2016年07月

2016年07月25日

160725 農業株式会社

今夏の参院選は自民党が圧勝した。自民党単独で過半数122、改憲派合計で163と2/3を超えた。野党が叫び続けた、戦争法案反対、は効果なく, 多くの一人区で自民党が圧勝したが、東日本一人区だけは民進党が制した。特に北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟の各一人区は全て野党が勝った。TPPの影響は明らかで、北海道や東北の小規模酪農業者はTPPが日本農業を破壊すると恐れているのだ。              
                                                                   
これまでの日本の農業政策は、砂漠に水を散き続けるのと同じで、小手先の政策ばかりで干上がるのは時間の問題だった、輸血カテーテルや栄養剤チューブで幾重にも縛られ自縄自縛に陥り身動き出来なくなっていた。農村を地盤とする自民党議員は自分の票田を守る為、農民を幾重にも保護して改革を避け続け、農業の近代化を拒んできた。零細農家を守る為、経営感覚ゼロの農民達に農場経営を独占させて、日本農業を沈滞に追い込んできた。 いま必要なことは我国の農業を開放して、経営センスある若手経営者に解放することだが、農地法は知恵も資力もない専業農民に51%以上の決定権保持を保持させて自由化を拒否し、合理化を追求する米国やオーストラリア式の大規模農業酪農に移行できなくしているのだ。                                                  
                                                                    
日本農業を諸規制から解放して、株式会社として自由経営に移行させれば、創意と意欲に満ちた資本家達が次々と農業に参入して活性化するのは明らかだが、農民達も先祖伝来の土地を他人に売却するのを躊躇している。それこそ政府の出番であり、例えば100年の期限付き賃貸借契約として政府が保障すれば解決できる。100年後の曾孫(ひまご)や玄孫(やしゃご)が、零細農業を再開することなどあり得ず、年月が自然に解決してくれる。更に農業経営を近代化して都市勤労者と同じ週休2日制度を採用し、知恵を絞って、高品質な果物や花卉類、新鮮な農産物を工場生産して出荷すれば農業はまだまだ将来性に富んでいる。
                                                     
                                                                    
いまの零細農家は働き手も無く、技術研修制度とか称して中国人アルバイトを騙して使っているが、これも全く小手先である。経営を近代化して会社勤務制にすれば、IT社会に疲れた都会人が農業に参入することも大いに期待できる。また65才で定年退職した元気な高齢者達が、閑を持て余して家庭に籠って悶々とした時間を過ごしていることを政府はもっと知るべきだ。閑があり過ぎる隠遁生活から彼らを解放すれば、多くは農業に喜んで参加するだろう。現代農業は昔の肉体労働と違って機械化されており、ドライブ気分で仕事ができる時代なのだ。                                                               
                                                                   
兎に角、迫り来るTPPの大波から日本農業を守るには、無気力な農民を囲い込んで点滴や栄養剤補給で延命を図ることは直ちに止めて、早急に100%自由経営ができる株式会社に脱皮させる以外に対策はない。瀕死の農民票などを当てにせず、自民党は本気で農業改革に取り組むべきだ。                 


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2016年07月19日

160719 四面楚歌の中国外交 

広大な南シナ海を囲い込んで中国の領海だと宣言して埋立て強行中の計画が, 7/12 ハーグ常設仲裁裁判所より違法であり認められないと判定され、中国外交に大打撃となった。同じく昨年10/20、習近平が英国に国賓訪問して,エリザベス女王と面談した時、一行はとても失礼だったわ、と女王が漏らした私語が偶然マイクに拾われて世界中に流れて大評判になった。これも大変な屈辱だ。中国政府が世界各国と進めている大型商談の殆どが破談になり習近平外交は大混乱に陥っている。                                                                                                       
まず1年前に、日本がインドネシア政府とほぼ内定していたジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道計画が、契約寸前に中国に横取りされた事件がある。必要資金は全て中国が負担するという好条件だったが、先日破談になったと報じられた。インドネシア政府に債務保証を求めてきた為、それでは話が違うと契約が破棄されたという。同じく昨年9月に発表された米国ロス〜ラスベガス間高速鉄道計画も、今年9月に着工される予定だったが、米国レールを使うバイアメリカン法をクリアできず米国Express-West社が破棄を宣言した。            
                                                                   
