October 11, 2006

広島ドッグパーク事件を嗤う5

わんこ

スキャンダル

動物愛護協会の人々の動きが慌しいから、どうしたのか、また北朝鮮でわんこの虐殺でもあったのかと思ったら、なんでも広島でとんでもない事件があったのだという。広島ドッグパークというイヌばかり集めた簡易動物園でイヌの放置事件があったのだという。詳しいレポートは下のニュース画像をクリックするとわかる。放置されたイヌが栄養失調になり檻の中で発狂しながら死んでいっているという報道だ。

広島ドッグパーク崩壊事件(10/3 TBSイブニング5)動画

簡単に要約するならどこかの平凡なイヌ好きのあんちゃんが大量のイヌを展示する施設を作ったものの管理が悪いのと運営が杜撰だったので閉鎖になり、取り残されたイヌが悲惨な目にあってイヌ愛好家の涙を誘っているという話なのだ。イヌの管理が悪くて死なせてしまう「愛犬家」ならどこにでもいそうなものであるが、これは少しばかり規模が大きいので目を引いたのだろう。

これに対して気の毒なイヌを救えとばかり全国から愛犬家のボランティアが広島にやってきてイヌを抱えて泣き叫んだり、市役所に殴りこみに行ったり、食料や医薬品を集めたり、挙句の果てには動物愛護協会が出てきて管理者を告発せよというほぼイモ判で押して予想されたような展開になっているのである。もちろん私はどちらの肩も持たない。

私としては、「お亡くなりになったわんこには眞に気の毒」というような外交辞令的に体裁を装った言葉も出来れば出さないで冷ややかに事の成り行きを興味深く眺めていようと思う。まずこれは異常な出来事である。しかし、だからと言って動物の犠牲が人類の発展に必要と考えるスタンスの私にとってエキサイティングなものは何も無い。ただ、この一連の異常な出来事の中でその異常さを矯正するような正常さが見られているだろうかと問われるなら、私は慎重に言葉を選びつつも静かに否定せざるを得ないのである。

まず第一に考えてみたいことは、これはわんこのテーマパーク(簡易動物園)で起こった出来事なのであるが、もしこれがイヌ500頭の施設ではなく、ブタ500頭の養豚施設であったらどうだろう。管理者が破産してトンズラし、ブタが餌も水もろくに与えられず檻の中でやせ細り、病気に罹り、共食いをしているのが発見されたら、果たして動物愛護協会が出てきて騒いだり、動物愛護主義者を煽って人を告発させたりするようなことはするまい。これが養鶏場であったとしても同じことだ。管理の怠慢で病死したチキンの死骸の臭い山を見て誰が涙を流すだろうか。それどころか、「あーあ、もったいない。倒産した時に屠殺して肉にしておけば、焼き鳥になって食べられたのに〜、残念無念」と言うに違いないのである。一般に日本の社会ではイヌは食肉動物ではないが、食べる人たちにとってはやはりもったいないと思えただろうと思う(私はイヌを食う文化そのものを否定しない方針である。私は食べないが)。

保健所で引き取った犬猫は医療研究教育機関の解剖・実験用に自由に使えるように廻して欲しいという持論を持っている私ですら、上のテレビの画像を見るような病気で疲弊発狂したイヌは実験には使いたくない。いや、使えない。一般に基礎の生理学実験に使うような犬猫というのは五体満足で健康でなければならない。ビタミンやミネラルの欠乏で毛が抜けていたり、失明したり、感染症で皮膚が崩れているような個体はまず使えないものとして撥ねられる。その意味でもこのドッグパークの管理者はイヌを、愛玩にも実験にも食肉にも何の用途にも使えない役立たずの物体にしてくれたのだ。そういう意味で知恵が無かったという批判はあるが、私はそれ以上は踏み込まない。

イヌを殺処分にすればこんな問題は起こらなかったと言っている人を非難している人もいて興味深いのであるが、それは一般にイヌの殺処分の仕方が野蛮であることに原因がある。下のリンクはその野蛮さを述べている。

http://www.tanteifile.com/tamashii/scoop/0303/28_01/index.html

しかし、それだったら尚更のこと動物実験や教育機関での生物の解剖教材に使うのがより理にかなっていると思われる。我々を含めてまともなライフサイエンス研究施設では動物をそんな野蛮な方法では殺さない。きちんと安楽死させているのだから。しかし動物の殺し方が安楽死か否かは人間の側の任意判断である。足を骨折した馬をモルヒネの大量投与で安らかに死なせたと言うのは人間の側の自己満足である。確かにストリキニーネで殺すのは辛いものがあるのは事実だが。

