2005年09月06日

週末の夜、美味なるKの夜

kdn_gnmkdn_stbg週末、仕事に出ていました。夜九時半を過ぎたところで、あとは明日に持ち越しと。
さて、どうしましょう。
真っ先に浮かんだのは、Jが丘徘徊コースですが、
頭に浮かぶお店に向かうには、時間が少々遅いようです。

G大のKっぱにするかなあ。
う〜ん、なかなか気持ちが定まりません。
新機軸にしようかな。S氏に教わった牛タンの店がまずは像を結びます。
場所分かったから、いってみるかなあ。
でもちょっと肉って感じではない。
そうだ! Kに行ってみよう。これもS氏から仕入れた情報。

G大の駅に向かって歩き、商店街の中に入ります。
Kの場所はその昔、大して美味しくないうどん屋だったところ。
何か新しい店ができているなあというのは知っていたのですが、
日本酒にこだわった店だとは、S氏から聞くまで知りませんでした。

Kに入ろうとした刹那、トイメンのらーめん屋のお兄さんが、
私に呼び込みの声をかけます。えっ? らーめん屋で呼び込み?!

がらがらがら〜。
「一人なんですけど」
「どうぞ、カウンターへ」
若いご主人が答えてくれます。
着席しようとすると
「禁煙席なんですが、大丈夫ですか」と一言。
おお!願ったり叶ったり。
「大丈夫です」
よく見ると、カウンター左手から二席だけが禁煙。
実質あまり意味ないですけどね。お店の心遣いってことで。

「お飲み物は、どうしましょう?」
もちろん日本酒を飲みに来たんですけど、たくさんあって、
とりあえず、分からない。
「生ビールをまず」
で、お通しに出てきたのが
「磯つぶ貝です」(写真)。
ほほほ、いいですねえ。これを食べれば日本酒モードに切り替わるでしょう。

爪楊枝でくるくるっと。ああ、惜しい、あとちょっとだったのに。
仄かな出汁の味が旨いなあ。磯の香りが口中にぐんと広がります。
もうひとつ、今度こそっと。やっぱり、もう少しで全部引っ張り出せたのに。
出汁もぐんと飲んで、あっという間にビールもなくなって。

「お酒、ください。たくさんあってよく分からないんだけど、
お酒らしいお酒がすきなんです」

もう冷やおろしの酒があるなどと説明してもらったんですが、
知識不足で覚えていません。
で、いろいろ相談した結果、すすめられたのが
「男山、いかがでしょう」
「あ、男山ね」
「北海道の男山じゃなくて、新潟の男山です」
「へえ、じゃあそれ」
というわけで、ぐい飲みに一杯(写真)。こぼしてはくれないんですけどね。




kdn_ssmkdn_nhnshん〜ん。程よい冷え加減。ややさっぱりしていますが、
お米のコクを感じます。旨い。

お刺身をもらっておきましょう。
「きょうは、〆鯖と、天然の真鯛、それに蛸があります。
蛸は、ボリビアの岩塩をすり下ろして召し上がっていただきます」
(ボリビアだったかどうかは、怪しいけど……)
おお!
「蛸しましょう!」ちょっと考えて「〆鯖もね!」

ちょっと待ちました。のんびりぼ〜っとしていました。
「はい、前からすみません」
おお!盛り合わせっていうより、それぞれ一人前って感じです(写真)。
女性の店員の方が、「岩塩、おろしてしまっていいですか」と仰るので
「お願いします」がりがりと。
席を一つ空けて右にいた女性の二人連れが
「なに、あれ」「え、なんかおいしそう」なんて囁きあっています。
岩塩自体がオレンジっぽい色をしているんですよね。だからそっちの塊の方が
美味しそうってことだと思うんですけど。
蛸にレモンを搾ってと。どれどれ。うーっ、いいねえ。
歯応えがいい。吸盤も美味しいぜ。(東京吸盤ボーイズと、親父ギャグをいいたい!)
〆鯖は、時期的にどうかなと思ったんですが、
まだ、脂ののりは今ひとつですね。さっぱりとした美味しさ。
ただ、その加減を分かっているんでしょうね、しめ方が浅くていいバランスです。
これも塩で食べちゃおうかな。おお、けっこう合うじゃん。
こういう小さな発見が楽しい。

ご満悦でちびちび飲んでいると、
「仕込み水があるんですが、試してみますか」と
ご主人から声がかかります。
「へえ、今飲んでいるお酒を仕込んだ水?」
「いや、残念ながらそうじゃなくて、仕込み水は神奈川の蔵元さんの
仕込み水なんです」
「いただいてみます」
ちゃんと一升瓶にお酒と同じように入っているんですね。
一口飲むと、おいしい。角が全くない。
水というものが、お酒のベースをつくっていることがよく分かります。