タイにおいても、中国側の出資計画が実行されず大部分が無期延期された。またメキシコ初の210Kmに及ぶ高速鉄道も5000億円で中国が落札したが、ペニャニエト政権の贈収賄が暴露されて契約が解消された。フリピンでも混雑を極めるマニラ首都圏の鉄道網整備計画が2年間で完成する予定だったが全く実行されず立ち消えになっている。更にベネズエラも450キロ高速鉄道計画が、原油不況で現地政府が資金調達できず、計画用地の殆どが放棄された。かように中国が世界各国と契約した高速鉄道計画の殆どが契約解消に追い込まれているのだ。更に中国高速鉄道は故障率が非常に高いという技術的問題も最近暴露されて破談進行に輪をかけているという。                                                           

習近平がキャメロン英首相と交わした7兆4千億円の超大型投資、イギリスエセックス州のブラッドウエル原発計画も、遠くない将来に解消されると私は確信している。理由はキャメロン首相が辞任して女性首相テリーザ・メイ(59)に交代し、最高秘密の原発を信頼性に欠ける中国政府に発注する計画は、危険過ぎて国防上の大きな懸念材料となる筈であり 実行される訳がないから。                                                                                                                             
習近平が世界にバラまいた大型案件が次々破談する理由は、高成長を続けてきた中国経済が突然変調に陥り、これら大型計画を遂行する資金力がなくなったのだ。中国内には倒産寸前の企業が続出し、資本主義経済では自然淘汰される筈の不良企業が、中国では国営/国家公務員のため簡単には整理解雇できず、地方政府が必死に支え続けている。そのため非効率な経済体質の改善が一向に進まず、経済不況は益々深刻化しているのだ。これは共産主義経済の根本的な問題点であり、如何に解決できるか世界は見守っている。                   
                                                      



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2016年07月12日

160712 農村を破壊するキョン

 
温暖で自然に恵まれた房総は、別荘を建て優雅に暮らす定年退職者が多いが、近年その家庭菜園が荒らされ始めた。丹精かけて育てた野菜や果物が、突然根こそぎ食い荒らされる。調べるとキョンという小鹿に似た動物の仕業だと分かった。15年前に閉鎖した行川アイランドから逃げ出して、南房総に大繁殖しているという。キョンは中国原産の中型犬サイズの動物で、俊敏で可愛いが繁殖力が強く、近年南房総で急激に増殖して農作物や野菜,花卉類を食い荒らし始めて大騒ぎになっている。
                                                                  
千葉県や東京都は特定外来生物に指定して捕獲することを決め農協も駆除に乗り出したが、俊敏な夜間活動型で菜食性の為 ワナによる捕獲が困難、更にメスは半年で成熟して繁殖し始めるという。南房総を中心に広範に拡散し、最近は北上して利根川近くでも見かけるという。このままでは房総半島を突破して、関東地区一円に拡がり、将来は本州全土に拡散して、我国の農業に甚大な被害を及ぼすことが予想される事態となっている。                                                                                                                            
千葉県は対策を練っているが、キョンは集団生活せず、あらゆる農作物を食し荒らし、逃げ足が早くて更に川や沼も平気、利根川なども難なく渡る。近い将来 日本農業に大きな打撃を与えて致命的な被害となり、TPPどころではない重大事態に発展する危険性もある。自然界では食物連鎖のコントロールが効いてキョンが大繁殖するとオオカミ等も増えて増殖が抑えられるが、猛獣が居ない我が国山野では増え放題の異常事態になっている。                                                                                                                                   
千葉県議会が結論の出ない小田原評定を続けている間に10余年が経過し、何ら効果的な具体策も実現しないまま、既に5万頭以上に殖えたという。このまま繁殖し続けると全国に拡散して、将来は、信州の高原野菜なども食い荒らすのも間違いなく、全国の農耕地は全て高い鉄柵で囲い込まざるを得ない事態に追い込まれ、日本農業の存亡にも関わる大事件になる。                                                                                                                           
私見だが、キョンの繁殖を食い止めるには遺伝子学的な手法しか残されていないと思う。早急に動物学者を動員して対策を考え、例えば発情ホルモンでオスを一網打尽するとか、放射線をかけて生殖能がないキョンに変える手法などいろいろ考えられよう。素人の無駄な議論は早急に止めて、日本の動物学会等を総動員して早急に対策を講じるべきである。                                