しかし、私はそういう考察はむしろ末端的なことだと割り切りたい。もっと本質的な問題は何なのか。そもそもその「わんこパーク」も加熱したペットブームと動物偏愛志向の社会的敷衍の結果生まれるべくして生まれた変態娯楽施設ではないのか。「イヌ好き好き好きだ〜い好き、だけど人間嫌い」、という社会がペット偏愛の世界観を作り、イヌだけ並べて見せてもカネになるテーマパークが作れるだろうと信じ始めた人がこういうビジネスを起こしたのである。いうなればイヌの見世物興行で、イヌは単にそれに利用されたまでの話しだ。利用するのはいいとしても、その利用と管理の仕方が拙かったのである。そしてイヌという動物資源を無駄にしてしまった。命を粗末にしてはいけないという教訓は、イヌを使役労役などの明確な目的をもって飼う者、動物実験をする者、ブタやチキンをぶった切る食肉業者も平等に遵守すべきことは言うまでもない。

それに対して、ヒューマニズムをイヌに投射している動物過剰愛護主義者は一体イヌに何を期待していたのだろうか。はじめはテーマパークに来て便乗して一緒になって喜んでいたのではないだろうか。その後ドジな管理人のせいでイヌが死んだり病気になったりして、そいつを責めたり告発するぞなどと威嚇したりしている。これは本当に愚かなことだ。倒産時に彼の500頭のイヌを500人の希望者に譲り渡したとして一年以内に飼育に失敗して死なせたり病気にしたり行方不明の野良犬にしたり保健所に殺してもらうために引き取らせたりするイヌの数は恐らく、今のドッグパークのイヌの損失率と変わるまい。愛情を注げばいいという問題であろうか。涙を流している管理者のあんちゃんにたかって非難たらたら言っているテレビのキャスターが管理者のあんちゃんよりもイヌに対する愛情があるという保障はどこにもない。「おまえだって今まで飼っていた犬猫を何匹自分の管理不行き届きで失ってきたか考えてみろ、人のこと言えるか、ボケ!」と思ってしまうのである。そこへゆくとネコを飼った責任のために大らかに間引きを告白した坂東真沙子という作家はよほど立派である。(ポリネシアの政府は彼女を告発する前にもう少し脳みそを使って問題の本質を考え直して欲しいものだ。)

私は思う。どんなにイヌやネコが好きで可愛いと思っても、それだけの理由で飼うのは良くない、ちゃんと目的をもって飼うべきではないのかと。それが動物の命に対して敬意を払うことである。偏愛と盲愛は人間の側の目的の無い恣意なのだ。その文脈において、動物愛護協会はこの地上のすべての動物(イヌ、ネコ、クジラ、etc)を無目的に保護する愛玩動物化してしまうのではないかと心配だ!

 

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1. 広島ドッグパークより酷い人たち  [ 炎のブログ ]   October 17, 2006 23:59
広島ドッグパーク問題がすごい騒ぎになっているという。 パークが閉鎖された後、約500匹の犬が檻に入れられたまま病気や飢餓で可愛そうな目にあっていて、その犬を救おうという運動が起こっているらしい。 運動は?????? )

この記事へのコメント

1. Posted by persona77   October 11, 2006 15:03
5 面白い。感動しました。
「変態娯楽施設」という言葉が最高でした。
2. Posted by haineko2003   October 15, 2006 19:29
これや、ペットショップの在庫処分や保健所の処分が、自分たちがペットを飼っている(欲望)と何の関係もないと思ってる。少しのボランティアで免罪符もらったみたいに思ってる。自分の罪悪感をうすうす感じてるだけ、こういう事件の責任者をねちこく責めてる。どうしようもないやつらだ。動物愛護協会と保険所は、ドッグパークの責任者から相談があった時点で、なぜ500頭処分できなかったんだ?実験動物にも使えただろうに。(協会は、いつものように寄付金集めのためにこれを利用してるんだろうけど。)
3. Posted by 管理人   October 16, 2006 03:05
当ブログのトラックバックは無許可でOKです。
4. Posted by 粘菌生活者   October 21, 2006 06:48
>2
>動物愛護協会と保険所

