2020年01月

2020年01月27日

200127 大学同期会 

学生時代の苦渋に満ちた思い出は誰にも懐かしい、私も大学や高校の同期会が毎年開催されている。65年前に私が卒業した高校は 全国高校-大学合格実績表にも載らないレベルの田舎の普通高校だが 度々開催される同期会に、私は気が向かないので一度も出席したことが無い。       
                                         
何しろ高校同期会を仕切るのは、官庁の出先で一生過ごしたD君、株屋一筋のM君、 元野球選手で都内の総会屋になったK君の3名だ。田舎に帰ると彼らは東京の成功者として迎えられ、自尊心を大いに満足させるらしく、必ず記念写真の前列中央に大股で陣取っている。野球青年が何故総会屋になったか分からないが、都内デパートを得意先とする強者だ。また田舎の小さな本屋の息子だったR君は文武両道の生徒として先生達から褒め称えられたホープだったが 名門大学を卒業して大手商社に入社、組合活動に精出し退職して渡米し ロスで中古車売買を商売していたが 金銭問題を起こして音信不通になった。                                   
                                        
勿論真面目人間も多く、有名大学から一流損保に入り、主要支店長を務めたS君は今も誠実一筋な紳士、W君は東京郊外で評判の小児科医院を自営する明朗な人柄、スポーツと勉学両道のF君はマツダの技術部長を務めて退職し、同社OB親睦会の会長を務めていた活動家だ。翻って私はスポーツ苦手、ガリ勉タイプで 何の取り柄もない生徒だった。私も好んでガリ勉したわけでは無いが、当時の田舎は受験情報からは完全に途絶され、赤尾好夫の豆単の暗記と、真夜中の文化放送で聞くラジオの受験番組程度で 他には何の手掛かりもなかった。理系を選んだ私は数学苦手で 入学試験も悲惨な結果に終わり、間違いなく不合格と観念して 合否通知の手配もせず 悄然と帰宅したが、数日後に近所のお婆さんが 名前が載っていると新聞を持って駆けつけて 初めて自分の難関大学合格を知った程度だ。私の時代には、田舎から大学進学する者はごく僅かで、殆んどは高校を卒業すると同時に就職した。秀才Q君は高校卒後に近くの製鉄工場に入社して現場作業員で一生を終えた。私も地元の新式の流架式製塩会社に就職する話ができていた。
                                                                        
比べると大学同期会は多士済々で、高校同期より話題のレベルが格段に高く 楽しいので必ず参加する。同期のホープとして超大手名門会社に入社したが 夢破れて意気消沈して無口の級友もいるが、まだまだ意欲満々で原子力発電の必要性を説き、郊外都市で中高生の受験勉強をボランティア指導する有志、郊外で元気に引退農業を始めた者など、食事会では毎回誰かが 信念の吐露や 社会の惰性に警報を鳴らす。実は私もその一人で、長年かけて作り上げたSEO(検索エンジン最適化)について 何回も話題を提供する。我々高齢者はITオンチだが、ホームページを有効活用すれば最小費用で強力な全国営業網ができるので 誰でも簡単に起業できることを実例で説明するが 級友達はやはり眉唾気分だ。本件は若い現役サラリーマンでもなかなか納得しない傾向があるが、既に数十件の実績も出来、私の実例も含めて繰り返し説いている次第。                        



mh3944 at 09:44|PermalinkComments(0) 雑感 

2020年01月20日

200120 ガリバー企業(7ch)

土曜夕方(7ch)の、知られざるガリバー企業をいつも見ている。小さくてもユニークな商品をもつ有力会社を紹介する番組だ。先週は、カラー業界の実力企業との見出しで、都心の立派な本社ビルが映り、直ぐに私の親会社D社だと分かった。会社を退職して既に40年が経過し、D社の近況は如何に?と期待したが、立派なのは本社ビルばかりで有力商品は無く、 新任社長がボソボソと解説したのには落胆した。唯一の目玉は、ドイツ大手BASFが手放した顔料工場を買収して欧州市場進出だけだった。これが私の青春を賭けて入社した会社の現状かと思うと悲しくなった。往年は国際化の旗手として囃されたが、近年は成長が止まり、年商8,000億円、利益僅少、株価低迷で 社員3,000人の商社的巨体を持て余しながら、やっと生き延びている状況だ。

D社は同族会社で学閥も少なく風通しの良い会社だった。社長は代々経理畑出身だが、茶坊主の経管部長が実務権限をもち、同部長の事前了解ナシには何もできない仕組みだった。技術系TOPのS副社長は誠実だったが、K相談役の顔色ばかり窺い、日常業務最優先で長期開発は重視しなかった。技術企画H常務、実力者M常務も発言権は弱く、有力プロジェクトは経管部長主導の外国企業買収だけだった。 
                                            
若手技術者も次々とやる気を失ってライバル会社に移った。技術企画担当の私も経管部長の束縛で身動きできない状況に絶望して脱出を決意し、米国医薬企業と合弁会社を設立して幕張新都心に脱出した。そこで思う存分の本格的な業務を働くことができた。

