2005年07月29日

ドーム

前回「世界水泳観戦でSAINT-HELENE島へ行った」という内容の文を書いたが、実は本当の目的は「BIOSPHERE」ここのドームを訪れる為に行ったのだ。

このドームはバックミンスター・フラーという方の設計。日本にいた頃ある方々のお陰でその存在を知り、フラーの本を手にしたのが始まり。『バックミンスター・フラーの世界』

このおじさんタダモノではない。会社の倒産や娘の死など人生のドン底、絶望していた時期を乗り越え、思考することで人生を切り開いてきたとてつもない人物。
それからは地図やら3輪の自動車(ダイマクシオン・カー) やUFOみたいな組み立て式の家(ダイマクシオンハウス)やらを発明。数多くの発明のうちのひとつがこの「テンセグリティー」を利用したドーム。

テンセグリティーについて少し説明を。テンセグリティーはtensile(張力)と integrity(完全な状態)から出来た造語。張力と圧縮力で成り立つ構造。張力が完全に釣り合い衝撃やら何やらを上手い具合に分散させる、ということらしい。

そして、実は僕たち人間もこの構造で成り立っている、と言ったら皆さんは驚かれるだろうか?
人間の細胞ひとつひとつには細胞骨格というのがあり、それがテンセグリティー構造で出来ているというのだ。勿論「骨格」といっても本当の骨ではなくタンパク質の繊維で構成されるのだが。

その細胞の集合体である人間の身体。巨大なドームと自分の掌を見比べていたら、ミョーな感動が湧いてきて不思議な気持ちになってきた。「スゲーな、お互い」と。

このドームの中で、小一時間位を過ごした。展望台からモントリオール周辺を一望出来る景色と、穏やかな天気や優しい風のせいでついつい長居をしてしまった。ここは間違いなくお気に入りの場所である。



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