2015年02月

2015年02月26日

150227 川崎の中1殺人事件

川崎市で中学1年生の上村遼太君(13)が虐殺された。殴られ蹴られた挙句、カッターナイフで首を切られる残忍極まりない殺人は、テレビを賑わすイスラム国と同じ恐怖の事件だ。                                                                                                                 
隠岐の田舎育の上村君は上京しても孤独で、近くの公園にたむろする高校生らのグループに近づき、仲間入りを喜んだのは束の間、万引き等を強要され始めた。恐ろしくなって脱退を試みたが許されず、抵抗し続けて遂に虐殺された。素朴な彼は周囲に助けを求める手立てが分からず、教育委員会や市役所も無責任で, 彼からの微弱なシグナルを無視し続け、小さな胸に苦悩を抱え続けた当人は、結局誰にも打ち明けられないまま殺害された。                                                                                                                                                      
山陽線沿線の山村で育った私も子供時代の小さな出来事を思い出した。T駅と I駅の間に位置する私の生家は両駅のほぼ中間にあり、2〜3Km離れたT駅に出るにはガキ大将がいる集落があり、意地悪されるのが怖くて、集落を横目に見ながら遠く離れた鉄道線路を駅に走った。3〜4Km離れたI駅も途中の坂道には別の恐ろしい集落があり、鉄道にはトンネルがあって通れず、苦痛のタネだった。後年友人達に聞くと、あの集落が何故怖いの?ごく普通の人達だよ!と笑ったが、当時の幼稚な私にはどちらも恐怖の関所だった。                                                                                                                                               
孤独な上村君は公園にたむろする仲間に加わって喜んでいたが、不良グループの実態を知って何とか脱出を試み始めた。しかしグループのリーダーは、組織を維持し脱退を許さないことが最大の掟であり、抵抗し続けた当人は遂にグループから虐殺されてしまったのだ。                                                                                                                                                                               
この川崎事件を知って私は直ぐにイスラム国の残忍な行為を連想した。イスラム国は甘言で中近東や欧米で不満に募らす青少年達を呼び寄せて、軍事訓練を施して軍隊に仕上げる。そして統治機構が空白のイラク北部、シリア北部の最前線に戦闘要員として送り込む。高邁そうな立国思想に酔ってはせ参じた若者達も、現地の恐ろしい実体を知って恐怖に駆られた、脱出を試みようとする者は、公開の首切り処刑、火炙り刑などで、厳しい処罰を受けることを知らしめて逃亡を防ぎ、組織の維持を図る。 ネットで報道される恐ろしい公開処刑は 欧米向けではなく、実は自国軍隊の組織維持と脱退防止が主な目的だと私は思う。                                                                                                          
                                       
川崎事件の責任は親、先生及び市役所の怠慢にある。被害者の上村君も大声で助け求めるべきだったが、田舎者にはその手段が分からず、仮に求めても解決できる筈がないと思っていたに違いない。親も多分生活に追われて対応できず、上村君が学校を全休し始めた時が助けを求める最後のシグナルだったが、単にメール発信で責任を回避できると考えた先生の無責任にも呆れてしまう。財政豊かな川崎市はかような事件に対応する専任の担当者を設けていたと聞くが、その担当者の怠慢は厳しく問い質されるべきである。                                 
                                                    



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2015年02月20日

150220 プロ野球が始まる

外はまだ寒いが、2月も後半になると陽光は確実に強くなり春到来を感じ、プロ野球のニュースがテレビ,新聞を賑わし始めた。野球はのどかなで退屈なスポーツだが、春から秋への長いシーズンの話題を維持するには適役だ。

まず注目を惹くのは米国メジャーから広島に帰ってきた黒田博樹(40)だ。米国で5年連続2桁勝利の実績から、メジャーからの年俸20億円の提案を振って1/5に激減する広島に帰ってきた。黒田は色々悩んだらしいが、野球人生の終盤近い自分は故郷の広島で最後の一球を投げたいと決めたという。その心意気は清々しい。広島に帰ります!と黒田の電話を受けたカープは仰天して大騒ぎになったという。サムライが目立つプロ野球界では珍しく正統派の紳士だ。球団社長と優勝を誓ったそうで、今年も楽しませてくれそうだ。

