2015年10月

2015年10月25日

151025 VWの野望と挫折


どう考えてもドイツVWは不可解な事件を起こしたものだと思う。念願の世界No.1の地位に手が届いた瞬間に世界を欺き続けてきた不正ソフト事件が発覚してしまった。 謙虚で優しい我が大和民族とは違って世界の歴史をリードしてきたゲルマン民族だけあって、やることのスケールが大きい。                    
                    
聞くところによると、ディーゼルエンジンの排ガス中のNox除去は難しく、特にターボ型高圧ディーゼルは燃費は最高だがNOx除去は至難だという。中国政府が自国の巨大マーケットを日本には渡さないとの意向もあって、VWは中国で圧倒的な優位を享受してトヨタに肉薄した。しかし自動車マーケットの本場米国では日本に勝てず、米国のVWシェアは5%に低迷し続け、日本車の35%に近づくことが念願であったが、急ぎ過ぎて世紀の大スキャンダルを起こした。 VWに命運を託した中国政府の顔も見たいが、不都合な案件には黙して何も語らない。以下私の独断と偏見で事件の経緯を推察した。                                
                 
結論は、ディーゼル排ガス中のNOx除去技術は予想以上に困難で時間がかかり過ぎたのだろう。米国で先行する日本車を追撃する為、米国のVW首脳から矢の催促を受けたドイツ技術陣は、取り敢えず不正ソフトで時間を稼ぎ、その間にNOx除去技術を完成して直ぐに正常ソフトに戻そうと思った筈で、米国民を長い間騙し続けられるとは思っていなかっただろう。しかし何年経ってもNOx除去技術は未完で8年の年月が過ぎた。その間に世界の排ガス規制は更に強化されて、遂にはゼロ排ガスの電気自動車や 水蒸気のみの燃料電池自動車も目前に迫り始め、Nox除去対策は遅れ勝ちになった。不正ソフトには知らん顔でも次々と廃車されるのを待ち、次世代の電気自動車、燃料電池自動車に乗り換えられる幸運を期待するほど楽観はしていなかった
だろう。                                                               
                                                                        
私はヨーロッパ各国に友人知人が何人もいるが、国ごとに気質が大きく違う。陽気で大胆なイタリア人やスペイン人などラテン民族なら あるいは不正ソフトを考えたかも知れないが、 厳しい風土に鍛えられた勤勉実直なゲルマン民族のドイツ人には不正ソフトは全く不似合いだ。我々アジア人で言えば、脱線した新幹線を地中に埋めて事故を隠蔽しようとする思考回路の中国人とか韓国人なら不正ソフトもあり得るだろうが、トヨタに代表される正直で勤勉型の日本人技術陣には殆ど発想も出来ない奇抜なアイデアである。昨今 国内で大騒ぎの三井マンションの杭打ち不正事件も、本質は一過性であり、損害規模も総額300億円前後だが、VWスキャンダルの損害想定額は5兆円以上に達する超巨大スキャンダルで、桁違いの大事件だ。                                              
                                                                   
哀れなのはメルケル首相であろう。財政窮迫のギリシャは悲鳴を上げて資金援助を求め続け、ロシアは国際ルール無視でウクライナ領土を占領し、更にシリアからは100万人規模の膨大な難民がヨーロッパに押しかけて大混乱の最中に、ドイツ経済の屋台骨を支える肝心要のVWスキャンダルが発覚して、経済の先行きも怪しく成り始めた。                                                          
              
聞くところによると、VWはディーゼル車から電気自動車に重点を移すそうだが、世界に残した1100万台にも達する不正ソフト車のリコールと賠償は残ったままで、その対策総額は5兆円以上に達し、VW単独では負担しきれない。 VWの課題は世界No.1のメーカーになることから、如何に自動車業界で生き残るかに変わってしまった。 VWの幸運を祈っている次第。             





mh3944 at 08:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 政治 

2015年10月18日

151018 NMR受診

前々から希望していたNMR(磁気共鳴画像診断)をやっと受診することができた。NMRはかなり行き渡り、中堅病院でも簡単に受診できる時代になったが、私には複雑な事情があった。実は35年前、 まだDIC企画部長の時に 私は体の運動機能に異常を感じて、都内の有名なK大学病院の神経内科に外来診察して、急遽 入院治療を勧められてそのまま入院した。精密検査の結果、脳腫瘍と判明し、脳外科に移って腫瘍摘出の手術を受ることになった。
                                                             
