Blue Stars

東京から美しい星空を求めて田舎へ移住した筆者が、星や自然、動物、田舎暮らしなどについて綴っています。

二眼レフカメラ

初めて撮影した月面写真

今夜は、昔々の天体写真を・・・。
これ、ダゲールが撮った湿板写真、ではなくて私が初めて撮った月面写真です。
小学校5年生か6年生の頃、小遣いをはたいて買った6㎝屈折経緯台式望遠鏡の接眼レンズ(ハイゲンス20mmだったかな)にカメラのレンズを手持ちで押しつけて撮りました。
いわゆる「コリメート法」という撮影方法です。
カメラは祖父譲りの二眼レフ。
二眼レフカメラって何?と思われた方も多いかもしれませんが、撮影用の光学系の他に、それと同等のファインダー用光学系を持ち、ファインダー用光学系中にその光路を屈曲させるためのミラーなどの反射(レフレックス)光学系を持つカメラです。
中版フィルムを使用し、ファインダーは上から覗きます。
母方の祖父が写真好きだったことから譲り受けたのですが、初めてのカメラが二眼レフという人はあまり多くないかもしれません。

自前での現像はまだできず、近所の写真屋さんに現像・プリントをお願いしていました。
自分でDPEができるようになったのは高校生になってからです。
フィルムはフジや小西六のSS(ASA100)を使用していました。
あ、ASAというのは感度の表示で、現在のISOとほぼ同様だと思って下さい。
通常に販売されているフィルムは、ASA100が最高感度という時代でした。

それまで風景や人物ばかり撮っていたカメラを天体に向けたのは、単純な好奇心からでした。
天体写真を撮ってみたいというより、天体望遠鏡で見る月をカメラで写しとめることができるのだろうかという思いが先行していたように記憶しています。

hajimete2

結果は…。
構図や露出は初めてにしては悪くないと思うのですが、とにかくピントが合っていない。
直接ピント面を覗けないコリメート法でのピント合わせにはテクがあって、無限遠に調整した小望遠鏡(ファインダーなど)を接眼レンズに押しつけてピント合わせをするのですが、当時はそんなことは知らないものですから(天体写真の写し方を解説した本などあまりなかったのです)、何枚撮ってもピントが合わないなあと思いつつ、ひたすらフィルムを無駄にしたものでした。
というより2眼レフカメラですから、ファインダー部分を接眼レンズに押しつけてピントを合わせればそれなりに良いピント位置がつかめたはずですね。
なぜかそんな簡単なことが思いつかず、接眼レンズ越しに見るとしっかりピントが合っているのに、なぜ撮影するとピンボケになってしまうのだろうとひたすら思い悩んでいました。

今と違ってまったく情報もなく、教えてくれる先輩もいなかった当時の小学生のレベルはこんなものでした。
自分で工夫して苦労して少しずつ天文のテクニックを身につけるしかなかった時代の話です。
とはいえ、当時暗中模索で苦労した経験が、その後の天体写真術、また天体導入などに結びついていると思えば、ピンボケ写真の山にしても決して無駄なものではなかったと思っています。

初めて撮った天体写真

古い写真を整理していたら、たぶん生まれて初めて撮ったと思われる天体写真が出てきました。
東京都東大和市(当時は北多摩郡大和町だったかな)の自宅の庭から撮影したもので、カメラは祖父からもらった二眼レフ(・・・って知ってますか?)、フィルムはネオパンSS(ASA100)、近所の写真屋さんで現像・プリントをしたものです。
星像がグニャッとなっているのは、レリーズなしでシャッターを押したためと、三脚を持っていなかったことから庭にあった石や木材で適当に角度をつけてカメラを設置したことが原因でカメラが動いてしまったのでしょう。
そのカメラには、バルブではなくタイム機能がついており、手でシャッターを押せば、ストッパーつきのレリーズがなくてもシャッターは開きっぱなしにできました。

hajimete1

木やら電柱やらが入っていますが、小学生が庭から初めて写したにしては、なかなか良い構図かな、なんて思ってしまいました。
ヒアデス星団の下に写っている明るい星は、たしか木星だったと思います。
あの頃は、東京でもけっこう空が暗くて、冬になるとプレアデス星団が、目の悪い私にはまっ白な雲のように毎晩、見えていたことを思い出します。

思えばあれから幾星霜、私は公開天文台の仕事のために縁もゆかりもなかった岐阜県に家族そろって転居し、あれよあれよという間に40年以上が過ぎてしまいました。
思えば、天文の知識もなく天体観測や天体写真に関する啓蒙書もほとんどなく、ただ毎月天文ガイドを購読して暗記するほど読んでいたあの頃が、最も純粋に星空を眺められたように思います。

有難かったのは、東京の夜空が現在と比べれば格段に暗かったこと。
郊外にあった私の家からは、年に数回、非常によく晴れた晩には、天頂付近の天の川も見ることができました。
現在では、ナローバンドの選択などで光害地でも天体写真を撮ることはできるものの、いくら写真にはきれいに写ったとしても、やはり肉眼で星空を美しく眺められることがいちばんです。
子供の頃には、まだそんな夜空が東京郊外には残っていました。
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