2007年09月
2007年09月27日
派遣の品格
数ケ月前まで、派遣の品格という痛快なテレビドラマがあった。
おごれる正社員久しからず、いまや派遣社員なくして会社は動かず。。、という篠原涼子の言葉は本当に現実だ。 ドラマは毎回余りにも劇的な終り方なので、長くは続かず、番組は終了してしまったが、なかなか面白かった。私は派遣社員を使う立場と、派遣社員を出す立場の両方を経験しており、ひとこと感想を述べる。
まず派遣社員を使う立場だが、派遣社員は本当によく働く。感謝している。特に女性の場合、必ず定刻前に出社して、夕方退社するまで、懸命に働く。正社員も、定時前に滑り込み着席して仕事の準備をするが、暫くすると立ち上がり化粧室に行くと、長−い時間帰って来ない。多分、大きいほうの生理現象を達っしているのだ。毎日のことだが、どうして自宅で始末しないのか? もし用足しが日課なら何故もっと早く出社しないのか? お金をもらいながら毎日用足しとは、誠にいい身分だと思う。更に正社員は、朝昼午後と、度々化粧室入り浸る。緊張感に乏しいこと夥しい。
しかし派遣社員は違う。もちろん化粧室には行くが極く短時間だ、すぐに自席に戻って仕事を再開する。仕事の能率は正社員と殆ど変わらず、1日の勤務時間の殆どを自席で一生懸命に仕事をする。下手に怠けると契約が更新されないことを知っているから、いつも緊張感をもっている。
しかし正社員には強い武器がある、社歴が長いため、蓄えた知識があり、社内の他部門との連携もよく、業務を効率よく遂行できる点は、派遣社員はとても敵わない。 更に正社員は仕事に結果そのものよりも、如何にも一生懸命に働いているかのように見せることに関心を払う。成果は二の次なのだ。この点、派遣社員は全く異なり、与えられた範囲の仕事を全力で処理するのみだ。
派遣社員の時給は業種により異なるが、2000-2500円程度だろうか。月収手取りは15万円―20万円程度らしい。 勿論通勤費は自分持ちであり、正社員の会社負担とは違う。従って遠い場所には住めない。また正社員は社会保険など諸費用の負担もあり、ボ-ナスもあるので、企業には2倍のコスト負担となり、経営上は派遣社員のほうが圧倒的に効率がよい。 更に不況期には解雇が簡単だから、経営上の安心感は何ものにも代えられない。身分が不安定な派遣社員側から、怠惰な正社員に対する恨み節が漏れるのも当然である。 従って正社員と派遣社員は、多くの場合仲が悪く、昼食も大体別だ。
逆に、私は現在、特殊技術者を企業に派遣している立場でもある。 多くは定年過ぎの技術者だが、高年齢というハンディキャップをもっているから、特殊な知識経験が不可欠である。 例えば弱電専門技術家とか、特殊MS-DOSソフト技術者などいろいろだ。これらのシルバー技術者は年金を受給しているが、その受給金額の大小により、彼らの業務態度が全く異なる。
厚い厚生年金に守られた大企業OBは、業務態度も温厚、好々爺といったところで、若い人材の指導助言を行なったり、ユーザー対策にも参加するが、決してガツガツしない。若手社員に比べて多くの知識経験をもっており、社内の出世競争にも無縁だから、企業側とのマッチングがよければ、その職場で抜群の効果を発揮し、高い評価が得られる。しかしお金に不自由していないため、熱心さとか執念には乏しい。まあ致し方ないことだが。
逆に、年金に恵まれていないシルバー技術者は死にもの狂いで働く。彼らは差し迫った老齢期を如何に安楽に過ごすかが大問題であり、元気な間に少しでも多く稼ごうと必死に働く。 時としては、言動にも角がありトラブルも起こすが、兎に角一生懸命なのである。丁度木枯らしが吹き始めた頃のキリギリスと言ったところで、彼らは大きな精神的圧迫を感じているのだ。 少しでも自分の手取りを多くしようと、いろいろな努力する。従って一寸油断をすると、問題になるような状況を起こしてしまう場合もある。
例えば、成果比例報酬の場合、かなり危険な手を使ってまで大きな成果を得ようと努める。勿論夜間休日の労働も問題なしだ。別の例では契約条件の抜け目を探して金銭的な補償を要求してくる場合もある。当方としては、よく働いてくれる派遣社員は基本的に有難い存在だが、いやーな醜い点があるのも事実だ。
更に高齢者には微妙なマッチングの問題があり、派遣する職場の緊迫感とも関係するが、長期間一緒に仕事をするとなると、はやり安心感、信頼感が大切だ。その点から、大企業OB技術者の方が長続きする。しかし大企業OBには毎日を働き続ける必要性がなく、適当に休みも取りたい、旅行にも行きたく、往々にして派遣先の事情と食い違いが生じる場合もある。