「保険所」とはなんじゃらほい
大丈夫か?
5. Posted by haineko2003   October 21, 2006 17:05
>4
ごめん、変換ミスです。
保険所→保犬所
あれ?
6. Posted by 粘菌生活者   October 22, 2006 12:30
>5

「捕犬署」が正しい

7. Posted by haineko2003   October 23, 2006 06:36
>6
なるほど。署、「四者」と書く、すなわち「四人の者」。反復または大勢の作業により仕事が早くすむ部署のこと、ですね。

ツキノワグマや不審者の捕獲は警察署の管轄なのか。

ヒトのHIVやネコが鳥インフルエンザにかかったときの保健検査(略して保検)は保検所?

保健所では、児童虐待防止活動もやっている。動物しか愛せない人なんかに啓蒙してやってください。きれるとこわいから。

保健所、警察署の中の皆様、毎日のお仕事ごくろうさまです。感謝しています。
8. Posted by 管理人   October 24, 2006 10:24
イヌやネコのために警察が呼ばれるなんて社会資源の無駄ですよ。
9. Posted by 粘菌生活者   October 24, 2006 15:43
1 >7
>保健所では、児童虐待防止活動もやっている。

それは、児童相談所の仕事じゃ!!
大丈夫かっ!!

10. Posted by haineko2003   October 25, 2006 04:27
>9
「所」だから何でもやるのです。
http://www.phcd.jp/katsudou/jidogyakutaibousi.html
全国保健所長会の児童虐待防止の取り組み
http://www007.upp.so-net.ne.jp/capkyoto/chiba.htm
「児童虐待」−保健所の取り組み経過と今思うこと
11. Posted by haineko2003   October 25, 2006 04:54
>8
管理人さんこんにちわ。
ほんとうに、無駄な仕事を増やす人が多くて困りますね。
12. Posted by 管理人   October 25, 2006 08:25
保健所といったら昔は予防接種と便所の害虫駆除ばかりがメインの仕事だったのにね。公衆衛生のインフラストラクチャーが旧態依然だから現代社会の必要によく答えられないようですね。
13. Posted by haineko2003   October 30, 2006 07:59
きっこのブログがまたバカやってる。

悪魔の猫殺し税理士
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/10/post_221a.html

またたび伝説というのがあって、猫にまたたびというのはそんなに強力なものではない。以前飼っていた猫も知らん顔していた。猫も好き嫌いがはげしい。
北九州市というのはネコの無法地帯で、
>自宅の敷地に猫が入って来ることが嫌な人は、猫避けのネットを張ることになっています

なんだと。信じられない。
犬だと狂犬病の関係で捕獲されるが、ネコは野放し状態だったらしい。
野鳥を食べたネコが鳥インフルエンザにかかったとかそうでないとかいうニュースが去年あったが、こんなところじゃ、いつパニックになっても不思議じゃない。

福岡県警もご苦労さんです。
こんな無駄な仕事を増やす人は、死んでも人に迷惑かけるんだろうな。
14. Posted by 管理人   October 30, 2006 10:40
>13
なんとその税理士は親切な人でしょう。うるさい野良猫をつかまえて、殺すのではなく、わざわざ別な新天地につれていってやっていたのですから、凄いサービス、思いやり精神の権化ではありませんか。私はその人をほめて差し上げたいと思います。もっとこの人のコミュニティへの奉仕の働きは高く評価されるべきですね。

こんなことで大騒ぎする隣人のおバンも率直に言って愚かです。そのクレージーな投稿にのせられるきっこちゃんも少し笑えます。
15. Posted by haineko2003   November 02, 2006 05:55
>14
管理人さん、こんにちわ。
ほんとうにこの税理士の方は、そのコミュニティのために自分の貴重な時間をさいて奉仕されている、ボランティアの鑑といっていい人だと思います。

上の13の記事の続編がありました。

【きっこの日記外伝】 北九州ねこ虐待 その後
http://blog.livedoor.jp/kingcurtis/archives/50310159.html
やれやれ。
何でも自分の思い通りになるのなら、いいんだけどね。
16. Posted by 管理人   November 02, 2006 22:44
>15
リンク引用どうもです。
まったく、この人は精神疾患の患者という弱者を装って社会の秩序と価値観のかく乱をしようとしているんですね。極めて罪深いです。但しきっこの人物像には多面性があるので、どういう人間かはこれだけではわかりませんけどね。

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