松阪大輔(35)もメッツを辞めてソフトバンクに帰ってきた。先発に拘ったが昨年も3勝3負に終わり、若手が伸びてメッツで出番が少なくなり、まだ日本なら働けると思ったのだろう。一見ふてぶてしくて実はシャイな彼はメジャーでは余り結果を残せなかったが、9年振りの日本で再び雄姿を見せてほしい。

41才になるイチローはマリナーズ1年目に首位打者とア・リーグ最優秀選手, 新人王に輝き、米国の子供達を狂喜させた。シアトルで12年間働き、年俸18億円を5年間維持して、ヤンキースに移り6億円3年を経て自由契約になり、色々探し回った結果、フロリダマーリンズの年俸2.3億円一年契約に落ち着いた。例によって哲人ぶって難解に話す態度は相変わらずだが、メジャー通算3,000本ヒットにあと156本と近づき、何とかメルクマールを達成したいとの思いもあるだろう。マーリンズは既に若手外野手が3名居り、彼は第4の外野手で出番も減るが、一時代を画した日本のエースであり何とか活躍してほしい。彼は日米通算4,122安打で、歴代第一位のピートローズの4,256に残り134本という目標もある。更に彼には足もありメジャ−500盗塁の記録も目標だという。職人イチローは決して本心を語らず回りくどい話し振りには少々辟易するが、現役以外に生きる道は無く、国内の監督とかコーチは論外で、野球人生を米国で燃え尽くす覚悟だろう。

若手代表にヤンキースの田中将大もいる。高校時代のライバル斎藤祐樹は塗炭の苦しみを続けているが、田中は驀進街道を走り、渡米した昨年の前半は絶好調だったが、中4日の厳しいローテションに右肘を痛めて13勝5負で後半を休んだ。先発故障が相次いだヤンキースは新たに先発6人の主柱に予定していると聞く。楽天で無敵の24連勝0負を誇った当人もメジャーで初めて挫折を味わったが、まだ26才と若く今年こそ本領を発揮して20勝超えを目標に再び雄姿を見せて欲しい。

レンジャーズのダルビッシュ(28)は、初年度16勝9負、2年度 13勝9負、昨年は10勝7負、と成績を下げ続けている。ガキ大将風の田中将大とは違って端正な容貌で、紗栄子、古閑美穂、加藤綾子、山本聖子。。。と多くの美女を泣かし続け、我々凡人には羨ましい限りのやりたい放題で少々腹立たしいだが、この辺で挽回しないと人気を失って女性達も去り、米国での居心地も悪くなるのは確実だ。

巨人阿部慎之介(35)は、アイドル女優小泉麻耶(26)との不倫で週刊誌を賑わし、遂に球団もキャプテンを外して1塁にコンバートした。確かに昨年の阿部は素人目にも異常で、巨人の4番打者としても、打率2割4歩8厘、ホームラン19本の散々の成績で、チームの意欲を削いだ。不倫問題が雑誌に公表されて暴力団からの恐喝の恐れも無くなり気分的に楽になっただろう。精力絶倫な若い男なら誰でもこのような誘惑に陥り易く、原監督自身も現役時代に芦屋の巨人軍定宿ホテルのアルバイト女性に手を出して妊娠させ、暴力団に1億円を強奪された。屈辱でもマスコミから早急に解放されるよう原監督がアドバイスしたに違いない。
                                                                                                                  
別件だが、甲子園野球から遠ざかって久しい高校野球界の超名門のPL学園(大阪)は入学希望者が激減して野球部が存亡の危機にあるという。あれほどの名門校でも実績が無くなると致命的な危機に陥ってしまう。野球に限らずあらゆるスポーツは、厳しい練習を続けて実績を挙げると報酬も巨額になるが、鍛錬を怠り安穏に耽ると直ぐに地獄の底に突き落される厳しい世界だ。天賦の才には無関係な小生も、平穏な世界に住めることを感謝しなければならない。 






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2015年02月14日

150214 サッカ- アギ-レ監督

サッカー日本代表のアギ-レ監督が解任された。4年前に彼がスペイン1部のサラゴラの監督として、既に1部残留が決まっていたレバンテ相手の最終戦に辛勝してやっと1部残留を決めた試合が実は八百長だったと起訴されたのだ。決定的なゴール時の映像をテレビでみたが、ゴールキーパーの動きが怪しいかどうか素人目には判断出来なかった。大相撲も同様だが八百長ゲームかどうかは 当事者以外の外部からは判定は非常に難かしいが、今回はスペインプロリーグ会長が現金贈賄の証拠を掴んだという。