篠原涼子のようなスーパーウーマンは現実にはなかなか居ないが、兎に角、女性派遣社員は本当によく働く。彼女たちが早く幸せをつかむのを祈る次第である。
おごれる正社員久しからず、いまや派遣社員なくして会社は動かず。。、という篠原涼子の言葉は本当に現実だ。 ドラマは毎回余りにも劇的な終り方なので、長くは続かず、番組は終了してしまったが、なかなか面白かった。私は派遣社員を使う立場と、派遣社員を出す立場の両方を経験しており、ひとこと感想を述べる。
まず派遣社員を使う立場だが、派遣社員は本当によく働く。感謝している。特に女性の場合、必ず定刻前に出社して、夕方退社するまで、懸命に働く。正社員も、定時前に滑り込み着席して仕事の準備をするが、暫くすると立ち上がり化粧室に行くと、長−い時間帰って来ない。多分、大きいほうの生理現象を達っしているのだ。毎日のことだが、どうして自宅で始末しないのか? もし用足しが日課なら何故もっと早く出社しないのか? お金をもらいながら毎日用足しとは、誠にいい身分だと思う。更に正社員は、朝昼午後と、度々化粧室入り浸る。緊張感に乏しいこと夥しい。
しかし派遣社員は違う。もちろん化粧室には行くが極く短時間だ、すぐに自席に戻って仕事を再開する。仕事の能率は正社員と殆ど変わらず、1日の勤務時間の殆どを自席で一生懸命に仕事をする。下手に怠けると契約が更新されないことを知っているから、いつも緊張感をもっている。
しかし正社員には強い武器がある、社歴が長いため、蓄えた知識があり、社内の他部門との連携もよく、業務を効率よく遂行できる点は、派遣社員はとても敵わない。 更に正社員は仕事に結果そのものよりも、如何にも一生懸命に働いているかのように見せることに関心を払う。成果は二の次なのだ。この点、派遣社員は全く異なり、与えられた範囲の仕事を全力で処理するのみだ。
派遣社員の時給は業種により異なるが、2000-2500円程度だろうか。月収手取りは15万円―20万円程度らしい。 勿論通勤費は自分持ちであり、正社員の会社負担とは違う。従って遠い場所には住めない。また正社員は社会保険など諸費用の負担もあり、ボ-ナスもあるので、企業には2倍のコスト負担となり、経営上は派遣社員のほうが圧倒的に効率がよい。 更に不況期には解雇が簡単だから、経営上の安心感は何ものにも代えられない。身分が不安定な派遣社員側から、怠惰な正社員に対する恨み節が漏れるのも当然である。 従って正社員と派遣社員は、多くの場合仲が悪く、昼食も大体別だ。
逆に、私は現在、特殊技術者を企業に派遣している立場でもある。 多くは定年過ぎの技術者だが、高年齢というハンディキャップをもっているから、特殊な知識経験が不可欠である。 例えば弱電専門技術家とか、特殊MS-DOSソフト技術者などいろいろだ。これらのシルバー技術者は年金を受給しているが、その受給金額の大小により、彼らの業務態度が全く異なる。
厚い厚生年金に守られた大企業OBは、業務態度も温厚、好々爺といったところで、若い人材の指導助言を行なったり、ユーザー対策にも参加するが、決してガツガツしない。若手社員に比べて多くの知識経験をもっており、社内の出世競争にも無縁だから、企業側とのマッチングがよければ、その職場で抜群の効果を発揮し、高い評価が得られる。しかしお金に不自由していないため、熱心さとか執念には乏しい。まあ致し方ないことだが。
逆に、年金に恵まれていないシルバー技術者は死にもの狂いで働く。彼らは差し迫った老齢期を如何に安楽に過ごすかが大問題であり、元気な間に少しでも多く稼ごうと必死に働く。 時としては、言動にも角がありトラブルも起こすが、兎に角一生懸命なのである。丁度木枯らしが吹き始めた頃のキリギリスと言ったところで、彼らは大きな精神的圧迫を感じているのだ。 少しでも自分の手取りを多くしようと、いろいろな努力する。従って一寸油断をすると、問題になるような状況を起こしてしまう場合もある。
例えば、成果比例報酬の場合、かなり危険な手を使ってまで大きな成果を得ようと努める。勿論夜間休日の労働も問題なしだ。別の例では契約条件の抜け目を探して金銭的な補償を要求してくる場合もある。当方としては、よく働いてくれる派遣社員は基本的に有難い存在だが、いやーな醜い点があるのも事実だ。
