2018年02月
2018年02月26日
180226 激変する社会
ひと昔前 銀行マンは就職希望先No.1の憧れの職業であり、若い女性は銀行員と結婚することが理想だった。しかし今、その銀行にはリストラの大波が打ち寄せている。三菱UFJは9,500人のリストラ計画を発表、三井住友は4,000人リストラ、みずほは19,000人の削減計画と驚愕の記事が紙上に踊っている。
私の住む住宅街にも銀行退職者が多く住んでいる。彼らは高額の退職金を貰って引退したが、プライドが邪魔して地元社会になかなか溶け込めず、長い余生を如何に過ごすかに苦労している。しかし今回の銀行リストラ旋風は、彼等のプライドをも完全に吹き飛ばした。
技術屋の私から見れば 銀行OBほど使い物のならない人種はいないと思う。何の技術もないが高給取り気分から抜け切れず、無様な姿を人前に晒すことを極度に恐れて家庭に引き籠っている。しかしゼロ金利時代になって環境が激変し、近年の銀行員は非常に厳しい状況になっているらしい。地元C銀行に定期貯金をもっている家内には、女性行員からお会いたいと勧誘電話が頻繁にかかってくる。満期の定期預金を投資信託に転用する勧誘で、上司から厳しく催促されているのだ。
50年前、某国立大学の理学部を卒業した私の友人にM君がいた。これからの銀行は理系の時代だと公言するМ君は太陽銀行に入社した。しかしその太陽銀行は神戸銀行と合併して太陽神戸銀行となり、更に三井銀行に吸収されて太陽神戸三井銀行になり、遂には住友銀行と大合併して太陽神戸三井住友銀行に変身 、彼との音信は完全に途絶えて消息不明になってしまった。求められた理系とは多分 暗黒のプログラマー業務だっただろうと思う。しかし更に銀行業界には環境激変が止まらず、無利子時代に突入してAI時代に入り、豊富な融資経験をもつ熟練銀行マンさえ無用にする人工頭脳の時代に変わりつつある。
しかしこれは銀行界の話だけでなく、あらゆる企業に起こっている時代の大転換であり、私が関係する化学工業界も同様だった。例えばあの名門の三井石油化学工業はプラスティックをトン単位で安値で大量販売する業態から脱皮して、コンパクトディスクとして数百倍の付加価値で販売しようと計画し、千葉県市原市に巨大な研究所と工場を建設したが、そのCD自体が激烈な価格暴落に襲われて1/100以下のコモディティー商品に下落した。その結果、CDプロジェクトは主導した関係者と共に完全に消え去ってしまった。
他人ごとではなく、私自身にも同様な手痛い経験がある。化学会社には超高付加価値の医薬品が羨望の事業であるが、一般化学企業には臨床技術が無く、商品もなく販売網もなく人材も不在で、医薬品業界には近寄れなかった。 私はこの夢の医薬品業界への参入を狙って、40才の時に苦闘を重ね四苦八苦して、米国ロサンジェルスの臨床診断薬D社と合弁会社を具体化した。100種余りの商品群の販売権と製造技術も入手し、10年かけて全国主要都市に営業網を構築し、売上高も20憶円を狙える位置にまで仕上げた。しかしその診断薬業界にも時代の大波に洗われ始め、巨額投資を要する臨床検査機械が自動化時代に突入し、診断薬メーカーは機器メーカーに吸収され始めた。そして今日では世界でも少数の大型自動検査機器メーカーが支配する寡占業界になり、機器がない検査薬メーカーは太刀打ちできず、私の合弁会社も財閥系大手М社に吸収されてしまった。
もし私が大企業の社長CEOであったら、私は、現業の主力製品が消滅した時の具対策も考えるだろう。その時に備えて何を次の経営軸にするかを企画する部門を新設する。その担当者に指名された者は、現業部門から冷たい視線を浴びながらも、雲を掴むような将来事業の創造に耐える先見性と忍耐力が必要である。問題はそのような現実離れの将来事業の起業化を引き受けてくれる若手人材を見つけ出すことが 最大の課題であるが。