昨年8月に日本チームの監督に就任して以来、6勝2負1分の結果だが、下位チームには勝っても上位チームには勝てなかった。特に先日のアジア選手権でUAEに敗れ8位入りを逃したのは痛かった。日本代表は30本のシュートを放ったが得点は1点で、PK戦に散った。PKはクジ引きだとも聞くが、今回はズブ素の私も首を傾げてしまった。最初に蹴った本田がクロスバーの遥か上空を越える大ホームランでバックスタンドに打ち込んだのは流石に驚いた。何だこれは!と殆どの視聴者も思ったに違いない。味方はあっけにとられ、敵方は大歓声だった。素人でもあんなに無茶蹴りはしない。その後、OK5本を蹴って同点、6番手の香川がコーナーを狙ったがポストに弾かれて跳ね返り、悔しさに顔を歪めたが、対照的に本田は平然としていた。憧れの日本代表に選ばれでもピッチに立てずベンチで見守り続けた選手達の心境は如何だっただろうと思う。                                                                                
                                                                    
戦い終わってインタビューの時、香川は自分のPKミスを詫び深く頭を下げた。しかし本田は違った。自分のPKミスには全く触れず、試合中に得点できずPKに持ち込んだことが敗因だと語った。しかしそれでは話の順序が違う。確かにそれもあろうが、本田が普通に蹴っていれば結果は全く違った筈だが、その大ポカは全く釈明せず、評論家風の説明に驚いた。周囲の厳しい雰囲気を察してか、本田は成田には帰らずスペインンに直行して、日本フアンとは顔を合せなかった。                                                                                                                
サッカーにズブ素の私が勝手なことを書いて恐縮だが、サッカーでは個人プレイも必要だが、勝手過ぎる仲間がいると、他のメンバーは戦意を消失するだろうと心配になる。アギーレ監督は先発メンバーを殆ど殆ど変えず、精々交代枠で武藤、酒井、清武を使う程度で、毎回同じ先発メンバーを重用し過ぎた。そして後半に疲れが目立つ遠藤を交代させたり、長友のようにゲーム中に足が痙攣して動けなくなる事故も起きた。                                                                         
 
スポーツと違って能力の判定が難かしい一般社会でもこれと似た人材偏重が多く、多くの上司は特定の部下を重用し、幅広く使いこなすことはしない。少数の部下を重視する上司に対して私は大きな嫌悪感を抱き反抗したので、私自身も上司に信頼されることは余りなかった。逆に私が社員60名の米国系診断薬会社の社長を12年間務めた時は、これを反面教師として、特定の人物を重用しないように極力努力した。個々人の能力を尊重して、幅広く各人の自由裁量を許した。(逆にやり過ぎた反省もあるが) 多分上司の多くは能力を重視して起用した結果だと弁明するだろうが、上司の判断力自体が怪しいのだ。即ち自分好みの部下の能力は過大評価し、反抗する部下の能力は評価しない。                                      
                                                                     
私の技術分野では、比較的公平に成果を判断でき、また営業部門でも売上金額でかなりに客観的に判断できるが、銀行マンなどの成績査定は如何に決めるのだろうか、誰か聞いてみたいと思っている。数値には現れなくても能力は評価できると言うかも知れないが、それは至難であり、結局学閥とか地縁、縁故、上下関係などにより判断が大きく影響される筈だ。そしてそのエスカレーターから外れた多くの社員は、年月の経過と共に戦意を失って努力を諦め、無念の人生を終える。標準以上の社員なら、ある程度の運さえあれば、誰でもエースになりヒーローになりうる可能性を持っていると私は思う。また自己の無能力をカモフラージュして殊更にチームプレイを唱える社員は更に嫌悪感さえ感じる。                                                                                       
私は、社長一家が支配する同族会社でのサラリーマン生活が長かった、多少の問題はあっても、同族会社の社長は自己保身に専心する必要が少なく、情実よりも実績を重視して、事業の発展に大きく貢献する社員を素直に高評価するので、私は後顧の憂いなく安心して仕事ができた。しかし眼光鋭い同族社長さえ誤魔化す茶坊主社員もおり、社長業は並大抵の能力では務めることが難しいとも思った。                   
                                                                     