更に高齢者には微妙なマッチングの問題があり、派遣する職場の緊迫感とも関係するが、長期間一緒に仕事をするとなると、はやり安心感、信頼感が大切だ。その点から、大企業OB技術者の方が長続きする。しかし大企業OBには毎日を働き続ける必要性がなく、適当に休みも取りたい、旅行にも行きたく、往々にして派遣先の事情と食い違いが生じる場合もある。
篠原涼子のようなスーパーウーマンは現実にはなかなか居ないが、兎に角、女性派遣社員は本当によく働く。彼女たちが早く幸せをつかむのを祈る次第である。
2007年09月20日
マラソン選手とつばめ
いつものように朝早く、私は自転車で手賀沼湖畔を走っていると、若い女子マラソン軍団と行き違った。10人余りか、胸のマークから積水化学の女性マラソン部員と分かった。既に何回か出会って顔見知りもいるが、テレビでクロ-ズアップされるランナーは一人もいない。しかしこれほど多数のマラソン要員を抱える積水化学は流石立派なものだ。昔はポリバケツ屋の大手メーカーだったが、大企業になったものだ。経営者の指導の差により、長い年月が経つと企業は見違えるように変身する。
更にゆくと今度はツバメの群れに出会った。50羽程度であろうか、盛んに周遊している。多分南の国へかえる準備だろう。同じく近くの稲田には、雀も群れをなして群翔し、実ったばかりの稲穂を漁っている。 雀は羽根が殆ど見えないほど早い回転で飛ぶがスピードは遅い。 逆にツバメはのびやかにしかも高スピードで旋回している。私の自転車を簡単に追い越すから、多分時速30-40Km程度であろうか? 雀に比べて格段に効率のよい飛行力だ。ツバメはえさとなる虫が居なくなると、東南アジアへ帰えるそうだから、多分もう直ぐ飛び立つのだろう。数千キロの大航行だから、どれだけの割合で再び無事に来年日本に帰って来るか、全くの推測だが、2−3割程度は途中で海の藻屑となるに違いない。厳しいものだ。
しかし、積水化学の女子マラソン軍団だって厳しいには変わりない。同年代の若い女性達は青春を謳歌しているか、将来を目指して勉学に専念しているかだろうが、マラソン団員は、来る日も来る日もただ黙々と走るだけだ。厳しい練習の毎日だからだろうか、胸の膨らみは皆無で、お尻もふくよかさも無く筋肉質だ。骨身を削って練習に専念しているということだろう。
彼女たちは一応企業に所属はしているが、マラソンが本職だから、仕事はつけ足しであろう。若い青春を猛練習に費やして芽が出なければ、会社にも居場所は無く、多分依願退職するのであろう。田舎に帰るか? 或いは新しく勉強をし直すのだろうが、何れにしてもマラソン界で有名選手になるのは、コンマ以下の確率で極く一部の選手であり、殆どは挫折して、別の新しい人生に向かって、再スタートするのであろう。命がけのツバメほどではないが、やはり若い女性達には非常に厳しい道だ。
更にゆくと今度はツバメの群れに出会った。50羽程度であろうか、盛んに周遊している。多分南の国へかえる準備だろう。同じく近くの稲田には、雀も群れをなして群翔し、実ったばかりの稲穂を漁っている。 雀は羽根が殆ど見えないほど早い回転で飛ぶがスピードは遅い。 逆にツバメはのびやかにしかも高スピードで旋回している。私の自転車を簡単に追い越すから、多分時速30-40Km程度であろうか? 雀に比べて格段に効率のよい飛行力だ。ツバメはえさとなる虫が居なくなると、東南アジアへ帰えるそうだから、多分もう直ぐ飛び立つのだろう。数千キロの大航行だから、どれだけの割合で再び無事に来年日本に帰って来るか、全くの推測だが、2−3割程度は途中で海の藻屑となるに違いない。厳しいものだ。
しかし、積水化学の女子マラソン軍団だって厳しいには変わりない。同年代の若い女性達は青春を謳歌しているか、将来を目指して勉学に専念しているかだろうが、マラソン団員は、来る日も来る日もただ黙々と走るだけだ。厳しい練習の毎日だからだろうか、胸の膨らみは皆無で、お尻もふくよかさも無く筋肉質だ。骨身を削って練習に専念しているということだろう。
彼女たちは一応企業に所属はしているが、マラソンが本職だから、仕事はつけ足しであろう。若い青春を猛練習に費やして芽が出なければ、会社にも居場所は無く、多分依願退職するのであろう。田舎に帰るか? 或いは新しく勉強をし直すのだろうが、何れにしてもマラソン界で有名選手になるのは、コンマ以下の確率で極く一部の選手であり、殆どは挫折して、別の新しい人生に向かって、再スタートするのであろう。命がけのツバメほどではないが、やはり若い女性達には非常に厳しい道だ。
2007年09月13日
安倍首相が辞める!