さて、右隣の女性二人組と入れ替わるようにして
中年のやや派手目な男性と二十代と覚しき女性が入ってきました。
続いて、若いカップル。店の中には私の隣の席が一脚空いているのみです。
「カウンターに椅子を入れますので、お待ちください」と二人には声がかかります。
私の隣に椅子を入れるということね。
と思ったら、ご主人がお店の女性に
「煙草を吸うかどうか、聞いて」といっています。
彼らは喫煙者でした。そこで、先に入った中年の男性たちを私の隣に(彼らは非喫煙者でした)、
あとから来たカップルをその右手にという配置にしてくれたのです。
最近、なかなかこんな気配りに出会えないので、内心嬉しくなりました。

手元のお刺身はまだなくなりません。
「ホオズキも食べられますから」とご主人が説明をしてくれます。
ええ、ええ。もちろん食べようと思っておりました。
いったんここで口中をリセットすることにしましょう。
おお、いいですねえ。和風のトマトって感じかな。(どんな感じなんだ、それって!)

「お酒をもういっぱい」
「先ほどのはいかがでした?」
「美味しかったけど、もう少しお酒らしいやつを」
とお願いしたら、進められたのが、昇龍(写真)。
(もしからしたら、これが三杯目だったかもしれません)
これはまた、なんというのかな、洗練度は落ちるんだけど、
その分コクが複雑で美味しいとでもいうか。

「おでん、五品お任せっていうのをください」
私おでんフリークですから。

そんなやりとりをしてのんびり飲んでいると、
隣の、例の男性が「いつもいらしているんですか」と話しかけてきました。
「いや、初めてなんです」
「常連の方かと思いました」
どうしてまた。ま、いいか。
何とこの方は、静岡の蔵元のプロデュースをして入りして、月に一度はこのお店でも
はっぴを着て、カウンターの中に入っているそうです。
それから、ジャズの話しやら、なにやら諸々話していると、
「もう少しいかがですか」なんて誘われて
「もう一杯は多いような気がしているんですよ」
「じゃあ、半分っていうのをお願いしたらいいじゃないですか。マスター、こちらに半分、お酒を」
なんてことで、半分もらいました。何だっけな、銘柄。
隣の御仁が頼んで冷やおろしも少し味見させて頂いたりして。
しかし、私と話していて連れの彼女はいいんでしょうかね。

いやあ、いろいろ話して、すっかり遅くなりました。
ま、歩いて帰れるので助かりますけど。

帰り際、女性を駅まで送っていった御仁が戻ってきました。
もう少し彼は飲みたそうでしたが、今宵はこれで。
「どうも、失礼しました」

しかし、若い人がやっているお店で、久しぶりにいいと思いましたね。
好感度の高い店でした。また、絶対行きます。


yajirusi2004年の今日の記事1はこちら

yajirusi2004年の今日の記事2はこちら

□□□きょうの「食」ヘッドライン・ニュース□□□
冷麺にスパイ
韓国南部の大学の食品科学部に勤める講師が、有名な冷麺店からスープの「肉水(ユクス)」
のつくりかたを盗もうとし、店主に告訴される
(朝日新聞から)

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この記事へのコメント
お邪魔します。

ほぅって息をついちゃう素敵な飲み方だなぁ・・・。
素敵な気配り出来るお店の方ですね!
というより、生まれもった性格なんだろうな。

>>連れの彼女はいいんでしょうかね。
(^m^)ぷぷ
こういうの、好きです。

>>帰り際、女性を駅まで送っていった
優しいですね!
Posted by ここっと at 2005年09月07日 11:55
■ここっとさん
いらさいまし。

>というより、生まれもった性格なんだろうな。
この辺のことは、確かに研修でいわれたからって
できない人はできないですね。
正確というより、気質とでもいいましょうか。

なかなかよいお店でございました。
Posted by mesinosuke at 2005年09月07日 12:17
mesinosukeさん。

こんにちは。
なんだか、落ち着いて呑めるお店のようですね。
場所とか、お値段とか、もう少し情報を!

日本酒だと、旗の台「Rくよう」へ行っております。
祐天寺から歩いていくことは無理ですが、お近くにお寄りの際は是非!
Posted by AE86 at 2005年09月07日 12:29
■AE86さん
ご訪問ありがとうございます。

>落ち着いて呑めるお店のようですね。
カウンターの一番端ってところがよかったのかも知れません。
一つの空間に八席ほどのカウンターとテーブル席が三つあります。
その時は、テーブル席の一グループがご機嫌で、
それなりにうるさかったですけど(苦笑)。

>場所とか、お値段とか、もう少し情報を!
場所はG大のG角のそばの小路をヒョイと入ったところです。
値段は、ぐい飲み一杯八百円ほど。
おでんの五品盛り合わせは、八百五十円。
刺身はボードが見えなかったので、分かりません。
この日のお勘定は、五千四百円といったところでした。

>旗の台「Rくよう」へ行っております。
日本酒物語のAE86さんのコメントを拝見しました。
実は昔、旗の台に住んでいたんです。
知らなかった。機会があれば、いってみますね。
Posted by mesinosuke at 2005年09月07日 13:52