同族社長の欠陥は、祖先伝来の家業を重視し過ぎることであり、社会の長期的な変化をなかなか認めないことだ。時代と共に社会は必ず変化することを軽視し、伝来の事業に固執する傾向が強い。如何なる事業も永遠に繁栄することはあり得ないが、それを信じようとせず、自己の成功体験をもとに判断する。そして結局 長期戦略を誤り、企業は取り返しのつかない斜陽に転落する。そのような例がいくらでもあり、身近な実例としては、Window sで全世界を席巻しPC市場を謳歌しているMicrosoftが、急速に拡大するスマホでAppleやGoogleに出遅れて苦境に瀕している例がある。                                                                                                          
私が社長 として学んだことは、如何に社業が隆盛を極めていても、必ず小さな別働部隊を組織する必要があることだ。その別働隊の任務は、本業を全否定して、代わりに何が生まれるかを探り、時代変化に対応して新事業を創造することだ。 しかし恰好よく言っても隆盛を極める現事業を否定して 新らしい事業を創造することは極めて困難で、脇役に追いやられた感じで寂しい役目でもあるが。         






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2015年02月09日

150209 バリューム検診

久し振りに市のバリューム検診を受けた。朝食抜きで早朝に保健所に行くと 、私と同年代の高齢者が多数並んでいた。口煩くて不器用な年寄ばかりなので女性係員は懸命に気遣いして動き回る。私もバリューム検診が好きではないが高齢を考えて時々は受診している。

いつも前日の夕食は消化の良いものを早めに食べてその後は飲食禁止だが、今回は翌朝でも撮影2時間前迄ならコップ半分の水ならOKとのこと。 私は血栓を起こさないように水分を多くとる習慣なので、半日も水を飲ま ないと少々不安になる。タマネギ料理は血をサラサラにするとテレビで宣伝しているが私は信用しない。それよりもコップ半分でも水を飲めば血液が薄まってサラサラになるのは確実だから、いつも水分を多く取るように心がけている。お蔭さまで喜寿の今でも元気に働いており、我流でも優れた健康法だと内心思っている。
 
保健所にはレントゲン車が3台並び、直ぐ私の順番となった。ジャージー姿なので、着替えも無く直ぐに撮影に入る。まず酸っぱい酒石酸粉末をノド元に含んでごく少量の水で飲み込む嫌な手順だが、今回は水が粘っこい液体に改良されており簡単に飲み込めた。続くバリュームは従来は一回では呑み込めない量を2〜3回で無理に飲み込んだが、これも改良されて従来の半量以下に減り本当に楽になった。古い検査法でもメーカーは改善に努めているらしい。X線撮影は相変わらず狭い台の上をゴロゴロ回転し体を捩じるのでかなり苦痛だが何とか我慢はできる。4〜5分で撮影を終わった。

現像したフィルムはX線技師が調べる。これは非常に緻密な仕事で技師には厳しい作業だ。もしガンの陰影を見落すとあの検診で何故発見されなかったかと詰問されるから。 近年は内視鏡カメラの普及で、胃や大腸はファイバースコープで直接検診でき、ガンを発見すると直ぐ切除するので、強力なライバルとして登場したが、バリューム検査は素早く多人数の検診に適し保険点数も低いので財政負担も少なく、市町村はバリュームに固執する。X線技師は特殊な業種でリストラ失業の心配もないが、代わりに地味で本当に根気を要する仕事だ。私も技術屋の端くれで日の当たらない縁の下的な仕事が多かったので、その気持ちは分かる。 

話が飛ぶが、STAP細胞の小保方春子さんは、何故あのような大事件を起したのだろうか?もしSTAP細胞が本当に存在すれば世紀の大発見でノーベル賞は確実だが、残念ながら実証されなかった。報道では小保方さんのSTAP細胞に含まれていたES細胞は山梨大学の若山教授研究室の冷蔵庫にあったものと同株で、そのマウス遺伝子が検出されたと言う。世界の科学者が仰天した大発見だから、もし何か作為でもあれば必ずばれることを小保方さんも若山教授も分からない訳はなかった筈だが。

近年の緊縮財政で公立研究所や大学は研究成果が厳しく査定され、早急に成果を出すことが求められている。近年東大とか阪大の研究論文もインチキ論文が多いと報道されており、目ぼしい成果の出ないまま研究を続けると直ぐにクビになる厳しい環境に変わってきた。