私の住む住宅街にも銀行退職者が多く住んでいる。彼らは高額の退職金を貰って引退したが、プライドが邪魔して地元社会になかなか溶け込めず、長い余生を如何に過ごすかに苦労している。しかし今回の銀行リストラ旋風は、彼等のプライドをも完全に吹き飛ばした。
技術屋の私から見れば 銀行OBほど使い物のならない人種はいないと思う。何の技術もないが高給取り気分から抜け切れず、無様な姿を人前に晒すことを極度に恐れて家庭に引き籠っている。しかしゼロ金利時代になって環境が激変し、近年の銀行員は非常に厳しい状況になっているらしい。地元C銀行に定期貯金をもっている家内には、女性行員からお会いたいと勧誘電話が頻繁にかかってくる。満期の定期預金を投資信託に転用する勧誘で、上司から厳しく催促されているのだ。
50年前、某国立大学の理学部を卒業した私の友人にM君がいた。これからの銀行は理系の時代だと公言するМ君は太陽銀行に入社した。しかしその太陽銀行は神戸銀行と合併して太陽神戸銀行となり、更に三井銀行に吸収されて太陽神戸三井銀行になり、遂には住友銀行と大合併して太陽神戸三井住友銀行に変身 、彼との音信は完全に途絶えて消息不明になってしまった。求められた理系とは多分 暗黒のプログラマー業務だっただろうと思う。しかし更に銀行業界には環境激変が止まらず、無利子時代に突入してAI時代に入り、豊富な融資経験をもつ熟練銀行マンさえ無用にする人工頭脳の時代に変わりつつある。
しかしこれは銀行界の話だけでなく、あらゆる企業に起こっている時代の大転換であり、私が関係する化学工業界も同様だった。例えばあの名門の三井石油化学工業はプラスティックをトン単位で安値で大量販売する業態から脱皮して、コンパクトディスクとして数百倍の付加価値で販売しようと計画し、千葉県市原市に巨大な研究所と工場を建設したが、そのCD自体が激烈な価格暴落に襲われて1/100以下のコモディティー商品に下落した。その結果、CDプロジェクトは主導した関係者と共に完全に消え去ってしまった。
他人ごとではなく、私自身にも同様な手痛い経験がある。化学会社には超高付加価値の医薬品が羨望の事業であるが、一般化学企業には臨床技術が無く、商品もなく販売網もなく人材も不在で、医薬品業界には近寄れなかった。 私はこの夢の医薬品業界への参入を狙って、40才の時に苦闘を重ね四苦八苦して、米国ロサンジェルスの臨床診断薬D社と合弁会社を具体化した。100種余りの商品群の販売権と製造技術も入手し、10年かけて全国主要都市に営業網を構築し、売上高も20憶円を狙える位置にまで仕上げた。しかしその診断薬業界にも時代の大波に洗われ始め、巨額投資を要する臨床検査機械が自動化時代に突入し、診断薬メーカーは機器メーカーに吸収され始めた。そして今日では世界でも少数の大型自動検査機器メーカーが支配する寡占業界になり、機器がない検査薬メーカーは太刀打ちできず、私の合弁会社も財閥系大手М社に吸収されてしまった。
もし私が大企業の社長CEOであったら、私は、現業の主力製品が消滅した時の具対策も考えるだろう。その時に備えて何を次の経営軸にするかを企画する部門を新設する。その担当者に指名された者は、現業部門から冷たい視線を浴びながらも、雲を掴むような将来事業の創造に耐える先見性と忍耐力が必要である。問題はそのような現実離れの将来事業の起業化を引き受けてくれる若手人材を見つけ出すことが 最大の課題であるが。
2018年02月19日
180219 ペットの効用
前にも書いたが、想定外の成り行きで私は豆柴犬を飼うことになった。某ホームセンターのペット店で愛らしい幼犬を眺めていると、店主がその子犬を抱かせたのが決定的で、可愛い子犬でそのまま買うことになった。それから1年、我が家は右往左往の連続だった。昔の愛犬と同じPと名付けた。先ずはトイレ躾つけ、ドッグフードの選択、ケージの手配、動物病院探し、ワクチン注射などなど、次から次へと子育て同様な世話の連続だった。居間に放し飼いすると家具を傷めるので、大きめサークルで飼うことにした。