安倍さんが突然辞めると言い出した。日本の幼稚な政治をみていると仕方ないことだと思う。
辞める理由は、自衛隊の給油活動の継続に民主党が反対で、状況打開が困難なためという。健康不安もあるらしい。
新内閣スタート直後にも拘らず、世論調査の支持率が30%を切ったことも、別の大きな原因であろう。世論調査とは、全く信頼できない怪物で、社会保険庁の怠慢でも支持率は急減し、10万円のニセ領収書でも支持率は半減するが、しかし、ジャーナリズムは、毎月世論調査を繰り返し、お互いに違った結果を発表し続けている。
私はこの1年間の政治状況を見て、日本の政治は本当に幼稚だと新ためて確認した。 自民党と民主党に間には基本的な考え方に大きな差異はない。強いて言えば民主党は、昔の社会党右派から旧自民党まで、幅広い議員がいる程度だ。従って彼らの日常の政治活動には政策論争は少なく、殆どが相手を如何に倒すかという政局狙いで、その付録として変な理屈がつけられている程度だ。 産業や技術は一流だが政治は三流、という世評を改めて世界中に証明して見せたようなものだ。
それにしても安倍さんは余ほど苦しかったのだろう。私も20年前の会社勤めで、似たような苦しい局面に遭遇したことを思い出した。
当時、社員50名の日米合弁会社の社長をやっていたが、営業マン15名を含め、社員の半数は外部スカウト組であった。 製薬業界にはJob-Hoppingが多く、いろいろな会社を渡り歩く連中だが、医薬業界に疎い私は、これら連中に頼らざるを得なかったのが、そもそもトラブルのもとであった。
経営が軌道にのって数年経過したあるとき、この15名の営業マンのうち、10名が突然集団で辞めると申し出た。情報を探ると、仏のビオメリュー社(細菌診断薬会社)が東京に進出するので、わが社の営業学術部員を一括して逆スカウトを計画しているとわかった。かなりの一時金も支払うらしい。
わが社が、交通至便な日本橋から不便な千葉海幕張のWBG 32Fに転居したのも原因だが、他の理由として、スカウト組を差別したという全く身に覚えの無い理由もあったらしい。営業部員には余程気を使って特別ボーナスも与えていたのだが。
当時、わが社は営業のほか学術部(サービス部門)も含めて、社員の半数以上が中途採用組であり、社内全体が動揺し始めたのが感じられた。本当に怖かった。しかし一人当たり数百万円の高額の一時金を社員全員に支払う訳にも行かず、バブル最盛期で家賃が無茶苦茶に高騰している東京へ回帰する方法もなかった。これではわが社は崩壊すると直感した。本当に眠れない夜が2ケ月続いた。 安倍さんの現在の苦悩が本当によく理解できる気持ちだ。
説得に説得を重ねて、結局、主力営業マンの半数以上に当たる7名の退社で収まったが、殆どが実力営業マンで、わが社には大きなマイナスであり、販売が急降下する心配と不安で1年が経過した。 しかし、販売高はビクともせず、わが社は営業力より、製品自身の高性能で売れているという皮肉な実情が分かったのだった。 兎に角、安倍さんと同年代の若い時代の、苦しい1年間であった。
辞める理由は、自衛隊の給油活動の継続に民主党が反対で、状況打開が困難なためという。健康不安もあるらしい。
新内閣スタート直後にも拘らず、世論調査の支持率が30%を切ったことも、別の大きな原因であろう。世論調査とは、全く信頼できない怪物で、社会保険庁の怠慢でも支持率は急減し、10万円のニセ領収書でも支持率は半減するが、しかし、ジャーナリズムは、毎月世論調査を繰り返し、お互いに違った結果を発表し続けている。
私はこの1年間の政治状況を見て、日本の政治は本当に幼稚だと新ためて確認した。 自民党と民主党に間には基本的な考え方に大きな差異はない。強いて言えば民主党は、昔の社会党右派から旧自民党まで、幅広い議員がいる程度だ。従って彼らの日常の政治活動には政策論争は少なく、殆どが相手を如何に倒すかという政局狙いで、その付録として変な理屈がつけられている程度だ。 産業や技術は一流だが政治は三流、という世評を改めて世界中に証明して見せたようなものだ。