私の単なる想像だが、最初は小保方さんが研究で小さな作為をして見栄えする結果を出したのだろう。しかしその見栄えある結果を継続させる為には次の作為が必要となり段々と拡大して、共同研究者や理研TOPも巻き込み大規模な作為になりSTAPに成長したのだと思う。そして世界の有力誌Natureへの投稿となった。内容の重大さに驚いたNature誌は、こんな大発見は新人女性に出来る訳がないと却下した。しかしここで退くと研究の全てを抹殺される小保方さんは突き進む以外に無く、遂にNature掲載を強行した。そして世界を驚愕させる大問題になったのだ。 

50年以上前の私の学生時代は、研究テーマが決まるとChemical Abstractの4〜5年分を読み、最先端の研究内容を掴んで、その続きから着手する手法だったが、近年は研究スピードが猛烈に早まり、パソコンで電子速報版を読み、最先端の内容を掴んで、直ぐに研究を開始し、寸刻の猶予も許されない時代になった。これは民間企業も同様で、技術者は精神的な余裕など全くない悲惨な時代に変わった。科学技術の発展は日常生活を豊かにするのは確かだが、同時に担当者を徹底的に追い詰めているのも現実であり、小保方さんもその犠牲者だと思う。





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2015年02月02日

150202 後藤健二さんを悼む

後藤健二さんがイスラム国に惨殺された。安倍首相を始め日本人全員が何とか無事に帰国して欲しいと祈ったが遂に敵わなかった。世界の人々がI am Kenjiと大書して彼の無事を願ったが、全世界の後藤ファンが見守るなかで虐殺されてしまった。全く不条理この上ない結末になった。

ヨルダンがサジダ-リシャウイ死刑囚を解放すれば後藤さんも解放されたであろうが、その願いは敵わぬことで、ヨルダンは自国のパイロットの無事を第一に願うのは当然であり、誰も責めることはできない。互いに相容れないヨルダンとイスラム国の思惑は平行線を辿り、遂に交わることは無かった。問題はヨルダンが救出を切望したパイロットが元気でいるかどうかで絶望の雰囲気が濃厚だが、イスラム国は黙して語らなかった。

後藤さんはこのシリアに度々出入して戦火を逃げまどう子供や女性達の悲惨な現状を訴え続けてきたことを,今回の事件で世界の人々は始めて知った。そして世界は彼が何とか無事であって欲しいと願い続けたがいた徒労に終わった。

本事件の始まりは、湯川遥菜さんが個人目的でシリア入りしたことから始まったが、多分その際後藤さんは何かアドバイスしたのだろうか。湯川さんが捕まったことを知って責任を感じた後藤さんは直ぐに救出に向かった。超危険地帯であることは百も承知の上でシリアに入った後藤さんは、何が起きても全て自己責任です、と発言していたが、まさかこのような結末に終わるとは思わず、何としても無事に帰国しようと思っていた筈だが、誰かに裏切られてしまった。荒涼たる砂漠に引き出されて惨殺される時の後藤さんの恐怖と無念さは想像もできないが、今は砂漠に散った彼の心中に静かに思う以外にない。

人種問題と宗教問題が複雑に絡んだ中東は、アメリカを始め創始国イギリス、フランスや世界の諸国も殆どお手挙げの難問であり、アジア遠隔地の日本が直接対処できる事は無く、人道援助に手を差し出す以外になかったが、後藤さんは現地の悲惨な状況を世界に発信し続けた。

オバマ米大統領、キャメロン英首相、オランド仏大統領、メルケル独首相、アボット豪首相ほか世界のリーダーは後藤さんの偉業を称賛し非業の死を悼んでイスラム国を激しく非難した。世界中の人々もWe are Kenjiと書いて彼の無事を祈ったが遂に通じなかった。何も語らず沈黙し続けたのは 次期韓国大統領の椅子が気懸りなパンギムン国連事務総長だけだった。

しかし後藤さんは決して犬死ではなかったと私は思う。我々が如何に大金を積んでも決して達成できなかった日本人の勇気と博愛精神を世界に示してくれた。日本は平和な国ではあるが、決して世界を忘れて自分達の安穏を貪っている国ではなく、後藤さんのように我が身も省みずに、世界で苦しむ人々を救うため努力する国民もいることを見事に証明してくれた。日本が如何に大金を積んで援助しても、決して得られなかった世界の称賛を後藤さんは我々に遺してくれた。後藤健二さん 本当に有難う。ご冥福をお祈り致します。  





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