近親交配の豆柴は寿命が長くないが、年老いた我々より長生きするのは確実であり、誰か親しい知人に早い時期に譲ろうと考えて探した結果、T君から前向きな反応があった。自宅のダックスフンドが死んだので頂いてもいいとのこと、彼ならOKと早速メールで可愛いい写真を見せると大変気に入り、直ぐにでも引き取りたいとの返事。何だか惜しい気もしたが、愛着が増す前に手放そうといつでもOKと回答。しかし翌日T君からメールが入り、ペットロスに苦しんでいる奥さんが猛反対で承知せず、終に無期延期になってしまった。
安堵と不安が半々のまま、我が家で飼い続けて1年近くが経ち、動物病院から外出OKの許可も出た。我が家は湖畔の散歩道に通じる恰好の環境で、私が出勤前と帰宅後に散歩させることになった。朝 私が目覚めて居間に下りると、待ち構えているPはサークル内で立ち上がり両手足を伸ばして準備運動を始める。散歩の用意をして玄関を開けるとPは猛ダッシュで飛び出し アルミ柵で囲った庭を2〜3周して私を待つ。夕方も同様に早めに帰宅する私の玄関音を聞くと、Pは立ち上がってヒーヒー鳴きながら外出をせがむ。
力づくで育てると犬は狂暴になり飼主や他人に噛みつき易くなると聞くが、我が家は逆で可愛いがり過ぎ、Pは我々の長男だと錯覚している気配もあり、甘え症で、散歩で行き交う見知らぬ人にもじゃれつく。迷惑顔の人もいるが、喜んで相手する人もいて、中にはPに会うことを楽しみにしている高齢者も何人かできた。
子供達が独立すると会話が減って家庭内は静かになる。女房は無口で笑顔がいい、亭主は元気で外がいい、という諺もあるが、平穏無事は喜ばしいが退屈なのも事実である。文句のない我が家も、Pが来てから急に会話が増え静かな家庭に雑事が増えた。ただ我々夫婦は高齢なのは現実であり、もし片方が倒れたら、他方だけでは飼い続けられず誰か他人様にPの世話をお願いすることになる不安は常に消えない。
朝 おはよう!と家内がPに声をかけるとPはじ〜と見返している、何を思っているのか言葉が通じないので分からない。私に散歩の催促をするのはよく分かり、朝夕に食事をせがむのは最高の楽しみですぐ分かる。道で出会う他の犬とケンカするのもわかり、楽しい公園散歩から帰るのを嫌がる行動もすぐ分かる。散歩中に臭いに異常に執着して何か突き止めようとしたり、松カサや小枝を咥えてもち遊ぶ仕草もヒトと同じだ、しかし居間のサークルから窓越しに外をじっと見つめてモノ思い耽ける哲学者のような姿は何を思っているのか全く分からない。このように知的で可愛い犬を中国や韓国では食用にすると聞くと何とも残酷なことだとも思う。
ペット産業の経済規模はFood:4,000億円、関連用品2,500億円、犬猫ブリーダ,医療,保険7,000億円で合計1兆4000億円と巨大だか、家庭に潤いを与え、活気づけてくれる家庭活性化効果を金額に換算すると,どの程度の規模になるか見当もつかない。しかしマンネリ気味のプロ野球よりは大きな効果があるのではないだろうか。
近親交配の豆柴は寿命が長くないが、年老いた我々より長生きするのは確実であり、誰か親しい知人に早い時期に譲ろうと考えて探した結果、T君から前向きな反応があった。自宅のダックスフンドが死んだので頂いてもいいとのこと、彼ならOKと早速メールで可愛いい写真を見せると大変気に入り、直ぐにでも引き取りたいとの返事。何だか惜しい気もしたが、愛着が増す前に手放そうといつでもOKと回答。しかし翌日T君からメールが入り、ペットロスに苦しんでいる奥さんが猛反対で承知せず、終に無期延期になってしまった。
安堵と不安が半々のまま、我が家で飼い続けて1年近くが経ち、動物病院から外出OKの許可も出た。我が家は湖畔の散歩道に通じる恰好の環境で、私が出勤前と帰宅後に散歩させることになった。朝 私が目覚めて居間に下りると、待ち構えているPはサークル内で立ち上がり両手足を伸ばして準備運動を始める。散歩の用意をして玄関を開けるとPは猛ダッシュで飛び出し アルミ柵で囲った庭を2〜3周して私を待つ。夕方も同様に早めに帰宅する私の玄関音を聞くと、Pは立ち上がってヒーヒー鳴きながら外出をせがむ。