それにしても安倍さんは余ほど苦しかったのだろう。私も20年前の会社勤めで、似たような苦しい局面に遭遇したことを思い出した。
当時、社員50名の日米合弁会社の社長をやっていたが、営業マン15名を含め、社員の半数は外部スカウト組であった。 製薬業界にはJob-Hoppingが多く、いろいろな会社を渡り歩く連中だが、医薬業界に疎い私は、これら連中に頼らざるを得なかったのが、そもそもトラブルのもとであった。
経営が軌道にのって数年経過したあるとき、この15名の営業マンのうち、10名が突然集団で辞めると申し出た。情報を探ると、仏のビオメリュー社(細菌診断薬会社)が東京に進出するので、わが社の営業学術部員を一括して逆スカウトを計画しているとわかった。かなりの一時金も支払うらしい。
わが社が、交通至便な日本橋から不便な千葉海幕張のWBG 32Fに転居したのも原因だが、他の理由として、スカウト組を差別したという全く身に覚えの無い理由もあったらしい。営業部員には余程気を使って特別ボーナスも与えていたのだが。
当時、わが社は営業のほか学術部(サービス部門)も含めて、社員の半数以上が中途採用組であり、社内全体が動揺し始めたのが感じられた。本当に怖かった。しかし一人当たり数百万円の高額の一時金を社員全員に支払う訳にも行かず、バブル最盛期で家賃が無茶苦茶に高騰している東京へ回帰する方法もなかった。これではわが社は崩壊すると直感した。本当に眠れない夜が2ケ月続いた。 安倍さんの現在の苦悩が本当によく理解できる気持ちだ。
説得に説得を重ねて、結局、主力営業マンの半数以上に当たる7名の退社で収まったが、殆どが実力営業マンで、わが社には大きなマイナスであり、販売が急降下する心配と不安で1年が経過した。 しかし、販売高はビクともせず、わが社は営業力より、製品自身の高性能で売れているという皮肉な実情が分かったのだった。 兎に角、安倍さんと同年代の若い時代の、苦しい1年間であった。
2007年09月06日
行くか退くか
登山で天候が悪化しそうなとき、登り続けるか引き返すか、リーダーの決断が非常に難しいとはよく聞く話である。そして結論は、リーダーは引き返す勇気を持て!となるのだが、現実にはその決断は口で言うほど簡単ではない。
先週日曜日ごく些細な出来事があった。私は毎週土日の早朝には手賀沼湖畔を自転車で走る。 幅広いサイクリング道が整備されており、一周20Kmを1時間前後で走るのは本当に爽快であり、よい運動になる。
土曜早朝いつものように自転車で出発した。向かい風の東方の空は薄どんよりと曇り、少し霧雨が降っていたが、天気予報では雨は降らないと言っていたので、気にかけず東に向かって走り出した。霧雨が顔を叩き始め、眼鏡は曇り遠方が見え難くなってきた。
やばいなーと思いながらも、兎に角 中間点のあけぼの橋まで進めば後は引き返すだけだと思い自転車を漕ぎ続けると、霧雨は段々と粒状の雨となり、顔もびしょ濡れになってきた。散歩している人は傘もさしている。 これはダメだ、もう引き返えそうと思い始めた。このような場合、中止する決断が必要なのだ!と自分自身に言い聞かせながら、自転車の向きを変えた。
しかし今度は追い風になると後ろからの霧雨は殆ど感じなくなり顔にもかからない。 なーんだ! 折角ここまで来たのだから、やはり予定通りあけぼの橋まで行こうかと思い直し、また向きを変えて、風上に向いた。しかし相変わらず5Km先の橋あたりは霧雨で殆ど視界がきかない。 さあ どうしよう!どうしたものか? 単純なことだがなかなか決まらない。
自転車を止めて、道端に咲き始めた萩の花を眺めながらしばらく迷ってしまった。