私が開頭手術を受けたらしいと知った会社の同僚達は驚愕した。そして手術後まだ苦しんでいる内、お見舞いと称して入れ替わり、私の病状探りに同僚が来院したのには閉口した。手術後 無事に退院して2ケ月間療養した後、お盆休みで会社が閑散な頃合いを見計らって私は出勤し始めたが、同僚達は殆ど休んでいなかった。脳手術の後、私が正常に判断ができるのかどうか彼等は興味深々だった。社内の会議では、頭を手術した人の発言だが…と陰口を言われたこともあった。             
                                                                  
  
その当時はCT導入が始まったばかりで、大学病院も外国製CTで、X線源と検出装置が頭の周囲をガラガラと轟音を立て回転する装置だったが、年月が経過して CTは画期的に改良され、今では殆ど音もなく静かに回転し素早く鮮明な結果を出す最新装置になっている。                          
                
比べてNMRはまだ新しいが、脳血管の詳細を調べるには必須の検査となった。脳手術の履歴をもつ私は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの関連病気の発症の危険を知りたく 、前々からNMR受診を希望していたが 以前の開頭手術した時、頭骸骨の再固定に使った金属製クリップが頭部に数個残っており、電磁気に反応して発熱する危険があるのを恐れていた。私の脳手術を担当した大先生はとっくに引退し、同病院の窓口に相談すると、30年前のカルテは倉庫の奥深くで、留め金の材質は分かりませんという。脳外科外来の若い先生に相談すると、クリップの材質は不明だが、事故が起きたという話は殆ど聞かないから、まあ大丈夫だよ!と気軽に言われた。私は、磁気で発熱しないステンレスだろうと勝手に想像はしていたが確信がなく悩んでいた。                                                         
                                                                

先日、近くの中堅N病院の脳外科医師の講演会があり参加して話を聞くと、頭骸骨の留め金は多分磁気に反応しないチタン製の筈だから大丈夫だろうとの一歩進んだ説明を受けた。 脳内の金属クリップが加熱して脳の一部が焼けて発狂することを心配する妻は反対したが、思い切ってその中堅病院でNMRを受診することにした。    
                                                                

まず最初に検査室で採血し、続いてNMR診察室に入った。室内は簡素で中央に大きな装置がデンと座っていた。時計、メガネを外し、金属入歯の有無、ペースメーカー装着の有無などなどを確認し、検診台に乗って大きなヘルメット型枠を装着しトンネルに入る。そして始まりまーす、異常を感じたらすぐボタンを押して下さい!とアナウンスがあり、装置が動き始めた。 ブーンと音がし始めて、グアーンと大音量になり、続いてキーンと音質が変わる。まだ事前準備らしい。そして測定が始まり、回転音らしき轟音が5分くらい続いた。途中で一時ストップして再び同じ轟音が繰り返された。何だか気分が悪くなり始めたが、ここでストップすると診察が全て無駄になると思い我慢した。そしてやっと15分近くが経過してNMR測定が終了した。騒音が立て続けに発生するNMRはまだまだ未完成だと思った。今後何年か経てば、CTのように静かな装置になるのだろう。      
                                                                    
                                                                
NMR測定を終えて再びの脳外外来に戻ると、暫く待って先生に呼ばれ部屋に入った。デスクのモニタ-には既に私の頭の血管撮影の写真が大きく映っていた。多分1週間後に結果を聞くのだろうと予想していたが流石に早い。脳血管の詳細に拡大しながら、小さな脳梗塞は散見されるが、大きな異常はありません!との診察結果だった。更に1時間前に採血した生化学検査の結果も30項目ほどプリントされておりその早さにも驚いた。生化学検査は殆ど正常で、喜寿過ぎの男性には立派な値です、と変に誉められた。長い間 願い続けてきたNMRを受診できて 異常ナシと判明し、更に生化学検査もOKで、私は何だか急に自信を取り戻して元気になった気がした。 余り医者にお世話にならない私だが、日進月歩する医療技術には感心させられた1日であった。            




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2015年10月12日

151012 パソコンの功罪

零細企業オヤジの私は、総務+財務+庶務+人事+営業など 殆ど全ての業務を一人で処理している。経理は若手スタッフに外注しているが、環境が厳しい今日、新人を常雇用するとすぐに収支が合わなくなってしまう。昔はどこの企業も毎年多数の新人が入社していたが、製造業の多くが中国など海外に移転したため、国内に就職の場が激減して新卒学生は苦境に追い込まれた。更に高齢者が急増して医療費が国の税収と並ぶ40兆円にもなり、国の財政を大きく圧迫して、日本の経済情勢は非常に厳しいものとなった。
                                                                   