力づくで育てると犬は狂暴になり飼主や他人に噛みつき易くなると聞くが、我が家は逆で可愛いがり過ぎ、Pは我々の長男だと錯覚している気配もあり、甘え症で、散歩で行き交う見知らぬ人にもじゃれつく。迷惑顔の人もいるが、喜んで相手する人もいて、中にはPに会うことを楽しみにしている高齢者も何人かできた。
子供達が独立すると会話が減って家庭内は静かになる。女房は無口で笑顔がいい、亭主は元気で外がいい、という諺もあるが、平穏無事は喜ばしいが退屈なのも事実である。文句のない我が家も、Pが来てから急に会話が増え静かな家庭に雑事が増えた。ただ我々夫婦は高齢なのは現実であり、もし片方が倒れたら、他方だけでは飼い続けられず誰か他人様にPの世話をお願いすることになる不安は常に消えない。
朝 おはよう!と家内がPに声をかけるとPはじ〜と見返している、何を思っているのか言葉が通じないので分からない。私に散歩の催促をするのはよく分かり、朝夕に食事をせがむのは最高の楽しみですぐ分かる。道で出会う他の犬とケンカするのもわかり、楽しい公園散歩から帰るのを嫌がる行動もすぐ分かる。散歩中に臭いに異常に執着して何か突き止めようとしたり、松カサや小枝を咥えてもち遊ぶ仕草もヒトと同じだ、しかし居間のサークルから窓越しに外をじっと見つめてモノ思い耽ける哲学者のような姿は何を思っているのか全く分からない。このように知的で可愛い犬を中国や韓国では食用にすると聞くと何とも残酷なことだとも思う。
ペット産業の経済規模はFood:4,000億円、関連用品2,500億円、犬猫ブリーダ,医療,保険7,000億円で合計1兆4000億円と巨大だか、家庭に潤いを与え、活気づけてくれる家庭活性化効果を金額に換算すると,どの程度の規模になるか見当もつかない。しかしマンネリ気味のプロ野球よりは大きな効果があるのではないだろうか。
2018年02月13日
180213 自然エネと原発-2
30年後に原発ゼロを法律で強制して自然エネルギー社会を実現しようと小泉元首相が叫んでいる。東北大震災で全ての原発が停止しても,我国は生き延びた、原発ゼロは決して不可能ではないと主張するが、政府は応じようとしない。この脱原発論争は憲法論争と同じで、軍備を放棄した現憲法下でも日本は存続していると主張する平和護憲派と、自衛隊ナシでの国家の永続は危険と主張する憲法改正派の論争とよく似ている。
結論を先に言えば私は、日本が完全に脱原発することは非常に危険だと思っている。確かに再生可能エネギーコストは低下傾向で、世界は脱原発に向かっており、特に風力発電の大型化と太陽光発電パネルの価格低下は発電コストを一気に引き下げ、西欧では風力がキロワット時10円に、2〜3年以内には5円になる可能性も指摘されている。日本では2012年に太陽光(40円)風力(55円)からスタートし、太陽光は2016年に24円に、2019年には18円に迄低下の計画だが、その間ドイツは1/3の太陽光8円、風力10円にまで下がり、世界の再エネ価格は着実に前進している。
再生エネには、水力、太陽光、風力があり、ヨーロッパは風力発電の大型化でコストダウン、中近東は太陽光パネルの価格ダウン、カナダは水力中心と、地域ごとに展開が異なる。しかし現実には米国、英国、仏は依然として原発に大きく依存しており、ドイツも電力の2割をフランスの原発から輸入している。その点日本は大震災の影響で全原発が停止した為、現在でも原発依存率は5%以下あり、結果的に脱原発先進国となっているのだが。