行っても行かなくても濡れるか濡れないかだけであり、私の人生には殆ど影響はないが、どちらかを決めるのは、諺に言うほど単純ではない。
こんな些細なことで悩んでいては、傘をさしてそばを通る人にも格好が悪い。やはり行こう!と最終的に決めて、風上に向かってサイクリングを続けたのだった。
確かにヒマラヤ登山のような大プロジェクトなら、登山仲間の名誉や、留守宅で吉報をまっている仲間達、更には調達した資金を無駄にしたくない気持など、悩む材料は山ほどあるだろう。しかし強行すると今度は命が危なく、万一遭難者を出した場合は家族の嘆き悲しむ顔も浮かぶ。リーダーには大変な重圧である。 しかし今回の場合、命の危険も無く、お金も全くかかっていない、雨に濡れるかどうかだけだが、それでも2者択一となると、いろいろ考えてしまった。
人生は毎日このような中小の決断の連続である。選択の自由が無く、雨でも霧でも、兎に角、進む以外に道がない場合は返って楽であるが、ふつうは小さくても何らかの選択の余地があり、どうすればより好ましい結果が得られるか悩み、どちらかに賭けなければならないことが多い。平凡な人生もなかなか難しいもだと思いつつ、汗と霧雨でずぶ濡れになりながら一周を終えた。
先週日曜日ごく些細な出来事があった。私は毎週土日の早朝には手賀沼湖畔を自転車で走る。 幅広いサイクリング道が整備されており、一周20Kmを1時間前後で走るのは本当に爽快であり、よい運動になる。
土曜早朝いつものように自転車で出発した。向かい風の東方の空は薄どんよりと曇り、少し霧雨が降っていたが、天気予報では雨は降らないと言っていたので、気にかけず東に向かって走り出した。霧雨が顔を叩き始め、眼鏡は曇り遠方が見え難くなってきた。
やばいなーと思いながらも、兎に角 中間点のあけぼの橋まで進めば後は引き返すだけだと思い自転車を漕ぎ続けると、霧雨は段々と粒状の雨となり、顔もびしょ濡れになってきた。散歩している人は傘もさしている。 これはダメだ、もう引き返えそうと思い始めた。このような場合、中止する決断が必要なのだ!と自分自身に言い聞かせながら、自転車の向きを変えた。
しかし今度は追い風になると後ろからの霧雨は殆ど感じなくなり顔にもかからない。 なーんだ! 折角ここまで来たのだから、やはり予定通りあけぼの橋まで行こうかと思い直し、また向きを変えて、風上に向いた。しかし相変わらず5Km先の橋あたりは霧雨で殆ど視界がきかない。 さあ どうしよう!どうしたものか? 単純なことだがなかなか決まらない。
自転車を止めて、道端に咲き始めた萩の花を眺めながらしばらく迷ってしまった。
行っても行かなくても濡れるか濡れないかだけであり、私の人生には殆ど影響はないが、どちらかを決めるのは、諺に言うほど単純ではない。
こんな些細なことで悩んでいては、傘をさしてそばを通る人にも格好が悪い。やはり行こう!と最終的に決めて、風上に向かってサイクリングを続けたのだった。
確かにヒマラヤ登山のような大プロジェクトなら、登山仲間の名誉や、留守宅で吉報をまっている仲間達、更には調達した資金を無駄にしたくない気持など、悩む材料は山ほどあるだろう。しかし強行すると今度は命が危なく、万一遭難者を出した場合は家族の嘆き悲しむ顔も浮かぶ。リーダーには大変な重圧である。 しかし今回の場合、命の危険も無く、お金も全くかかっていない、雨に濡れるかどうかだけだが、それでも2者択一となると、いろいろ考えてしまった。
人生は毎日このような中小の決断の連続である。選択の自由が無く、雨でも霧でも、兎に角、進む以外に道がない場合は返って楽であるが、ふつうは小さくても何らかの選択の余地があり、どうすればより好ましい結果が得られるか悩み、どちらかに賭けなければならないことが多い。平凡な人生もなかなか難しいもだと思いつつ、汗と霧雨でずぶ濡れになりながら一周を終えた。