D社は郊外に大規模な研究所を設立し開発態勢もあったが、短期成果を急ぐS副社長は中長期的テーマを重視せず、外部アドバイサーも不在で、何年経っても目ぼしい成果は生まれず、研究投資は年々縮小されて年配社員の溜まり場に化していった。確かに新規テーマが開発し尽された今日、研究開発者には受難の時代で、D社だけが責められる訳ではない。半導体市場も即断即決の韓国,台湾企業に押されて日本勢は敗退し、自動車は巨大市場の中国にマーケットが移り、トヨタ,ホンダも苦戦気味だ。

D社は中間素材メーカーで、塗装剤、フィルム、エラストマー、液晶などテーマは限定される。ノーベル賞を受けた吉野彰氏の旭化成も、特許は三洋電機が4年早く出願し、リチュ-ム電池はソニーが先に商品化に成功して、旭化成の業績に大きく貢献した訳ではない。しかし技術開発の重要性が変わっていない。自動車で先頭を走るトヨタやホンダの独立精神、ソニーの開拓精神、更にパナソニックの完璧精神は生きており、ソロバン重視のD社が、この激動の時代に生き残っているのがむしろ不思議でもある。 企業買収も事業展開の有力手段ではあるが、外国企業のコントロールは極めて難しく、ソフトバンク孫社長は米国シェア-オフィス会社へ投資で一兆円もの巨額損失を蒙った。別件だがD社も米国会社を買収撤退して3千億円もの損失を生じたと聞く。風習,言葉が異なる外国人の心を掌握するのは容易なことではないことを教えてくれる。

近年は正社員にも副業が認められる時代になった。副業とは研究開発の隠しテーマだけでなく、一般社員は翻訳業とか英会話教室、予備校講師などもOKらしい。50年前に工学部を卒業した 私は非難されながらも経済学部(夜間)を卒業して懸賞論文を書き 研究部門から企画部門に脱出し、更に合弁会社に移籍して新天地で働くことができた。時代は完全に転換した今日、D社もソロバン勘定から脱出して、社員の創意と工夫を生かす社風に転換しなければ、野垂れ死にする以外に生きる道はないと思った。  



mh3944 at 09:32|PermalinkComments(0) ビジネス 

2020年01月09日

200109 銀座で歌舞伎を見た。

正月休みで久し振りに東京銀座の歌舞伎を観劇した。そして歌舞伎を見直した。武骨者の私は歌舞伎のような高邁な古典演劇には殆ど無縁だったが、息子夫婦から入場券を贈られて一心発起し、銀ブラも兼ねて新装の歌舞伎座に出掛けたが、予想に反して充実した内容だった。  
                                       
今回の出し物は、中村勘九郎、中村七之助、市川猿之助などの初春大歌舞伎公演4幕で, 特に2幕目の奥州安達原物語が良かった。平安朝廷から派遣された源義家によって滅ぼされた安達一族が再興を期して苦悩する物語で、安達一族の娘が駆け落ちし家出した相手が、敵方の武将と分かり、敵味方の狭間に挟まれた娘が苦悩の末に自害する物語りで、事前に予習しておけば、更に深い理解もできただろうが、久し振りに落涙し、歌舞伎を見直した。ストーリーの展開を助ける為にイヤホーン解説も用意され、独特な語り口調の理解も助けられた。近年増えたとも聞く外国人の観劇者は殆ど理解できないだろうと思ったが、英語のイヤホーンも用意されているという。  
                                     
西欧歌舞伎にも例えられるオペラは、小泉元首相も愛好家だと聞く。オペラも無縁な私は少々口幅ったいが、華やかなオペラ舞台には美くしい歌唱が付き物で、蝶々夫人とか、くるみ割り人形、オペラ座の怪人、トーランドット、仮面舞踏会….など、フィギュア-スケートでも聞く優雅なメロディーが沢山ある。しかし歌舞伎には歌唱がごく少なく、伝統的な形式で近代的な感覚に乏しく、若者達からも敬遠され現代歌劇に押されていると思う。確かに出演者は全員男性、家柄重視だが、時代が完全に国際的した今日では、歌舞伎だけが古色蒼然の感覚では、外国人旅行者からも煙たがられて今後の大きな発展はむつかしいと思う。高齢の私には説得力がないが、歌舞伎公演で周囲を見渡しても高齢者ばかりで空席も多く、若者達が見当たらなかったのは寂しい限りだった。 
                                     
確かに伝統最優先で近代感覚に乏しいままでは 自国の若者達からも煙たがられて大きな発展はむつかしい。国際化の良否も議論はあるだろうが、大胆な近代化が必要だと私は思う。30年以上大昔 私が現役時代 アイルランド-ダブリンに出張した時 英語の漫談を聞く機会があり、周囲の大爆笑に合わせて 私も空笑いを続けたが、全く何も理解できなかった苦い記憶がある。 しかし最後に演者が歌ったダニーボーイの素晴らしい美声は 今になっても忘れられない想い出だ。今回の安達一族の悲恋物語に、もし美しい歌唱でもあれば、歌舞伎愛好家はもっと増えるかもしれないと思った。  
例えば:人恋うは、悲しきものと平城山に もとほり来つつたえ難かりき、いにしえも、つまを恋いつつ越えしとう、平城山の路に涙落としぬ……のような美しく悲しい歌唱があれば、安達一族の悲恋物語は 更に一段と盛り上がったとも思う。   
                  




                  


mh3944 at 13:27|PermalinkComments(0) 雑感