再生エネ発電は自然環境が大きく影響する。我国の風力発電は北海道西海岸が最適地だが、関東地区に送電する時、大きな送電ロスを生じるので、関東近海で大型風力発電を必要としている。国土が狭い日本は太陽光発電が自然環境を荒廃させているが、近年は太陽光発電と農業を両立させて緑地も維持する並立方式が研究されている。しかし太陽光,風力ともに実際の発電量は能力の1/10以下で信頼性は大きく欠ける。
無風時や夜間には太陽光,風力は発電できないが、現代社会は夜間にも大きなベースロード電力が必要であり、天候に無関係に大電力を発電する原発は極めて貴重である。 特に石油を断絶されて第二次世界大戦に突入した日本は、今日でも北朝鮮,中国,ロシアなど危険な独裁国家に取り囲まれており、原油やLNGなどエネルギー源を全て輸入に頼ることは極めて危険であり、準国産エネルギーとしての原発は絶対に手放せないと主張する再稼働派には説得力がある。諸外国との友好関係は外交努力で維持すべきだと主張する脱原発派は現実性に説得力がなく、終わりのない議論が続く。
確かに北朝鮮が核ミサイルを手放すことはあり得ず、軍事国家の中国も隙あらば尖閣攻略を狙っており、ロシアも北方4島の軍事基地化を進めている。外交で近隣諸国と友好関係を維持できると主張する人々も、中国を説得し北朝鮮に核開発を諦めさせる具体策は何もなく単なる希望論である。
原発廃棄物を長年保管するオンカロは、我が国の市町村は何処も受け入れないのは事実である。名乗り上げると直ちに左翼グループが猛烈な反対運動に展開して大騒動に発展するからである。しかし地方自治体は人口減と財政難に絶望的に苦しんでいるのも事実であり、政府の積極的な援護があれば誘致に名乗り出る市町村はあると私は思っている。更に日本周辺の無人島を廃棄物保管地として利用できる可能性もあるだろう。
原発は極めて高度で複雑な総合技術体系であり、一旦放棄するとその技術部隊を再構築することは殆ど不可能である。英国では中国製原発を導入するか否かで大論争が続いているが、わが国も同様で、日本を敵視する軍事国家の中国に電力のカギを引き渡すことは絶対にあってはならない私も思っている次第。
結論を先に言えば私は、日本が完全に脱原発することは非常に危険だと思っている。確かに再生可能エネギーコストは低下傾向で、世界は脱原発に向かっており、特に風力発電の大型化と太陽光発電パネルの価格低下は発電コストを一気に引き下げ、西欧では風力がキロワット時10円に、2〜3年以内には5円になる可能性も指摘されている。日本では2012年に太陽光(40円)風力(55円)からスタートし、太陽光は2016年に24円に、2019年には18円に迄低下の計画だが、その間ドイツは1/3の太陽光8円、風力10円にまで下がり、世界の再エネ価格は着実に前進している。
再生エネには、水力、太陽光、風力があり、ヨーロッパは風力発電の大型化でコストダウン、中近東は太陽光パネルの価格ダウン、カナダは水力中心と、地域ごとに展開が異なる。しかし現実には米国、英国、仏は依然として原発に大きく依存しており、ドイツも電力の2割をフランスの原発から輸入している。その点日本は大震災の影響で全原発が停止した為、現在でも原発依存率は5%以下あり、結果的に脱原発先進国となっているのだが。
再生エネ発電は自然環境が大きく影響する。我国の風力発電は北海道西海岸が最適地だが、関東地区に送電する時、大きな送電ロスを生じるので、関東近海で大型風力発電を必要としている。国土が狭い日本は太陽光発電が自然環境を荒廃させているが、近年は太陽光発電と農業を両立させて緑地も維持する並立方式が研究されている。しかし太陽光,風力ともに実際の発電量は能力の1/10以下で信頼性は大きく欠ける。
無風時や夜間には太陽光,風力は発電できないが、現代社会は夜間にも大きなベースロード電力が必要であり、天候に無関係に大電力を発電する原発は極めて貴重である。 特に石油を断絶されて第二次世界大戦に突入した日本は、今日でも北朝鮮,中国,ロシアなど危険な独裁国家に取り囲まれており、原油やLNGなどエネルギー源を全て輸入に頼ることは極めて危険であり、準国産エネルギーとしての原発は絶対に手放せないと主張する再稼働派には説得力がある。諸外国との友好関係は外交努力で維持すべきだと主張する脱原発派は現実性に説得力がなく、終わりのない議論が続く。