スタッフ無しでも自営できるのはひとえに高性能なパソコンのお蔭である。業務連絡、請求書、納品書、振り込み、など殆どPCとメールで処理し、社員4人への振込みも数分で終わる。昔苦労して走り回った集金も今は振込みをお願いしており、営業を除いて殆どの業務が効率化した。営業は相変わらず難問だがHPも販促に使えるので、PCは零細企業には不可欠な武器であり、PCに不具合を生じると仕事が全く動かなくなる。しかし先日9/15の読売新聞にPC時代が青少年に悪影響を与えているとの記事があった。                  
                
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、PCを使う頻度が高い国の生徒ほど読解力の低下が激しいと判明したとの報告だ。世界39ケ国の15才の生徒を対象に国語の読解力と 数学科学の応用力をテストした処、PC普及が進んでいるオーストラリア、ニュージランド、ハンガリーなどの生徒は数学的応用力が明らかに低下しており、 逆にPC普及度が低い日本、イタリア、メキシコなどは、数学的応用力が高いとの結果だ。 またインターネット情報を読み取って分析するデジタル読解力も PC使用頻度が少ない国ほど 読解力が優れていたと報告している。日本はPCを戦略的に慎重に導入しているとの評価で少々面映ゆいコメントだが、納得できる部分もある。                                     
                    
実は私は最近 漢字が少々怪しくなり始めたことを感じている。ペンや鉛筆で漢字を書くことが怪しくなくなったのだ。PCなら漢字を自由自在に使えるので、自分の悪筆は忘れ勝ちだが、メモ書きすると書き順が怪しくなることがある。私のPCは殆ど仕事用だが、最近の若者や子供達のように、寝ても覚めてもスマホ無しでは暮らせない状態になると、問題はより深刻だろうと私は思う。 窓から階下をみると、若い女性がスマホから殆ど目を離さないまま駅に急ぐ姿にはいつも驚く。 交差点で衝突しそうになりながらもスマホから目を離さない彼女達は、一体何を見ているのか、何をしているのか不思議に思う。                            
                                                                   

ニュースは確かに面白い。しかし職場同僚に遅れないように ニュース要約を断片的に詰め込んで 知った気になるだけでは 誠に勿体ない。ニュースには深い相互関係があり、お互いに広範に関係しているのだ。世間話やゴシップなど些事雑多な情報ばかり読んでも何も満たされない。料理は満腹するだけでなく味わって食べる方が余程深い味が感じられる。 私は業務上のメールは至極便利で 私も朝から夕方まで頻繁に使っている。
当方の都合に無関係に割り込む電話と違って、メールは謙虚で仕事を妨げない。判断に迷う時もメールしておけば、知らなかったというクレイムは避けられるから。                                                                                                                                               
問題は、小中学生や高校生など若者が人格形成時代にスマホ浸りで成長すると、精神が円満に成熟せず、大きな欠陥を生じるという事実だ。ある研究者によると、ネット依存症は報酬系と呼ばれる脳の一部が委縮して覚せい剤依存症と 同じ異常な病理を生じると報告している。 人間関係は、顔を合わせて話し、表情変化を見ながら相手の気持ちを判断し、臨機応変に対応して成長するから、ヒトは情感豊かな性格が涵養される。田舎者の私は臆病な性格で対人関係には大いに苦労した。電話も苦手で、ラブレーターは書いたり破ったりの恥ずかしい記憶もあり、無理やり厳しい経験を積み重ねて悩み苦しんだ結果、やっと普通の人間らしくなったような気がしている。しかし最近の若者は 仕事も恋人探しも全てスマホで対応できる時代に変わってしまったようだ。もし私が安易なスマホ時代に育っていたら 恐らく臆病で偏屈な性格から一生抜け出すこともできず、或いは引き籠りになっていたかも知れないと思うと恐ろしくなる。                                                                                                                
近年、中学生を川に追い込んで無慈悲に切り殺した川崎事件とか、友人の女子高校生に頼まれて包丁で心臓を刺して殺す三重事件など、残酷な事件が頻発するのは、スマホで育ち常識的な判断力が涵養されていないからだろうと私は思う。 若い母親が可愛い幼児を自宅に1週間も放置して餓死させる事件など常識では考えられないが、スマホ時代にはいとも簡単に起きてしまう。中近東でもごく普通の若者達が集まって気違い集団になったイスラム国もこの流れかも知れない。社会で精神鍛錬の機会も経過せず、現実社会と空想との区別できない奇人変人がウロウロする社会はなりつつあるように思うと、本当に恐ろしい時代になった。   







