もう40年以上、バイクに乗っています。
長年バイクに乗っていると、ライダー同士、さまざまな場面で助け合うことが多いのですが、私の場合は他のライダーを助けた経験の方が多いように思います。

最も回数が多かったのが、転倒したバイクを起こせないで困っているライダーを助けた経験です。
自分が乗っているバイクを起こすことができないという人は意外なほど多く、これまでずいぶん多くのバイクを起こしてきました。
そのほとんどが女性や高齢者のライダーです。
私も体は小さい方で決して力があるわけではありませんが、倒れているバイクを起こすのに必要なのは力よりもコツなので、400cc程度までならさほど力を入れずに起こすことができます。
しばらく前にも、揖斐川町山間部の国道で転倒し、道の真ん中で寝ている400ccのバイクを前にして呆然としている女性ライダーを助けました。
その前には、交差点を右折しようとしてころんと転倒してしまった高齢ライダーのバイクを起こして、ずいぶんと感謝されました。
250ccのアメリカンバイクで、エンジンガードが付いていましたから起こすのは簡単でしたが、やはり高齢の方には難しい作業のようです。

山奥でエンジントラブルに見舞われたライダーを、近くの駅まで乗せていったこともあります。
東京在住中、250ccのスポーツバイクでとある林道を走っていたところ、林道の終点で手を振っているライダーを発見、聞けばエンジントラブルに見舞われ、ほとんど人の入らない林道の奥のために困り果てていたとのことでしたので、奥多摩駅まで乗せて行きました。
翌日、その方からお礼の電話があったので、バイクはどのように回収したのか尋ねたところ、友人の軽トラで引き取ったとのことでした。

エンジンオイルがいつの間にか漏れていてオイル切れとなり、困り果てていたライダーに、たまたま持っていたオイルを分けてあげたこともありました。
当時乗っていたバイクは、かなり距離を走っていてオイル漏れが激しく、常にオイルを携行してときどきオイルをつぎ足しながら走っていたのが役に立ちました。

動かなくなってしまったバイクを牽引したことも数回あります。
バイク同士の牽引は思いのほか難しく、牽引している私と牽引されているライダーの息が合わないと、特にブレーキングの際に衝突しかねません。
なので、常に前にいる私のバイクのストップランプを注視しているようにと話し、ゆっくりと走ったものです。

最近はバイクの性能も向上し、エンジンや駆動系のトラブルは少なくなりましたが、それでも何が起こるかわかりません。
若い頃は、ずいぶんと無茶な走りもしましたし、エンジンや車体にトラブルを抱えながらけっこう平気で走っていましたが、最近は整備を欠かさないようにしています。
できれば助けられる側にはなりたくありませんので、これからも無理をせず、愛車を労わりながらのんびり走ろうと思っています。