確かに北朝鮮が核ミサイルを手放すことはあり得ず、軍事国家の中国も隙あらば尖閣攻略を狙っており、ロシアも北方4島の軍事基地化を進めている。外交で近隣諸国と友好関係を維持できると主張する人々も、中国を説得し北朝鮮に核開発を諦めさせる具体策は何もなく単なる希望論である。
原発廃棄物を長年保管するオンカロは、我が国の市町村は何処も受け入れないのは事実である。名乗り上げると直ちに左翼グループが猛烈な反対運動に展開して大騒動に発展するからである。しかし地方自治体は人口減と財政難に絶望的に苦しんでいるのも事実であり、政府の積極的な援護があれば誘致に名乗り出る市町村はあると私は思っている。更に日本周辺の無人島を廃棄物保管地として利用できる可能性もあるだろう。
原発は極めて高度で複雑な総合技術体系であり、一旦放棄するとその技術部隊を再構築することは殆ど不可能である。英国では中国製原発を導入するか否かで大論争が続いているが、わが国も同様で、日本を敵視する軍事国家の中国に電力のカギを引き渡すことは絶対にあってはならない私も思っている次第。
2018年02月02日
180202 ルノアール営業
先日、病院で診察を受ける為、正午過ぎに近くの中堅の病院に行った。老人専門の病院でお客の殆ど高齢者ばかり、午後の診察室は2時から始まるので、昼休みは誰も居ない筈だが、当日は若いお客ばかり7〜8人が座っており、少々雰囲気が違っていた。
暫くすると女性の受付が、XXさんお入り下さい!と呼ぶ。するとアッタシュケースを持った若者が診察室に入っていった。明らかに医薬品セールスの営業マン(Medical-Representative)だった。そのMRは丁寧に挨拶しながら直ぐに退出し、次のセールスMRが呼び込まれたが、やはり2〜3分の短時間で出てきた。続いて小柄な若い女性MRが入り、10分以上の長い時間が経過してやっとその女性MRは満足顔で退出してきた。同様に次々とMRが呼びこまれて全員が終わるまで1時間近くが経過して、最後に年配の医師が退出した。多分、この医師は同病院のボス的存在らしく、各社のセールスMRは、このボス医師に面談して営業しているのだと分かった。
彼らMR達は午前中待機していたのであろう。若い女性MRのように10分以上も説明できれば大満足だろうが、他の男性MRは2〜3分のごく短時間で、詳しい説明は殆ど出来ず、挨拶してカタログを差し出すと、ハイ読んで置きます!と言われて追い出されたのだろうと思う。
しかし医師の立場から考えると、多数の外来患者の診察を終えて疲れている処に、新製品の売り込み説明を聞くのはかなりの苦痛であり、読んでおきましょう!と返事せざるを得ないのも分かる。しかし若い女性MRなら気分も変わり、突っ込んだ会話もあって、伝えたいことは殆ど全て情報交換できるだろう。 医薬品メーカーも女性MRを積極的に使っている筈だが、近年は人手不足で、若い女性は厳しい医薬品セールス業を好まず、空調の効いた事務室でPC相手の仕事を好むから、よほど営業適性がないと、MRはなかなか勤まらない。
クルマの営業も同様で、昔はご主人が帰宅した夜間に自宅を訪問して売り込みしていたが、営業マンも苦痛でご主人も嫌がって殆ど不可能になり、近年は訪問営業は激減して、販売店に来訪するお客に説明する方式に変わった。
30年前に私が現役で、米国診断薬会社の日本社長を10年以上務めた時も、多忙な医師に説明することはなかなか困難で, 朝夕に診察を終えて退出する僅かな時間を狙ってカタログや資料を手渡す程度であり、その間の待ち時間はセールスマンは近くの喫茶店で待機し、時間を見計らって診察室前で待機することが多かった。その間の長い待ち時間は、近くの喫茶店ルノアールで待つので、巷ではルノアール営業と揶揄されていた。