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2016年07月07日

160707 ワンマン社長の功罪  

液晶の世界モデル、亀山方式を開発したシャープが 下請メーカーの鴻海(ホンハイ)に3900億円で買収された。鴻海のワンマン郭台銘会長は40年前にプラスチック加工会社としてスタートし、工場を持たないEMS方式で米アップルのi-Phoneなどを受託生産して年商14兆円の大企業に成長させた。台北の小さな本社、製造の殆どは中国ほか海外拠点で実施、全社員100万人の内、台湾は5万人足らずだという。同社の強みはSpeed, Cost, Scaleで、唯一の難点は営業利益率が低くトヨタの1/3, パナソニックの1/2だが、経営判断を即決するバイタリティ集団だ。                                                    
                                                                  
我が国でも、往年の名門 日本窒素の田鍋健氏は、プラスティック加工の子会社 積水化学に出向して、ワンマン社長として安物プレハブを高級住宅に変身させて 遂に年商2兆円の巨大企業に成長させた。ユニクロ柳井正社長も有名なワンマン社長で、特徴ある商品に驚異的な廉価を設定して衣料品業界に革命をもたらした。おーいお茶の伊藤園の本庄八郎社長も 自社工場は持たず全て外注生産だ。数量は保障するが商品規格は厳しく違反したベンダーは厳しいペナルティーを食う。                                         
                                                                     徳島の日亜化学 中村修三氏の青色LED開発もその流れだ、野心家の中村氏は必死の形相で青色LEDの開発に猛進した。中村氏の野心を知る同社管理部門は反発したが ワンマン社長が中村氏の意欲を受け入れて開発は成功しノーベル賞まで受賞した。開発研究は過酷な仕事で、尽きない難問に滅入る精神を鼓舞し叱咤激励し続けなければ業務の継続は不可能だ。開発研究が企業目的か自己目的かの区別はなかなか難しく、特に基礎研究ではそれは深刻な問題であるが、その心の深淵を適切に理解する上司の指導が必要となる。                                                               
                                                                  
実は私にも似た経験がある。多くの化学会社は利益率の高いメディカル分野を狙っているが、商品開発と営業の両面において大きな困難が立ちはだかる。化学会社の企画部長を務めていた私は脳腫瘍を患った為 社内での前途に暗雲を感じていたが、意を決して本社から脱出して子会社に賭けることを決意し、メディカル新会社の設立しようと、米国の100社を超える医薬企業に手紙を出して合弁を呼びかけた。しかし殆どの会社から拒否された。                                                                       
                                                                 
唯一日本に出遅れていたロスの診断薬メーカーD社から反応が来た。早速渡米して下手な英語で熱意を訴えた。黙って聞いていたZ会長は$10 million 出せば合弁OKと言った。当時のレート$=250円で25億円の巨額にはさすがに驚いたが、帰国して管理部門に相談すると即座に拒否された。まず事業計画と収支見通しを作れと追い返されたが、経験のない分野で実現性ある事業計画は簡単にはできなかった。進退に窮した私はワンマンK社長に直訴した。するとK社長は即座にOKした。彼の判断は、この100種以上の診断薬を自社開発するには25億円では不可能であり、安い買い物だと断言した。こうして私はワンマン社長に救われた。それはサラリーマン社長にはできない決断の流儀であり、台湾の鴻海社長とも合い通じる。
               
日本の多くのサラリーマン社長は、巨大プロジェクトを簡単には決断できず、時間を浪費するが、台湾や韓国のワンマン社長は即決即断で企業を成長させてきた。しかし複雑に変化し続ける時代にワンマン社長の判断流儀がどこまで有効に通用するか問題もあり、韓国,台湾や我が国のワンマン企業は環境の激変に苦しみ始めていると聞く。   
                                  


mh3944 at 11:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ビジネス 

2016年07月01日

160701 悲劇の国民投票

英国が国民投票の結果でEUから離脱することになった。EU残留を信じていた大多数の英国民は、僅差の離脱確定を知って初めてことの重大さに気付き大騒ぎし始めた。国の命運を賭ける基本政策を一時的な気分で左右される国民投票に任すことの危険性を初めて知った。これから英国はEU離脱の手続きが始まり、孤立した弱小国家へ向かって歩むことになるが、自国の若者達には大きな負の遺産を残した。以下に箇条書きに纏めてみた。                                                            
                                                                  
