
 

・面白さ    ★★★☆☆
・読みやすさ  ★★★★☆
・本のポイント  占いじゃない、科学的な心理学について知りたい人におすすめ
        認知心理学、社会心理学、発達心理学など、いろんなカテゴリーがある

・気になった箇所

「いまや心理学者たちの見解や理論は、私たちの日常文化の一部と化しており、人間の行動や心理過程にかんする心理学者の発見の多くはそのまま「常識」となっている。
だが、心理学で探求される見解のなかには、私たちの本能的感覚を裏付けるものもある一方で、私たちにそれらの再考を促すこともある。つまり、心理学者の発見は、ときに人びとの慣習的な信念を揺さぶることがあり、そのためときに心理学者の存在は、人びとに衝撃を与えるばかりか憤慨させもする。」(13ページ)

この本の発達心理学のところで、私は自分の特性について詳しく知ることができました。
特に、p,298のサイモン・バロン=コーエンはおすすめです。

私の特性については、また別の機会に。
 

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