米国親会社からは、バカげたルノアール営業は中止してカタログ郵送とメール説明で、医師から呼ばれたら出張して説明する方式に改善するよう度々要求され続けたが、このようなビジネスライク営業は我が国では殆ど受け入れられなかった。この非効率な営業習慣を悪用して、温泉地での医学会に営業マンが出張して勝手に遊興する不埒なセールス部員も多く、医薬品業界の営業は異様な状況だった。
しかし時代は変わって人手不足になり、人件費は高騰して、米国式のビジネスライク営業をならざるを得なくなったが、セールスマンが、直立不動の姿勢で医師に説明する習慣は中小病院では根強く残っており、その懐かしい現場を思い出しながら、感慨深く眺めながら過ごした昼休みであった。
暫くすると女性の受付が、XXさんお入り下さい!と呼ぶ。するとアッタシュケースを持った若者が診察室に入っていった。明らかに医薬品セールスの営業マン(Medical-Representative)だった。そのMRは丁寧に挨拶しながら直ぐに退出し、次のセールスMRが呼び込まれたが、やはり2〜3分の短時間で出てきた。続いて小柄な若い女性MRが入り、10分以上の長い時間が経過してやっとその女性MRは満足顔で退出してきた。同様に次々とMRが呼びこまれて全員が終わるまで1時間近くが経過して、最後に年配の医師が退出した。多分、この医師は同病院のボス的存在らしく、各社のセールスMRは、このボス医師に面談して営業しているのだと分かった。
彼らMR達は午前中待機していたのであろう。若い女性MRのように10分以上も説明できれば大満足だろうが、他の男性MRは2〜3分のごく短時間で、詳しい説明は殆ど出来ず、挨拶してカタログを差し出すと、ハイ読んで置きます!と言われて追い出されたのだろうと思う。
しかし医師の立場から考えると、多数の外来患者の診察を終えて疲れている処に、新製品の売り込み説明を聞くのはかなりの苦痛であり、読んでおきましょう!と返事せざるを得ないのも分かる。しかし若い女性MRなら気分も変わり、突っ込んだ会話もあって、伝えたいことは殆ど全て情報交換できるだろう。 医薬品メーカーも女性MRを積極的に使っている筈だが、近年は人手不足で、若い女性は厳しい医薬品セールス業を好まず、空調の効いた事務室でPC相手の仕事を好むから、よほど営業適性がないと、MRはなかなか勤まらない。
クルマの営業も同様で、昔はご主人が帰宅した夜間に自宅を訪問して売り込みしていたが、営業マンも苦痛でご主人も嫌がって殆ど不可能になり、近年は訪問営業は激減して、販売店に来訪するお客に説明する方式に変わった。
30年前に私が現役で、米国診断薬会社の日本社長を10年以上務めた時も、多忙な医師に説明することはなかなか困難で, 朝夕に診察を終えて退出する僅かな時間を狙ってカタログや資料を手渡す程度であり、その間の待ち時間はセールスマンは近くの喫茶店で待機し、時間を見計らって診察室前で待機することが多かった。その間の長い待ち時間は、近くの喫茶店ルノアールで待つので、巷ではルノアール営業と揶揄されていた。
米国親会社からは、バカげたルノアール営業は中止してカタログ郵送とメール説明で、医師から呼ばれたら出張して説明する方式に改善するよう度々要求され続けたが、このようなビジネスライク営業は我が国では殆ど受け入れられなかった。この非効率な営業習慣を悪用して、温泉地での医学会に営業マンが出張して勝手に遊興する不埒なセールス部員も多く、医薬品業界の営業は異様な状況だった。
しかし時代は変わって人手不足になり、人件費は高騰して、米国式のビジネスライク営業をならざるを得なくなったが、セールスマンが、直立不動の姿勢で医師に説明する習慣は中小病院では根強く残っており、その懐かしい現場を思い出しながら、感慨深く眺めながら過ごした昼休みであった。