1)英国のUE離脱が僅差で採決されたのは、社会に不満をもつ低所得者,恵まれない高齢者や移民達が悪天候でも積極的に投票し、逆にどうせ残留に決まっている信じた中産階級や楽天的な若者達が棄権した結果といえる。投票直前に離脱反対のコックス女史が殺害されて、同情票が残留派に流れるとマスコミが報じたことも影響した。                                                              
                                                                   
2)EU離脱の大きな理由は急増する移民問題であり、社会負担の増加、テロ不安が影響したのはEU各国にも共通する不満材料でもある。                                              
                                                                
3)この結果はEU側にも反省すべき教訓を残した。歴史も国民性も異なる28ケ国を統制する為に、政治活動、経済活動、市民活動、など社会全般に過大な制限を課し始めた傲慢なEU官僚主義の責任も大きい。例えば
車の安全性、ペットの移動制限、化粧品の安全性など日常生活に子細なルールを課したことも、誇り高い英国民を傷つけた。                                                      
                                                                                                             
4)英国の高齢者が離脱に動いたことは、これから人生が始まる若者達に大きなマイナス遺産を課し英国民の世代間に大きな遺恨を生じた。                                               
                                                                 
5)スコットランドは英国からの独立運動を再開してEU残留を目指す。ロンドンの世界金融シティーも影響力が減少し始め、英国の残された資産はグローバル言語としての英語だけとなる。                 
                                                                  
6)更なるEU分裂の拡大を防ぐため、EU側は英国に対して厳しい制裁を課すのは確実で、国際金融以外に主要な産業をもたない英国は、孤立を強いられて、国力の衰退に向かうと予想される。             
                                                                  
7)ロシアは大喜びで、強硬な英国の脱落で、欧州と米国を分断させる手掛りを掴んだ。英国をEU参入の足掛りとしていた中国も戦略の再検討を迫られる。                                       
                                                                    
8)日本は政治的打撃が少ないが、英国をEUへの窓口と考えた1000社近い日本企業は、確実に高くなるEU関税への対策として、ドイツに新しい拠点を設立することになる。                             
                                                                   
9)EU脱退の手続きはリスボン条約に簡単な規定があり、脱退国からの通告で始まるが、英国が通告を遅らせる見込みで脱退確定迄には長い年月が必要となる。                                
                                                                  
10)我国では、重大案件は国会の2/3議決の先決が必要で、国民投票だけで結論は出せない。例えば尖閣奪取を狙う中国が沖縄県の独立を扇動しても目的を達成することは不可能。                   
                                                                
11) フランス経済学者J.アタリ氏は、誇り高い英国はヨーロッパ大陸からの内政干渉に大きな不満をもち、移民の医療費負担、テロ移民の流入、自由貿易の制限、EUの高級職員の贅沢費負担など、自尊心が大いに傷つけられていた。本件は「我が身が一番」「昔は良かった」という大衆感情の結末だが、グローバル化した国際社会から抜け出すことは大きな負担と危険を生じる。                                     
                                                                  
12)米国は英離脱に反対で、強力なEUと協力して世界秩序維持の分担を望んでいた。もしトランプ氏が大統領になれば、米国は欧州から手を引き、代わってEUの軍事的リーダーとなるドイツは深刻な核武装問題の結論を迫られる。 ヨーロッパ各国は、押し寄せる移民問題、過激思想の復活、核使用も仄めかす危険なロシア、など深刻な問題が多々あり、世界は暴力主義に回帰する危険があり、その過程で独仏戦争もあり得るとアタリ氏は憂える。                                                                                                                                   
13)中国は国内に深刻な経済問題を抱え金融機関が必死に支えている。欧米と同盟する大国日本も、人口減少と中国問題があり、人口問題は大幅な移民政策と家族政策の大転換を図らなければ日本は破滅に向かう。中国とは何らかの妥協点を見出さないと戦争になるが、米国が日本に加担することは確実ではないとはアタリ氏は予想する。                                                        
                                                                     
以上が英国のEU離脱で起こり得る重大な問題点だが、民主主義のリーダー英国でも国民投票が多数国民の不満足な結果になると、何が国民のために正統な手続きか大きな議論となる。国民投票は民主主義の原点であっても必ずしも万能ではなく、国家の命運を賭ける基本政策を、その時の気分に影響される国民投票に委ねることが適切ではないことを世界は再確認した。日本は憲法改正も衆参両院の2/3以上の先決を経て、国民投票に進む規則であり、その点ではかなり信頼性が確保されているといえる。                       
                                                             


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