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2015年10月04日

151004 バカな憲法学者

大騒ぎの末に集団的自衛権法案が成立した。共産党や社民党、 町のお母さんやお姉さん、衝動的な若者連中はまだ騒ぎ続けている。彼等は安保法案を廃案にして戦争には行きたくない、行かせたくないと叫ぶ。言い換えれば、危険な日本の防衛は米軍にお願いして、今迄通り安穏と平和に暮らしたいと言うことらしい。何とも悲しくなる身勝手極まりない連中ばかりだ。                                      
                                                                    
私は単なる一市井だが、今回の安保法案に関する野党議員の無責任な国会議論には呆れている。4ケ月近い国会論戦で、自民党は我々の国は我々の手で防衛する以外に方策は無いと主張し、 野党は この立法は明かに憲法違反だから粉砕すべきと叫ぶが、自国防衛の対案は出さない。野党は憲法を守るばかり主張し、如何に国民を守るかについては全く黙している。                                    
                                                                   
6/4の国会で 早稲田大学法学院 長谷部恭男教授が 今回の安保法案は憲法違反だと証言して国会論議が大荒れになった。中国海軍が南シナ海の公海を浚渫して不法な軍事基地を建設し、東シナ海では日本領海の尖閣に連日侵犯しているにも拘わらず、石頭の憲法学者連中は、迫りくる中国軍の脅威には知らん顔で 田舎坊主の説教のように憲法違反を繰り返し唱え続ける。オーストラリアの駝鳥は危険を察知すると頭を砂に突っ込んで安心するのと同じように 呑気過ぎる学者連中のバカさ加減にはただ呆れる。国民の安全確保よりも憲法を守るほうが何故重要なのか一言でも説明して欲しい。集団的自衛権は国連も認める国際法だが、何故 命を守る国際法が 無防備を命じる平和憲法より重要なのか?                                                                                                 

ある新聞に京都大学名誉教授の佐伯啓思名誉教授が述べている。 朝日新聞がアンケートした結果 憲法学者の90%は集団的自衛権は憲法違反であり、合憲とする者は1%だったそうだ。自衛隊についても 5割近い学者が憲法違反だと言い、合憲と思う学者は3割足らずだったという。 しかし日本国民の圧倒的多数は自衛隊の存在を容認しており、憲法改正に関しても国民の半数は賛成なのである。憲法学者の考えは国民の認識と余りにもかけ離れている。もし朝日が本気で意識調査をするのなら、日米安保体制が合憲か違憲かをも質問し、もし違憲なら日本の防衛と国民の安全保障をどうするかについても質問すべきであったと佐伯氏は言う。この最も重要なポイントである自国の安全保障に関する質問を 何故か朝日新聞は避けているのだ。                                                                    
                                                                   
日米安保体制が争われた立川の砂川裁判でも 最高裁は自衛隊の存在の合否は高度の政治的課題であり司法判断に適さないと国民の判断に問う姿勢を示している、折角アンケートするなら日本の安全保障をどうするかも是非聞くべきであった。                                                
                                                                   
確かに 一切の武力保持を否定する日本憲法を読むと、小中学生でも戦車や潜水艦をもつ自衛隊は違憲だと答えるだろう。しかし憲法学者が小中学生と同じ意見では困るのだ。学者が違憲と言うならば、激変する世界情勢の元で我々は如何に生きるべきかをも説明すべきだろう。 憲法専門の学者達が中学生的な条文解釈だけで困る。日本の徹底的な弱体化を狙った現行憲法が無視している国民の安全保障についても意見を言うべきだろう。もし日本が軍備拡充を怠り、米国が沖縄から引き揚げると 直ちに中国は尖閣と周辺の先島諸島を強奪して、東シナ海から太平洋への自由な航路を確保する行動を起こすのは確実だろう。時代錯誤の平和憲法に縛られた我々が、如何に国民の生命と国土を守るかにつき、憲法学者はもっと真剣に自説を披露すべきだ。                                                               
                                                                   
呆けたノーベル賞作家が違憲を言うのは無視すればよい。アジに煽られた若いお母さんが反対するのはもっと丁寧に説明すればよい。騒ぐことだけが目的の野党議員は落選させればよい。中国からのヤミ資金で食っている連中が安保法案に反対するのは仕方ない。しかしわが国の知性を代表する憲法学者が、田舎坊主と同じく 違憲、違憲……とお経を唱え続けるだけでは困るのだ。国会という最高の場で意見を陳述する貴重な機会には、自己の研鑽と権威にかけて、平和憲法の制約と厳しい国際環境の狭間に悩む日本国民が、如何に安全を維持し、如何に生き抜くかについて納得できる見解を披露して欲しかった。                   
                                                            





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